「ミサカ、巫女と美琴(12)」
「ちょっと!これ、どういうこと!?」
第13学区のとある小学校に到着するなり御坂美琴は絶叫していた。
このとある小学校は生徒数が4000人を超す超マンモス校である。
当然、運動場や体育館などの設備も巨大なものであった。
このとある小学校は生徒数が4000人を超す超マンモス校である。
当然、運動場や体育館などの設備も巨大なものであった。
「だからって、なんでヒヨコ小屋が東○ドームほどデカイのよーっ!!」
雄叫びをあげる御坂美琴の肩を姫神秋沙が指でチョンチョンとつつき一枚の印刷物を差し出した。
「多分。これが理由」
そこには「第15回全校一斉ヒヨコ飼育コンテスト実施要領」と書かれてあった。
実施要領には生徒一人の持ちヒヨコは3羽までといったルールが書かれてある。
どうやら、少なくとも10000羽を越えるヒヨコ達がこの中で飼育されているようだ。
実施要領には生徒一人の持ちヒヨコは3羽までといったルールが書かれてある。
どうやら、少なくとも10000羽を越えるヒヨコ達がこの中で飼育されているようだ。
実施要領を読み終えた御坂美琴はそれを両手でクシャクシャに丸めると地面に叩きつけた。
「いったい、どこのどいつよ。こんな馬鹿げた企画を考えたヤツはーーーーっ!」
フーッフーッと肩で二度大きく息をするとようやく御坂美琴は落ち着きを取り戻した。
「しっかし、10000羽の中からあのヒヨコ爆弾ってヤツを見つけなきゃなんないの?
こりゃ、ちょっと手こずるかもしんないわね」
「まあ、とりあえず中に入ってみないとな。御坂、できるか?」
「アンタ!誰に向かって言ってんのよ!」
こりゃ、ちょっと手こずるかもしんないわね」
「まあ、とりあえず中に入ってみないとな。御坂、できるか?」
「アンタ!誰に向かって言ってんのよ!」
電撃使い(エレクトロマスター)の御坂美琴の前には小学校の電子錠など無いに等しい。
あっさりと4人はヒヨコ小屋(ただし○京ドームサイズ)に突入する。
いくつかのドアを抜けると目の前に広い空間が現れた。
室内でありながらそこはまるで牧場のようであり、小山や人工の小川まで造られてあった。
大きな木も数本植えられていたが地面は基本的には芝生のような背の低い草で覆われていた。
その緑の絨毯の上を無数の黄色い物体が動き回っている。
あっさりと4人はヒヨコ小屋(ただし○京ドームサイズ)に突入する。
いくつかのドアを抜けると目の前に広い空間が現れた。
室内でありながらそこはまるで牧場のようであり、小山や人工の小川まで造られてあった。
大きな木も数本植えられていたが地面は基本的には芝生のような背の低い草で覆われていた。
その緑の絨毯の上を無数の黄色い物体が動き回っている。
「全く、こんな大それた施設まで造るなんて、なに資源の無駄遣いしているのかしら。
たかがヒヨコのために……………………
ヒヨコなんてこんなにちっちゃいのに……
いくらキュートなお目々をしてるからってヒヨコのためだけにこんな施設を造るなんて
…………………………………………
もーーっ、なんて素敵なのかしら!!」
たかがヒヨコのために……………………
ヒヨコなんてこんなにちっちゃいのに……
いくらキュートなお目々をしてるからってヒヨコのためだけにこんな施設を造るなんて
…………………………………………
もーーっ、なんて素敵なのかしら!!」
感動に震える御坂美琴のスーツは既にステルスモードに切り替わっており、
御坂美琴が動物に避けられる最大の原因である電磁波を遮断してくれている。
そのためここにいるヒヨコ達は御坂美琴や御坂妹から逃げようともしない。
それどころか御坂美琴の足下に寄ってきては靴の先をツンツンとつついたりする。
その姿を目の当たりした御坂美琴は悲鳴を上げた。
御坂美琴が動物に避けられる最大の原因である電磁波を遮断してくれている。
そのためここにいるヒヨコ達は御坂美琴や御坂妹から逃げようともしない。
それどころか御坂美琴の足下に寄ってきては靴の先をツンツンとつついたりする。
その姿を目の当たりした御坂美琴は悲鳴を上げた。
「キャー!なんてラブリーなの。あなた達!!
