雨上がりの空、地平の向こうに掛かる虹がはっきりと見える。しかし、誰もそれを気にかける者はおらず、『風紀委員』『警備員』の合同会議中の貼り紙がされた扉の向こうの大ホールは騒然としていた。
「先日から頻発している『人間灰化事件』ですが、原因究明を急いでいる最中です。もし何か情報を手に入れた場合は、即刻私に通達してください」
壇上の最高責任者が、学園都市の風紀委員・警備員全員に命じた。これほどまでに大規模な会議なのには理由があった。
未確認生命体やファンガイアの活動や報告は皆無であり、『風紀委員』に復帰した黒子は今の落ち着きに安らいでいた。
「はぁ…平和ですわ」
「つい先日までは連続して怪人が出現したりで大変でしたから……」
「つい先日までは連続して怪人が出現したりで大変でしたから……」
第一七七支部に備え付けられたPCを弄り倒す初春が黒子の呟きに答えた。彼女も仮面ライダーと未確認生命体の戦闘の目撃者だが、距離が離れ過ぎていた為に詳しいことはわからないままなのである。
「あれ?」
「どうしました?」
「これ見てください」
「どうしました?」
「これ見てください」
気になる何かを初春が見つけたようで、黒子は彼女の椅子の後ろからディスプレイを覗き込める位置へ移動する。薄型の液晶に映るのは、背景が薄い灰色にの黒い文字、匿名掲示板のスレッドのひとつ。学園都市の都市伝説Part9スレと銘打たれている。
「んなオカルトな…」
「まあまあ、気にしたら負けですよ」
「そうですわね」
「これです。ここ」
「まあまあ、気にしたら負けですよ」
「そうですわね」
「これです。ここ」
目の前をゆらゆら揺れる花が邪魔だったので後ろの方に飛ばしておいた。空いた椅子を陣取り、スレを読み進める。
「人間灰化……?」
そこには、こう書かれていた。
灰色の体の怪人に襲われた人間は、一部はその怪人の仲間になり、なれなかった人間は灰になって消滅する、と。
勿論、そんなことを出来る能力者は学園都市には居ない。だが、都市伝説と言われているだけあってか、胡散臭さ全開と黒子は呆れた目つきで下にスクロールする。
灰色の体の怪人に襲われた人間は、一部はその怪人の仲間になり、なれなかった人間は灰になって消滅する、と。
勿論、そんなことを出来る能力者は学園都市には居ない。だが、都市伝説と言われているだけあってか、胡散臭さ全開と黒子は呆れた目つきで下にスクロールする。
「証拠に写真もうpされてるんです」
「どうせ合成の類じゃありませんの?」
「解析した結果、本物だったみたいです」
「何を根拠にそんなこと……。でもまぁ、最近の事案もありますし、頭の片隅にでも置いておきましょうか」
「どうせ合成の類じゃありませんの?」
「解析した結果、本物だったみたいです」
「何を根拠にそんなこと……。でもまぁ、最近の事案もありますし、頭の片隅にでも置いておきましょうか」
部屋の電話が鳴る。二人は緊張に体を強ばらせ、部屋の奥に居た固法美偉が通報の知らせを受けた。
「未確認生命体が出現したそうよ。…白井さん」
「…わかりましたわ」
「…わかりましたわ」
太もものホルスターに金属矢を装填し、PCの前には再び初春が就き、黒子は支部を文字通り『飛び出した』。
柵川中学の校門の先へと空間移動し、正規の道を使わず空中から空中へと跳び、現場へ急行するのだ。
柵川中学の校門の先へと空間移動し、正規の道を使わず空中から空中へと跳び、現場へ急行するのだ。
『そこを東に30メートル行った先にあるコンサート・ホールが通報場所です』
「了解ですの」
「了解ですの」
三次元座標を十一次元座標に置き換えて演算し、その場へと着地する。
「何もありま…あら?これは……」
『どうしました?』
『どうしました?』
ヘッドセットから初春が説明を求めた。
周囲に人影は無く、静寂に包まれているというところだ。しかし、奇妙なものがあった。
周囲に人影は無く、静寂に包まれているというところだ。しかし、奇妙なものがあった。
「初春、先程の『人間灰化』はあながち間違いでは無いのかもしれませんわ……」
いくつか点在する灰の山。未確認生命体の出現で、先日は怪我人が多数出たのだが、今日は違った。
人気すら無いのだ。その代わり、人が居たと思しき感覚距離に灰の山があるのだ。
人気すら無いのだ。その代わり、人が居たと思しき感覚距離に灰の山があるのだ。
「…上条さんなら、何か知っている筈……」
風が吹き灰が流れ行く。黒子の口からは自然と上条当麻の名が零れた。