ほむトープ その2
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homuhomu_tabetai
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観察記録4・完全共生 担当研究者の手記より抜粋
20XX年×月△日
先日、まみまみによって導かれた他のほむほむ種が都市環境エリアに居住するようになって、
早くも96時間以上が経過している。
ほむつがい1「ホムホム///」さやつがい1「サヤサヤ///」シアワセ
まみつがい2「マミィン///」ゆまつがい2「ユマァン///」ダイスキ
ほむほむ種達は各々がつがいを作り、幾つかのつがいが住居を共有すると言うカタチで生活を行っている。
妊まどつがい3「マドォ///」妊あんつがい3「アン-///」サスリサスリ
ただ、妊娠状態の仲間を気遣ってか、安全のために妊娠中のつがいには一つの住居が与えられている。
主任研究者である教授は、“複雑化した巣の延長として使っている可能性が高い”と推察していた。
そう、まだほむほむ種にとって、住居施設はまだ巣の範疇を出ないのだ。
ほむほむ種に与えられた住居施設は、数千世代に渡って増え続けてもパンクしないだけの量が準備されている。
それもそうだろう、大西洋上に作られたこのメガフロートは巨大過ぎると言って良いほどに巨大なのだ。
一昨日、休暇で陸に戻った時に、海岸からこの施設が見えたほどだ。
たった数万匹のほむほむ種には、あまりにも広すぎる箱庭。
ほむほむ種が立ち入ったエリアは、外周部自然環境エリアの一角と中央部都市環境エリアの一角を繋ぐ細いラインのみ。
まだ全域の1%にもほど遠いほどに狭い狭い範囲なのだ。
まどまど1「………マドマド」ヒロイナア
まどまど2「…………マド、マドマドマド、マドッ」ナニガアルカイッテミヨウ
まどまど1「マ、マドッ!?」ドウシタノ
まどまど2「マドンッ」トビタチ
開拓者は、いつも突然に現れる。
それはどうやら、我々人類に限った話ではなかったようだ。
観察記録5・第二世代の誕生 担当研究者の手記より抜粋
20XX年×月△日
その日は朝から観測所は大賑わいだった。
僕の使っているモニターに、大勢の同僚や教授達がかじりついている。
親まみ「マミマミィ///」イイコイイコ
親まど「マドマドォ///」カワイイカワイイ
仔まど1「ミャドミャドォ」オカーサン 仔まど2「ミャドォォ」スリスリ
そう、このほむトープ始動以来の、初の第二世代が生まれたのだ。
まみまみとまどまどの間に生まれたのは、まどまどが合計2匹。
神話のアダムとイヴの間に生まれた子供、と言うには大げさかもしれないが、
僕達は、完成された独立自然系であるビオトープ内の出来事とは言え、
人工の自然の中で何のストレスもなく生まれた仔まどを初めて目撃したのだ。
しかも、野生に近ければ近いほど、つがいにほむほむを好むハズのまどまどが、
まどまどと最もつがいを作り難いとまで言われたまみまみとの間に作った仔まどを、だ。
幾つもの歴史的記録が刻まれて来た中で、僕達はまた、新たな歴史を目の当たりにしたんだ。
観察記録6・海の向こう 担当研究者の手記より抜粋
20XX年◇月○日
実験開始から早くも6ヶ月、第二世代誕生に湧いたあの日を懐かしく感じる。
今は既に第7世代が誕生し、ほむほむ種の生活圏は早くも一つのエリアの3割を埋め尽くそうとしている。
ほむトープは超巨大メガフロート上に築かれた人工の独立自然系の通称である。
外周部に自然環境エリアを、中央部に都市環境エリアを持った複合エリアを幾つも内包し、
プランクトン以外の海洋生物を除外した“人工の海”で区切られている。
だがしかし、如何に体力・飛行能力に優れたまどまどであっても、この海を越えるのは難しい。
人工の海は、まどまどの一回の飛行距離だけ超えられる限界値を、遥かに超えて作られているからだ。
親ほむ「ホム……」ショッパイミズ
親まど「マド……」ヒロイネ
仔まど「ミャド~!」デッカーイ
今日も私の担当する観察モニターの前、いや、海岸線に一組の親子が来ていた。
自然環境再現システムが作る波と、その向こうを凝視している。
親まど「……マドッ」ハネヒロゲ
親ほむ「ホ、ホム!? マドカァー!?」ドウシタノマドマド
仔まど「ミャド!?」オカーサン
親まど「………………」
親まど「マド、ホムラチャン、マドマド」ホムホム、コドモオネガイ
親ほむ「ホ、ホミャッ!? ホムゥ、ホムホムゥ!」イッチャダメ
親ほむ「ホム、ホムホムホム、ホミャァホム!!」ショッパイミズ、ダレモコエラレナイ
親まど「マドンッ!」トビタチ
親ほむ「マドカァー!」マドマドー
仔まど「ミャドー!」オカーサン
我々に、ほむほむ種の会話は細かく理解する事は出来ないが、
その鳴き声からして、恐らくは飛び立ったまどまどを引き留めようとしたのだろう。
りぼほむでもないほむほむに飛ぶ術はなく、幼い仔まどに母を追い掛けられるだけの飛行能力はない。
もう幾度、この光景を見て来ただろう。
ほむほむ学を学んだ者として、一人のほむほむ種を愛する人間として、
また妻子を持つ一人の男として、この光景に涙を禁じ得ない。
このモニターを任された私は、酷い貧乏くじを引かされたのかもしれない。
観察記録6.5 海を向こう、その後 観察モニター上の記録映像と担当者の手記より抜粋
若まど「……マド」カーサン
波打ち際に立ち、人工の、だが自分には広すぎる海を睨むように見る若いまどまど。
この若いまどまどは、数日前、この海岸で飛び立つ母を見送った、あの仔まどである。
片母が旅立ち、もう一人の母であるほむほむによって立派に育った若いまどまどは、
こうして毎日のように、浜辺に来ていた。
いつか母が帰って来るのでは、と淡い希望を胸に。
だが――
若まど「マド……マドマド」コレ……カーサンノ
波打ち際に流れ着いた一本のリボンを拾い上げた若いまどまどは、
それがあの日別れた母のリボンであると直感していた。
若まど「マド……マドォォォォッ!!」カーサン……カァァサァァン
淡い希望を打ち砕かれ、涙する若いまどまど。
しばらくして号泣が収まると、若いまどまどは自らのリボンを解き、
母のリボンで頭部の体毛を結い直していた。
若まど「マド、マドン、マドマド」ショッパイミズ、トブダケジャコエラレナイ
若まど「マドマド、マドマド」オヨグノモダメ、イッパイシンダ
若まど「マドマド、マドマドォ!」ケド、ゼッタイニコエル
若まど「マドマド、マァドマド、マァド!」ベツノホウホウ、ミツケル
数日後、汚れたリボンを身につけた一匹のまどまどが、
つがいのさやさやと共に、海にほど近い場所に居を構えた。
我々は、このつがいの子孫が起こす奇跡を、まだ知らずにいた。