ソウルジェムの研究

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作者:EBlU3jOF0

854 名前:「ソウルジェムの研究」    *独自解釈による独自設定です[sage] 投稿日:2012/05/12(土) 01:44:53.76 ID:EBlU3jOF0



突然だが、ほむ種のソウルジェムというものを見たことがあるだろうか。
私はある。忘れもしない十年前、バスの窓から偶然、紫色の輝きがほむほむの手の甲から放たれているのを見てしまった。
その美しさに心を奪われた私は、大学に入って以来ずっと、儲かりもしないほむほむの研究を続けてきた。
しかし、大学ではそんなことありっこないと何度も鼻で笑われた。それでもずっと、ほむほむの研究を重ねてきた。
そしてついに、あの輝きを再現することに成功した。あの日見た教授連中の顔が忘れられない。私はついに報われたのだ。
ほむほむの手の甲にちょっとした石のようなものが確認されることがまれにあっても、それが輝くなんて誰も信じていなかった。
磨く前には宝石だと気付かなかった、というと出来過ぎた言い方になるかもしれない。
とにかく、そんなエピソードに、この輝きが生まれるときの彼らの生の状況とを組み合わせ、ソウルジェムという名を付けて学会に発表した。
すると、途端に他の学者達により研究が始まって、今ではほむほむ学の一分野にまで成長した。
今日はそんなソウルジェムの手に入れ方をここで紹介してみたいと思う。
その美しさには誰もが心を奪われるが、美しさの裏には何があるのかはよく承知しておかねばならない。
そんな思いが、私に筆を取らせたのだろう。何はともあれ、始めることにする。


私が思いつく限り最も効率的にソウルジェムを手に入れる方法を用いても、それまでに三か月は覚悟しなければならない。
なぜなら、仔ほむと仔まどを親ほむと親まどにまで育て、さらに彼らが仔を産むまで待たねばならないからだ。


仔ほむ「ホミューホミュー」

仔まど「ミャローミャロー」


親とはぐれてしまったであろう仔を拾って育てるのが楽ではないかと思う。なるべく他の影響を避けるためだ。
もしくはほむほむの出産に立ち会い、仔が生まれたらすぐに親を別のところに移動させ、仔だけを単独で育てる方法もある。
また番にするためには、姉妹であることは避けた方が良い(例外的なケースもあるようだが)。


「ほら、餌だぞ。たんと食べな」

仔ほむ「ホミュッホミュッ」 モシャモシャ

仔まど「ミャロッミャロッ」 カフカフ


なるべく優しく愛しながら飼うことが重要だが、それがだめでも絶対にほむほむとまどまどに悪印象を持たれてはならない。これはソウルジェムの生み出される条件に関連する。
また、栄養状態が良好であることが必要だ。
しばらくはハートフルなほむ種との日常が続くのだが、ここでは割愛してもかまわないだろう。
この仔達が大人になり、発情期に入るところまで飛ばそう。
そのころには、ほむほむには手の甲に、まどまどには首のあたりに形の良い石のようなものが形成されているはずだ。
色は、ほむほむとまどまどでそれぞれ薄い紫とピンクだ。しかし、自然界にいるほむ種には確認されにくいということも分かっているが、それは後述する。


ほむほむ「マドカァーマドカァー///」 ハァハァ

まどまど「ホムラチャンホムラチャン///」 ハァハァ


書き忘れたが、二匹だけで育ててやり、私たちの目から逃れられる場所を作っておいてやるとよい。無論番にして、仔を作らせやすくするためだ。
このまま仔を産むまで、とにかく思いやりを忘れず、栄養状態を理想的といっていいくらいにまで良好に保ち続ける。
そうこうしているうちに、番のどちらかが妊娠して、仔が生まれる。ほむほむが妊娠する場合が多いようだが、別にまどまどが妊娠した場合でも構わないことは確認されている。


ほむほむ「ホムッ……ホムッ……」 フゥフゥ

まどまど「ホムラチャン、ガンバッテ!」

ほむほむ「ホッムリャァァァァ!!」

仔ほむ「ホミャァホミャァ!!」

仔まど「ミャロォミャロォ!!」




こんな感じで、まあとにかく仔が生まれる。種類や数が問題ではなく、あくまで仔がいるということが肝要だ。
生まれたばかりの仔ほむや仔まどは世話をしないとすぐに死んでしまうので、ある程度の空腹に耐えられるようになるまでは餌をやり続ける。
こう書くとソウルジェムの正体に気付いた方もいらっしゃるかもしれないが、このまま話を進める。


