永遠に引き裂かれた絆
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作者:IDy3bhtGo
612 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/07(土) 20:28:17.92 ID:IDy3bhtGo
「今日から一年か、楽しみだな。」
「ホム?」
「マドォ・・・」
ほむほむとまどまどを捕まえてきた。仔ほむ・仔まどから若ほむ・若まどになったばかりの個体であり、公園でいつも仲好さそうに遊んでいた。
もうじき番になるであろう二匹を、それぞれ別のゲージに入れて放置する。
ゲージはほむ種一匹が住むには有り余るほど広く、緑も豊富で立派な小屋もあり、退屈しないようにほむ種用ミニチュア滑り台やブランコを備えている。
おまけに餌は私が安定供給するというのだから、ほむ種にとっては理想とも言える「飼いほむ空間」だ。
しかし、お互いの愛すべき相手には絶対に会わせない。
ゲージを向かい合わせにし、その間に川に見立てて水を流す。この水には意味は無く、ただの演出である。
「ホムムッ!! マドカァアァァァアア!!!」バンバンバン!!!
「ホムラチャンッ!!! ホムラチャアアアァァァァアアン!!!!!」バンバンバン!!!
お互いを呼び合いゲージを渾身の力で叩くが、当然ながらビクともしない。
どうしていいのかわからず立ち竦むほむほむとまどまどを他所に、サラサラと流れる水だけが時間の経過を周囲に知らせていた。
≪7月(実験開始月)≫
最初はほむほむ・まどまど共に必死に相手に会う方法を探していた。
無理だと分かっていながらゲージをバンバンバンバン叩いたり、地面を掘っては固いゲージの底で指先を怪我したり・・・。
それでも互いの存在を認識できるので絶望はしていなかった。声も届くので話もできた。姿も見える。
月末にはお互い、少し落ち着いた様子だった。餌も、最初は全く口にしてくれなかったのが、同じく月末には半分ほど食べてくれるようになった。
≪8月≫
日差しが強くなり、室温も上がってきたのでクーラーを入れた。暑さにへばっていたほむまども今は気持ちよさそうに布団を被って寝ている。
お互いに会うことはできないが、その姿と声を確認できることは余程安心できるのだろう。
以前はゲージに張り付いて見つめ合っていたのが、現在では朝の挨拶や食事前の挨拶、後は気が向いた時にお互い呼び合うぐらいに落ち着いている。
いつかは会えると思っているのだろう。まぁ・・・そうなんだろうが。
≪9月≫
「ホムー! ホムムー」
この頃から、私に興味を示すようになった。いつも餌を運んでくるだけの私に。
もう滑り台やブランコでは遊び飽きたのだろうか・・・。
「マッド! マドマドー!!」
『遊んで遊んで!!』・・・か。まったく、ほむ種とは子供のような生き物だ。
遊んでやってもいいが、ゲージから出ないのが条件だ。それでもいいかと確認すると二匹とも大きく頷いた。
やれやれ・・・まぁいい。このまま観察を続けていても退屈だし、少しぐらい遊んでやっても実験に支障は無いだろう。
私はほむほむのゲージに手を入れると、その体を仰向けにさせ、指先で腹をコチョコチョとくすぐってやった。
「ホッ! ホヒャァァァァァァアアアアア!!!」
笑いながら必死で私の指をどけようともがくが、敵わずまた笑い転げる。
少しくすぐりの手を緩めると安心してため息をつく。その隙を狙い、またくすぐる。
今度は地面を転がって逃げようとするが私の指は首筋に移っていた。
「ホヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!」
眉をハの字にし、笑い顔で涙を流すほむほむ。何とも珍妙な光景だ。
「マドッ!マドマドッ!!」
あ、すまん。お前のことを忘れていた。
ほむほむから指を離すと、ほむほむに触った手とは反対の手でまどまどをくすぐる。
たとえ間接的であってもお互いを近付けることは禁忌だ。
「ウェヒヒヒヒッ!!!!!ヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!」
≪10月≫
あれからというもの、何かあると遊んで遊んでと強請られるようになった。
最初は暇つぶしになるかと思ったが、段々と面倒になってきた。
面倒なので、初心に帰ってもらうとしよう。霧発生装置を使う。
スイッチを入れてからしばらくすると、部屋の中が霧で満たされた。
ゲージの中の二匹はお互いの存在が見えにくくなり、最初ほどでは無いが混乱している。
「ホム・・・マドカァー・・・」ポロポロ・・・
「ホムラチャァーン・・・ホムラチャァーン・・・」シクシク・・・
再び会いたくなったのだろう。お互いのことを思って泣き始めた。
この霧は中旬から月が替わるまで発生させたままにした。
≪11月≫
季節は冬に迎え、外も肌寒い。エアコンを暖房設定に切り替える。
しかし、ほむまどは以前のように安心して眠ることは無く、お互いが見える位置から離れようせず、じっとお互いを監視し合っている。
時折感情が昂ぶり、狂ったように名前を呼び合う光景も見られるので、私も以前ほど退屈しなくなった。
布団や餌箱・遊具など生活に必要、または頻繁に使用するものを全てその場所に集めている。
子供の頃、家の中の自分のスペースにオモチャを全部集めて、基地のようなものを作った思い出は無いだろうか。
ある方はそんな感じを想像していただきたい。
何にせよ、意地でもそこから動くまいという決意が見られる。・・・さすがにトイレは離れた場所でしているが。
≪12月~5月≫
ほとんど今の状態から変化が無かったので割愛する。
状況に慣れてきて遊びを強請るようになったら霧を発生させ、お互いの存在と自らの境遇を再認識させた。
そして、6月。
レポーター『七夕まであと半月となりました! 少し気が早いですが、ここ見滝原町では町興しのため、七夕祭りが開催されるとのことです!
