――――この街には、二人の"犯罪卿"が存在する。

 一人は悪を名乗る善。或いは、悪の敵。
 一人は悪を名乗る悪。数学教授の皮を被って暗躍を重ねる毒蜘蛛の王。
 デトネラット本社。国内でも間違いなく上から数えた方が早いだろう大企業の本社ビルという城に巣食った"彼"。
 真名をジェームズ・モリアーティという、悪の枢軸を地で行く毒蜘蛛。
 辺獄の冠を持つアルターエゴが去った社長室の中で、蜘蛛の王はその視線をデスクトップのモニターへと向けていた。

「ふむ。予想通り、動き出して来たネ」

 シークレットモードのブラウザで表示させているのは複数の大手SNSサービスだ。
 検索しているワードは「神戸あさひ」。他でもないモリアーティ自身が地獄へと蹴り落とした、哀れな少年の名前である。
 断っておくと、モリアーティとあさひの間に面識や因縁の類は一切ない。
 彼はただ持ち込まれた依頼に対して、自分にやれる最大の形で応えただけだ。
 とはいえ彼が自軍の懐に抱えている少女の存在上、たとえそれがなくとも件の少年と友好的な関係を築くのは不可能であったろうが。

 モリアーティは、協力者の依頼に全力で応えた。
 神戸あさひは僅か数時間の内に東京中から敵視される咎人と化した。
 女性のみを標的とした連続襲撃犯。余罪多数。現在進行形で逃走中。巷を騒がす女性連続失踪事件に関与している疑いもあり――。
 持てる限りの全コネクションを活かしてあさひを潰しに掛かったところ、しかし案の定と言うべきか。
 その流れを明らかな意図的さで変えようとしている何某かの存在を見出すことが出来た。
 神戸あさひに関する一連の投稿は全てデマであり、彼は無実である――という"噂の否定"を行う者がちらほらと現れ始めたのだ。
 純粋にこの世界の民衆の善良さと賢さがその手の話を紡ぎ出したと考えられないこともなかったが、それにしては拡散の手際が良い。そこを見誤るモリアーティではなく、ある種必然のように彼はこれが"神戸あさひの炎上"を快く思わなかった者の工作であると直感した。

「スケプティックとキュリオスの手腕があればもう少しは燃やせるだろうが……そろそろ退き際だな、これは。
 対立意見が出てきたところで、理屈を抜きにして頑と認めない大衆は一定数必ず要る。
 真偽の争いは彼らに勝手に任せるとして、我々の目的は既に達成されている。
 神戸あさひが東京中に知られる存在となった――それだけで十分だ。禪院君もきっと満足してくれるだろう」

 結論から言うと、神戸あさひの破滅を善しとしない何者かが介入してくる事態は老いた蜘蛛(オールド・スパイダー)の予想通りの展開だった。

 神戸あさひの炎上騒動は、白瀬咲耶の時に起こしたのとは訳が違うほど徹底した"攻撃"である。
 キュリオスの牛耳る集瑛社が拡散に全力を尽くし、スケプティックの会社が違法に傍受した自社製品の映像データから神戸あさひの実像も割り出した。
 これだけでも無知な大衆を沸騰させる大炎上を引き起こすには十分だったが、しかしそこには付け入る余地がまだ多分に残されている。
 その最たるものが、金属バットを携帯した不審者による連続女性襲撃事件という事案がそもそも虚像だという点だ。
 警察に探りを入れればすぐそのことは割れるだろうし、そうでなくてもこれだけ騒ぎになっているのだ。
 直に警察から公式に拡散されているような事実はないとの声明が出されることだろう。
 モリアーティらしからぬ初歩的なミス……などと思うなら、その者はこの老獪な蜘蛛を侮り過ぎている。

「しかし……本当に良かったのですか? Mよ。
 貴方の手腕であれば、神戸あさひの炎上計画を振り撒く前に警察機関に取り入り、傀儡に変えてしまうことだって可能だったでしょうに」
「買い被りすぎだよ、四ツ橋君。如何にNPC相手と言えどもすぐには無理だ。
 情勢の悪化と状況の混迷化を加味しても、組織のトップ層のみを懐柔するだけで半日はかかる。
 何のボロも出さない形でやるとなれば更に倍、丸一日は欲しいところだ」

 それにね、とモリアーティ。
 彼の指すモニターには、一つのSNS投稿が表示されていた。
 その投稿には既に多数の引用が付いており、多くの大衆の目に留まっているだろうことが分かる。

【見つけた!!これ、やばくね?

 #拡散希望 #神戸あさひ #〇〇小学校 #神戸あさひを許すな #東京都新宿区 #不審者情報 #暴行犯 #薬物所持】

 これが、問題の投稿。

【小学校に逃げ込んだの?】
【ここ登校日いつだっけ? そろそろじゃね?】
【休日でも子どもは来るぞ。ここプール開放やってたっけ?】
【やばい。この近くに入院棟のある病院あるぞ。動けない患者がたくさんいる】
【そこ、さっき壊れたらしい】
【バットだけじゃなく、爆発物所持?】
【指名手配犯が、小学校付近に潜伏、やばい】

 そしてこれらが、それに付いている主な引用発言だ。
 これらについては、まあ十中八九目立つ噂に飛び付いた連中の拡散だろうとモリアーティはそう踏む。
 しかし事の始まりとなった最初の投稿。この投稿の裏に、モリアーティは策謀の影を見た。
 流れ始めた情報の濁流に指向性を持たせようとする意思。画策。年老いたる蜘蛛の眼光はそれを見逃さない。

「君も悪の片棒を担ぐのなら覚えておきたまえ。
 時に悪事というのはね、完全でないが故に捗ることもあるのだよ」
「……フム。では、これは――」
「確証があったわけではないがね。敵を信頼した、とでも言っておこうか」

 重ねて言うが、この世界の警察は木偶でこそあれど決して無能ではない。
 少なくとも警察機関としての仕事はちゃんと果たしているし、故に爆発的に拡散されている根拠のない噂に対しての声明は遠からぬ内に出ただろう。
 これだけ炎上が広まっているのだ、もう問い合わせも山ほど掛かっている筈。
 そして警察からの公式発表が出れば炎上沙汰はもはや混沌の内戦状態に発展していくに違いない。
 誤報を広めた自分を恥じる者、拡散した者達を冷笑する者、警察が無能なだけで事件自体は存在する筈だと信じる者、警察側には神戸あさひを逮捕出来ない何かしらの理由があるのだと勘繰る者――数多に分かれて不毛な議論を重ね始める。こうなればもう火力の維持は難しくなってくる。

「しかしMよ。貴方のご意図は分かりましたが……それは随分と分の悪い賭けだったのでは? 貴方らしくもないギャンブルだ」

 つまり。実のところジェームズ・モリアーティにとって最も具合の悪い展開は、神戸あさひがこのまま終わりまで燃え続けることだった。
 誰の介入もなく燃え続ければ警察の公式発表という最大の鎮火剤が投下され、延焼は混沌に進化する。
 そうなればこれ以上事態の発展は望めない。依頼人である禪院にしてみれば十分な成果だろうが、自分達の存在をともすれば辿られかねないリスクを背負ってまで事を起こしたモリアーティにはあまり旨くない終わり方だ。
 では、彼にとって旨みが生まれる事態とは? 簡単だ。神戸あさひの炎上へ介入するなり延焼の方向を誘導するなりして、こちらの策に自分の策をねじ込んでくる輩の出現。
 策謀冴え渡る何者かの尻尾を視界に収めること。それこそが、蜘蛛の真の狙い。

