【初出】
禁書SS自作スレ>>375
禁書SS自作スレ>>375
異世界からの招待状 A_Gate_of_the_Strange_World
九月某日、学園都市。
平凡な高校生、上条当麻は夕日でオレンジ色に染まった街の大通りをトボトボと歩いていた。
「・・・・・・・・・、うだー」
上条は疲れきったような溜め息混じりの声を発した。
大覇星祭+αで疲れが溜まっていたためだ。
おまけに今は夕方とはいえ、まだまだ残暑でとにかく暑い。
そんな二段攻撃をくらって普通に居られるほど、上条はタフではない。
(・・・・・・・・・)
ぼーっとした上条は今晩の夕食のメニューについて考えた。
しかし、頭がうまく回らないのですぐには出てこない。
「あ、おーいアンター!」
何か、聞き慣れた少女の呼び声が聞こえたような気がしたが、上条は無視した。
「おーい、アンターってそこのアンタよアンタ!」
「・・・・・・・・・そういや、冷蔵庫の中身まだあったかな~」
上条は未だに自分が呼ばれていることに気づかない。
「スーパーでも寄ってくか。」
「アンタって言ってんだろコラァ無視すんなァァァあああ!!」
突如、上条の背中に衝撃が走った。
「ごぉぁ――――――――――――ッ!?」
一瞬の出来事の間に上条が理解できた事柄は三つ。
1、背中に跳び膝蹴りをいれられたこと。
2、さっきまで少女に呼ばれていたのは自分だったこと。
3、今日、近所のスーパーは休業日。
そのまま2mくらい飛ばされ、片膝をついて着地した。
「ぐほっ・・・・・・・・・、て、めぇ。なにしやがる!」
肺の空気をすべて吐き出された上条は呼吸を整え、背中をおさえながら、勢いよく振り向いた。
そこに立っていた少女は御坂美琴。
常盤台中学のエース超能力者(レベル5)で別名『超電磁砲(レールガン)』
彼女ははいかにも怒ってますという顔で、
「まったくアンタは毎度毎度私を無視して!アンタの耳は私の音声波長だけ拒絶してんの!?」
バチン、と彼女の前髪から青白い火花が散った。
彼女は怒ると火花を散らして、雷レベルの電撃を飛ばしてくることがある。
上条はギョッとして言い訳を考えた。
「ま、待て、御坂。上条さんはてっきりまったく別の人がまったく別の人を呼んでいるのかと思いま
してですね――――――――――――!?」
上条はとっさに身構えて、飛んでくるであろう電撃(ビリビリ)に対処しようとする。
彼の右手の能力、幻想殺し(イマジンブレイカー)は超能力などの『異能な力』なら、たとえ神様の
奇跡(システム)さえ打ち消せるのだが、今日の彼は疲れていて、命がけの追いかけっこをするだけ
の体力がなかったので、なるべく平和的に解決したかった。
だが万が一、美琴が怒りを静めず雷に匹敵するビリビリを放ってきたらまずいので、右手を突き出し
たのだ。
しかし、いつまで経ってもビリビリがこない。
上条の和平交渉は承諾されたのか、よく見れば美琴の怒りの表情が多少、消えていた。
「はぁ・・・・・・、まったくアンタは。そんなに私に怒ってほしくなかったら連続無視はしないこ
とね。」
言葉からも怒りが消えてホッとした上条は立ち上がってから、
「す、すまん・・・。ところで、何かようか?跳び膝蹴りくらわせるほど重要な話か?」
「えっ?・・・べ、別にそんな重要な話ってわけじゃないんだけど・・・・・・・・・、無視された
のが気に食わなかった、っていうか・・・・・・・・・」
「???まぁ、いいけど」
美琴の声が最後の方が小さくなっていたが、大して気にしなかった。
そのまま上条は歩き出し、美琴もそれに合わせるように上条の隣まで小走りし、並んで歩いた。
美琴とは帰路が一緒なので違和感は覚えなかったが、上条は青春している高校生なので多少緊張した。
二人は少し世間話をしていたが、前方の右脇道から見知った顔の人が二人出てきたので会話を止めた。