とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 1-477

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匿名ユーザー

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プロローグ
かつてあれほど人々を苦しめたカラカラの夏空は去り、今では心地よい秋風の吹く背の低い空に変わっていた。夕焼けに染まる川に子ども達の声が響く河川敷。そのもう一段高いところ、真っ黒なコンクリートが敷き詰められた道をいかにも学校帰りですという感じの少年二人が歩いていた。
「しっかしなぁ・・・」
と声を出したのは金髪にブカブカのカッターシャツ。さらに遠くから見てもはっきりその人と認識できるようなサングラスを装着した少年だった。名を土御門元春。表の名はただの学園都市の一学生だが、裏の顔は学園都市とイギリス清教を結ぶマルチスパイ。
「言うな、土御門。分かりきってたことだろ」
半ば泣きそうな声で言葉を返すのは短い黒髪をツンツンに逆立てた少年。名を上条当麻。彼には表も裏もない。ただの一介の学園都市の学生だ。ただ、二つ。その右手にあまりにも異能である超能力を備えていることと、数ヶ月前から記憶喪失であることを除けば。
「いや、だけどにゃ~・・・その点数はないだろ?」
土御門の手に握られているのは『学園都市統一能力判定模試結果』と書かれた薄い紙。その紙面上、上条当麻という名前の左下にある、本来ならば成績レーダーグラフというものは何らかの伸びを示すものだが上条のは全く伸びがない。
知識面でわずかに棒となっている以外、全く波は穏やかであった。
「やかましいいぃぃ!!上条さんは今年の夏休みはドタバタしてたしし、学校が始まってからだって、大覇星祭の時だって病院で寝ていたんですよ~。点数は取れなくて当たり前なのだ!!」
「にゃはは。負け惜しみはいかんよ、負け惜しみは。俺だって大覇星祭の時は入院してたし、その後も色々ドタバタしたからな。条件は一緒のはずですたい。」
「うぐぐ・・・お?」
餌に飢えた獣のように歯を鳴らしていた上条は土御門のポケットがブルブルと震えているのを見た。そんな上条の越えに土御門もその振動に気がついたのかポケットからド派手に装飾された携帯を取り出した。ピカピカと緑色の光が主人に早く出ろ、とでも言いたそうに着いたり消えたりしていた。
「公衆電話から・・・・か。珍しいな」
不審がりながらも電話に出る土御門。スパイである彼にとって電話と言うものは非常に大切なものである。普通ならば見知らぬ番号なら出ないのが妥当だが彼はどこと通じているかすら分からないのだ。
「(いったい誰と話をしてんだか・・・)」
道を歩きながら久しぶりにみた土御門の横顔を眺めていた上条は唐突な土御門の大声に思わず肩をすくめた。

「なんだと!?」
それは半ば怒気混じりの問いかけ。誰に電話をしているのは知らないが相手は何か土御門が怒るようなことでもいったのだろうか?
「どうしてだ!!ローマ正教は今、人員不足で動けないんじゃなかったのか!?」
「っ・・・!?」
その言葉を聞いた時背筋が凍るような錯覚を上条は覚えた。ローマ正教。今まで何度も戦ってきた敵。グレゴリオ聖歌隊、アニャーゼ部隊、オリアナ=トムソンにリドヴィア=ロレンツェッティ。それら全てを上條達の活躍によって失っているローマ正教。あまり大々的に動けないとも言われていたあのローマ正教がいったい何をしたというのか。
「おい、土御門、その電話の相手って・・・・」
言い終わるよりも早く、土御門は周りに人がいないかを確認し、それを確認すると、手馴れた手つきで通話モードをハンズフリーに変更し。途端、携帯の受話部分から聞きなれた若い声が響いてくる。
「というわけで、僕は今・・・・」
「ステイル!!」
聞こえてきた声はイギリス清教、必要悪の教会(ネセサリウス)の魔術師ステイル=マグヌスの物だ。さきほどの上条の声が携帯に入ったのだろうか、一瞬向こうの電話の主は沈黙を続けると
「なんだ、上条当麻もそこにいるのか。ならば話は早い。いいかい、結論から言うよ・・・」
「あぁ~、待て、ステイル。電波が悪い。後で掛けなおすから今は電話切っていいか?」
言われて土御門の携帯の電波バーを見る。そこには何故か土御門の話とは裏腹に元気に三本のアンテナが並んで立っていた。首をかしげる上条に土御門が視線で合図する。「少し黙ってろ」と。
「あ・・・あぁ、問題はないよ。ただ、事は急を要する連絡は早めに頼むよ。」
「わーってるよ。振り払ったらちゃんと掛けなおす。」
「振り払う?・・・君は・・・」
ステイルの言葉を待たずに通話を切る土御門。やはり、上条にはその土御門の意図が分からない。振り払う?何を。
大事な話を何で後回しにする?
「土御門、何でステイルの電話を・・・・いっつ」
言葉の途中で無理矢理歩かされる上条当麻。何が何か分からないまま土御門に文句を言おうとしたその時、逆に土御門が上条の耳元で囁いた。
「尾けられてる。二人、いや三人か。恐らく透明になるような魔術か、気配を消してるんだろうが素人だ。魔力の臭いがが鼻につく」
「は?尾けられてるって誰にだよ?ローマ正教か?」
土御門は少し上条から口を離して、
「さぁ~にゃ。俺には全く分からないぜよ。」
と笑顔になって大きな声でそう言った。
「そうだ、カミやん。ゲーセンでも行こうぜ。やりたいゲームがあるんだぜよ」
そう言い、足早に去っていく背中を上条は困惑した表情で追いかけた。

何がどうなっているかは分からない。何故、自分たちが魔術師に尾行されているのかさえ。それにステイルの電話、ローマ正教。様々に絡み合う事象がなお上条の心を圧迫した。
だが、彼は知らない。これが学園都市を悲劇に落す始まりの晩鐘だたっということを。

                                      プロローグ 完

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