まんまるでフカフカでピヨピヨでよちよちでーーーーっ!」
まんまるでフカフカでピヨピヨでよちよちでーーーーっ!」
目をキラキラ輝かせる御坂美琴は一羽のヒヨコを両手で優しく包み込むと顔の高さまで
持ち上げてスリスリと頬ずりしだした。
しかもそのヒヨコを持ったまま「キャーーッ!そっちの子もこの子以上に超ラブリー!」
などとのたまっている。
ヒヨコ小屋に突入してから30秒も経っていないのに、ここに来た目的はすっかり忘れている様子だった。
持ち上げてスリスリと頬ずりしだした。
しかもそのヒヨコを持ったまま「キャーーッ!そっちの子もこの子以上に超ラブリー!」
などとのたまっている。
ヒヨコ小屋に突入してから30秒も経っていないのに、ここに来た目的はすっかり忘れている様子だった。
「あれもヒヨコ、これもヒヨコ、ミサカの目に映る黄色い個体全てがヒヨコ……
ミサカの理想郷はこんな所に在ったのですね、とミサカは感嘆の声を上げます」
ミサカの理想郷はこんな所に在ったのですね、とミサカは感嘆の声を上げます」
さすがに遺伝子レベルでそっくりなだけあって御坂妹も御坂美琴とおなじ反応をしている。
「あーっ、お姉様!その子は私がホッペでスリスリしようと心に決めていたヒヨコです
とミサカはミサカのヒヨコを今まさに横取りしようとするお姉様に警告を発します」
「何言ってんの。この子は私と目があったときに私に大好き光線を送ってきたのよ。
だからこの子は私に頬ずりして欲しいに決まってるの!
アンタは足下のその子で良いじゃない」
「確かにこの子のつぶらな瞳は超キュートなのですが頭に1枚ある逆立った羽毛がなぜか
某上位個体を連想させます、とミサカはやっぱりそっちの子が良いなと未練たっぷりに
お姉様にヒヨコの交換を持ちかけます」
とミサカはミサカのヒヨコを今まさに横取りしようとするお姉様に警告を発します」
「何言ってんの。この子は私と目があったときに私に大好き光線を送ってきたのよ。
だからこの子は私に頬ずりして欲しいに決まってるの!
