とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 1-480

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匿名ユーザー

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「んで・・・何でお前がいるんだ、ステイル」
追尾していた魔術師三人をわざと入り組んだ道を通って攪乱した土御門と上条はとりあえず土御門の提案で上条の家に行くこととなった。当初、上条は魔術関連ならインデックスが危ないと反対したのだが、土御門は
「今回はインデックスが必要なんだ。」
そう言っただけで結局それ以上重要なことは何も話さず、そうこうしている内に我が家へと帰還した上条だったのだが、どうも部屋が焦げ臭い。というより、なんか部屋から煙が出ている。んで、慌てて飛び込んでみたらそこには何故か
「ふぁー、ほふぁへりとうま(あー、おかえりとうま)、ほひくほひひひよ(お肉おいしいよ)」
口いっぱいに焼肉を含んだインデックスとひたすら目の前の女の子の為に肉を焼く魔術師の姿があった。何で、ステイルを勝手に部屋にあげて、勝手に肉食ってんだ、とも突っ込もうとしたがインデックスがあまりにも幸せそうなのでやめた。というよりも、肉を買うのならもちっと高いのを買ってくれ。肉がおいてある袋には『スーパー玉○、100g××円のお買い得商品』と大々的な広告が張り付いていた。
「遅かったな上条当麻。・・・お、土御門も一緒か。」
「にゃはは。なんだかお楽しみのところ悪いけど、こちらとしては電話の手間が省けて嬉しいねぇ」
にゃははは、と笑いながら肉を焼くステイルとひたすらに肉を食い続けるインデックスの間に鎮座する。仕方ないので上条も余っている席に腰を落ち着けた。安物の肉のやける微妙な臭いが鼻に入っては抜けていく。
「で、話ってなんだよステイル。ローマ正教が関係あんのか?」
その言葉にピクっと体を震わし、上条の方を見つめるインデックス。彼女はしばらくそのまま上条を見つめていたが、
次にはその視線はステイルに向いていた。その視線を受けてステイルは肉を焼いている火を止めると、小さく息を吐いて言葉を発した。
「さっきは話の途中で切られたから最初から説明するけど、一度しか言わないし、質問も受け付けない。真実をありのままに受け取ってくれ」
真実をありのままに受け取れ、その不吉な言葉に上条の喉が音を立てる。
「結論から言うと、学園都市と教会の戦争になる・・・と言えば分かりやすいかな」
「なっ!?」
思わず立ち上がり、座ったまま立ち上がった上条に対して目で威圧する。だが、引き下がってはおけない。
「どういうことだよ、ソレ」
言葉に覇気がない・・・と自分で分かる。それほどステイルの言葉は重みがあった。信じているわけではない。ただ、本物の魔術師に言われる言葉にはたとえ嘘であったとしても本当と思わせるような魔力がある。彼らは言葉を魔術として紡ぐからだ。言葉に対してステイルはもう一度、今度は深いため息のような息を吐くと、

「いいか、よく聞け、上条当麻。さっき君はローマ正教と何か関係があるのかと聞いたな。今回のこの事件、ローマ正教だけじゃない。ロシア・イギリス・ローマ・ギリシア・アンティオキア・アレクサンドリア・・・全ての教会が一冊の魔導書を、この学園都市にあると言われている魔導書を狙っている。土御門が驚いたのはローマ正教が動いたっていう事実にだけだ。君だって聞いたことぐらいはあるはずだ。悪魔の書

