とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-806

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匿名ユーザー

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「ミサカ、巫女と美琴」
(第4話その1)

御坂美琴と姫神秋沙そしてミサカ10032号が魔術師五和と激闘を繰り広げた日曜日の
午後、遊園地クラウンパレスを鼻歌交じりに闊歩する見た目10歳の少女(幼女)がいた。
見事なアホ毛をそよ風になびかせて歩く少女はすこぶる上機嫌だった。

「フッフフン、フッフフン、フッフッフーン。
 あーっ、今日は楽しかった!
 お姉様(オリジナル)のスーツが傷ついたのは意外だったけど、ミッション大成功で
 ミサカの幸せ指数は17ポイントアップのはなまる急上昇!
 次はウォーターパークで事件を起こしてくれないかな、天草式の人達。
 そしたらミサカの幸せ指数はさらにドドーンと2倍増って感じなのに
 ってミサカはミサカは毎日こうだと良いのになって神様にお願いしてみたり」

園内に流れる軽快な音楽は耳に心地よく、時々聞こえる「キャ──────」という歓声
もウキウキした気分を盛り上げてくれる。
すこぶる上機嫌の打ち止めであったが手を繋いだ高校生のカップルとすれ違った時、その
足はなぜか止まってしまった。
打ち止めが無意識に見上げた右横には雲一つない秋空が広がっている。

(あン?なに人の面(つらァ)見上げてンだァ?このくそガキ!)

そう悪態をつきながら打ち止めの髪の毛を左手でグシャグシャにかき乱す人物はそこには居ない。
判っていたはずの現実を前に打ち止めは憂いを帯びた表情を見せる。
(あの人が一緒だったらもっと楽しいのに……………………)
その表情が妙に大人っぽく見えるのはさすが御坂美琴の体細胞クローンといったところだろう。

「……………………なぁ──んってね!
 クヨクヨ悩んだって仕方ないし今日は思いっきり楽しむぞぉぉぉぉおおおお!
 ってミサカはミサカは明るく前向きに今この瞬間を楽しもうって考えてみる」

打ち止めは意外と立ち直りが早かった。
どうやらミッション後の自由時間は全力で遊び倒すことにしたようだ。
もっともミッションの最中からずっと大はしゃぎしていたはずなのだが…………

「ミサカは遊んでるばかりじゃないよ。ちゃんとお仕事だってしてるのに
 ってミサカはミサカは10032号にまるで穀潰しのように思われていることに憤りを
 露わにしつつさりげなく独り言を呟いてみる。
 そうそう、お仕事といえばお姉様(オリジナル)のスーツがあっさり切り裂かれたのは問題よね。
 やはり耐刃性能の大幅UPと新機能の追加を開発部に頼んでおかないとね。ふふふっ
 っと言う訳でお仕事タイムはお終い!
 おおっ!これが学園都市自慢の高さ100mの大観覧車なのね
 ってミサカはミサカはその大きさに感動・感激・大絶賛してみる」

同時刻、そこから北に100mも離れていない場所には1人の不機嫌な少年がいた。
右手で杖をついた白い服の少年は左手に持った携帯電話に向かって悪態をついていた。

「あァン?だからなンでオレがこンなくっだらねェ所に来なきゃなンねェンだよ!」
「聞こえなかったのか?
 そこには今学園都市の警戒網をくぐり抜けた魔術師達が潜伏している」
「わざわざ学園都市に潜り込ンでこンな子供だましの遊園地にくるなンざァ、魔術サイド
 にはロクな娯楽もねェのかよ!」

「嫌みを言うんじゃない。
 そこには今学園都市の依頼で動いているイギリス清教の魔術師達もいる。
 奴らはそれを偵察に来たローマ正教下部組織のエージェントだ。
 そいつらをそこから排除するのが今回の仕事だ」
「めンどくせェ!ここには良い魔術師と悪い魔術師がいますってかァ?
 俺に任せるってこたァ、オレのやりたいようにやっていいってことだよなァ?
 いいか!オレは魔術師を見かけたら手当たり次第ぶちのめす。
 もしそいつらがテメエの仲間だったらすぐに病院に連れて行ってやるンだな。
 運良く死ンでなけりゃ『冥土返し』が助けてくれるかもな!」
「おい。ちょっと…………」

少年は言いたいことだけを言い放つと返事も聞かずに手荒く携帯のスイッチを切った。
そして髪の毛を掻きむしり「あーっ、めンどくせェ!」そうつぶやくと白い服の少年は
周囲を見回し適当に方角を決めて歩き出す。


「ミサカ、巫女と美琴」
(第4話その2)

