日常で起こりうる何気ないとらぶる
日常で起こりうる何気ない不幸
日常で起こりうる何気ない不幸
そんな時なにげなく助けてくれる
そんな時あたり前のように助けてくれる(成り行き上だけど)
そんな時あたり前のように助けてくれる(成り行き上だけど)
彼女の名は………………
彼の名は…………………
彼の名は…………………
となりのとうまさん
序章
…………不幸だ
日曜日、夕刻。上条当麻は自分の部屋があるマンション(学生寮)の前で頭を抱えていた。
とりあえずあの時自分がしていた行動に何一つミスは無かったと言うのになぜこのような状況になってしまったのかをよく考えてみる。
とりあえずあの時自分がしていた行動に何一つミスは無かったと言うのになぜこのような状況になってしまったのかをよく考えてみる。
今日の天気は日差しが夏の様に降り注ぐほどの晴天。昨日までは曇り、小雨、曇り、小雨の繰り返しが続き、まるで梅雨のようだったのだが、今日は出番を待ち焦がれたかのようにお日様がさんさんと輝いている。
そんな訳で「それじゃあたまっていた洗濯をしましょうかねえ」と2,3日ぶりに洗濯機を起動させ、ベランダに自分と居候シスターの洋服と布団、その他もろもろを干し終えて部屋に戻ろうとしたその時。
ビル風らしき突風が吹き、物凄い勢いで上条家の洗濯物(布団を除き)の殆どをさらい、そのまま学園都市全域へと飛ばしていってしまったのだ。
これだけでも不幸だが、同居人の大食いシスター、インデックスは、洗濯で忙しく構ってやらなかったのが原因か、数分前に外出してしまい(もし居たとしても積極的に手伝ってくれるかは不明)洗濯物を探しに走り回っている途中もビリビリこと御坂美琴に絡まれ、途中出くわした吹寄制理と会話していると何故か突然おデコクラッシュを食らい、以前因縁をつけられたらしい(似たようなのによく絡まれるため、いちいち覚えていない)無能力者集団に追い掛け回され…………正直言ってもう散々だった。
そんなこんなで、結局洗濯物は1つも見つからないまま最終下校時刻を迎えてしまい、心も体もズタボロになりながら戻ってきたというわけだ。
「ふ、不幸だ………俺の服だけならまだいい、だがインデックスの歩く教会とパジャマまで吹っ飛ばされちゃってもう……」
歩く教会とはインデックスが普段着ているシスターとしての正装(おそらく)で、一見すると白を基調とし、金の刺繍を施した高級ティーカップのようなただの服だが、魔道書図書館であるインデックス曰く魔術サイド的にもかなり貴重なもので、その防御力はどっかの御伽噺のドラゴンでも出てこない限り壊れることは無いのだとか。
……言っておくが今のインデックスはすっぽんぽんと言う訳ではなく、洗濯の時ちゃんと上条の担任である月詠小萌に以前もらった子供服を着ている。
ちなみに小萌が服を渡す際「先生が子供の時に来ていた服なのですー」と言っていたがどう見ても今の小萌先生でも余裕で着られるよな……と、そんな事を思ったが今更なのでスルーする事にした。
ちなみに小萌が服を渡す際「先生が子供の時に来ていた服なのですー」と言っていたがどう見ても今の小萌先生でも余裕で着られるよな……と、そんな事を思ったが今更なのでスルーする事にした。
まあそんな歩く教会は現在上条の右手に宿っている異能の力なら何でも打ち消す「幻想殺し」によってその効力を失い(らしい)、ピンセットがないと服としての機能すら発揮しなくなっているのだが問題はそこではなく、ピンセットと言うお世辞にも服の修復には向かないものを使ってでもインデックスがそれを大事に着ているという事だ。
「……はぁ……しょうがねぇ」
時間ギリギリまで探す。
そう決めた上条は学生寮を前方に回れー右!!と叫びクルリと後ろを振り向いた。
目の前に女の子が立っていた。
そう決めた上条は学生寮を前方に回れー右!!と叫びクルリと後ろを振り向いた。
目の前に女の子が立っていた。
「………………(にこっ)」
「………………え~っと……どちら様?」
「………………え~っと……どちら様?」
どこかの高校の制服らしき服を着たその女子生徒は上条をやさしい笑みで見つめている。
髪は明るい茶色のショート。薄いブラウンのコートの下に白いワイシャツと赤いネクタイにプリーツスカートを着ていて、膨らんでいるように見える(と言うか明らかに膨らんでいる)学生カバンを右手に持っていた。
緑色の、少し緩い感じがする印象的な瞳を持つ女子生徒はスッ、と自分の足元に置いてあったデパートなんかでもらう、結構大きめの紙袋を上条に差し出す。
「え、あの……受け取れと?」
「(コクコク)」
「(コクコク)」