「言っただろう? 敵を信じてみたと。そして私の信頼に応えて、"彼"はスマートに動いてくれた。
 僅かな痕跡だが、このタイミングで動いたというだけでもプロファイリングの材料としては十分だ。それに、取れる手の幅も増える」
「若き蜘蛛。貴方が最も警戒し、重きを置く"彼"と見ているのですかな」
「まァ、十中八九ね。根拠は幾つかあるが、まずやり方がスマート過ぎる。これだけ狡知に長ける手合いの存在をこれまでずっと見落としていたとしたら私もいよいよ引退を考えねばなるまい。
 で、私が思うにだ。現在の本戦まで生き残っている聖杯戦争関係者の中で、これが出来る存在は恐らく二人」

 まるで教え子に講義でもするような口調で、モリアーティは四ツ橋に語る。
 それは生前、彼が大学教授として教鞭を執っていた時の姿そのものだった。
 誰かに何かを教えたり、誰かを導いたりするのが好きな彼にとって教授という職業は、悪の親玉の次くらいには転職だったのだろう。

「一人は君の今言った若き蜘蛛。そしてもう一人は、峰津院財閥の大和君」
「ははぁ。その二人であれば確かに――炎上沙汰に介入したのは前者でしょうな」
「察しが早いね、良いことだ。そう、この二人のどちらかに絞るのであれば消去法で前者になる。
 峰津院大和は間違いなく傑物だが、しかし彼が介入するのならばもっと大きく動くだろう。峰津院が噛むにしてはやり方が控えめすぎる。
 そして何より、このやり口には隠し切れないお人好し……善性が滲んでいる。それはあの取り付く島もない御曹司殿の人物像にはどうもそぐわない」

 峰津院大和――ひいては峰津院財閥。
 彼らは恐るべき勢力だが、その実モリアーティは現状彼らのことを火急で取り組まねばならない相手としては見ていない。
 モリアーティの分析では、大和はこちらから殴り掛かりでもしない限りは当分向かってこない相手と思われた。
 それに甘えてモリアーティも彼らを敵に回すことは最後の最後にすると決めている。死柄木弔神戸しおと言った悪の器が完全な形で羽化を遂げ、今より増やした連合の総力をフルに動員出来るような――そんな状況が整ってからの話だ。今はまだ気にする次元にすら達していないと言っていい。
 しかし仮にモリアーティの分析が全て誤りで、大和が神戸あさひの炎上沙汰なんて些事に首を突っ込み出すような人間だったとして。
 そう仮定したとしても、やはり峰津院の手が伸びたと考えるには不自然な点が残る。

「あの財閥は限りなくこの地において最強に近い権力を持っているが、逆に言えばそこが唯一の弱点だ。
 何をしでかすにしてもある程度スケールが巨大化してしまう。常人であれば気付かずとも、私の眼は誤魔化せない」

 峰津院が介入したにしては、あまりにやることが小さすぎるのだ。
 彼らが本気で神戸あさひの炎上を止める、ないし自分達の望む方向に誘導しようとするならばもっと徹底的にやってくる筈。
 身も蓋もない言い方にはなるが、峰津院の介入を疑うには今回のやり方はスケールが小さすぎる。その上、善性が滲みすぎている。
 一言で言ってらしくない。だからこそ、消去法で介入者の正体はモリアーティが現状最も警戒する相手。若き蜘蛛、になるわけだ。

「件の彼……恐らくはもう一人の、異なる世界線の私。
 推察するに、仮称"ジェームズ・モリアーティ"の在り方(スタンス)は"悪の敵"だ」
「聞き慣れない言い回しですな。正義の味方、ではないのですか」
「これで合っているさ。彼が本当に"正義の味方"だったなら、もっと直接的なやり方で神戸あさひを救いに向かっているよ。
 しかし今回彼が取った手、選んだ策は非常に婉曲だ。なのにその中には、拭えない善の気配が息づいている。
 決して善にはなれないが、どうしようもなく悪を許せない。実に青く不自由で、救われるわけもない在り方だ。
 どう終わるにせよ、その末路は世界の為に殉ずる以外有り得ない。英霊になる前の死因も、大体そんなところだろう」

 正義の味方ならぬ悪の敵。
 善にはなれず、しかして悪を許せない愚か者の道。
 自分を塵屑だと誰より卑下し、軽視しながら、一人で茨道を歩む約束された破滅を背負った殉教者。
 言わずもがなその在り方は、悪の為の悪として生きて死んだ"この"モリアーティには理解に苦しむそれだった。

「話が逸れたネ。歳を取るとどうも話が長くなっていけない」
「いいえ、とんでもない。大変興味深い考察でした……我々もまた件の蜘蛛を敵に回している身。
 言わずもがな情報は少しでも多い方がいい。それが貴方の金言であるなら尚更です」
「とにかくだ。悪の敵たるモリアーティは、神戸あさひの炎上に恐らく我々がやったのと同じ手段で介入してきた。
 即ち転売アカウントを用いての情報工作だネ。"神戸あさひ炎上騒動"の中に唯一あったウィークポイントを見事突いて、いち早く事態を延焼期から混沌期へと移行させた。
 善性云々を抜きにしても、彼の意図するところには察しが付く。
 この介入の最大の意図は、権力に隠れて暗躍する私に対する敵意の矢印を作ることだ。光栄なことに私もなかなか買われているらしい。実際これはなかなかの妙手だよ。流石にそこまで察してはいないだろうが、戦力不足という我々が抱える弱点にも上手く合致している。
 こちらから挑むのであればいざ知らず――向こうから殴られるのは少々困るのでね。抜け目がないなと感心したとも」

 この一手は決して全方位をカバーしたものではない。
 延焼の速度をある程度抑制出来たとはいえ、神戸あさひの名前と人相が東京中の知るところとなっただけで当初の目的は達成されている。
 だが、あさひを通じてモリアーティという影に潜む蜘蛛の存在を感知させようとする手は間違いなく妙手だった。
 モリアーティほどの悪人であれば予想出来た手の一つではあるが、分かっていても相応に痛い。
 されど。少なくともモリアーティの目線からすれば、これは致命のそれではなかった。
 何故か。簡単だ。少なくとも"隠れる"ことにおいて、悪のモリアーティはそれの敵たるモリアーティの数段は上を行くからだ。

 ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ
 "犯罪卿"を名乗った彼は、自らの終着点を他ならぬ自分自身の意思で決めていた。
 自己の破滅を前提にした改革。己という最大の悪の死を以って時代の転換点(ターニングポイント)を作った、それが"憂国のモリアーティ"。

 では純然たる悪の中の悪、悪の味方たるモリアーティは?
 言うまでもない。彼は、自分の破滅を計算に入れた事件など一度として用立てはしなかった。
 彼の描いた終局的犯罪が成就すれば必然モリアーティも只では済まなかったろうが、世界の為に死ぬのと世界を壊して死ぬのが同じなわけはない。
 モリアーティはいつだって隠れた。いつだって日の当たらない場所から事件を編み、名探偵と戦った。
 最終的にライヘンバッハの滝に追い込まれはしたものの。逆に言えばそれまでは、あのシャーロック・ホームズでさえモリアーティを捕まえることが出来なかったのだ。
 "犯罪卿"が"犯罪王"に勝る箇所も当然あろう。しかし少なくとも、潜むことの上手さにかけては後者が大きく水をあける。

