とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 1-430

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匿名ユーザー

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暫く命懸けの追いかけっこをした上条は皆の怒りを静めてから状況について話し始めた。
上条のいた、白い空間での出来事。
あの亀裂や帯は魔術であったこと。
魔術師と名乗った声は上条たちに、この世界で何かをさせようとしたということ。
上条の右手、幻想殺し(イマジンブレイカー)はその魔術師によって付加させられた魔術であるこ
となど、会話の内容で覚えている範囲は全て話した。
魔術関連のことを知らない美琴は顔を顰め、頭に『?』を浮かべている。
魔術専門のインデックス、ステイル、土御門は上条の話を注意深く聞き、話が終わるとそれぞれ俯
いて考え事を始めたようだ。
上条も、あの魔術師との会話を思い出す。

『その右手の能力、幻想殺しは私が宿した魔術だ。と言っても、魔道書に載っている魔術ではない。
完全に私のオリジナルだ』
『幻想殺し・・・・・・私がつけた魔術名は「竜王の結界(ドラゴンリフレクター)」だが。その
名の通り聖ジョージの竜の結界部分を抽出し、極限まで凝縮させて君に宿した。竜王の結界は幻想
殺しの効果と同じ、物理的攻撃以外の全ての力を無効化にする。その分、特殊な術式を使わなくて
はならなかったがな。そのときの印をも抽入したのだ。聞いているかね?書いた文字に術者の魔力
が微量だが付加されることは』
『その通りだ。それで、君の中には私の魔力が流れているわけだが、その魔力で私の魔力を使う魔
術は打ち消せなくしたのだ』
『君の右手ではなく、全身に「竜王の結界」をかけたのだ』
『右手以外の場所に予め封印術式をかけておいたのだ。右手を残しておいたのは能力と君自身の成
長を促すためだ。全身にかけたら能力は成長せんし、かけなくても君自身が成長しない。だから効
率よく成長させるために右手にしたのだ。もっとも、今の君は成長が不安定だが』

上条は自分の右手を見る。
そこに宿っている、幻想殺し。
正確には、上条の全身に宿っている結界。
それは、魔術だった。
あまり、信じたくはない話。


今まで自分が思い続けてきた幻想殺しの像が、壊れる瞬間。
上条当麻は記憶喪失だ。
記憶を失う前の上条が幻想殺しのことをどう思っていたのかは、知らない。
だが上条は直感で、記憶を失う前の上条もこのような事実を突きつけられたら、今まで築いていた
幻想殺しの像を壊されざるを得ないだろうと思った。
これが魔術だなんて、誰が予想していただろうか。
インデックスも、魔術だとは思っていなかったのだ。
10万3000冊の中にも載っていない、オリジナルの魔術。
それが『異能な力』ならば、神様の奇跡でさえ打ち消す魔術。
それは右手ではなく、上条の全身に秘められていた。
今思えば、あの魔術師に聞きたいことはまだまだあった。
何故、自分の魔術を打ち消せなくさせたのか。
何故、上条と上条に宿る能力を成長させようとしているのか。
何故、今になって幻想殺しの正体を話したのか。
そしてなにより。

何故、上条当麻に幻想殺しを宿したのか。

「――――――――――――とうま?」
ずいっ、とインデックスが超至近距離で顔を覗き込んできた。
「うわぁっ!?」
突然視界に入ってきた少女に驚き、上条は体を仰け反らせる。
「真剣に考え中失礼しましたなんだけど。とうまにも話に参加してもらいたくて」
「つーかカミやんの問題だから話に参加してくれないと始まんないんだぜい」
土御門は手招きしながら言う。
上条は外心やや迷惑、内心ややドキドキという感じで、インデックスを睨みながら、
「・・・・・・、わかった。で、話はどこまで進んでんだ?」
「君は他人に説明させるのが好きだね」
と、ステイルは呆れたようにふぅー、と煙草の煙を吐きながら言った。
「今は君の右手の能力について色々意見交換ってとこさ。ま、その魔術師の話を聞いた君が話に参
加した方が手っ取り早いからね」


「あくまで問題解決が優先なのな」
ステイルの言葉に不満を持ちながら、上条は話を聞く体勢に入る。
「で、とうまの右手が魔術だって話からだけど。私の記憶の中に竜王の結界を抽出する魔術なんて
なかった。魔術的痕跡も全く無かったし、成功例も聞いたことが無いってところから、魔術の線は
薄いって考えていたけど・・・・・・術式の痕跡はその力が打ち消しているのかも。一般に公開さ
れない魔術も数多く存在するのだけれど、そういう場合は魔道書に残すものだから」
「一回限りの『実験』にカミやんを選んだか。まだまだ解読されていない魔道書も数多くあるから
にゃー。そこんとこは本人に聞かないとわかんないぜい」
「でも竜王の結界を御する魔術となると・・・・・・並大抵の術式じゃ無理だね」
「・・・・・・、竜王の結界ってやつはそんなにすごいのか?」
「すごいも何も、魔術に応用すること自体が無理って考えられてたものなんだよ。あらゆる抽出術
式を打ち消してきたから」
「そもそも世界間の移動魔術自体、人智を超えてるからにゃー。一体何者なんだ、その魔術師」
「そうだね。空間移動系の魔術ならまだしも、世界の移動となると・・・・・・、応用するのも無
理かも」
「しかし何故、上条当麻に竜王の結界を宿したのか。その気になれば、他の人にも宿せただろうに。
超能力って線はないのかい?」
「その線は薄いかも。この前ひょうかが言っていたけど、とうまの右手は超能力じゃないって」
「カミやんは唯一、竜王の結界を宿せる器だったとか」
「器って・・・・・・、俺はそんな大層な人なのか?体力は中の上程度、頭脳は最悪って感じだけ
ど」
「器ってのは頭が良いとか、運動ができるとかが関係あるとは限らないんだぜい。要は適性、相性
が良いか悪いかの問題ってことですたい」
「うーん、よくわかんねぇな」
うーん、と4人は思考を内側に向ける。
ふと、上条は周りを見回してみた。
この世界に入ってからいろいろあったので、じっくり眺める暇が無かったのだ。
辺りに広がっていたのは、一面の砂地。
地平線もはっきりと見え、何もない。
まるで、砂漠のど真ん中にいる気分だ。
空は青く澄んでいて、所々に白い雲が見える。

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