では、主催者の九兵衛さんにお話を伺ってみましょう!』
九兵衛『人の願いはとてもいいものなんだ。特に純真無垢な少女の願いはね。君もそう思わないかい?』
レポーター『え? いや、あの・・・』
「ホムン?」
「マドォ?」
いつもはスイッチを切ったままだったテレビ。
この特別番組『密着!見滝原七夕祭りの舞台裏』が放送されることを知ったので点けてみた。
このほむまども一年経って、随分成長した。そろそろ教えてもいい頃だ。
自然な流れで教えるために、この番組を見せた。私なりの拘りだ。
この番組の放送を知る前は、七夕に関する絵本を読んでやるつもりだったから一つ手間が省けた。
二匹は食い入るように画面を見つめていたが、七夕や短冊に興味をしめしたのだろう。
私のほうを向いて首を傾げ、解説を求めてきたので、満を持して説明する。
「七夕っていうのは、普段は離れ離れだった恋人同士が出逢える、一年に一度のイベントなんだ。」
「ホ、ホムゥッ!!?」
「マドォォォオオッ!!?」
短冊や願いについても説明しようと思ったが、その必要は無かった。
私の言葉を、瞬時に自分たちの状況に当てはめたようだ。その都合の良い思考パターンは私も見習いたいところだ。
「マドカァァァアアア・・・///」ポロポロポロ・・・
「ホムラチャァァアァアアアアン・・・・」グスッ・・・グスン・・・
喜びの涙を流す二匹。涙が零れ落ちる瞳は、明るい未来を信じ、キラキラと輝いていた。
7月6日≪実験終了前日≫
長かった・・・ここまで。
周りにはもっと長期で実験を行っている者もいるが、個人でやる分には一年とは余りにも長い。
しかし、好奇心には勝てなかった。つくづく自分の性格が恨めしい。・・・だが、それも明日で全部報われる。
ほむほむはというと、明日はまどまどに会えるということで入念に体を洗っている。
まどまども私が与えた鏡で髪型を細部までチェックしているようだ。楽しみで仕方が無いと言った様子だ。
私も、明日が楽しみで仕方が無い。
7月7日≪実験終了日≫
この二匹を拾ったのが一年前のこの日・・・そう思えば感慨深いものだ。
色んな思い出が蘇ってくる。初めてほむほむの腹をくすぐってやった日。鏡を渡した時のまどまどの笑顔。霧に戸惑う二匹・・・・。
全てが昨日のことのように鮮明に思い出せる。
「ホムゥゥゥゥゥウウウウウ!!!!!! マアアアアドカァァァアァァァァア!!!!」
「ホォォォォオムラァァァァアアアチャァァァァァアアアン!!!!!」
二匹は空のゲージを背に、川に見立てた水を挟んで対面し、今までで一番大きな声で互いを呼び合っている。
直に感動の出逢い。いっぱい抱き合って、いっぱいキスをして、いっぱい交尾しよう・・・そんなことを考えているのだろうか。
「では、私が合図したらこの水を止める。そうすれば二人は晴れてご対面だ。」
二匹には、この水に触れると体が溶けると伝えている。
水に溶ける材質の紙で作られた人形が、みるみるうちに無くなっていくのを見せたら簡単に信じてくれた。
ドキドキ・・・
ドキドキ・・・
「3・・・」
「ホム・・・」
「2・・・」
「マド・・・」
「1
モワワワワワワ・・・・
「ホムゥッ!!!???」ビクッ!!!
「ホムラチャァァァアアアアン!!!???」
霧発生装置。辺りは霧に包まれ、ほむまどはお互いの存在を認識できなくなってしまった。
「ホマアァァァァアアアアアアアァアァァ!!!! マドカ!!!! マドカアァアアアアアァァァァァァァァアアアア!!!!!!」
「マッドオォォオオオオオオオォォォォオオオオオオ!!!!!! ホムラチャアアアァァァァァァァアアアアン!!!!!!」
呼び声が空しく響く。因みに、離れ離れの恋人同士が出逢うのは決まって深夜だと伝えている。
二匹をゲージから出したのが23:45。
現在、23:59。そして・・・
ピッ ピッ ピッ・・・
ポーン
「イベントは終了だ、残念だったね。」
二匹をそれぞれのゲージに戻し、霧発生装置を止める。
二匹は訳も分からず、呆然と立ち尽くすばかりである。涙すら出てこない。
「次に会えるのはまた一年後だ。」
そう告げると、理解してくれた。
理解してくれたが・・・受け入れられないようだ。
まだ何が起こったか分かってないようにも思う。・・・まぁいい、時間はたっぷりあるんだ。
一年に一度のチャンスを奪われたほむほむがどんな反応をするか見てみたいという思い付きから始めた実験だったが、今度は彼女らが死ぬまでこれを繰り返してみたくなった。
なぁに、ほむ種の寿命なんて人間にしてみたらあっという間。今の好奇心を持った自分からすれば大した長さには感じない。
たとえ途中で後悔することになってもこの実験は止めない覚悟だ。
お互いの思い人と触れ合うことができないまま生を終える、その瞬間・・・。どんな表情を見せてくれるか、今から楽しみで仕方が無い。
「終わり」
- ほむまどの性質を考えれば虐作品なんだろうし、良くまとまっているけど、
ほむまどの待遇としてはかなりいい待遇なんだよな(一生独身を除けば)
そこが惜しいというか虐作品特有の快感が薄まったのが残念
けどストレートな虐作品以外もいいかなと思う