仔ほむ「ホミュホミュ」 テチテチ

仔まど「ミャロー」 トテトテ

まどまど「ホムラチャン///」

ほむほむ「マドカァ///」


大体歩けるようになってきた頃合いが適当だ。このタイミングで、彼らを飼っている環境をすべて別室で中継できるようにカメラを設置する。
この必要があるため、交尾が終わったら彼らが観察を逃れられるような空間は全て撤去しなければならない。
その小部屋に隠しカメラを仕掛けてもよいが、手間とお金がかかりすぎるだろう。
ここまでで優しく接していれば、彼らは我々に高い好感度を持つようになり、その部屋は交尾のためにわざわざ設置してくれていたんだと好意的に解釈してくれるため、撤去しても構わない。
同様に、カメラを設置しても親密さの関係から不審がられないし、そもそもカメラが何なのかが彼らには分からないため問題はない。
なお、ほむほむ、まどまどの好感度を上げ続けるのはこのためだけではない。
彼らに優しく接することで、彼らに仔に優しく接してもらうことも目的なのだ。時に、自己犠牲さえさせるほどに。


カメラの設置が終わったら、そのままほむまどのいる部屋から離れ、中継された様子を見ながら数日はその部屋に入らないようにする。
当然だが、餌をやることはできないし、むしろそれも部屋を離れる目的の一つだ。
ほむまどに餌をやっている間は、優しく接することは必要でも片時も離れるなとは言わなかったが、この段階ではカメラからの中継映像から目を離してはいけない。
ソウルジェムが輝く瞬間を見逃すからだ。まして手に入れたいとなればなおさらだ。

ここでソウルジェムの正体を明かそう。
ソウルジェムとはほむ種が栄養を貯蔵するための器官なのだ。
しかも体内ではなく、皮膚の表面、つまり体の外部にである。このことが、実に重大な意味を持つ。
が、それは後に回して、次の段階へ進もう。餌をあげなくなると、当然だが彼ら家族は飢えることとなる。


仔ほむ「ホミュ……」 グゥー

仔まど「ミャローンミャローン!!!」 ピーピー

ほむほむ「ホムゥ……」  ナデナデ  クー

まどまど「マド、マドマド」 ヨシヨシ  クー


定期的に餌をくれていた主人が突然姿を見せなくなった。逆に言えば、主人が戻って来さえすれば、餌がもらえる。
それを信じて、彼らは数日の間ひたすら主人を待ち続ける。
当然であるが、彼らが外に餌を探しに行けるような環境に置いておいてはいけないことはご承知のとおりである。
深めの水槽あたりで育てるのがベストになるのだろう。それはさておき、彼らの我慢にはもちろん、限界が来る。



仔ほむ「…………」  クテー  グゥー

仔まど「ミャ……ミャロ……」 クター  グゥー

まどまど「マド……」    グー

ほむほむ「ホム……」     グー



まどまど「…………」

ほむほむ「…………」



まどまど「ホムラチャン……!」 

ほむほむ「マドカァ……!!!」  


仔ほむと仔まどは明日耐えられるかどうかが最早分からない。
ほむほむとまどまどにも最早余裕がない、ほむほむとまどまどが何かを決断したかのように、お互いを確認しあう。
この瞬間に、まさに神の贈り物とでもいうべき奇跡が起こる。







                    ピカアアアアアアアア






ソウルジェムが輝き始めるのだ。






まどまど「ホムラチャン……」 オサキニ……



     ぷちっ




     ぱたっ




ほむほむ「マドカァァァァァァァァアアアアア!!!!」




輝きを放ち始めた自身のソウルジェムを体から取り外して、そのまま命を失う。番に仔の生命を守ることを託しながら。

ソウルジェムの輝きは、最後の命の輝きなのだ。


感動的なシーンに水を差すようだが、ここで解説を挟む。ソウルジェムはその持ち主の体に栄養を供給し始めるときに、輝きを放つのだ。
そのことは、ソウルジェム以外の栄養貯蔵器官に最早栄養がないことを示している。
つまり、栄養が一切取れなくなってしばらくすると、ソウルジェムにある種の物質が分泌され、それがソウルジェム内に貯蔵されていた物質をすべて栄養素に変える。
そして、その栄養素によってほむ種はしばらく生きながらえることが可能となるが、しかしソウルジェムを他のほむ種に託すこともできるのだ。
助け合って生きるほむほむとまどまどの群れだからこその特徴かもしれない。
当然だが、ソウルジェムを自身の体から切り離すと最早栄養を摂取することが完全にできなくなるため、当然そのほむ種は死に至る。
そうまでして助けたい相手というのは、家族ということにならないだろうか。
ここまで来たところで、この実験の設定に理解をいただけたであろうと思う。さて、彼らの様子に戻ろう。