アンタは足下のその子で良いじゃない」
「確かにこの子のつぶらな瞳は超キュートなのですが頭に1枚ある逆立った羽毛がなぜか
某上位個体を連想させます、とミサカはやっぱりそっちの子が良いなと未練たっぷりに
お姉様にヒヨコの交換を持ちかけます」
上条は御坂美琴と御坂妹のはしゃぎっぷりをただ唖然と見ている。
そんな上条の袖を姫神秋沙が引っ張った。
そんな上条の袖を姫神秋沙が引っ張った。
「ミサカ、巫女と美琴(13)」
「上条君。爆弾はどうしよう?」
「まあ、まだ時間は十分にあるから焦らなくても良いけどさ。
ところで姫神はこれだけのヒヨコを見て何か思うことはないのか?」
「……ヒヨコ……それはキジ目、キジ科、ニワトリの雛。
雌であれば採卵用レイヤーとなる。でも雄だと食肉用ブロイラーに。
そしてこの子達もほとんどが雄。……哀れ……合掌」
「まあ、まだ時間は十分にあるから焦らなくても良いけどさ。
ところで姫神はこれだけのヒヨコを見て何か思うことはないのか?」
「……ヒヨコ……それはキジ目、キジ科、ニワトリの雛。
雌であれば採卵用レイヤーとなる。でも雄だと食肉用ブロイラーに。
そしてこの子達もほとんどが雄。……哀れ……合掌」
「こらこら、姫神。ヒヨコ達に手を合わせるんじゃない」
「(しまった。いつもの癖で……)ゴメン。
それでどうしよう?このままだとあの二人は使えない」
「まあ少しぐらいは好きにさせてやろう」
「(しまった。いつもの癖で……)ゴメン。
それでどうしよう?このままだとあの二人は使えない」
「まあ少しぐらいは好きにさせてやろう」
そういって上条は芝生に腰を降ろした。
上条がヒヨコ達と戯れる御坂姉妹を眺めていると右隣に姫神秋沙がちょこんと座った。
上条は気付かなかったが姫神秋沙は時々上条をチラっと見ては膝の上に置いた両手を
モジモジさせていた。
上条がヒヨコ達と戯れる御坂姉妹を眺めていると右隣に姫神秋沙がちょこんと座った。
上条は気付かなかったが姫神秋沙は時々上条をチラっと見ては膝の上に置いた両手を
モジモジさせていた。
(御坂さんも妹さんもヒヨコに夢中。
邪魔者のいない今こそ上条君との距離を縮める絶好のチャンス!
そのためにもまず適度なスキンシップを増やさないと……
さりげない仕草で上条君の右手に私の左手を重ねるの!
でも、あからさまなのはダメ!上条君が引いちゃうから。
そう。上条君に話しかけようとして身体をひねったらたまたま左手が重なっちゃうっていうのが理想)
邪魔者のいない今こそ上条君との距離を縮める絶好のチャンス!
そのためにもまず適度なスキンシップを増やさないと……
さりげない仕草で上条君の右手に私の左手を重ねるの!
でも、あからさまなのはダメ!上条君が引いちゃうから。
そう。上条君に話しかけようとして身体をひねったらたまたま左手が重なっちゃうっていうのが理想)
頭の中で何度もシミュレーションを繰り返した末、ようやく姫神秋沙は決心した。
(スーッ、ハーッ。よし。行くわよ!秋沙。
さん……
にー……
いち……)
「で、姫神は本当にヒヨコに興味ないのか?」
「ゼロッ…………
って、何?どうしたの?上条君」
さん……
にー……
いち……)
「で、姫神は本当にヒヨコに興味ないのか?」
「ゼロッ…………
って、何?どうしたの?上条君」
「そうか、興味ゼロなのか。
女の子ならみんな可愛いものが好きなのかと思ったけど。
まあ、御坂達のはしゃぎっぷりが異常なのかもな」
「そっ、そんなこと無い。私も大好き。
淡白な白身はタンパク質が豊富だし、しかも安いからお買い得!」
「いや食材として感想じゃなくてさ、……っていうかその方が姫神らしいのかな」
「えっ、あっ、そうじゃなくて(わーっ、バカバカ。私の馬鹿!)」
女の子ならみんな可愛いものが好きなのかと思ったけど。
まあ、御坂達のはしゃぎっぷりが異常なのかもな」
「そっ、そんなこと無い。私も大好き。
淡白な白身はタンパク質が豊富だし、しかも安いからお買い得!」
「いや食材として感想じゃなくてさ、……っていうかその方が姫神らしいのかな」
「えっ、あっ、そうじゃなくて(わーっ、バカバカ。私の馬鹿!)」
最悪のタイミングで上条に先手を取られた姫神秋沙は妙にテンパっていた。
(おっ、落ち着くのよ。秋沙
さっきはちょっと失敗しちゃったけどチャンスはまだある。
ちょっと早いけど次はお弁当作戦よ!)
さっきはちょっと失敗しちゃったけどチャンスはまだある。
ちょっと早いけど次はお弁当作戦よ!)