観覧車を見上げていた打ち止めの視界の隅を白い影が横切ったのはほんの一瞬であったが、
それを打ち止めが見逃すはずがなかった。
条件反射的に追尾を始めた視線がその影を捉えるのにコンマ2秒も掛からず、その影の主を
ロックオンしたまま打ち止めは彫像のように固まってしまう。
この時打ち止めの瞳を覗き込めばきっとキラキラ輝く無数の星が見えたことだろう。

打ち止めの視線を釘付けにしたものは一匹の白い子猫だった。
白い子猫は地面にちょこんと座って前足で顔を擦るように毛繕いしている。

そして打ち止めと目が合った子猫は「みゃぁぁぁぁぁ」と一声上げた。
同時に子猫と目があった打ち止めも「きゃぁぁぁぁぁ」と奇声を上げた。

「なあぁぁんて可愛いの!あなた!!
 ってミサカはミサカは子猫の反則的可愛さにノックアウト寸前なのって言ってみたり」

打ち止めは両手を身体の前で握りしめ全身をくねらせて喜びを表現する。
だが打ち止めは小さいとはいえ御坂美琴の体細胞クローンである。
小動物好きが御坂美琴ゆずりであるように小動物に嫌われる電磁波体質もそのままだったりする。

「おいで、おいで、ってミサカはミサカは猫なで声であなたを手招きしてみる」

しかし悲しいかな、打ち止めが10cmにじり寄れば電磁波に怯える子猫も同じだけ
後ずさってしまう。

「ほら、アメ玉を上げるから!こっちにおいで
 ってミサカはミサカはポケットに残った最後のアメ玉をちらつかせて逃げ腰のあなたに
 ネゴシエーションしてみる」

打ち止めと子猫の距離はほんの2m、しかしその距離は一向に縮まらない。
子猫を抱きしめたい打ち止めはとうとう痺れを切らし強硬手段(子猫捕獲作戦)に打って出た。

「まてまてまて────!」

しかし突然駆けだした打ち止めに驚いた子猫は身を翻すとタタタッと歩道を駆け抜ける。
その先には北へ向かう歩道を北西と北東へ分ける三叉路の分離帯に植えられた生け垣があり
壁となって子猫の行く手を塞いでいた。

「もう逃げられないわよ。観念なさい!
 ってミサカはミサカは逃げ道のないあなたに向かって勝利宣言してみたり」

高さ2m程の低木でできた生け垣の密集した枝葉は子猫の行く手を塞いでいたが、子猫は
地面すれすれに一カ所だけ空いていた僅かな隙間に潜り込んでしまった。

「むむっ、生け垣に逃げ込んでミサカの追跡意欲を削ごうという作戦ね。フフフッ
 でも、そのくらいで逃げられるとでも思っているの!?
 それえぇぇぇ! ミサカの小さな身体を活かした匍匐前進で生け垣に突撃ィィィィィ!」

打ち止めは生け垣の隙間に頭を突っ込むと匍匐前進で一気に生け垣を突破し子猫に最後
通告を発する。

「プファー!!こんな所に隠れたって無駄なの!さあ!観念なさい!
 ってミサカはミサカはあなたに最後通告……………………えっ?」

顔を上げた打ち止めの目の前には子猫の姿は無く、代わりに突然の幼女の乱入に驚く3人
の男の姿があった。

「なんだ?このガキは」
「コイツ、まさか『人払いの結界』をやぶったのか?」

生け垣の中は30平方メートル程の三角形の空き地になっており、男達は『人払いの結界』
を張ってここに潜伏していた魔術師達だった。
人の無意識に働きかけ特定の場所へ行く気を無くさせる『人払いの結界』には当然『猫払い』
の効果は無い。だから子猫が結界をすり抜けたのは仕方がないことだろう。
しかしその子猫の後を追って打ち止めが侵入してきたことは男達には想定外だった。
どうやら『人払いの結界』も子猫確保に燃える打ち止めの情熱の前には無力だったようだ。

「まさか『必要悪の教会(ネセサリウス)』か?」

いくつかの聞き取ることができた単語から打ち止めは彼らが魔術師であることに気付く。

「あなた達!天草式の人でしょ!もう、こんな所で何をしてるの!?
 今日のミッションはもう終ったから他の人たちはもう帰っちゃったよ
 ってミサカはミサカはちょっと上から目線で問い詰めてみる」
「天草式…………?」
「このガキが…………」
「どうする?…………」

男達の予想外の反応に打ち止めはようやく自分の勘違いに気付く。

「えーっと、ひょっとしてミサカはお邪魔虫だったかな?
 ってミサカはミサカは少し後悔しながら呟いてみる。
 どうやらお邪魔みたいだからもう帰るねってちょっと引きつりつつも笑顔でさよならの
 挨拶をしてみる」
「なんだ嬢ちゃん。もう帰るのかい?いや、帰れると思っているのかい?」