ほむほむ「マドカァ……」  グスッグスッ

ほむほむ「マドカ……」   ギュッ


ほむほむはまどまどの託したソウルジェムを手に取った。当然仔達に与えるためである。
まず仔にソウルジェムからの栄養の取り方を教える。
そしてそれが終わると、もはや輝き始めてしまった自身のソウルジェムも仔に与え、そのままこの世を去る。なるべく多くの栄養を仔に残すためだ。


ほむほむ「ホム……」  スッ

仔ほむ「……ミュ………」  ペロペロ

仔まど「…………ミャ……」 ペロペロ


ソウルジェムとは、それだけで栄養の塊のようなものだ。そこから栄養を摂るためには、舐めるだけでかまわないようだ。
ほむほむは、仔が舐めるのに慣れてきたころを見計らって、まどまどのソウルジェムを下に置いた。
それでも仔達が舐め続けるのを確認して、ほむほむは少し、仔達から離れたところに立った。
先に逝ってしまったまどまどを思い、空を見上げる。


ほむほむ「マドカァ……」


そして最後に仔達の方を見て、そして、最後には沈黙した。


ほむほむ「…………」




    ぷちっ




    ぱたっ






こうして、飢えた仔の命をつなぐために、一組の番が自ら命を絶った。



物語ならばきっと、ここで終わるのが一番きりが良く、美しい話となるのかもしれない。
しかし、これはあくまで実験なのだ。
最後にほむほむが死ぬところまで確認したら、すぐにほむまど一家を飼っていた部屋に戻ってソウルジェムを回収し、特殊な液体の中に保存する。
飢えた仔達は、ソウルジェムを回収してしまうとまたすぐ極度の飢餓状態に陥り、数時間で死亡する。生かすも殺すも実験した人次第である。
私ではない他の学者がこの方法を用いるときには、ソウルジェムを回収するとすぐに研究をはじめ、その結果仔を放置してしまい、死なせてしまうということが多いようだ。
しかし私はどうしても仔達を見殺しにできず、研究室の飼育器に健康になるまで入れて、そののちに私の家の空き部屋で放し飼いにしている。
彼らの親のほむほむとまどまどが、仔のために命を投げ出すときの、切なげだが意志の宿った顔というのがどうしても忘れられないのだ。
このほむほむとまどまどの感情を最大限利用する実験を考え出したのはこの私であるというのに。
最上の美しさを得たことの代償として、一生この身に罪悪感を背負うこととなるのだろう。
なのに、私の好奇心は私を研究へと駆り立てていく。身勝手な感想もあったものだ。





さて、ソウルジェムについて語りきれなかったことをいくつか話して、終わりにしよう。

一つ目はこれが実験だと何度も繰り返している理由である、野生のほむ種にソウルジェムがめったに見られないことについてだ。
今一般に広まっている学説上は、自然界では十分に栄養を摂取できないからだとされている。
しかし私は、この器官が外部にあるが故に、外敵に見つかって奪われることを避けるため何らかの方法で隠しているのではないかと睨んでいる。
この実験においてソウルジェムを入手しやすいのは、外敵らしい外敵がいない空間で外の事を全く教えず育て、また心を込めて接することで警戒心が薄れるからだとすればつじつまは合う。
しかし確実な根拠はないため、これは今後の私の研究課題である。
この話に関連して、さやさや、あんあんに代表されるほ食種はソウルジェムを持つのかという研究も活発化していることを付け加えておくが、詳しいことは何もわかっていない。


二つ目はこうして手に入れたソウルジェムをどう利用するかという点だ。
我々学者が研究に用いるのは言うまでもないことだが、その美しさの噂を聞きつけたのかマスメディアやインテリアの会社などがすり寄ってきている。
私の目の届く範囲では、まだ研究が足りないといって追い払っているが、いずれすべてを公開する学者が出てくるのは時間の問題だろう。
また、このソウルジェムを食用にしようと研究している学者もいる。ソウルジェムはほむ種の合成する特殊な糖で出来ているというところまで解明されたそうだ。
我々の消費社会にほむ種のソウルジェムが入っていくのはきっと遠くない未来であるのだろう。
そうなったときに、ただでさえ軽んじられがちなほむ種の命というものがさらに安く扱われることのないことを祈りながら、私は筆をおくことにする。


(終わり)





感想

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  • 安く扱われて何がいけないんだろうか?
    全ての家畜が当たり前にそうされてるというのに
    ましてやほむまどは繁殖力が地球上で最も優れているんだからそんな愛着持つ方が異常だと思うな
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