「上条君。今日おにぎりを作ってきたの。ちょっと早いけど二人を待っている間に食べてみる?」
「でも、それ姫神の弁当なんだろ?」
「今日はたくさん作ってきたから。大丈夫!」
「でも、それ姫神の弁当なんだろ?」
「今日はたくさん作ってきたから。大丈夫!」
姫神が巫女装束の袂から取り出したのは竹皮を紐でくくったお弁当で中にはおにぎりと
タクアンが入っていた。
タクアンが入っていた。
「すげーな、姫神。こりゃ美味そうだ」
「(よしっ!作戦成功!そしてここで飛び切りの笑顔でだめ押しするの。秋沙!)
上条君。いっぱい食べて」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「(よしっ!作戦成功!そしてここで飛び切りの笑顔でだめ押しするの。秋沙!)
上条君。いっぱい食べて」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「あっ、ちょっと待って!上条君の手に土が付いてる。
だから私が食べさせてあげる。はい!アーン」
「ちょっと待て、姫神。いくら何でもそんな恥ずかしい真似は……」
「良いから良いから。(御坂さん達がこっちに気付く前に)早く!アーン」
だから私が食べさせてあげる。はい!アーン」
「ちょっと待て、姫神。いくら何でもそんな恥ずかしい真似は……」
「良いから良いから。(御坂さん達がこっちに気付く前に)早く!アーン」
仕方なく上条は言われるままに口を開け差し出されたおにぎりをモグモグと食べてみた。
「どう?美味しい?」
「美味い!ただのおにぎりがこんなに美味いのはやっぱり姫神が料理上手だからかな?」
「うふっ、褒めてくれたのなら嬉しい。はい!残りも食べて」
「おっ、サンキューッ」
「美味い!ただのおにぎりがこんなに美味いのはやっぱり姫神が料理上手だからかな?」
「うふっ、褒めてくれたのなら嬉しい。はい!残りも食べて」
「おっ、サンキューッ」
上条は次のおにぎりを姫神に口に運んで貰いそれを美味しそうに食べている。
一方、その横で姫神秋沙は自分の指先を見つめたまま固まってしまった。
先ほど上条がおにぎりを頬張ったとき姫神の人指し指に上条の唇が当たったのだ。
しかもその指には上条に食べさせたおにぎりのご飯粒がくっついていた。
一方、その横で姫神秋沙は自分の指先を見つめたまま固まってしまった。
先ほど上条がおにぎりを頬張ったとき姫神の人指し指に上条の唇が当たったのだ。
しかもその指には上条に食べさせたおにぎりのご飯粒がくっついていた。
(さっき上条君の唇が私の人指し指に当たったは確か。
そして何故か指にはご飯粒がくっついている。
ご飯粒が指にくっついたままじゃ困る。
でも捨てる訳にもいかないから私が食べるしかない。
そう。決して私は上条君と間接キスをしようとしている訳じゃない。
仕方なくこのご飯粒を食べるだけ。
例え人指し指を口にくわえるのがはしたないって言われてもご飯粒がついているからいけないの。
例えそれが上条君との間接キスだとしても……
そう……間接キス…………どっ、どうしよう?)
そして何故か指にはご飯粒がくっついている。
ご飯粒が指にくっついたままじゃ困る。
でも捨てる訳にもいかないから私が食べるしかない。
そう。決して私は上条君と間接キスをしようとしている訳じゃない。
仕方なくこのご飯粒を食べるだけ。
例え人指し指を口にくわえるのがはしたないって言われてもご飯粒がついているからいけないの。
例えそれが上条君との間接キスだとしても……
そう……間接キス…………どっ、どうしよう?)
指先を見つめること17秒、決心した姫神秋沙が震える指先を口にくわえようとした瞬間
「「あーーーっ!」」
御坂姉妹の叫び声がヒヨコ小屋の中に響き渡った。