「ミサカ、巫女と美琴」
(第4話その3)

「これってひょっとして『雉も鳴かずば撃たれまい』それとも『飛んで火にいる夏の虫』
 ってミサカはミサカは今直面している危機的状況を諺に例えてまとめてみる」
「そんなこと言わずにおじさん達とゆっくりお話しようじゃないか?」
「お話しって?
 ってミサカはミサカはそんな場合じゃないのにふられた会話につい乗ってみる」

「天草式の連中がここで地脈に何か細工をしていただろう。
 それが何か教えてくれれば良いんだよ」
「何のことか分かんない!
 ってミサカはミサカは知らないものは知らないよって感じで全否定してみる」
「シラを切ったって脳みそから情報を直接引き出す魔術ってのもあるんだよ。
 もともと拷問用の術だから死ぬほど苦しい上に絶対死ねないときている。
 だから安心しな!」
「うっ!これは本当に未曾有の大ピンチかも…………………………………………あっ!!
 ってミサカはミサカは大声あげて指差した方に敵が注意を逸らしたところで反転猛ダッシュ!」

そう言って逃走に移った打ち止めであったが男の一人にあっさり襟を掴まれてしまった。
男は打ち止めを引き寄せると両手で襟を掴んで吊り上げる。

「どうしてミサカの完璧な逃走作戦が見破れたのよぉぉぉおおおおお!
 ってミサカはミサカは地面に届かない足をジタバタさせて悔しさを表現してみたり」
「こいつは馬鹿か?逃げる前に大声で手の内を明かしてりゃ世話無いだろ!」
「は~な~せ~!ってミサカはミサカはネコみたいな扱われ方に抗議の声を上げてみる」
「離せと言われて『ハイそうですか』と離す馬鹿がどこにいる!」

「ここにいるオマエ達こそ馬鹿じゃねェのか!?」

突然響いた声に男達は驚く。

「「「誰だ!?」」」

周囲を見回した男達が声の主を見つけるのに一瞬手間取ったのは仕方ないことだろう。
なにしろ声の主は2m程の高さがある生け垣の上に浮かんでいたのだから。
正確には梢の先についた葉っぱの先端に立っていたのだが葉っぱ一枚たわませることなく
立っている様子は浮いているようにしか見えない。

「大人が3人も集まって、ガキ一匹相手になァにムキになってンだァ?」

白い服を着た少年『一方通行』は白い髪を左手で掻きつつ赤い瞳で男達を睨み付ける。
首筋にある電極のスイッチが入った一方通行はあらゆるベクトルを自由に変換できる正真
正銘学園都市最強の超能力者(レベル5)である。
現れたのが学園都市第一位と気付いたならば男達は迎撃ではなく逃走を試みたはずだ。
彼らの不幸は少年の能力を『空中浮遊(レビテーション)』と勘違いしたことだ。

「こいつ、飛行能力者か!?」
「気を付けろ。あの杖は暗器(隠し武器)かもしれん!」

愚かにも男達は打ち止めを放り投げ、一方通行へ向けて全力の攻撃魔術を放ってしまった。
狭い空き地の中を灼熱の炎が吹き荒れ、目が眩むほどの雷光が満たし、激しい風切り音が
轟き渡った。

「ふン!」と面倒くさそうに息を吐くと一方通行は生け垣で囲まれた空き地に音もなく舞い降りる。
その足下には右半身に大やけどを負った魔術師、雷撃によって衣服が焼けこげ至る所から
薄い紫煙を上げる魔術師、カマイタチに何十カ所も切り刻まれ血を流す魔術師が転がっていた。

魔術師達の様子を一瞥した一方通行は首筋の電極のスイッチを切る。
能力を失い杖で身体を支える一方通行は携帯電話を取り出すと2度目のコールで出てきた
男に必要事項だけを伝える。

「ポイントF-7で魔術師を3人ぶちのめした。ン?ああ、まだ死ンじゃァいねェ。
 回収は任せ、あ────っ、鬱陶しい。あっちへ行きやがれ!何ィ?どうかしたかって?
 なンでもねェよ。じゃあ切るぞ」

携帯をしまうと一方通行はまとわり付いてくる打ち止めの頭頂にチョップを見舞った。


「ミサカ、巫女と美琴」
(第4話その4)

「いったぁぁぁぁい!ってミサカはミサカはあなたの不条理な暴力に対して毅然とした
 態度で抗議してみたり!!」
「ひとが電話してる最中に好き勝手に服を引っ張るンじゃねェ!」
「だって怖かったんだも────ん
 ってミサカはミサカは上目遣いの可愛いしぐさであなたの保護本能をくすぐってみる」
「なに言ってやがる。あの状況でも余裕かましてやがったくせに!」

