「とある少女の幸せ計画(ハピネスプラン)その5」
8月3日17:40 第7学区とあるスーパーマーケット
「佐天さん。今日は何しにこの店に来たんです?」
「何しにって、そりゃあ夕飯の買い出しに決まってるじゃない!」
「じゃあ、お店の中をもう30分近く見て回ってるのにどうして何も買わないんですか?
っていうか、佐天さん!ろくに食材も見てないでしょ!」
「そっ……それは今夜の献立をあれこれ考えてたからで…………」
「何しにって、そりゃあ夕飯の買い出しに決まってるじゃない!」
「じゃあ、お店の中をもう30分近く見て回ってるのにどうして何も買わないんですか?
っていうか、佐天さん!ろくに食材も見てないでしょ!」
「そっ……それは今夜の献立をあれこれ考えてたからで…………」
「なにブツブツ言ってるんですか!?佐天さん、昨日からちょっと変ですよ」
「えっ?」
「気付いてないんですか?
昨日の佐天さんって料理作ってるときも食べてるときもなんだか上の空で、
しかも時々ニヘッて笑ったりするし…………何かあったんですか?」
「なっ、なんにもない。なんにもない」
「えっ?」
「気付いてないんですか?
昨日の佐天さんって料理作ってるときも食べてるときもなんだか上の空で、
しかも時々ニヘッて笑ったりするし…………何かあったんですか?」
「なっ、なんにもない。なんにもない」
前日の出来事をまだ初春に話していない佐天涙子は大げさな身振りで否定してみせる。
昨日と同じ時間帯に来れば上条と遇えるのではないかと期待してこの店に来た、とは
とても言えなかった。
最初は10分待ってダメなら出直すつもりだった。
それでも店内をあともう一回りとか、あと一分とか思っている内に30分が過ぎていた。
もっとも隣に初春飾利がいなければあと1時間は粘っていたかもしれない。
でも流石にこれ以上初春(親友)に迷惑を掛ける訳にいかず、佐天涙子は表情を曇らせ
「ふ──っ」と小さな溜息を漏らす。
昨日と同じ時間帯に来れば上条と遇えるのではないかと期待してこの店に来た、とは
とても言えなかった。
最初は10分待ってダメなら出直すつもりだった。
それでも店内をあともう一回りとか、あと一分とか思っている内に30分が過ぎていた。
もっとも隣に初春飾利がいなければあと1時間は粘っていたかもしれない。
でも流石にこれ以上初春(親友)に迷惑を掛ける訳にいかず、佐天涙子は表情を曇らせ
「ふ──っ」と小さな溜息を漏らす。
(今日はもうダメみたい)
初春飾利はそんな佐天涙子の様子に気付き「何か悩み事でも?」と声を掛けようとした。
しかしその声はとうとう発せられなかった。
佐天涙子の伏せ目がちだった瞼が大きく開いたかと思うと「あっ」と小さな声を上げたからだ。
頬をわずかに紅潮させる佐天涙子に何が起こったのか、まるで判らない初春飾利であるが、
佐天涙子の視線の先にその原因となる何かがあることだけは想像できた。
だがその原因を探す初春飾利の視界は、突然店の出口へ駆けだした佐天涙子の背中に遮られてしまう。
しかしその声はとうとう発せられなかった。
佐天涙子の伏せ目がちだった瞼が大きく開いたかと思うと「あっ」と小さな声を上げたからだ。
頬をわずかに紅潮させる佐天涙子に何が起こったのか、まるで判らない初春飾利であるが、
佐天涙子の視線の先にその原因となる何かがあることだけは想像できた。
だがその原因を探す初春飾利の視界は、突然店の出口へ駆けだした佐天涙子の背中に遮られてしまう。
「ちょっ!どっ、どこ行くんですか!?佐天さん!」
初春飾利の声など聞こえないかのように佐天涙子は出口に向かって一直線に走っていく。
そして初春飾利はようやく気付いた。
佐天涙子の行き先が店外ではなく店内であり、しかも目的地は場所ではなく人であることに。
そして初春飾利はようやく気付いた。
佐天涙子の行き先が店外ではなく店内であり、しかも目的地は場所ではなく人であることに。
「かっ、上条さん!!」
「よっ、佐天さん。また遭ったな」
「昨日はごめんなさい」
「おいおい、会った途端に『ごめんなさい』だなんて、一体どうしたんだ?」
「昨日は危ないところを助けて貰ったのにお礼も言わずに帰っちゃって、すみませんでした」
「よっ、佐天さん。また遭ったな」
「昨日はごめんなさい」
「おいおい、会った途端に『ごめんなさい』だなんて、一体どうしたんだ?」
「昨日は危ないところを助けて貰ったのにお礼も言わずに帰っちゃって、すみませんでした」
「なんだ、そんなことなら気にしなくてもいいさ。
そこまで恐縮されるほど大したことなんてしてねえんだからさ」
「そんな!あの時上条さんがいなかったら、あたしどんな目に遭っていたか判りません。
本当にありがとうございました」
「はははっ、まあ、嘘でもそう言ってくれると悪い気はしないな」
「嘘じゃありません。本当です!」
そこまで恐縮されるほど大したことなんてしてねえんだからさ」
「そんな!あの時上条さんがいなかったら、あたしどんな目に遭っていたか判りません。
本当にありがとうございました」
「はははっ、まあ、嘘でもそう言ってくれると悪い気はしないな」
「嘘じゃありません。本当です!」
その時、ようやく追いついた初春飾利が佐天涙子の脇腹をツンツンとつつく。
「ひゃっ、うっ、初春!?」
「うっ、初春!?じゃありませんよ。佐天さん」
「やあ、今日は初春さんも一緒なのか」
「こんにちは、上条さん!」
「うっ、初春!?じゃありませんよ。佐天さん」
「やあ、今日は初春さんも一緒なのか」
「こんにちは、上条さん!」
そして佐天涙子の耳元でささやくように尋ねる。
「佐天さん。ひょっとしてここに来たのはこのためだったんですか?」
「このためって何よ!?」
「はっはあぁぁぁぁん。なるほど、そう言うことだったんですね」
「な、なっ、何言ってんのよ?初春ったら」
「このためって何よ!?」
「はっはあぁぁぁぁん。なるほど、そう言うことだったんですね」
「な、なっ、何言ってんのよ?初春ったら」
「上条さん!実は佐天さんたら上条さんが来るのをここで30分も待ってたんですよ!」
「わっ、わっ、初春。何言ってんの!」
「えっ、そうなの?」
「いえ、あのーっ、そのーっ、
だって、あたし昨日上条さんに助けてもらったのに一言のお礼も言わなかったんですよ。
そんな自分が情けなくて…………
だから、どうしても上条さんに会ってお礼が言いたかったんです。
あたし、上条さんに缶ジュースぶつけちゃったり、なんか迷惑ばかり掛けてるし…………」
「なあに俺の不幸体質はどうやら昔からみたいだし、別に佐天さんが悪い訳じゃないさ」
「そんな!まるで他人事みたいに言わないで下さい。
不幸が当たり前だなんておかしいです!