 悪の敵とは即ち、顔も知らない誰かの為に身を粉にして奮闘出来る存在。
 悪の味方たるモリアーティは、無知な大衆や哀れな他人のために身を削ったりなどしない。
 そこの差異と、一足先に犯罪卿の本質を見抜いたが故のアドバンテージ。
 それが、老いた蜘蛛(オールド・スパイダー)の致命の程度を見誤らせた。こればかりは年季の差、そして歩んだ道の違いか。

「敵が示唆した神戸あさひと縁ある場所……例の小学校の周囲にFeel Good Inc.製のカメラやそれに類する機器がどの程度あるかをスケプティックに確認しておいてくれたまえ。
 顔の確認が出来れば御の字だし、彼本人ならともかくそれ以外の人間はカメラまではまず警戒しないし意識もすまい」
「は。……それ以外にはどんな手を講じましょう? 直に日も落ちます。最悪、件のバーサーカーを向かわせるのも手なのではありませんか」
「良い着眼点だ、四ツ橋君。君の意見を採用しよう。望みは薄いが彼にそれとなく提案はしてみる。
 だが彼にフラれてしまったなら、それまでだ。先に述べたカメラでの情報収集以上の形で、我々が神戸あさひ及び彼の存在に寄せられてきた他の器や英霊に干渉することは現状ない。
 いや。意味がない、と言った方が正しく、そして分かりやすいかな?」

 蜘蛛同士の共食い。敵はモリアーティを討たねばならぬ敵と看做しているだろうし、モリアーティとてそれは同じである。
 だがしかし。彼との知恵比べに全身全霊全てのリソースを注いで当たるのが最善かと言われれば、その答えはきっと否になる。

「アルターエゴ・リンボ君の話はしたね」
「ええ。先程、確かに」
「どう思った?」
「では率直に。……馬鹿げていると感じました。何故あのような目的を抱くサーヴァントが遥々派遣されてきたのか疑問でなりません」
「無理もないね、というか私も同感だ。彼は物凄い天才か、物凄い馬鹿かのどちらかだと思うよ。
 ……もしくはその両方か」

 アルターエゴ・リンボ――推定真名・蘆屋道満
 彼の構想する地獄界曼荼羅は一言で言うならば、この界聖杯内界で積み重ねられてきた戦いの全てを台無しにする野望だ。
 銀の鍵の巫女を進化させることによる界聖杯の空想樹化、並びにそれを用いての飛翔。
 成程確かに馬鹿げている。というか、ふざけている。そう言っても言い過ぎではないだろう。
 もしもリンボの地獄界曼荼羅が完成した暁には……全てが彼の思い描く通りに進んだなら。
 誰も彼もの聖杯戦争が、その築いてきた基盤が、木っ端微塵に消し飛ぶことになる筈だ。
 もちろんそれはモリアーティの敵連合も例外ではないのだったが、それはさておき。

「これは私の推測だがね。若く聡明なかの人物は、いわゆる地獄絵図に対しての対抗手段を持っていない。
 リンボ君の"アレ"に限らず、そうだなァ……空襲なり災害なりそういう類の崩壊を持ち込めばそれだけで大打撃だ。
 私自身に対しても言えることだが、我々の全力が発揮されるのはあくまで秩序――社会の内側でなのだよ。
 人民全ての基盤たる社会秩序が著しく崩壊した状況では、悪巧みをすることは出来ても、打てる手の数は大幅に目減りする」

 そして都合の良いことに。
 老獪なる蜘蛛の目指す未来は崩壊の方を向いている。
 死柄木弔という悪意の器、破滅の寵児。
 彼を羽化させる、モリアーティのその目的が成就することはそれそのものが仮想敵たる"モリアーティ"への最大級のカウンターになるのだ。
 故にこれ以上深入りして、リソースを注いで、事を急いで潰しに掛かる意義は知れている。
 敵の性質について確信に近い分析が適っただけでも御の字だ。彼らの方から深追いしてくるというのなら無論対応するつもりはあるが、そうでないのなら優先して行うべきは同族殺しではない。

「……では、貴方は何を目指すのです?
 "もう一人の貴方"という目下最大級の脅威を差し置いて、一体何を」
「死柄木弔と、そして彼の競合相手たる神戸しお。彼らに進化と成長を与えたい」

 これはあくまでモリアーティ、この老獪なる数学教授の立てた推測であるが。
 この界聖杯を巡った戦いは、通常の聖杯戦争で考えられるそれに比べ遥かに早く破滅的な局面を迎える筈だ。
 東京がいくらそれなりの広さを持った大都市だとはいえ、二十三騎の英霊を内包するにはキャパシティ不足だと言う他ない。
 むしろ会場が東京でなかったなら、明日の夜明けを見る前に聖杯戦争の粗方が片付いていたとしても不思議ではないだろうと、モリアーティはそう考えていた。
 ならば重要なのは、やがて来る破滅に乗り遅れないこと。"それ"から避難するのではなく乗りこなすこと。
 破滅を拡散し伝播させ、秩序の全てを"崩壊"させる、終局的犯罪(カタストロフ・クライム)が必要だ。

「とはいえ選ぶのは若い彼らだ。平坦な道、地獄の道。
 私ならば選ばない道を敢えて進ませるのもまた一興だろう。
 その道がどんな道であれ、私は毒蜘蛛らしく糸を吐き巣を編むのみ、だよ」
「貴方は、あくまでも"教授"なのですね。ライヘンバッハの滝を経て滅び、"名探偵の敵"という運命から解放されても尚……」
「笑うかな?」
「まさか。私も男だ。そういう心意気はむしろ好ましく思いますよ」

 それは何より。
 そう言って笑うモリアーティ、そして彼に侍る四ツ橋。
 直後、彼の携帯電話が着信音を奏でた。端的な応答があって通話を切り、四ツ橋は主君に報告を行う。

「トランペットからの連絡です。星野アイを連れ、本社(ここ)に到着したと」
「礼儀としては応接室で対応するのが正しいのだろうが、社内の全員が君達のように訳知りというわけでもない。此処まで案内してあげてくれるかな」
「はっ、かしこまりました。
 星野との接触について外から勘繰られぬよう、彼女を選挙広報の一環で活用する旨の情報をマスコミ各社に流しておきます」
「キュリオス君によろしく言っておいてくれたまえ。彼女には何かと足労して貰っているからネ」

 一を聞いて十動いてくれる部下というのは代え難い戦力だ。
 それは人間の役割が機械に食われ始めて久しいこの高度発展化社会にあっても変わらないらしい。
 小走りで社長室を飛び出し各所への調整のために奔走する四ツ橋の背中を見送りながら、モリアーティは自身の髭を擦った。


◆◆


『ていうかさ。冷静に考えて、カーナビに盗聴システム仕込んで居場所特定してくるのってズルくない?』
『正直オレとしても予想以上だった。あっちの目的が勧誘(スカウト)じゃなかったら詰んでたレベルの反則(チート)だぜ、奴さん方』

