【初出】
禁書SS自作スレ>>943-949
禁書SS自作スレ>>943-949
「棒倒しにはアイツがでるのよね。」
学園都市に7人しかいない最強の能力者[超電磁砲]の御坂美琴は手に持ったプログラム表を見ながらつぶやいた。
学園都市に所属する学生すべてが参加する超ド級の体育祭イベント[大覇星祭]
7日間連続で行われ、学園都市の各学園をそれぞれの会場にさまざまな競技が行われる。
それだけ聞くと普通の体育祭のようだが、そこは学園都市、多種多様な超能力の使い手である学園都市の生徒が参加する体育祭なので、
競技に自分の超能力を使用してもよいのである。
一般的な[念動力]や[読心術]、[発火]に[肉体強化]などなど、それこそ超能力のオンパレードだ。
当然、その強力な能力のせいで毎年けが人は耐えないのだが、学園都市が外部の人間を中に入れる貴重なイベントでもあり、けが人も死人
にならない程度ならと黙認されている。
美琴の能力はレベル5[超電磁砲]
学園都市屈指の破壊力の持ち主だが彼女のように強力な能力の能力者は干渉値が「5」以上を出す能力は使用できないというルールがある
。
そりゃそうだ、規格外の[幻想殺し]を持つあの少年なら遠慮なくぶっ放せるのだが、さすがに一般の生徒に[超電磁砲]クラスの能力は強
力すぎる。
「んっと、あいつの学校は一番手ね・・・・対戦相手はっと・・・」
プログラム表の棒倒しの欄には上条当麻の所属する学校の名前とスポーツ重視のエリート校の名前が書いてあった。
これは普通にやったら、大変そうねーと美琴は上条当麻のいるグラウンドに目を移し、ババッとプログラム表の出場学校のプロフィールを
穴が開くぐらいの勢いで見た。
プログラム表には彼の所属する学校は極めて一般的な個性の無い学校・・・のような事が書いてあるのだが。
もういちどグラウンドに目を移し美琴は
「はい?・・・」
と自分の目を疑った。
目を向けた先には
本物の猛者がいた。
◇◇◇
その一団はやたらと威圧感を放っており、その周辺の空気だけ他の空間との温度差で蜃気楼でも起きそうなくらいプレッシャーを感じる
。
上条当麻を中心に全員が軍隊のようにピシ!!っと整列しており、体制は胸を張って休めの体制だった。
上条当麻はその一団の前をゆっくりと威圧的に歩いている、まるで軍隊の鬼教官のようだ。
棒倒しというか、これから戦争に行く精鋭部隊か戦国時代の武士の集団のように見える。
所々に立てられた棒倒しの棒が戦国武将ののぼりにしか見えない。
そのうえ、ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴという低い効果音が彼らの周りだけに鳴り響き、取材のTVカメラも怖くて近寄れない。
彼らの持つ超能力の余波がぶつかり合って生む音だが、
(・・・・・・・・)
あまりの迫力と威圧感に美琴は声も出せず
(あいつ、まさか本当に勝つつもりなの、こんなところで無駄にカリスマ性発揮してんじゃないわよー!!あんた私に勝って罰ゲームで何を
要求するつもりなのよー!?)
上条当麻の一団の士気が異様なのは彼らの担任の小萌先生のエピソードが伝わってるだけなのだが、美琴にはそんなことはわからなかった
。
上条当麻に負けた場合の罰ゲームを想像し美琴が赤くなったり青くなったりしてるの美琴の前で開戦前のパフォーマンスが始まった。
ますます戦国武将っぽい。
◇◇◇
対戦校のエリート校は完全にこちらを格下だと思ってるのがミエミエな
「胸を貸してやるからせいぜいがんばりな」
的な事を言っていた。
が
上条当麻率いる一団の面々は休めの体勢のまま、微動だにしない。
エリート校の代表選手がその不気味な迫力に押される様に自分の陣営に戻っていくと上条当麻は仲間達の前に立ち、その一団と向き合うよ
うに敵校に背を向けた。
うに敵校に背を向けた。
その背中には「生きて帰れると思わないことだ」という言葉が何も喋ってないのに、耳に叩き込まれていく。
大きく息を吸い、大きく吐く。
とんでもない大音量で叫び始めた。
『あいつらは最もしてはならない事をした!!それは何だ!!青髪ピアス言ってみろ!!』
指名された青髪にピアスをつけた少年は大きく胸を反らし
『僕らの大切なモノを傷つけたことやー!!』
当麻に負けないほどの音量で叫び返す。
『ならばこの傷はどこに返せばいい!!、土御門!!言ってみろ!!』
金髪に青いサングラスをかけた少年は先ほどの少年と同じように
『当然、我らが敵だぜぃ、生きて帰さないぜぃ』
唖然とする美琴や他の観客と驚く対戦相手の一団
大音量なのはおそらく誰かの能力で空気のレンズのような物を作って本来の音量を増幅してるのだろう。
一団の士気は最高潮に達した。
◇◇◇
『野郎ども!俺達の特技はなんだっ!?』
『『『『『殺せっ!!殺せっ!!殺せっ!!』』』』』
『この試合の目的はなんだっ!?』
『『『『『殺せっ!!殺せっ!!殺せっ!!』』』』』
『俺達は学校を愛しているか!?
