ひょんなことから女の子
◆pnDQZGmPTQ 1
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hyon
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20 名前: VIP足軽s [sage] 投稿日: 2006/11/25(土) 02:31:11.34 ID:V7iD6lU+O
※1
梅雨明けの朝。まだ公園の紫陽花が、薄ぼけた朝焼けに彩色を添える時期。俺はなんら変哲のない、いつもの登校路を自転車で駆けていた。
梅雨明けの朝。まだ公園の紫陽花が、薄ぼけた朝焼けに彩色を添える時期。俺はなんら変哲のない、いつもの登校路を自転車で駆けていた。
俺を追うように空へ昇る朝日が、紺の制服の背中を焼く。
男「今日も暑くなりそうだ…」
路地を出ると、大通りがいつに増して人でごった返している。下りた自転車を引きながら、人だかりの先頭まで出ると、黄色いテープが張られていた。中には何人かの警官が、テープから中に入らないように人々に叫んでいた。
警官を一人呼び止める。
男「何かあったんスか?」
21 名前: VIP将軍 [sage] 投稿日: 2006/11/25(土) 02:43:40.41 ID:V7iD6lU+O
※2
警官「トラックの転倒事故だよ。ここは通れないから迂回してくれ」
警官「トラックの転倒事故だよ。ここは通れないから迂回してくれ」
転倒事故?どこが。
足止めをくらい大渋滞してるこちらとはうらはらに、テープの向こうには、停車されたパトカー以外、倒れたトラックとやらはおろか、車一台見あたらない。
足止めをくらい大渋滞してるこちらとはうらはらに、テープの向こうには、停車されたパトカー以外、倒れたトラックとやらはおろか、車一台見あたらない。
冗談じゃねえ。ここ通らなきゃ遅刻確定じゃねえか。
「…………」
バッ
警官が離れた隙に、テープを潜り、広々とした車道へ一気に自転車を加速させた。
警官「あ、コラ!君!」
遅い。
白バイを準備しておかなかったお前らが悪い。
白バイを準備しておかなかったお前らが悪い。
23 名前: VIP将軍 [sage] 投稿日: 2006/11/25(土) 02:57:07.11 ID:V7iD6lU+O
※3
しばらく無人の大通りを走っていると、前にやっと転倒しているトラックが見えた。近くは大破した乗用車が一台。
しばらく無人の大通りを走っていると、前にやっと転倒しているトラックが見えた。近くは大破した乗用車が一台。
なんだってこれしきの事故でこんなにも広範囲を封鎖しているんだ?
その事故現場を横目に学校に向かおうとしたとき、
『そこの自転車の学生!戻りなさい!』
パトカーが後ろから追ってきた。ふたつの車体で見事に前方を塞がれ、しどろもどろしているうちに捕まってしまった。
「な、なんだよ!なんでこれっぽっちの事故で通行止めなんだよ!」
「我々は知らん。上からの命令だ」
24 名前: 宿屋の女中 [sage] 投稿日: 2006/11/25(土) 03:12:18.11 ID:V7iD6lU+O
※4
昼休み。いつもの3人と飯を食べてた時、最初に切り出したのは友1だった。
昼休み。いつもの3人と飯を食べてた時、最初に切り出したのは友1だった。
友1「そういや、今朝はどーしたんだよ男!お前が遅刻とはらしくもねぇ」
男「あー…なんか事故で道が封鎖されててさ。突っ切ろうと思ったら警察に捕まってメチャクチャ怒られた」
友2「ちょwwwwwそこは突っ切らないだろ………常識的に考えて………」
友3「事故だったんなら、学校に連絡すればいいじゃない馬鹿ね」
それもそうだ。要らん苦労をした。しかし…あのトラックはなんであんなに遠ざけられていたのだろう。
25 名前: VIP足軽t [sage] 投稿日: 2006/11/25(土) 03:27:25.77 ID:V7iD6lU+O
※5
男「はぁ…」
男「はぁ…」
午後は俺にとっては呪文でしかない数学…さっさと終わんねーかな。
そんなことを考えていた矢先、
そんなことを考えていた矢先、
キュッ
「……!?」
急に呼吸が出来なくなった。何故だ、なんでいきなり…助けて……
ガタンッ
俺は机を倒して教室の床に倒れこんだ。
ざわめき始めた教室を気にしている余裕はない。息苦しさに次いで胸や頭、体中が激痛に蝕まれる。
ざわめき始めた教室を気にしている余裕はない。息苦しさに次いで胸や頭、体中が激痛に蝕まれる。
終わりはあっけなかった。息が急に回復すると、同時に痛みも全て引いた。
友1「だ、大丈夫か男…」
男「あぁ、なんとか…」
答えた声は、俺の声じゃなかった。
42 名前: VIP足軽j [sage] 投稿日: 2006/11/25(土) 15:55:52.73 ID:reVsunDS0
※6
おかしい。明らかにおかしい。声もおかしかったが、クラスの連中の目線がどうも『心配している』目じゃない。
おかしい。明らかにおかしい。声もおかしかったが、クラスの連中の目線がどうも『心配している』目じゃない。
友3「あの、男……アンタ…その髪……」
髪?頭に手をやる。
手触りはたしかに俺の髪だ。が、こんなに後ろ髪を伸ばした覚えはない。
手触りはたしかに俺の髪だ。が、こんなに後ろ髪を伸ばした覚えはない。
男「な、なんだこれ!?」
手でたどると、床に座ってる体制で床まで髪が届いている。
男「う、うわぁぁぁ!!」
思わず立ち上がると、周りの目線も糸で結ばれたように上がる。だが、それに気付く前に胸に違和感を覚えた。……重い。親に隠れて夜酒を飲んだ翌朝の胸の重さじゃない。物理的に重い。
恐る恐る手を添えると、ないはずのソレがあった。
恐る恐る手を添えると、ないはずのソレがあった。
男「……友3、手鏡」
友3は自分の机に戻り、手鏡をこちらに放る。
俺は自分の顔を見て、こんどこそ気を失うかと思った。
俺は自分の顔を見て、こんどこそ気を失うかと思った。
友2「男テラモエスwww」