 花畑孔腔――コードネームをトランペットという彼の後に続いて、星野アイと殺島飛露鬼はデトネラット本社ビルの中を歩いていた。
 このレベルの企業にお呼ばれして本社まで赴いた試しは、さしものアイも生前を含めてもない。
 だが恐ろしいのは、このビルに巣食う"悪の親玉"にしてみれば国民的大企業(デトネラット)すら手札の中の一枚でしかないのだろうこと。
 現にアイ達はデトネラットが手を広げていない分野であるカーナビゲーションシステムから居場所を特定され、接触されたのだ。
 神戸あさひを瞬く間に潰した手際といい、少なくとも絶対に敵に回したくない人物であるのは間違いなかった。

『それにしてもさ。良いのかな、空魚ちゃんのアサシンは私達が自分のバックと繋がるの嫌がると思うんだけど』
『何か考えがあるんだろうよ。アサシンの兄さんもアレはアレで怪物だ。頭の良い奴であればあるほど手放すのは嫌がる』
『ライダーと同じだっけ。サーヴァントとして認識されない体質』
『そりゃ買い被りすぎってもんだぜマスター。あの兄さんのはオレより偉大(パネ)ェよ。ありゃ真実(マジ)の超人だ』

 アイは正直、自分の身元を知っている敵を増やすリスクを抱えられるような状況にはない。
 如何に巨大な権力を持った主従と関わりを持てるとしても、それで空魚のアサシンと敵対してしまう展開は避けたかった。
 あさひのように身元を知られていようがいまいが関係ないほど徹底的に潰されているならいざ知らず……。

「社長室はあちらです。Mは既に中でお待ちしているとのことですので」
「あれ。花畑さんは入らないの?」
「Mの邪魔は出来ません。私は所詮"可能性の器"たり得ない、泡沫の器に過ぎませんから」
「……随分弁えてるんだね。怖くないの? そのMさんが勝ったとしても、花畑さん達は絶対に消えてなくなっちゃうのに」

 自嘲するように笑って肩を竦めるトランペットを見て、アイはこう考えた。
 何故この人は……いや。Mを崇めて彼に仕える連中は、こうも自分の運命に対して素直なのだろう。
 界聖杯内界にNPCとして生活している人間にとって世界の真実を伝えることは文字通りの余命宣告である。
 聖杯戦争の存在を知り、その荒波を生き延びることが出来たとして。
 それでも、可能性を持たない泡沫の器たちは時が来れば砕け散るのだ。
 必ず死ぬ、必ず消える。この世界に希望はない。この世界とは即ち、"誰か"の願いの為の踏み台だから。

「私とて人間ですから。当然恐怖はありますよ」
「そうは見えないけどなー」
「ただ、強いて言うなら死(それ)よりも怖いことがある。
 このまま何も知らず、何にもなれず、檻の中だけを生きて死ぬことです。
 この世界がたとえ泡沫だとしても、私の人生は私が経験してきた確たる現実なのですから。
 であれば……最期くらいは派手に、そして自由に。"解放"の二文字に夢を見たい」

 アイには散りゆく赤の他人に想いを馳せる慈悲深さはない。
 だから花畑の言葉に心を動かされることはなかったが、しかし学ぶところはあった。
 Mが社会を己の部下に出来た理由。真実という猛毒は、がらんどうの器達にあるべきでない可能性(いみ)を与える。
 誰も彼もがその猛毒に、余命の絶望に打ち勝てるわけではないだろうが……数こそ少なくとも、毒を克服し前に進める者は居る。
 やはり相当なやり手だ。アイはこれから会うMなる大悪に対する認識の程度を、更にもう一段引き上げた。

『アイ』
『なにー?』
『オレも目は光らせとくけどよ。……呑まれンなよ、化物(M)に』
『心配ないよ。私はいつだって呑む側だから』

 可能性の有無を問わず誰もを呑み込む強大な悪。
 その恐ろしさは話を聞くだけでも、彼の所業を見るだけでも理解出来る。
 アイ達はしたたかではあれど、主従としては脆く弱い。
 だからこそ彼の力は借りたい。その悪巧みの前ではなく後ろに居たい。

 ――けれど、呑まれるつもりはない。
 あくまで自分達は利用されるのではなく"する"側。
 いずれはその腹を食い破る、寄生虫であるべきだ。
 アイはそう思っていたし。
 そのことをアイ自身の口から聞けた殺島も、安心したように口元を緩めるのだった。


◆◆


 社長室。本来はデトネラットの代表取締役社長である四ツ橋力也がふんぞり返っているべき場所。
 そこにしかし四ツ橋の姿はなく。代わりに見るからに知的で老獪な一人の紳士が居座っていた。
 それは、彼こそが今のデトネラットの"真の長"であることの証。
 四ツ橋力也は彼に己の玉座を譲り渡した。彼と勝負して負けたからだとか、そういう理由ではない。
 戦いなどするまでもなく、四ツ橋の"心"が認めたのだ。
 このお方こそが自分達にとっての希望の光。
 万物、万象、万人。その全てを呑み込んで己が物とする――闇の超新星であると。

「貴方がMさん?」
「いかにも。急な連行ですまなかったね、星野アイくん」

 そして、そのサーヴァント。
 傍目には人間としか認識されない筈の殺島の目を見て口角を吊り上げるM……ジェームズ・モリアーティ。
 殺島も怯まず笑みで応える。この手の相手との掛け合いは、先に動じた方が自動的に負けになるものだと殺島はそう知っていた。
 尤も、実際に対面してみてすぐに理解出来たことはある。
 M。この男は――間違いなく、自分が警戒していた通りの……いや。それ以上の怪物であると。

 殺島の脳裏に浮かんでいたのは、生前彼がボスと呼んでいたとある男だった。
 忍者の脅威を前に衰退し、いつ消えるとも分からない風前の灯と化していた極道をその辣腕で復活に導いた傑物。
 全てを失い無力に枯れていくばかりだった殺島に、再び生きる意味を与えてくれた恩人。
 その人となり、そして能力を知れば誰もが化物と畏れた破壊の八極道の元締め。
 殺島は邂逅して数秒、Mの開口から同じく数秒で、眼前の大悪に極道(きわみ)の色を見た。
 ひとえに化物/怪物。人智を限りなく逸脱した存在。息を吸って吐くように他人を生かし、そして殺す巨悪。

「酷いことするよね。あさひくん、あれじゃもう立ち上がれないんじゃない?」
「いやあ、神の采配というのは弱者に優しいものだからね。
 自分の相棒(サーヴァント)の助力で立ち直るか、奇跡的な出会いで難を逃れるか。
 そのどちらかでしぶとく生き残ってくるものだと、私はそう考えているよ」
「……隠そうともしないんだ。一応カマ掛けたつもりだったんだけど」
「隠す理由が何処にある。私の素性がある程度読めていなければ、君達だって急な連行に応じはしなかったのではないかな?」
「……、……」

 成程、こういう感じか。
 アイは顔色を変えないまま一人納得していた。
 それと同時に諦める。この男と腹芸で勝負しようと考えるのは、自殺行為以外の何物でもない。
 投げる球は直球のみでいい。むしろそれが一番リスクが小さい――騙すことにかけてはアイはプロだが、それでも上には上が居た。

「じゃあまどろっこしいのは抜きにして本題。なんで私達を呼びつけたの? 交渉? それとも、脅し?」
「前者だ。脅迫で得た従属は脆いからね。こういう状況ならば、従属ではなく"共犯"が望ましい」
「私達と組みたいってことか。……でもいいの? 自分で言うのも何だけど、私達――弱いよ?」