小萌先生を愛しているかっ!?クソ野郎ども!!』
小萌先生を愛しているかっ!?クソ野郎ども!!』
『『『『『『『ガンホー!!ガンホー!!ガンホー!!』』』』』』』』
『よし!!いくぞ!!』
『『『『『『『オオオオオオオオオオオオオ!!』』』』』』』』
上条当麻とその一団のパフォーマンスが終わると試合開始の笛がピーーーっと甲高い音を上げ猛者達は戦場に解き放たれた。
◇◇◇
棒倒しには2つの役割がある、それは能力の飛び交う大覇星祭の棒倒しでも変わらない。
すなわち
[相手の棒を倒す役]と[自軍の棒を守る役]
当麻の選んだのは前者、つまり[攻撃]だ。
前進あるのみ、試合開始の合図と共に敵陣目掛けて猛ダッシュを開始する。
彼の後に攻撃に参加する他の生徒が続く、どの生徒の目にも赤い紅蓮の炎が宿っていた。
「おおおおおおおおおおっ!!」
叫びながら全力で駆け抜ける。
実際には叫ぶと力が抜けるのだがそんなことは知ったことではない、気合が欲しいのだ。
たかが棒倒しでと思うかもしれないが
ここは超能力万歳な学園都市で
行われるのはその全学生が参加する大覇星祭である、火、水、土、風、雷、その他諸々何を飛ばすか分からない能力者同士が100人規模
で激突するのだからその意気は計り知れない。
で激突するのだからその意気は計り知れない。
キラキラキラ
敵の陣営から無数の閃光が瞬く
カメラのフラッシュのようにも見えるが、生憎と違う。
敵の能力者による遠距離攻撃だ。
火炎か爆発系の能力を使った爆圧、さらに弾丸上状加工するために圧力系の能力を使って透明な壁で覆っているはずだ。
外側の壁が太陽の光を屈折させる為キラキラと照り返して見えるのだ。
自分達の背後からも迎撃の為に遠距離攻撃が開始され当麻達を掠めて敵の攻撃と激突する。
暴風 砂煙 観客席からの歓声と悲鳴
ちらりと観客席に目を向けると、心配そうな顔をしている常盤台のレベル5が見えた気がしたが、舞い上がる砂煙に巻き込まれ目を閉じる
。
こりゃ余所見してるとあの世行きだな。とか思ってると
隣に青髪ピアスが並んでいた。
「さぁさぁ、カミやん、あのお高く止まった腐れエリートどもが放つ、あの二枚目オーラ、このお笑い担当の私めが見事木っ端微塵に打ち
砕いてあげましょう!!」
そんな台詞を大声で吐きながら、敵陣目掛けてバシュっと超高速で突っ込んだ。
「ふははははははははは!!やらせはせん!!やらせはせんぞ!!」
ダン!!バシュ!!ゴッ!!バシュー!!
文字通り目にも留まらない速さで敵陣をかき乱す青髪ピアス
「あれ?あいつ強いな?」
「にゃー、カミやん、大質量の念動力の槍とかを右手だけで軽く防いでる人間が言ってもアレだぜぃ」
「お前は何で俺の背後に隠れてるんだ・YO!!」
あくまでも背後をキープし金髪サングラスは
「にゃー、カミやんの背後が滅法安全だからだぜぃ、土御門さんの能力は[自動再生]
戦闘向きじゃないんだぜぃ、それに俺の魔法名は[背中を刺す刃]なんだぜぃ」
戦闘向きじゃないんだぜぃ、それに俺の魔法名は[背中を刺す刃]なんだぜぃ」
「ぐぁぁぁぁ!!は・な・れ・ろぉぉぉぉぉぉ!!絶対に背後取られちゃならんやつがここにいたぁぁ!!」
背後に隠れる土御門をがんばって振りほどこうとするが飛んでくる念動力の矢とか火の玉とかを防ぎながらなので一向に離れない。
「上条当麻!!貴様、真面目にやりなさい!!」
吹寄制理の怒号で2人はそそくさと戦場に舞い戻った。
◇◇◇
「はっ!!」
あんまりといえばあんまりの試合内容に美琴は半ば意識を失っていた。
あんまりといえばあんまりの試合内容に美琴は半ば意識を失っていた。
(なにあの頑丈さ・・・四方八方から飛んでくる攻撃を軽々と弾いてたわよ)
実際は結構キワどいタイミングなのだが、本人にしか分からないことだ。
(・・・ってアイツ、結局防ぎきれなくて集中放火喰らってたわね、200人ぐらいに)
怪我もしてたようだしー、と美琴はあらかじめ用意しておいた小さな救急箱を持ち上条当麻のいるテントに駆けていった。
上条当麻のいるテントはさきほどの武勇伝を語る学生でいっぱいになっていて、しかも不幸なことに
保健委員が救急箱片手に怪我人に消毒やら包帯やらを処置していたが、人数が多すぎるので軽く30分以上はかかりそうだった。
「不幸だ・・・」
日差しが暑いのも、喉が渇いたのも、傷が痛いのも全部不幸のせいだ、とかいいつつテクテクとテントを出て木の陰に座り込み保健委員か
ら強奪してきた消毒液を手に取り・・・
「これかけると痛いんだよなきっと・・・・でもかけないと化膿するかもしれないし・・・でも痛いし」
とか迷って消毒液を縦にしたり横にしたりすること10分
不意に自分の視界が暗くなった。
木陰にいるのでもともと暗いのだが、とか思って顔を上げると目の前に御坂美琴がいた。
しかも結構な至近距離で。
鼻と鼻が擦れ合うぐらいの距離で目が合い、2人とも
「「うわ!びっくりした」」
完全にハモった。
◇◇◇