「だってあなたが来てくれるって信じていたから……………………
 やっぱり私達は赤い糸で結ばれているのね、ってミサカはミサカはまるで少女漫画の
 ような展開に感動してみたり」
「コラ!オマエ、何訳の判ンねェことぬかしてやがる!」
「だってミサカのピンチに颯爽と現れるなんて、白馬の王子様みたいなんだもん。
 ね、う思うでしょ!
 ってミサカはミサカは目をキラキラ輝かせながらあなたに同意を求めてみる」
「うっせェ!そもそもオマエはこンな所でなに遊んでンだよ!?」

「チッチッチッ!そんな過去には囚われないで未来に目を向けましょう
 ってミサカはミサカは目の前で人差し指を振りつつ建設的な意見を述べてみる。
 当面の問題はこの後どの乗り物に乗るのかってことよね」
「はァ?」

「ミサカの第一希望はあの大観覧車なの
 ってミサカはミサカはさりげなくあなたも一緒に乗って欲しいなって言ってみる」
「ンな恥ずかしいもンに乗れるか!!さっさとオマエは家に帰りやがれ!」
「ヤダヤダヤダ!ミサカはぜぇぇったいにあの観覧車に乗るんだから
 ってミサカはミサカは手足を振りまわして目一杯駄々をこねてみる」
「死ぬまでやってろ!」

地面を転がりまわる打ち止めに呆れ果てた一方通行はこの場から立ち去ろうとチョーカー
の電極に手を伸ばす。

「逃がさないわよ!
 ってミサカはミサカは今にも逃げ出しそうなあなたの先手をとって足首をがっちり抱え込んでみたり」
「今すぐその手を離しやがれ!」
「ミサカと一緒に観覧車に乗ってくれるなら離してあげる
 って駄々っ子パワー全開であなたに迫ってみる」
「うっせェな、そンなに乗りてェンならオマエの望み通り乗せてやるよ!ほら」

電極に触れた一方通行が地面に寝そべる打ち止めの背中に左手を当てると打ち止めの身体は
うつ伏せのまま宙に浮かび上がる。
そして左手に打ち止めを吊したまま一方通行は音もなく浮き上がると一直線に大観覧車の
頂上へと舞い上がり観覧車の動輪の頂に降り立つ。

「望み通り来てやったぜ!良い眺めだろ!骨の髄までしっかり堪能するンだな!」

うつ伏せのまま腰から吊り下げられた格好の打ち止めを前方に突き出すと一方通行は勝利
宣言のように言い放つ。

「うわーっ、すっごおおぉぉぉい!ここからだと学園都市が一望できるのね
 ってミサカはミサカはこの絶景に感動してみる」

打ち止めの予想外の反応に一方通行はあきれ顔で呟く。

「あのなァ!オマエは怖くねェのかよ?
 俺がその気になったら4.5秒でオマエは墜落死なンだぞ!」
「???なんで?
 ってミサカはミサカは不思議そうな顔であなたに尋ねてみる。
 だってあなたがそんなコトするハズないもの」

打ち止めの信頼しきった瞳に見つめられて一方通行は思わず目を逸らしてしまった。

「チッ!その人を見る目の無さがオマエの命取りになるンだよ!」

その途端打ち止めの身体はストン!と落下する。
風切り音をまとわせて落下する打ち止めは気を失っているのか声一つ上げない。
重力が容赦なく打ち止めを加速させ既に落下速度は時速100kmを越えていた。
このまま地面に激突すれば打ち止めの身体は原型を留めない程に潰れてしまうだろう。
しかし墜落死の僅か0.03秒前、地上1mの位置で打ち止めの身体はピタリと静止する。
そして身体が回転するとフワリと足から着地した。
打ち止めは後を振り返ると自分の頭に手を置いた人物にニッコリ微笑んでみせた。

「ほらね!大丈夫だったでしょ」
「ふン!」

微笑みかけられた一方通行はまたしても打ち止めから顔をそむけてしまう。

「じゃあ、観覧車の次はメリーゴーランドーがいいな
 ってミサカはミサカはあなたに最高の笑顔でお願いしてみる」
「ンだと!?まだ懲りずに乗るって言いやがるのか?」
「さあ、いきましょ!メリーゴーランドはあっちよ!
 ってミサカはミサカはあなたの左手を引っ張ってエスコートしてみたり」
「そんなに手を引っ張ンじゃねェ!こっちは杖ついて歩いてンだぞ。このクソチビ。
 って、コラ!言ってるそばから明後日の方向に走り出すンじゃねェ!」


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