 噓を吐くことを投げ捨てたアイは自分達の文字通りの"弱さ"を堂々と曝け出す。
 アイは自分のサーヴァントに……殺島飛露鬼に不満は抱いていない。
 むしろこう思っている。自分が召喚したサーヴァントが、彼で良かったと。
 自分の願いの意味(おもさ)を分かってくれる人で良かったと、そう思っている。
 だが事実として殺島は弱い。サーヴァントとしての実力で明らかに他に劣る。
 そんな自分達に共犯の誘いを持ち掛けることの意味は聞いておきたかった。
 それを聞いておかなければ、アイとしても一方的に利用される危険性を拭い去れない、というのもある。

「構わないさ。何しろ私の"連合"も、現状ではひどく脆いのだ」
「……え、そうなの? てっきり馬鹿みたいなチート集団で固めてるものだと思ってたんだけど」
「そうしたいのは山々なんだが、こちらにも色々と事情があってねェ。
 まあ、とにかく。我々は今、"波長が合う"ことを条件にとにかく多くの戦力を欲しているのさ」

 脅迫ではなく勧誘(スカウト)だったのは僥倖だった。
 花畑の話の時点では正直半信半疑だったが、モリアーティの言動を聞くに彼が噓を吐いているようには思えない。
 モリアーティは"連合"と言った。それは言葉通りの意味と取って間違いないだろう。
 むしろ彼ほど人心を操り、社会を手繰ることを得意分野とする存在が組織を作っていない方が不自然だ。
 とはいえ。そこに現状集まっている戦力は、彼にとって決して満足なものではないようだったが……。

「条件は互いに打算ありきで動けること。いつか裏切ってやると、そのくらいの気概を示せること。
 ――そして、私の眼鏡に適う"欲望"を持っていること。その深い浅いは問わないさ。重要なのは"質"だ」
「知った風な口を利くんだね。まるで、私のことを全部分かってるみたい」
「全部は分かっちゃいないさ。出来る範囲で推測はしたけどね」

 モリアーティが笑う。
 そして言った。

「星野アイ、二十歳。職業はアイドル。生育環境には恵まれておらず、事実上天涯孤独に等しい。
 グループの同僚との仲は良くも悪くも平均的。プライベートで会って遊ぶほどの深さではない。
 単に"死にたくない"のを理由に聖杯戦争に乗ったと考えるのがベターだが、しかしてありきたりが過ぎる。
 噓で自分を覆い隠した孤独な偶像(アイドル)、という境遇から邪推し、物語性を期待して考えるならばだ」

 さしずめ、それは――

「世間には明かせない、されど目に入れても痛くない"我が子"。
 戦う理由はその辺りが妥当だろうと推測したが、どうかな?」

「……、…………ふふ。どうだろうね? 秘密にしとく」
「おやおや。是非種明かしが欲しかったところなのだがねェ」

 白々しい言葉だとアイは思う。
 モリアーティの表情を見ていても、彼がそれが答えであると確信を持ってそう考えているのは明らかだった。
 そして事実、それは正解だ。百パーセント非の打ち所がない模範解答だった。
 ファンにも世間にも明かせない秘密の妊娠、そして出産。
 さりとてアイは明かせぬ我が子のことを心から愛している。
 だからこそ、願っているのだ。
 もう一度――生きて。母として、我が子達の許に帰りたいと。
 そのためならば何者であれ、どんな願いであれ、踏み潰して越えてやると。

「とにかくだ。"我々"は"君達"が欲しい」

 アイ君も、そこの彼もね。
 言って笑みを深めるモリアーティの勧誘は直球だった。
 欲しい。メリットを列挙することはせず、ただ一点自分の欲求だけを伝えて誘う。
 その気になればどれほどの話術を並べ立ててでも引き入れる場面だろうにそれをしないのは、ひとえにアイの人となりを理解している故だろう。
 星野アイはアイドルだ。それ故に――嘘つきのプロである。
 だからこそモリアーティは偽らないことを選んだ。何処までも直球で、ただ誘う。

「頷くのなら私の使える限りの総力で君を囲おう。いずれ来る決裂の時までは、"連合(われわれ)"は君達の仲間だ」
「頷かなかったら?」
「名残惜しさを抱えながら送り出すことになる。背中を刺す真似はしないよ」
「嘘つき。そんな義理堅いタイプじゃないでしょ、おじいちゃん」
「いや、おじいちゃんではないんだが? アラフィフなんだが? いや、マジで。」

 コミカルな反論で煙に巻かれるアイではない。
 アイには分かっていた。殺島ももちろんそうだ。
 此処で話を蹴れば、モリアーティは言葉通り名残惜しさを抱きながらも――これまでに握った"星野アイ"の情報のその全てを有効活用して潰しに来る。
 ただ直球で潰すだけならばまだ良い。最悪、あさひに対してやったよりも数段酷い"利用"をされるだろうなとアイは思っていた。
 それを指摘したものの、モリアーティは煙に巻くばかりで肯定も否定もしなかった。
 公正な勧誘(スカウト)の体を取りながらも、その実相手の喉に刃物を突きつけながら交渉を行うそのやり口。
 まさに根っからの悪だ。目的のために手段を選ばない、悪の中の悪だ。
 やっぱり、思った通りだ――アイは笑う。そして、モリアーティに改めて口を開いた。

「いいよ。協力する」
「"いずれ裏切る前提で"?」
「もちろん。皆で仲良く絆を紡いで、おてて繋いで幸せになれるのは絵本の中だけの絵空事」

 アイの脳裏に一人の少女の顔が浮かぶ。
 櫻木真乃。噓だらけの芸能界にはそぐわないほど真っ直ぐで眩しい娘。
 あの子は確かに"いい子"だった。
 少し純粋過ぎるけれど、その眩さはこんな世界でさえなければ立派な美徳として機能しただろう。
 でも、駄目だ。この世界では、あんな風じゃ生きていけない。

「裏切るよ、いつか。だけどそれまではお友達でいよう」
「素晴らしい。最高の回答をありがとう、星野アイ君」

 これが、これこそが、この世界で紡ぐ絆のあるべき形なのだ。
 いつか殺すと伝え合って、今この時を生きるためだけに絆を育む。
 あるのは互いに純度百パーセントの打算。だからこそ真に信用出来る。

「そしてようこそ、我ら"敵連合"へ」
「うん、よろしくねMさん。ところで早速なんだけど、一つお願いしたいことがあってさ」
「言わなくてもいいよ、分かっている。禪院君との折衝は私に任せたまえ。
 私も彼を失いたくはないし、彼も私とのコネクションを無碍に扱いたくはない筈だからね。
 上手〜い具合にクッションになってみせるとも。身体は石みたいに硬いけどネ、歳だから」
「やっぱりおじいちゃんじゃん」

 ――こと、人類史において。
 悪を為し英霊になった者はごまんと居よう。
 堕天、殺戮、反逆、不忠、姦淫、独裁、略奪。
 彼以上に多くの人間を泣かせ、そして殺した存在なんて珍しくもない。

 だが、"事件を編む"ことにかけては間違いなくこのジェームズ・モリアーティこそがハイエンドだ。
 人類史上最高の探偵の宿敵たり得る男は必然、人類史上最悪の犯人でなければ務まらないのだから。
 アイとモリアーティのやり取りを見守りながら、殺島は背筋の寒くなるような感覚に駆られていた。
 自分が彼に対し抱いた第一印象が間違いでなかったことを再確認する。
 この男は、真実(マジ)の化物だ。
 決して敵に回してはならないが。
 味方に抱える場合でも、常に最善の注意を払って目を光らせておかねばならない相手。

