とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-356

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匿名ユーザー

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「なるほどね…いきなりだったから戸惑ったけど、タネが分かれば大したことないわね…」
「戸惑いこそが人生だよ、麦野ちゃん……」

そう言って雷電は麦野の後ろへと飛んだ、麦野の後ろにはマーキングである手裏剣があるわけではないが
ただ、一回普通に飛ぶ分には難しいことではないのだ。
(時間を掛けるだけ無駄だ!一気に!!)

「後ろ…」

ポツリと言ったジャージ少女の言葉に従い、振り向きもせず手を後ろに向けてレベル5はその力を振るった。
(げっ!?)
即座に体を倒して何とかかわすことが出来た。
(あの子、予知能力者かよ!?)
雷電は決して特別なテレポーターではない、連続で空間移動出来ているのはそれ相当の工夫をしているだけで
一度、能力を使ったら次に飛ぶ空間までの計算をする時間が必要であり、今はまだその時間が十分稼げていない
しかし、相手のレベル5はその時間を与えてはくれない。振り返り、倒れている雷電を確認すると即座に第2波を放った。
その第2波までの時間は一回目の攻撃から1秒も満たないだろうが、しかし、その時間に雷電は思考をフル回転させていた。
(どうする!?間合い取れるだけ飛ぶことはできねぇ!だったら!)
残された手は麦野の回りに落ちているマーキングである手裏剣を目印に飛ぶしかない
(けどそれじゃ、普通に飛ぶよりもあのジャージちゃんにばれる!そうなったら…)
{それこそ次はない}と結論に至った。しかし、目の前ではレベル5が今にもその力を振るおうとしている
(考える余地なしっ!!!)
一か八かマーキングを使って麦野の後ろに回った。
(腕一本失うつもりで攻撃すりゃ!直撃は避けられるだろ!?)
と決死の覚悟で右腕を振るうがその時に雷電は気づいた。目の前のレベル5の後ろ姿があまりに無防備なことに、
(なんだ!?指示出されてねーのか!?それとも俺が聞き逃した!?)
急に舞い降りたチャンスに雷電は戸惑った。
さっきまであれだけ的確な指示を出されていたのに急に無防備なれば考えられる可能性は1つだけ
(罠!?)
もし、わざとやっているならこのまま攻撃すればなんらかのカウンターを受ける可能性が十分にある。
しかし、これが相手のなんらかのミスだった場合、目の前のチャンスを棒に振るうわけにはいかない。
(南無三!!)
意を決し放った雷電のパンチは見事に当たった。

「ぐあっ!?」

後ろからの攻撃に驚いたレベル5だが即座に後ろを向き反撃する。しかし、まともに照準を定められなかったのか、
雷電は簡単に避けて安全な間合いを取ることが出来た。そこで、初めて、気づいた
(くそっ!ミスの方だったか!?ビビッちまった!!)
確かに雷電の放ったパンチは当たったが、いろいろ考えている雷電の脳裏にはどこか罠である可能性を捨て切れなかった。
そのためパンチのフォームはバラバラになり、自分が望む様な威力は発揮されなかった。
現にレベル5後ろから押された程度のダメージしか与えられず、即座に反撃してきたのだ。
(しくじった!)
と後悔していると

「滝壺!!」

とレベル5がジャージ少女のものと思われる名前を叫んだ。呼ばれたジャージ少女はさっきとは打って変わり

「ごめん……時間切れ」

なぜかさっきよりテンションが低くなっているように見えた。

「まったく!だったらさっさと使う!」
「………うん」

そう言うとポケットから箱を取り出しその中から白い粉を手に乗せた。
(あれは……まさか!?)
普通ならこの隙に攻撃をしかけるべきなんだろうが、雷電はジャージ少女の行動に見入ってしまった。
雷電の視線を知ってか知らずかジャージ少女はたいして急ぐことなく手に乗せた白い粉をなめた。
するとさっきまでの彼女の目つきとは打って変わり目も輝いているように見える。
(まさか実践に投入してくるとは…それもこんな少女に…そこまで腐っているのか!?……学園都市!!)
雷電の決して見られことのない仮面の下の素顔は怒りで満ち溢れていた。

(こりゃ早めに決着をつけた方がいいな…彼女のためにも)
そう決意した雷電は冷静だった。即座に、どうやって終らせるかの手順を考えることが出来た。

「さっさと、終らせようぜお譲ちゃん…」

そうレベル5に言った雷電はまたどこに仕込んでいるか分からない手裏剣を出して投げつけた、が

「はっ!どこの忍者だ!?お前は!?」

そう言って手裏剣をすべて消し去った。

「ちっ!」

その後すぐにまた手裏剣を投げつけた。

「無駄だっつーの!!」

またしても全ての手裏剣は消し飛ばし、さらに、雷電への攻撃も混ぜてきた。

「うおっ!?」

何とか攻撃もかわした雷電はさらに手裏剣を投げつけがすべて無残に消されてしまう

「いつまで続くかしら」
「麦野……」
「なぁに?いいところなんだけど…」
「この人……7個、手裏剣を別のところに飛ばした」
「んっ!?」

知らされた情報に驚いた麦野であったが、それでも雷電から視線を離そうとはしなかった。

「どこに飛ばしたの!?」
「下階…」
「はぁ?なにそれ、何のつもり?」
「…分からない」
「ふぅーどうしちゃったの~お兄さん?もう怖くてまともに飛ばせなくなっちゃった?」
「さぁどうだろうね?」
「まぁ大丈夫、すぐに怖がる余裕なんてなくしてあげるかっら!!」

