とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 1-960

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匿名ユーザー

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◇◇◇

 大覇星祭の実行プログラムと付属の大会中の催し物会場が案内されている学園都市マップを見比べながら上条当麻はつぶやいた。

「通行止めの箇所が多いからさっさと移動しないといけないよな、次の競技場はあっちか」

自分の隣を歩いている金髪の少年に同意を求める

が金髪の少年は道なんてどうでもいいと言った感じで

「にゃー、カミやんは今日もフラグ立てまくりだにゃー、流石は[旗男]の異名を持つだけのことはあるぜぃ」

「なっ!失礼な!この上条当麻、神に誓ってもそのようなこと――――・・・・・」

金髪サングラスの少年は勢いを失われていく当麻の言葉を聞き、しきりにウンウンと頷いてる。

突然「棒倒しの後(ぼそ)」耳元で囁かれた。

―ビクゥ!!―と高速で土御門元春(つちみかどもとはる) の視線から目を逸らし上条当麻の心臓はバックンバックンだった。

(ちょ、こいつもしかして美琴と一緒に居たところ見てやがったのか)

いまや金色の悪魔と化したかつての親友は言葉巧みに上条当麻の精神に言葉のジャブを打ち込んでくる。

「消毒液でトントン♪」とピンセットと脱脂綿で傷を消毒ジェスチャーをする。

「カミやん病やね――僕らが小萌センセーの名誉を守る為に奮闘したあの戦いの後で、カミやんは女の子とラブラブですか」

左側に歩いてた青髪の少年が会話に参加する。

青髪の悪魔も現れたようだ。

(よりによって、一番ばれてはまずーいやつらにバレテマスよ・・・・)

2人の悪魔はは上条の両サイドに立ち、例の治療イベントの再現をやっていた、金髪が上条当麻役で青髪が御坂美琴役らしい

自分の行動や言動を他人に真似されるほど腹が立つことはない、ましてやそれが甘酸っぱい青春の1ページ的な事ならなおさらだ。

上条当麻は自分の右手を見て思う。

この右手[幻想殺し]は、異能の力ならたとえ神様の奇跡だって打ち消せる。

魔術であろうが超能力であろうが形の無い呪いのようなものであろうが例外は無い。



だから―――まずはそのふざけた[妄想]をぶち殺す!!



ガシガシと2人に殴りかかっていくと

「ちょっとカミやん、待つんだぜぃ――俺らは別にからかってるわけじゃないんだぜぃ」

「そうなんよ、親友として友人の恋愛成就を祈ってるベストフレンドなんよ、ボクらは」

「お・ま・え・ら・が言うなーーーーー!!」

右手を大きく振りかぶり、いち早く離脱しつつある土御門を無視し、青髪ピアスの少年目掛けて

必殺の[幻想殺し]を打ち込む―――はずだったが

突然、目の前の視界が高速でブレた。

――――否、持ってかれた。

横合いの歩道から全力で駆け抜けてきた美坂美琴に服の襟首をガシッ!!と掴まれ

「おっしゃーっ! つっかまえたわよ私の勝利条件!わははははー!!トップは渡さないわぁぁぁ!!」

「ちょ、待って・・・苦じィ!ひ、ひと言くらい説明とかあっても・・・・ッ!!首がっ! って美琴、息できないから放せってのぉぉ、いやぁぁぁぁああぁぁ、急旋回はさらに首がしまるぅぅっぅぅ」

キキィ!!とか効果音をさせながら角を曲がり音とあっという間に見えなくなった。

「噂をすればやね、カミやん幸せになるんやよ――南無」

「カミやーん、平穏に過ごすってのは、カミやんには一生無理そうだにゃー」

上条当麻と御坂美琴が消えた方向に2人の親友はそんなことを叫んでみた。

◇◇◇


 ボロ雑巾のようになった上条当麻は美琴ととも競技場に入り、先を走っていた女子学生をあっさりと抜き去りゴールテープを切った。

先ほど上条が棒倒しを行ったようなグラウンドとは違い、アスファルトを敷いた陸上競技場に使う公式競技場だった。

客席もスタジアム状になっており、報道用のカメラや警備に当たる人数も多い。

運営委員の高校生がゴールテープを切った美琴に大き目のスポーツタオルを頭からかぶせた。

美琴から少し遅れて2着の女の子もゴールする。

他の選手は大分遅れているらしく全員到着するまでは競技トラック中の芝生で待機してくれと伝えられた。

(なんだ・・・この場違いオーラは・・・運営委員もやたらとテキパキしてオリンピックのトレーナーみたいだし)