「(……まァ、サーヴァントのオレがビビってるようじゃ話にならねえ。
  適度に役立つことをアピールしつつ、万一(なにか)あればすぐにでも動けるようにしとかねえとな)」

 紫煙を燻らせながら考える殺島。
 その視線が、モリアーティのそれと交差した。
 ニヤリ、と口角を吊り上げて微笑んだ毒蜘蛛(だいあくとう)に。
 殺島もまた、凡人(こあくとう)の自分にやれる限りの不敵な笑みを作って応じるのだった。


◆◆


 ――俺、この世界に召喚されて良かった。
 サーヴァントになれて良かった。
 糞みてえなことは沢山あるけど、やっぱり現世が一番最高だ。
 だってそうだろ。窮屈で退屈な英霊の座なんかじゃ味わえなかった楽しみが山程あるんだ。
 英霊だの人類史の影だの大層に言われてても、結局。
 英霊の座(あんなところ)に居たら、可愛い女の一人も拝めないんだから。

「(やべえ……。本物のアイドル、マジで可愛いじゃん……)」

 感動の念をすら覚えながら、デンジはゲストルームにやって来た"新顔"の女を見つめていた。
 モリアーティが彼女について何やら紹介の弁を述べていたが、デンジの耳には入らない。というより、入れる必要がなかった。
 この界聖杯内界で一月も自堕落に過ごしてきたデンジは、彼女の顔をこれまで何度も見ている。
 テレビの中で歌って踊り、CMにも引っ張りだこの人気アイドル――星野アイ。

「Mさんが紹介してくれたけど、改めて。
 アイドルの星野アイです。よろしくね、皆」

 画面越しに見る分には「可愛い女だな」くらいにしか思っていなかったデンジだが、やはり画面一枚隔てて見るのと実際見るのとでは訳が違った。
 可愛い。アイの周辺だけ世界がやけに明るく見える気さえする。
 もしかすると俺は、この女に会うために此処に召喚されたのかもしれねえ……
 そんなことを大真面目に考えてしまうデンジを現実に引き戻したのは、彼と犬猿の仲な同盟相手の無愛想な声だった。

「……そっちのおっさんがサーヴァントか? 見たとこじゃ人間にしか見えねえが」
「お、察しイイじゃん。そうだぜェ〜、オレがアイのサーヴァントだ。クラスはライダー」

 夜露死苦ゥ〜、と手を振り笑うライダー・殺島飛露鬼。
 死柄木が彼の正体に気付けたのは単なる状況からの推察でしかなかったが、便利な迷彩だとそう思う。
 或いは、何かしらの条件が満たされることでその殻が外れるのか。
 今はさておきいずれは殺し合う相手。殺島が被っている"人間の皮"の正体には興味があったが、それはさておき。

「誰か連れて来るだろうとは思ってたけどよ……とんだ大物連れてきやがったな」
「皮肉を言うのはまだ早いよ死柄木弔。彼女は言葉通りの意味での"大物"だ」

 モリアーティが社会を掌握し、他の誰にも出来ないやり方で盤面を制圧していることは死柄木も知っている。
 しかし一方的に利用する相手としてならともかく、同盟相手として"社会に広く顔の知れた"アイドルを抱える判断には疑問があった。
 サーヴァントを連れているのだから戦力の増強にはもちろんあるだろうが、現状潜伏に徹している状態である今の連合に"外から足跡を辿られかねないリスク"を背負い込む余裕が果たしてあるのか。
 死柄木のその懸念は実に尤もなものだったが、相手はジェームズ・モリアーティ。人類史上最高峰の大悪党だ。
 たかだか一月で社会をその手に握った男が、死柄木のような若輩に思い付く危険性を見落としている筈もない。

「弔くんだったよね。Mさんのマスターの」
「そうだが」
「あんまり油断してたら足元掬っちゃうよ。私達(アイドル)は、噓をついて騙すことなら誰よりも上手いんだから」
「……おい、早速の裏切り宣言だ。今すぐこの女をつまみ出せ」

 くすりといたずらっぽく微笑むアイ。
 世間大勢の心を掴み、熱狂させたトップアイドルの微笑もしかし心の枯れ果てた青年には目障りな輝きとしてしか写らない。
 嫌そうな顔をしてそっぽを向き、死柄木はそれでアイとの会話を打ち切ってしまった。
 ファーストコンタクトとしては最悪の部類だろうが、そもそもこの気難しい男に最初からパーフェクトコミュニケーションを叩き出せる人間などこの世にそもそも存在するのか疑わしいので、そう考えるとまずまずの結果と言えるだろう。
 そして、当然。その明るい表情の裏で――アイは連合の核たる死柄木弔について分析を行っている。

「(……うーん。正直、そんな凄い子には見えないんだけどな)」

 だが、アイにはどうしても分からなかった。
 死柄木という青年が、モリアーティほどの頭抜けた悪が評価するに値する存在だとはとても思えなかったのだ。
 恐らく年齢はアイと同じかかなり近い。けれど彼と直接対面したアイがその人間性に対して抱いた感想は"幼い"だった。
 子ども大人(フリークス)とでも言うべきか。他人の上に立って操るよりは逆、操られ良いように使われる方が似合うような。
 とてもではないが大人物には見えない、やさぐれた男の子。それがアイの死柄木に対するプロファイリング。

「(ライダーはどう思う? Mさんはあの子のこと、随分高く買ってるみたいだけど)」
「(大体お前と同じだな。少なくとも頭(ボス)を任せるのは心許ねー……そんな奴に見える。ただな、アイ)」
「(?)」

 殺島も、それには概ね同意見だったが。
 彼がその先を考えることが出来たのは、ひとえに見てきた悪の数の違いか。

「(覚えときな。人間ってのは、結構簡単なきっかけで"変わる"もんだぜ)」

 殺島の目から見ても死柄木は大人物には見えなかった。
 モリアーティの存在がなかったなら、決してアイがこんな青年に身の上を委ねるようなことは許さなかったろう。
 殺島も、少なくとも今の死柄木に価値は見出だせない。

 ただ。この化物が――ジェームズ・モリアーティが彼を買っているという不合理が彼に軽率な油断を許さなかった。
 マスターを重んじるのはサーヴァントとしては当然の思考回路だが、しかしそんな当たり前はこの"犯罪卿"にまで当て嵌められるものなのか?
 そんな風に考えると、どうしても目が離せなくなる。 
 活動の止まっている火山や嵐の前の凪いだ海のように不気味な平凡さを、殺島は死柄木に対し感じ取っていた。
 けれどアイには結局いまいちピンと来なかったようで。
 むしろ彼女の注目は死柄木よりも、もう一人の連合構成員(マスター)の方へと向けられている始末だった。

「ねえねえ、らいだーくん! アイさんだよ、アイさん! テレビで見たよね、ねえっ」
「おいバカ、あんまこれ見よがしに騒ぐなって。いやあすいませんね、へへへ……」

 高揚した様子で傍らの少年の袖を引く、少女。
 引かれている少年――恐らく、彼がサーヴァントなのだろう――は照れたようにニヤついていたが、アイの興味を惹いたのは圧倒的に前者である。
 理由は単純。"少女"という言葉を使うのが適切かどうか一瞬悩んでしまうほど、彼女は幼かったのだ。