また数発の光が雷電に迫ってくる。下手に飛ぶことの出来ない雷電は力を使わずに動いて攻撃を避ける
そしてその間にもいくつもの手裏剣相手に投げつける。

「しつこいっつぅぅの!!」

又しても鉄の手裏剣はいとも簡単に消し飛ばされてしまう。

「まったく何がしたいんだか?」
「また下の階に……今度は6個」
「はぁ?たく……頭おかしくなったの?」

激しい攻撃からただ動いてかわし続けていた雷電は肩で息をし始めている。しかし
ここに来てようやく雷電はまともな返事をした。

「ハァ…いいや……もういい…」
「何?あきらめてくれる?」
「いや…逃げる必要がなくなった…」

そう言うと、右手に3個・左手に3個手裏剣を持って、手品のように消して見せた。
消した手裏剣がどこから襲ってくるのか警戒する麦野だったが、手裏剣はどこからも飛んでこず、拍子抜けした。

「なに?今度はどこに飛ばしたわけ?」
「……この下の階」
「はぁー何なの?一体?」

と言って右手を前に出し目の前の敵に照準を合わせる。そこにジャージ少女が説明を付け足した

「…の丁度、麦野の足元…」
「えっ?」

そう言われ自分の足元見た麦野だったが次の瞬間、急に足元の床が崩れ落ちた。

「なっ!?」

そこで雷電は落ちていく彼女に一言

「下へまいりま~す」

と驚く彼女を見送った。

床が崩れ落ち驚く麦野だったがすぐに着地の態勢をとった。天井から床と言っても特別高いわけでなく
4mもなく、あっても3mほどなので着地は十分可能であったが、着地した瞬間又しても床が崩れ落ちた
(なっ!?なんで!?)
と疑問に思ったがすぐに理由が分かった。先ほど滝壺が説明した下の階というのは今落ちてきた4階だけでなく、
その下の3階のことを言っていたのだ。それに気づいた麦野はすぐに理解した。敵が手裏剣を飛ばした回数は3回
おそらくその手裏剣に何か仕込んでいたのだろうが1回目は5階から4階へ落ちるときに使い
2回目はまさに今使われている。つまり、3階に落ちてもまだゴールないということだ

そんな麦野を見送った雷電は

「一回見たとはいえ、見えないところに何度飛ばすのは骨が折れるよ…」

と目の前のジャージ少女に愚痴をこぼしていた。が少女はあまり慌てる様子もなく、
さっきの戦う少女ではないただの脱力系少女へと変わっていた。

「どうする?続けるかい?」

と、提案すると

「……私ではあなたは止められない」

ようやく雷電が安心できる言葉が出てきてくれた。

「なら俺は行くけど……その前に…」

やることがある、と告げて脱力形少女滝壺に近づき、その右手に持っていたケースを奪い取った。
しかし、彼女は取り返そうとせず、ただ、何も持ってない右手を見つめていた。

「…君はこれがどういう物か知っているのか?」
「……………」

特に何も言わなかったが、コクンッと首を縦に振った。

「これが君に何をもたらすかもか!?」
「……知ってる」

今度は声に出して答えてくれた。

「なら!どうしてっ!?」
「………ここは学園都市……………戦わないと生き残れない」

少女はたったそれだけ、なんの興味もなさそうに告げた。

「そんな悲しいこと言うなよ……人って…」
「見つけたっ!!!!」

急に後ろから声がした。

「なんだよっ!?今、いいこと言おうとしたの…にぃ!?」

振り返るとそこには先ほど外に投げ飛ばした金髪少女が立っていた。

「結局っ!!神様は私に止めを刺せって言ってるのね!!」

などと、どう見ても怒り120%の少女の顔には、なにやら泥のような黒い物体が着いていたり
服にも何か見るからに汚いと生ゴミと思われる物体が纏わりついていて、
雷電はこんな路地裏でもちゃんとゴミ箱にすてるんだ~とか、今日は生ゴミの日かな等とどうでもいいことを考えていた

「さっきは超なめたことしてくれましたね!!」

今度は違う方向から声がしてきた。そこにも怒り度120%の少女が立っていた。

「あらら…もうよくなっちゃった?」
「……………………私もいるわよ」

とまるで地獄のそこから這い上がってきたような声もしてきた。そこには怒り度200%越えのついさっき落ちたレベル5が立っていた。

「えっ!?早っ!?」
「なんとか2階まで落ちずに……3階で済んだわ」
「それは…良かったですね~」

などと答えたが金髪少女は東の階段から、怪力少女は先ほど通った北階段につながる廊下から
そしてレベル5は西階段から上がってきたので見事なまでに囲まれ逃げ場がなくなった。

「まずは生ゴミの中に突っ込んでやらなきゃ」
「いえいえ、まずは超エグく目を潰してやりましょう」
「とりあえす、挽き肉にしましょう」
「でも、そうしたら後片付け超面倒になりますよ」
「大丈夫!今日は生ゴミの日だから♪」
「あらそう♪フレンダは物知りね~♪」
「そんなことないよ~♪麦野の挽き肉案もすごくいいと思うよ~♪」
「でも挽き肉にするなら回りに迷惑かからないようにとりあえずゴミ箱に入れないと~♪」
「もぅっ!麦野ったらそんな気配りするなんてやーさーしーいー♪」
「なら、ゴミ箱の中は超暗くて超怖そうですから、超分からないように目を取って上げないと♪」
「「やだぁ~!絹旗ッたら超や~さ~し~い~」」

などのやり取りを見ていた。ジャージ少女はポツリと

「………………みんな仲良し……」

と、言ったので

「……………そうだね」

と返しながら、きっと過去にも未来にもここまでコイツ等が仲良くなることはないんだろうなぁと心の中で思った。

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