ひょんなことから女の子
第5部「GoldenBell」
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100 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [GoldenBell] 投稿日: 2006/11/26(日) 00:11:20.53 ID:F4V4jGlb0
ナラチャンと別れて一人。オレは屋上の手前、階段の踊り場に居た。今、オレは女子の
制服、ブレザーにスカートという姿だ。…………まあ、なんだ、ハズいわけだ。教室にも
戻りたくないっていうのが本心で、人の多い昼休みに廊下を歩くなんてのは以ての外だ。
昼休み終了まであと10分。腹は減ったが昼飯は抜きだな。
そんなことを考えていると、不意に声が聞こえた。
「居たっ!」
居た? 声のした方を見ると、ダチのワゴンが居た。
「何か用?」
「俺さ、お前の心っていうかさ、ソレは戻せねぇ」
「お前…………」
心配してくれてたのか?
「でも、身体なら戻してやれる」
身体…………それって、つまり……
「……男に戻れるってことか?」
「ああ。このジュースを飲むだけでな!」
そう言ってオレにジュースを差し出す。オレはそのジュースを受け取った。"ひょんな
ことから男の子"。ふざけたネーミングだな。ホントにこんなんで戻れんのかよ? ま、
他にはアテなんてないけどな。
制服、ブレザーにスカートという姿だ。…………まあ、なんだ、ハズいわけだ。教室にも
戻りたくないっていうのが本心で、人の多い昼休みに廊下を歩くなんてのは以ての外だ。
昼休み終了まであと10分。腹は減ったが昼飯は抜きだな。
そんなことを考えていると、不意に声が聞こえた。
「居たっ!」
居た? 声のした方を見ると、ダチのワゴンが居た。
「何か用?」
「俺さ、お前の心っていうかさ、ソレは戻せねぇ」
「お前…………」
心配してくれてたのか?
「でも、身体なら戻してやれる」
身体…………それって、つまり……
「……男に戻れるってことか?」
「ああ。このジュースを飲むだけでな!」
そう言ってオレにジュースを差し出す。オレはそのジュースを受け取った。"ひょんな
ことから男の子"。ふざけたネーミングだな。ホントにこんなんで戻れんのかよ? ま、
他にはアテなんてないけどな。
101 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [エアロスミスの曲、やっぱイイ。] 投稿日: 2006/11/26(日) 00:13:08.05 ID:F4V4jGlb0
「飲めば…………飲むだけで戻れるんだな?」
「そのハズだけど…………ってかお前……」
「ああ、うん。さっきナラチャンと話してさ、それでなんつーの?」
「性格が元に戻った?」
「Exactry(そのとおりでございます)」
「なんだよソレ……ディ・モールト良いじゃん!」
「ま、つまりアレだな。コレを飲めば元通りってわけだ」
缶のタブを開け、中身を一気に流し込んだ。…………マジィ。ルートビアとかドクペと
か、なんかそんな感じの味だ。
「どうだ? なんか変わったか? 体が熱いとか」
「いや、特に…………っ!!?」
やば、なんか……意識…………
「そのハズだけど…………ってかお前……」
「ああ、うん。さっきナラチャンと話してさ、それでなんつーの?」
「性格が元に戻った?」
「Exactry(そのとおりでございます)」
「なんだよソレ……ディ・モールト良いじゃん!」
「ま、つまりアレだな。コレを飲めば元通りってわけだ」
缶のタブを開け、中身を一気に流し込んだ。…………マジィ。ルートビアとかドクペと
か、なんかそんな感じの味だ。
「どうだ? なんか変わったか? 体が熱いとか」
「いや、特に…………っ!!?」
やば、なんか……意識…………
103 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [ピロウズもいいな。] 投稿日: 2006/11/26(日) 00:17:53.15 ID:F4V4jGlb0
「…………んんっ」
……なんだ、何か身体がだるい感じだ。
「亮? 亮っ、起きたの!?」
この声は…………
「理緒? ココは……?」
「保健室だ。俺が運んでやったんだ、感謝しろよ」
そう答えたのはワゴンだった。
「おぅ、サンキュ」
「ねぇ亮、身体は? 戻ったの?」
「え?」
言われて全部思い出した。そうだ、ジュース飲んで…………身体。身体は? 胸はない
し、アソコもある。それに声も低い。…………戻った。
「戻ってる……」
「ホントに…………?」
「ああ、カンペキに男だぜ!」
「良かった。本当に良かった」
そう言って抱きついてくる…………ってマジか!? ワゴンが見てるってのに…………
オレがそんなことを考えてワゴンのいるほうを見ると、そこには既に人影はなかった。
「ふっ、ワゴンスピードはクールに去るぜ」
そんな声が聞こえた気がした。
……なんだ、何か身体がだるい感じだ。
「亮? 亮っ、起きたの!?」
この声は…………
「理緒? ココは……?」
「保健室だ。俺が運んでやったんだ、感謝しろよ」
そう答えたのはワゴンだった。
「おぅ、サンキュ」
「ねぇ亮、身体は? 戻ったの?」
「え?」
言われて全部思い出した。そうだ、ジュース飲んで…………身体。身体は? 胸はない
し、アソコもある。それに声も低い。…………戻った。
「戻ってる……」
「ホントに…………?」
「ああ、カンペキに男だぜ!」
「良かった。本当に良かった」
そう言って抱きついてくる…………ってマジか!? ワゴンが見てるってのに…………
オレがそんなことを考えてワゴンのいるほうを見ると、そこには既に人影はなかった。
「ふっ、ワゴンスピードはクールに去るぜ」
そんな声が聞こえた気がした。
104 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [ってか音楽最高。] 投稿日: 2006/11/26(日) 00:20:25.63 ID:F4V4jGlb0
ワゴンも居なくなって、保健室に二人きり…………これなんてエロゲ? ヤバイ、どう
しよ? 何て言おう…………『男に戻れ。戻って告れ』そんな声が、ふと頭をよぎった。
その言葉に従うなら、今は告る時だ。…………告んの? マジで? いや、ムリでしょ?