「テレビ見てくれたんだ。ありがとね、嬉しいよ。……えっと。あなたもマスターなの?」
「そうだよ! ……あ、じこしょーかいしてなかった。
 神戸しおです。うぃらん……ゔぃらん? やってまーす!!」
「……そうなんだ。まだ小さいのにすごいね〜、しおちゃんは」
「えへへー」

 アイに撫でられながらにこ〜っと笑う姿にも歳不相応なものは見られない。
 小学校に上がってはいるだろうが、それでも学年は一年生か二年生が良いところだろう。
 どう高く見積もっても命のやり取りをする場所に居るべき年頃には見えなかった。
 敵(ヴィラン)などという物騒な名前を冠した組織に"幹部"として召し上げられるにはあまりにも不似合いな少女。
 ならば彼女のサーヴァント……殺島とは雰囲気も年頃も違う"ライダー"の方が彼女の道先を決め、操っているのか?
 そう考えもしたが、アイの目から見た彼は死柄木以上に仰々しさを感じないただの少年だった。
 油断する気はないが、それはそれとして困惑はある。
 敵連合の実情は、現時点で既にアイが予想していたものとは大分異なっていた。

「(成程な。Mが勧誘(スカウト)に躍起になってる理由も分かるぜ)」

 殺島飛露鬼は"極道"であった。
 一人の男が牽引し、宿敵たる忍者共と文字通り互いの存亡を懸けて潰し合った。
 殺島は極道としての在り方、そして自分を救ってくれた男への報恩に殉じて死んだが、それを後悔したことは一度もない。
 極道は強靭な群体だった。衰退しゆくそれを蘇らせた男の手腕によって、恐らくは過去最も破壊的で破滅的な災禍の渦へと姿を変えた。
 その男とMは似ている。精神性においてはかけ離れていても、冴え渡る計略とカリスマめいた闇色の輝きはよく似ていた。

 だが――彼の率いた"極道"に比べて。Mの率いる"連合"は、現状あまりに脆弱で矮小な集団であると言わざるを得ない。

 人材不足と戦力不足。
 これが社会の中で行うマネーゲームなり政争なりであったなら確かに連合は最強の勢力だったろう。
 しかし聖杯戦争とは突き詰めていけばいくほど暴力の二文字に収束していく殺し合いだ。
 Mが掌握し操る東京の社会は彼にとって強力な武器であろうが、生憎そこには質量が伴っていない。
 この世界の人間にどれだけ可能性を与えても、彼らではサーヴァントに敵わない。

 いずれ羽化を遂げる可能性があったとしても今は所詮只の蛹。
 蝶蛾の死因の大半は捕食と寄生だ。
 卵、或いは芋虫、蛹の時期に鳥に啄まれるか蜂蠅の類に産卵されて内側から食い破られるか。
 その弱さを補う術があるとすれば二つ。
 寄せ来る脅威を払い除けられるだけの群れを作って耐え忍ぶか、何らかの手段で羽化の時期そのものを早めてしまうか。
 そして、ジェームズ・モリアーティがその二択を前にして選んだのは。


「――さて。新しい仲間の加入を祝い親睦を深めたい気持ちは分かるが、そろそろ我々も動くとしよう」


 彼が規格外の大悪党であるのだと改めて理解させるに足る、


「死柄木弔。神戸しお。君達に――課題(クエスト)を提示する」


 ――貪婪なる、"総取り"だった。


◆◆


「課題(クエスト)だぁ?」

 怪訝な顔でそう言ったのはデンジだ。
 彼としては予期せぬ僥倖で自分の目の前に現れた超絶級の美女、星野アイをもう少しのんびり眺めていたかったのだろう。
 まあまあ、と彼を宥めながらモリアーティの方を見やるしお。
 死柄木はソファに腰掛けて足を組みながら、続く言葉を待っているようだった。

「じきに日没だ。バーサーカー達との再接触を終わらせてからにはなるが、君達には敵(ヴィラン)らしい仕事をして貰う」
「……おしごと? それって――」
「お察しの通りサ、しお君。誰かの"敵"になるんだよ」

 アイが殺島と顔を見合わせる。
 自分の名前が呼ばれなかった理由は分かっていた。
 アイにはこの社会に適合出来るロールがあり、独自に築いた人間関係もある。
 故にこそそれを尊重し、無理に付き合う必要はないと言っているのだろう。
 無論、何か用向きがあれば手伝いくらいはさせるつもりなのだろうが。

 しかし、この采配はモリアーティらしからぬ不合理に思えた。
 連合が抱える最大の弱点である戦力不足。その解消を放置して、此処でわざわざリスクを取りに行く理由が分からない。
 そのことは当然モリアーティも承知の上だ。だがしかし、それを踏まえても尚今はリスクを取るべきだと。
 断崖の縁を歩かせ、艱難辛苦を超えさせる、"課題/試練(クエスト)"が必要なのだとそう踏んだ。

「アイ君達の動きについては任せよう。まだ新人だし、そちらの仕事(ロール)への差し障りもあるかもしれないしネ」
「"子供達"に経験を積ませたい、ってことかな。本当におじいちゃんみたい、孫思いの」
「否定はしないよ。連合が私の思い描く形になる為には、戦力の向上もそうだが個人の"質"の向上もまた絶対条件だ。
 前者が揃うのを悠長に待ってもいいが、私の手腕に任せきりではいずれ必ず綻びが生じる。
 そろそろこの辺りで、私のマスターを含む若い子達に一皮剥けて貰おうと思ってねェ」
「――おい、ジジイ」

 黙って話を聞いていた死柄木が割り込んだ。
 自分も含んで"子供達"と称したアイに不満を示そうとした、訳ではない。
 彼の興味は今、モリアーティの頭の中。その演算器めいた"悪"の思考回路にのみ向けられている。
 死柄木はモリアーティという個人のことを好いてはいない。むしろいけ好かないジジイだと、反発心を抱いてさえいるが。
 その一方で――ジェームズ・モリアーティという英霊の"脳"に対しては、一定以上の信用を置いていた。

 全ては私の為に(オール・フォー・ワン)と、そう嗤った悪が居た。
 稀代の悪人。人の社会を終わらせる力と脳を持った悪意の化身。
 ■■■■から生まれ変わった死柄木弔を育て、鍛え上げてきた師父。
 その声と微笑みを嫌になるほど覚えているからこそ、死柄木はモリアーティの言を戯言だと切り捨てられない。
 モリアーティの口元に浮かぶ不敵な笑みは。
 オール・フォー・ワンが野望を語る時のそれに、とてもよく似ていたから。

「課題(それ)を越えれば辿り着けるか?」

 幼い頃から苛まれてきたアレルギー。
 優しい絶望に満ちたあの家、その名残のような呪い。
 掻き毟った痕と罅割れで傷付いた口元を、引き裂くように歪めて。
 敵連合、その首領となるべく擁立された青年は、未だ地平線の彼方に眠る魔王の片鱗を確かに見せた。

「アンタの夢見る、終局によ」
「保証しよう。次に君が見る死線。それが終わりの始まりだ」

 覚醒の時はすぐそこにある。
 元より羽は固まりつつあったのだ。
 大戦(マキア)の調伏という無理難題。
 そして解放軍との激突という死線。
 その二つを経て、死柄木弔はそこに至る筈だった。
 そこに割り込んできたのが此度の運命。界聖杯を巡る、聖杯戦争。
 死柄木の居た個性社会よりも遥かに苛烈な死線で満ちたこの東京は最高効率の悪性培養土壌(プラント)だ。
 ならば。それを利用しない手はないと、モリアーティは。悪を導く者(クライム・コンサルタント)は考える。

