翌日。週末で学校は休み、そして怪我の療養ということで風紀委員の仕事も無くなった黒子は、昨日の現場まで来ていた。
見たところ、変わった様子も無く……黄色いKEEP OUTのテープが張ってあるくらいで、特に何も発見出来る物は皆無だった。
見たところ、変わった様子も無く……黄色いKEEP OUTのテープが張ってあるくらいで、特に何も発見出来る物は皆無だった。
「ありゃ、白井じゃねーか」
きょろきょろと見回していると、最近聞いた声に呼ばれて黒子は後ろを振り返った。
「貴方は……」
「怪我大丈夫だったか?」
「怪我大丈夫だったか?」
手を振り近付いてくるのは上条当麻だった。至って普通に接してくる上条に、黒子は反応に困る。
「昨日のあれは何ですの?」
「あれ? どれだ?……ごめんごめん、金属矢はナシで」
「あれ? どれだ?……ごめんごめん、金属矢はナシで」
調査中の現場を眺める二人の間に訪れる沈黙。
「……『風紀委員』として、事情聴取を行います」
「げ、だが断る」
「貴方には拒否権も黙秘権もありませんの。さっさと白状すればいいんですの」
「嘘……だろ……」
「げ、だが断る」
「貴方には拒否権も黙秘権もありませんの。さっさと白状すればいいんですの」
「嘘……だろ……」
肩を落とし、上条は溜め息を吐いた。
「何から説明しろっていうんだ?」
「そうですわね……」
「そうですわね……」
顎に手を当てて質問を考える。怪人のこと、変身したこと、時空の歪み。考えを巡らせれば巡らせる程質問が浮かんでくる。ある程度纏めた上で、結局は、
「全部ですの」
「帰っていい?」
「帰っていい?」
足元に金属矢を飛ばすと間一髪で避けられて、上条の悲鳴が上がった。
「昨日の怪人?」
「まずひとつ目ですわ」
「まずひとつ目ですわ」
所変わってとある公園のベンチに二人は並んで座っていた。手には近くの屋台で買ったドーナツがあり、先程喋るフェレット人形すげぇとはしゃいできた。
「古代生命体グロンギ。『クウガの世界』の怪人、だそうだ」
「はぁ……」
「…頭おかしい奴とか思ってるだろ」
「いえいえ、お気になさらずに続けてくださいな」
「はぁ……」
「…頭おかしい奴とか思ってるだろ」
「いえいえ、お気になさらずに続けてくださいな」
妙に納得のいかない上条だが、言われた通り話を続ける。
「なぁ白井。もしこの世界が崩壊に向かってるとしたらどうする?」
「? それはもうお姉様といちゃいt」
「質問が悪かった。世界が崩壊に向かっていて、この世界とは別の世界がこの世界と融合しだした、ならどう感じる?」
「? それはもうお姉様といちゃいt」
「質問が悪かった。世界が崩壊に向かっていて、この世界とは別の世界がこの世界と融合しだした、ならどう感じる?」
スーパークエスチョンタイム。日本語でおk。
「いやぁ、なんか俺に『仮面ライダー』になって崩壊を止めろ、って変な兄ちゃんに言われてさー」
「騙されてるんじゃありません……と思いましたが昨日のは本物なんでしょう?」
「ああ」
「騙されてるんじゃありません……と思いましたが昨日のは本物なんでしょう?」
「ああ」
もしもドッキリや特撮番組の撮影なら外部の人間には怪我をさせようとはしない。むしろ相手は殺る気満々でしたが何か。
「いきなり言われたって戸惑うだけだよな……」
「…はい」
「…はい」
上条は自分が出会った青年について、少しだけ話すことにした。
突如として上条の前に時空の歪みが現れ、その中に引きずり込まれた。その歪みは右手の『幻想殺し』で打ち消せなかったのがはっきりと覚えている。
「あなたが上条当麻ですね?」
「あ、あぁ。ダリナンダアンタイッタイ」
「あ、あぁ。ダリナンダアンタイッタイ」
暗闇に包まれた虚構の街。虚数学区とも違う、何か異質な存在。辺りを見回していると、背後から声がして振り返ると、青年がいた。
「僕は紅渡。あなたには『仮面ライダーディケイド』となって、あなたの世界を守ってもらいます」
「は?」
「あなたの世界は今、他の世界と融合を始め、証拠に違う仮面ライダーの世界の怪人達が現れています。融合を食い止める為にあなたはディケイドとなって、融合の原因を見つけ出して全ての世界を救って頂きたいのです」
「は?」
「あなたの世界は今、他の世界と融合を始め、証拠に違う仮面ライダーの世界の怪人達が現れています。融合を食い止める為にあなたはディケイドとなって、融合の原因を見つけ出して全ての世界を救って頂きたいのです」
ただ淡々と告げる、紅渡と名乗った青年の言葉を理解することが困難な上条の頭は既に容量不足。
「さっきから聞いてりゃ『仮面ライダー』だの『世界の融合』だの、俺は忙しいんだ!そんなことしてる暇なんか無い!」
「そこにドライバーとライドブッカーがあるでしょう?それさえあればイケます、大丈夫です」
「いや、話聞けよ」
「そこにドライバーとライドブッカーがあるでしょう?それさえあればイケます、大丈夫です」
「いや、話聞けよ」
では頑張って、の労いの言葉と共に、次元のオーロラから弾き出された。そこでいつもの叫びが上がり、虚しさ全開上条さーん。
「長いですの。三行で」
「全てを
破壊し全てを
繋げ! 」
「全てを
破壊し全てを
繋げ! 」
最早黒子は聞き飽きた感全開である。話し飽きた上条がつっこむのは野暮といったところか。
「ということで俺は帰っていいですか」
「怪我してる乙女を置いていくんですの?」
「元気いっぱいアンパンマンじゃねーか!」
「怪我してる乙女を置いていくんですの?」
「元気いっぱいアンパンマンじゃねーか!」
金属矢をちらつかせられ、上条の背中に嫌な汗が伝う。仕方無く溜め息を吐き、ベンチに座り直す。
「具体的な例はあのグロンギ、ということでいいんですわね?」
「みたいだな。…他にも色々とやって来そうなんだが……ドライバーとかのお陰でわかってしまうなんて便利!」
「それはSSだからですの」
「ですよねー」
「みたいだな。…他にも色々とやって来そうなんだが……ドライバーとかのお陰でわかってしまうなんて便利!」
「それはSSだからですの」
「ですよねー」
とっくの昔にドーナツを食べ終えてしまい、口の中が甘ったるい。何か飲み物を、と上条は近くの自販機まで買いに行ってしまった。
(仮面ライダーディケイド……)
ベンチに座ったままで、自分の足が着いている地面を見つめ、黒子は思いを馳せる。これから先に何が待ち受けるのか。
学園都市に吹く風が心地よかった。
学園都市に吹く風が心地よかった。