運営委員の高校生の一人が上条をジロジロと見てきた。

テクテクと歩いてきて上条に小声で話しかけてきた。

「・・・・(上条当麻、貴様よっぽど女の子に縁があるようね!)」

「・・・・(はぅ、どっかで聞いた事のある声に上条さんは怯え隠せません、ガクブル)

運営委員の顔を見ると間違いなく吹寄制理だった、日差し避けに青いサンバイザーを付けて、上条のものと同じ体操服に短パン、その上に[大覇星祭実行委員]
と書かれたパーカーを羽織った吹寄制理は上条のセリフに、ピク!っと一瞬動きを止めたが仕事中だからと言って上条から離れていった。

背後で美琴が軽く不機嫌そうだったのだが上条にはまったく見えてない。

吹寄から開放された上条はここまで上条を連れてきた美琴の方に振り返って

「美琴。優しい優しい上条さんは見ての通り汗だく+ふくらはぎ辺りがパンパンになるまで走らされたわけですが、ルールには第三者の了承を得てつれてくるように、とあるようだが
目の錯覚ですか?」

「あーあー、錯覚錯覚、っつか事後承諾は駄目とは一言もかいてないじゃない。」

「だぅ・・・」

「疲れきった感じで座り込もうとしない。ったく、だらしないわね。」

美琴は自分の被っていたスポーツタオルを上条の頭に被せると

「ほら、じっとしてなさいよ、暴れない、じっとする!!」

わしゃわしゃわしゃー、と上条の顔や首筋の汗を乱暴に拭っていく。

上条も最初は、うわ、いきなりなにすんだ、みたいに手をばたつかせていたが、美琴の強引な力加減に負けて黙って身を任せることにした。

「はい、これでいいでしょ、汗もすっきり。」

そして手に持ったストローつきのスポーツドリンクに口をつけ、喉を鳴らして飲み始めた。

「じーーーーー」

「な、なにっ?あんまりジロジロ見ないでよ、この」

上条の視線は美琴の右手にあるドリンクに集中していた。

美琴はドリンクを手渡そうとして、一瞬止まり少し考えて吹寄に目配せをした、続いてドリンクのボトルを軽く左右に振る。

競技記録をクリップボードに書き込んでいた吹寄は美琴とドリンクを交互に見て、両手を使って×の字を表現した。

1人1本と規則で決まってるらしい。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

美琴はしばらくそのまま固まっていたが数秒ほどすると上条の方に向き直り、

「はい、これでも飲んでなさいよ、喉渇いてるんでしょう!ほら!!」

「ちょ!!刺さる!!目に刺さる!!」

ぐいいいいいい!!っと上条の顔にドリンクのボトルを押し付けてきた、ストローの角度が丁度上条の目に刺さりそうになってるが彼女は見ていない。

顔を真っ赤にした美琴は上条から離れて表彰台に向かって歩いていった、個人競技では3位までは表彰してもらえるのだ。

その様子を見ていた吹寄がチッ!っと思いっきり軽蔑の意を込めた舌打ちを鳴らしたが、他の選手の世話もあるらしくその準備に向かっていった。

当然表彰されるのは美琴だけで、上条はこの競技の選手ではなく美琴に借りられた物としての扱いなので表彰なんてされるわけ無い。

美琴の競技が終了すれば用済みなので出口に向かうだけなのだが

ふと美琴の借り物がなんだったのか気になって近くに居た吹寄に聞いてみた。

「なぁー、アイツの借り物ってなんだったんだ?」

吹寄はムッとした表情で自分のパーカーのポケットを漁りくしゃくしゃになった紙切れを上条に渡して去っていった。

(なっ・・・・)

紙切れには[第一競技を行った高等学生]と書いてあった。

(お、俺以外にも条件一致するやつらなんて10万人以上いるんじゃ・・・なんで俺・・確かに美琴は棒倒しの後に手当てしてくれたから
棒倒しを見ていたってことなんだけど・・)

ズーンと今になって疲労が圧し掛かり上条当麻はトボトボっと美琴に渡されたスポーツタオルとドリンクを持ったまま競技場を後にした。

◇◇◇

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