…………あー、なんか男に戻ったのに女々しいぞオレ!
「…………」
抱きついたままの理緒を、オレは何も喋らず抱き締めた。なんつーか、その、言葉に出
来ないっていうか、なんかそんな感じ。そう、そんな感じ。
しよ? 何て言おう…………『男に戻れ。戻って告れ』そんな声が、ふと頭をよぎった。
その言葉に従うなら、今は告る時だ。…………告んの? マジで? いや、ムリでしょ?
…………あー、なんか男に戻ったのに女々しいぞオレ!
「…………」
抱きついたままの理緒を、オレは何も喋らず抱き締めた。なんつーか、その、言葉に出
来ないっていうか、なんかそんな感じ。そう、そんな感じ。
105 名前: Ego ◆iqP3HuSAqU [そんなこんなで終了です。] 投稿日: 2006/11/26(日) 00:23:02.95 ID:F4V4jGlb0
オレと理緒は一分ぐらいの間、無言で抱き合っていた。その一分間、オレは安心感とい
うか、そういうぬくもりを感じていられた。
「なあ理緒」
抱き締めたまま話しかける。
「なに?」
「その、なんつーか、えっと…………好きだ」
「…………私も」
「そっか」
人ってのはあったかい生き物だ。オレはソレを今、肌で、リアルに感じている。
「なんかさ、今更って言ったら今更って言うかさ、まあアレなんだけどさ…………///」
「なに?」
「…………オレと付き合ってくれないか?」
「…………うん///」
たった一言が、何か妙に嬉しくて、気がついた時、オレは理緒の唇を奪っていた。
「…………急にしないでよ、バカ///」
「え、あ、いや、ワリィ…………なんか嬉しくてさ」
「…………私も嬉しいよ」
うか、そういうぬくもりを感じていられた。
「なあ理緒」
抱き締めたまま話しかける。
「なに?」
「その、なんつーか、えっと…………好きだ」
「…………私も」
「そっか」
人ってのはあったかい生き物だ。オレはソレを今、肌で、リアルに感じている。
「なんかさ、今更って言ったら今更って言うかさ、まあアレなんだけどさ…………///」
「なに?」
「…………オレと付き合ってくれないか?」
「…………うん///」
たった一言が、何か妙に嬉しくて、気がついた時、オレは理緒の唇を奪っていた。
「…………急にしないでよ、バカ///」
「え、あ、いや、ワリィ…………なんか嬉しくてさ」
「…………私も嬉しいよ」
長い人生、時には女の子になっちゃうくらいのトラブルがあっても良いと思う。そのほ
うが何か楽しいっていうか、そういうのも人生の豊かさっていうか。まぁ、アレだよな。
疾風に剄草を知る。障害にぶつかってる時こそ、大事な何かに気付けるんじゃないかな。
結局、全てが終わった今だからこそ、分かることなんだけどさ。
オレは、理緒のとなりで、教会の鐘の音を聞きながら、そんなことを思っていた。
うが何か楽しいっていうか、そういうのも人生の豊かさっていうか。まぁ、アレだよな。
疾風に剄草を知る。障害にぶつかってる時こそ、大事な何かに気付けるんじゃないかな。
結局、全てが終わった今だからこそ、分かることなんだけどさ。
オレは、理緒のとなりで、教会の鐘の音を聞きながら、そんなことを思っていた。
―リョリョの奇妙な体験・完―