受け取ってみると紙袋はそこまで重くはなく、片手でも余裕で持つことが出来た。
中に何か入っているような感じはあるが、なにもこんなに大きな袋にしなくてもいいんじゃないかと思う。
中に何か入っているような感じはあるが、なにもこんなに大きな袋にしなくてもいいんじゃないかと思う。
そしてその女子生徒は上条の手に紙袋が握られたのを確認すると、結構早い駆け足でどこかへと去っていった。
「…………な、何なんだ、一体……」
そう呟き、何気なく紙袋を開いた上条は思わず声を上げる。
紙袋の中には学園都市中に散らばったはずの上条家の洗濯物の数々が入っていた。洗い直し、アイロン掛けもやったのだろうか、アロマっぽい香りはするしどれもこれも肌触りが良い。インデックスの歩く教会も、真っ白でひとつの汚れもない。加えてとても綺麗に畳んである。
紙袋の中には学園都市中に散らばったはずの上条家の洗濯物の数々が入っていた。洗い直し、アイロン掛けもやったのだろうか、アロマっぽい香りはするしどれもこれも肌触りが良い。インデックスの歩く教会も、真っ白でひとつの汚れもない。加えてとても綺麗に畳んである。
「な、はあ!!ちょっと待ておいどうなってんだ!?」
一言で言えば今の状況は有り得ない事だった。
上条とあの女子生徒は初対面のはず、というのを1度記憶を失っているのを差し引いて無しにするとしても有り得ない。
あの時ベランダから呆然と眺めていたが、洗濯物は間違いなく四方八方、それぞれ別の場所へと飛んでいった。
要は学園都市に散らばったどこに有るかも分からない複数の布を探し出せと言っているようなものだ。
だからもし彼女が空間跳躍能力者だったとしてもそもそも洗濯物の位置が分からないから探す事なんて出来ない。少なくともサーチ系の能力者の助けが必要なはずだから最低2人は能力者が必要なわけである。
要は学園都市に散らばったどこに有るかも分からない複数の布を探し出せと言っているようなものだ。
だからもし彼女が空間跳躍能力者だったとしてもそもそも洗濯物の位置が分からないから探す事なんて出来ない。少なくともサーチ系の能力者の助けが必要なはずだから最低2人は能力者が必要なわけである。
「…………ってあ、そうか。そもそも2人いれば不可能じゃないんだよな」
少々短絡的な結論に辿り着いた上条だが、今の彼にはそんな事はどうでも良い事だった。
少々短絡的な結論に辿り着いた上条だが、今の彼にはそんな事はどうでも良い事だった。
「ふ、不幸じゃない!不幸だけど不幸じゃないぞぉぉおおおおおおおお!!!」
思わず雄たけびを上げる。いつもの不幸パターンならば洗濯物が見つからずインデックスに頭をかじられ、そのあと機嫌を治していただくため大量の食事を貢ぎ、さらに何日か経った後、落し物として学園都市各地に届けられた洗濯物を回収しに行かなければならないという連続した不幸が待ち構えていたはずだ。
だが今日は1日走り回っただけ。それは上条にとってかなり、すごく、とても良い方だった。
「ああ、なんと言う素晴らしい日…………ばんz」
両手を挙げ、もう一度雄たけびを上げようとしたところで後ろから猛獣に頭を齧られた。
勿論学園都市に猛獣など研究所と動物園を除けば筈がなく、上条の頭蓋骨に齧りついているのは大食いシスターことインデックスである。
勿論学園都市に猛獣など研究所と動物園を除けば筈がなく、上条の頭蓋骨に齧りついているのは大食いシスターことインデックスである。
「ギャアアアアアア!い、インデックス!!」
「ガルルルル、と、う、まあああああ~!!どこ行ってたんだよっ!お昼になって帰ってきたら鍵が掛かってて部屋に入れないしとうまは居ないし!お腹がへって死ぬかと思ったんだよっ!!」
「痛だだだだ!ま、待てインデックス、話せばわかる!!」
「もんどーむようなんだよ!!おまけにやっと帰ってきたと思ったら見ず知らずの女の子にプレゼントをもらって大声を上げて喜んだりして!全部上の廊下から見てたんだから!!」
「いや、だからそれは違、ちがぁぁー!あーもう、不幸だぁぁああああああああああ!!!」
「ガルルルル、と、う、まあああああ~!!どこ行ってたんだよっ!お昼になって帰ってきたら鍵が掛かってて部屋に入れないしとうまは居ないし!お腹がへって死ぬかと思ったんだよっ!!」
「痛だだだだ!ま、待てインデックス、話せばわかる!!」
「もんどーむようなんだよ!!おまけにやっと帰ってきたと思ったら見ず知らずの女の子にプレゼントをもらって大声を上げて喜んだりして!全部上の廊下から見てたんだから!!」
「いや、だからそれは違、ちがぁぁー!あーもう、不幸だぁぁああああああああああ!!!」