「なら良い。受けてやるから、さっさと並べろよ」

 そう言って足を投げ出した死柄木に、モリアーティは。
 子の成長を祝するように笑みながら、口を開き――彼と彼女へ投げる課題(クエスト)を、二つ挙げた。



「"皮下医院"院長――皮下真の暗殺。並びに彼の擁する研究設備の簒奪」

 それは竜王の眠る奥津城。
 東京において最大数の火薬を秘めた桜咲く地獄。

「ガムテープの殺し屋集団──"割れた子供達(グラス・チルドレン)"殲滅作戦」

 それは狂おしき子供達と、偉大な母の蠢く恐怖。
 人間社会が生んでは捨てた罪の結晶たる哀れなレギオン。


「道は二つ。いずれも道程は険しく、道を踏み外さなくても崖下に落ちていくような奈落の難易度」

 だが、その分見返りは大きい。
 どちらの陣営にも、モリアーティでさえ全貌を把握出来ていないアドバンテージがある。
 暗殺ないし殲滅に成功すれば連合の聖杯戦争は大きく前進する。
 仮に失敗したとしても、命さえ残っていれば――必ずやその経験は彼らをさらなる悪に染め上げるだろう。
 敵連合。悪としての羽化を期待された二人に与えられた最初の分かれ道。

「存分に悩み、そして選びなさい。君達がどちらを選ぶにせよ、この蜘蛛(わたし)はその道の上に巣を張ろう」

 終局的犯罪(カタストロフ・クライム)。
 机上の空論、夢物語の産物。
 されど。そこに続く微かな道は、確かに彼らの目の前に。


【豊島区・池袋/デトネラット本社ビル/一日目・夕方】

【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数千円程度
[思考・状況]
基本方針:さとちゃんとの、永遠のハッピーシュガーライフを目指す。
0:くえすと。どうしよう……?
1:さとちゃんの叔母さんに会いに行く。
2:アイさんとらいだーさん(殺島)とは仲良くしたい。でも呼び方がまぎらわしいかも。どうしようねえ。
3:とむらくんとえむさん(モリアーティ)についてはとりあえず信用。えむさんといっしょにいれば賢くなれそう。
4:最後に戦うのは。とむらくんたちがいいな。
5:“お兄ちゃん”が、この先も生き延びたら―――。
※デトネラット経由で松坂(鬼舞辻無惨)とのコンタクトを取ります。松坂家の新居の用意も兼ねて車や人員などの手配もして貰う予定です。
 アーチャー(モリアーティ)が他にどの程度のサポートを用意しているかは後のリレーにお任せします。

【ライダー(デンジ)@チェンソーマン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円(しおよりも多い)
[思考・状況]
基本方針:サーヴァントとしての仕事をする。聖杯が手に入ったら女と美味い食い物に囲まれて幸せになりたい。
1:しおと共にあの女(さとうの叔母)とまた会う?
2:死柄木とジジイ(モリアーティ)は現状信用していない。特に後者。とはいえ前者もいけ好かない。
3:星野アイめちゃくちゃ可愛いじゃん……好きになっちまいそう……


【死柄木弔@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円程度
[思考・状況]
基本方針:界聖杯を手に入れ、全てをブッ壊す力を得る。
0:最初に潰す敵は――
1:しおとの同盟は呑むが、最終的には“敵”として殺す。
2:ライダー(デンジ)は気に入らない。しおも災難だな。
3:星野アイとライダー(殺島)については現状は懐疑的。ただアーチャー(モリアーティ)の判断としてある程度は理解。

【アーチャー(ジェームズ・モリアーティ)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:超過剰武装多目的棺桶『ライヘンバッハ』@Fate/Grand Order
[道具]:なし?
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:死柄木弔の"完成"を見届ける。
0:そろそろ成長の機会を与え、本格的な行動を促す。
1:蜘蛛は卵を産み育てるもの。連合の戦力充実に注力。
2:禪院(伏黒甚爾)に『283プロダクション周辺への本格的な調査』を打診。必要ならば人材なども提供するし、準備が整えば攻勢に出ることも辞さない。
3:禪院君とアイ君達の折衝を取り計らう。あわよくば彼も連合に加えたいところだがあくまでも慎重に。
4:しお君とライダー(デンジ)は面白い。マスターの良い競争相手になるかもしれない。
5:"もう一匹の蜘蛛”に対する警戒と興味。真名が『モリアーティ』ではないかという疑念。
6:リンボと接触したマスター(田中一)を連合に勧誘したい。彼の飢えは連合(我々)向きだ。
[備考]
※デトネラット社代表取締役社長、四ツ橋力也はモリアーティの傘下です。
 デトネラットの他にも心求党、Feel Good Inc.、集瑛社(いずれも、@僕のヒーローアカデミア)などの団体が彼に掌握されています。
※禪院(伏黒甚爾)と協調した四ツ橋力也を通じて283プロダクションの動きをある程度把握していました。
※283プロダクションの陰に何者かが潜んでいることを確信しました。
※アルターエゴ・リンボ(蘆屋道満)から"窮極の地獄界曼荼羅"の概要を聞きました。また彼の真名も知りました。
アラフィフ「これ先に知れて本当によかったなァ〜…(クソデカ溜め息)」

【星野アイ@推しの子】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:当面、生活できる程度の貯金はあり(アイドルとしての収入)
[思考・状況]
基本方針:子どもたちが待っている家に帰る。
0:まあ、新入りがあまり口出すことじゃないかな。
1:空魚ちゃん達への監視や牽制も兼ねて、真乃ちゃん達とは定期的に連絡を取る。必要があれば接触もする。
2:空魚ちゃん達との同盟を主にしつつ、真乃ちゃん達を利用。彼女達が独自に仁科鳥子ちゃんと結託しないようにしたい。
3:敵連合の一員として行動。ただし信用はしない。
4:あさひくん達は捨て置く。もう利用するには厄介なことになりすぎている。
[備考]
※櫻木真乃、紙越空魚と連絡先を交換しました。

【ライダー(殺島飛露鬼)@忍者と極道】
[状態]:健康
[装備]:大型の回転式拳銃(二丁)&予備拳銃
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:アイを帰るべき家に送り届けるため、聖杯戦争に勝ち残る。
1:真乃達と空魚達の動向を注視。アイの方針に従う。
2:ガムテたちとは絶対に同盟を組めない。
3:アヴェンジャー(デッドプール)についてはアサシンに一任。
4:M達との協力関係に異存はない。だが油断はしない。厄(ヤバ)くなれば殺す。
[備考]
※アサシン(伏黒甚爾)から、彼がマスターの可能性があると踏んだ芸能関係者達の顔写真を受け取っています。
現在判明しているのは櫻木真乃のみですが、他にマスターが居るかどうかについては後続の書き手さんにお任せいたします。


時系列順


投下順



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063:まがつぼしフラグメンツ 死柄木弔 082:Epic of Remnant:新宿英霊事変
アーチャー(ジェームズ・モリアーティ)
神戸しお
ライダー(デンジ)
星野アイ 076:ベイビー・スターダスト
ライダー(殺島飛露鬼)

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最終更新:2023年02月26日 01:07