―ネクロノミコン

の名前ぐらいはね。」

「有り得ないよ!!」
今度立ち上がったのはインデックスだった。
その眼は驚きというよりも怒り。まるで親の仇でも見たかのようにステイルを睨みつけている。
「有り得ない。あの魔導書は伝説だよ。わたしの10万3000冊の中にもネクロノミコンだけは存在しない。あれはあってはならない書。伝説の中だけで伝えられてきた架空の魔導書でしょ?有り得ないよ!!」
言葉を聞いて眉をひそめたステイルは感情を押し殺したような声で続けた。
「僕も聞いたときは信じられなかった。しかし、あの悪魔の書が実在すると分かった以上、各教会が狙わないはずはない。間違いなく、学園都市にネクロノミコンを狙った魔術師たちが潜伏しているはずだ。」
「ちょ、ちょっと待てよ。学園都市には簡単に踏み込めないってお前、前言ったよな。」
「意味が違う。入り込むことはたやすい。ただ、学園都市と正式な取り決めがない教会が侵入した場合、他の教会も同様に侵入し内部で戦いが起こるだろう。」
言われて上条の頭の中に最悪の情景が巡っていく。
「まさか・・・いや、嘘だ。ありえねぇよ。何なんだよ魔導書一冊の為に戦争を起こすってのかよ!?」
「嘘じゃないぜぃ、カミやん。実際に俺達は尾行された。もう数百人単位の魔術師が入り込んでいると見て間違いない。今はまだ消光状態なんだろうが・・・いつ戦闘が起こるか分からないぜい。分かるだろ?それほどヤバイんだよ、ネクロノミコンって魔導書は。」
4人の間に長い沈黙が走る。上条の頭の中で様々な幻想が思い浮かんでいく。
ネクロノミコン。戦争。魔術師。たった一冊の魔導書。危機にさらされる200万以上の命。
「何なんだよネクロノミコンって・・・・何が書いてあんだよ」
ひねり出すような上条にインデックスは平静を装って答えてくれた。
「私もよく知らないけど、ネクロノミコンには『この世の終わりと始まりを繋げる魔術』が書かれてると言われてるの。この意味はよく分かってないけど・・・・伝説ではこの書はギリシアのミケーネ文明を滅ぼしたとも言われているし、ジャンヌ=ダルクが農民の身分でオルレアンを解放し、シャルル7世を励まして百年戦争に勝利したのもこの魔導書のお陰だといわれているの。だけど、そういうのはは全て伝説。結局、誰も分からないの。ただ伝説だけが一人歩きして魔導書になった。だから、言ってしまえばネクロノミコンは、本当は魔導書なんかじゃないかもしれない。けど、これだけは事実。ネクロノミコンは歴史を変えるような力を持ってる。歴史を変える悪魔の書。だから、誰にも渡しちゃいけない。世界が終わってしまう可能性があるの」
歴史を変える。世界が終わる。あまりにもスケールが大きすぎて想像出来ないし、したくもない。たった一冊の魔導書にそんな力があるなんて信じられない。
「今更信じられないってのはナシだぜ、カミやん。俺達は『使徒十字』を知ってるだろ?アレだって十分信じられないものだが効果は絶対だ。まぁ、発動されなかったから実感は湧かないだろうけどにゃ」
「っ・・・・」
何がなんだか分からなかった。否、分かっているのに分かろうとしない。夢だったらいいのにという甘い幻想。
「方法は・・・ないのか?」
だからこそ聞いた。世界を敵に回してでもこの戦争を回避できる方法があるのなら、これを自分の悪夢ですませることができたなら。結局、他人の幸せは守れた事になるのだから。

「正気かい?僕は今回ばかりは君の手に負えないから学園都市を出ろ、と言いに来たんだけどね。戦争は魔術師の仕事だ。」
「ふざけんな!ここまで知らされて逃げることなんてできるかよ!!」
胸の中が燃えている。ここまで知って逃げることなんてできるはずがない。拳を握る。
「俺が止めてやる。戦争なんてくだらない真似はさせない。たとえ、ステイル。お前が戦争に参加して学園都市をめちゃくちゃにするってんなら、今、ここで止めてやる。お前だってイギリス清教の魔術師だろ」
右手を座っているステイルに突き出す。それを
「ふぅ」
と間抜けなほど軽い溜息で返された。


「やめておくよ。ソレに僕はもうイギリス清教の魔術師じゃない。」


あまりにも明るい口調に上条は拍子抜けし
「なんだ・・・イギリス清教じゃない・・・って、えぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!?」
上条だけじゃなく土御門やインデックスまで声を上げていた。ほんと、どうなってんだろいったい・・・。

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