上条さんいい人なんだし、きっと幸せだって一杯あります!!」
「わっ、わっ、初春。何言ってんの!」
「えっ、そうなの?」
「いえ、あのーっ、そのーっ、
だって、あたし昨日上条さんに助けてもらったのに一言のお礼も言わなかったんですよ。
そんな自分が情けなくて…………
だから、どうしても上条さんに会ってお礼が言いたかったんです。
あたし、上条さんに缶ジュースぶつけちゃったり、なんか迷惑ばかり掛けてるし…………」
「なあに俺の不幸体質はどうやら昔からみたいだし、別に佐天さんが悪い訳じゃないさ」
「そんな!まるで他人事みたいに言わないで下さい。
不幸が当たり前だなんておかしいです!
上条さんいい人なんだし、きっと幸せだって一杯あります!!」
佐天涙子は、自分がどうして他人事にこんなにムキになって反論しているのか、その理由
が自分でも良く判らなかった。
佐天涙子がその裏に隠れた自分の感情を自覚するのはもう少し後の話である。
が自分でも良く判らなかった。
佐天涙子がその裏に隠れた自分の感情を自覚するのはもう少し後の話である。
「とある少女の幸せ計画(ハピネスプラン)その5」
8月3日、19:30佐天涙子の下宿
「佐天さん!」
「……………………」
「ちょっと、佐天さん!どうしちゃったんですか?」」
「……………………あたし決めた!」!」
「とっ、突然どうしたんですか!?」
「あたし、上条さんを幸せにしてみせる!」
「えっ、え────っ?佐天さん。一体なにを言って…………」
「……………………」
「ちょっと、佐天さん!どうしちゃったんですか?」」
「……………………あたし決めた!」!」
「とっ、突然どうしたんですか!?」
「あたし、上条さんを幸せにしてみせる!」
「えっ、え────っ?佐天さん。一体なにを言って…………」
「だって、上条さんってあんなにいい人じゃない。
それなのに、いつも不幸に見舞われてるだなんてどう考えても理不尽よ!
あたしだって上条さんにいろいろ迷惑かけたんだし何か恩返ししなきゃいけないでしょ。
だから、あたし達が一肌脱いで上条さんに幸せになって貰うのよ!」
「あたし達…………って、ひょっとして私も入っているんですか?」
「あったり前じゃない!」
それなのに、いつも不幸に見舞われてるだなんてどう考えても理不尽よ!
あたしだって上条さんにいろいろ迷惑かけたんだし何か恩返ししなきゃいけないでしょ。
だから、あたし達が一肌脱いで上条さんに幸せになって貰うのよ!」
「あたし達…………って、ひょっとして私も入っているんですか?」
「あったり前じゃない!」
「もしかして御坂さんや白井さんも入ってたりします?」
「なに言ってんの!自分のことぐらい自分でやらなきゃ恩返しにならないじゃない。
今回は御坂さん達には内緒よ。あたし達の問題に関係ない人を巻き込んだら悪いじゃない!」
「……………………私なら巻き込んでも良いんですね。はあ────────っ」
「だって初春とあたしは一心同体!頼りにしてるわよ。う・い・は・る。
名付けて『上条さん幸せ計画(ハピネスプラン)』って、どう?」
「なに言ってんの!自分のことぐらい自分でやらなきゃ恩返しにならないじゃない。
今回は御坂さん達には内緒よ。あたし達の問題に関係ない人を巻き込んだら悪いじゃない!」
「……………………私なら巻き込んでも良いんですね。はあ────────っ」
「だって初春とあたしは一心同体!頼りにしてるわよ。う・い・は・る。
名付けて『上条さん幸せ計画(ハピネスプラン)』って、どう?」
「言っときますけど。私はしませんよ!人前で脱ぐだなんて…………」
「だあぁぁぁぁぁ!コラーッ!
誰も服を脱ぐなんて言ってない!一肌脱ごうっていったの!」
「えっ?そうだったんですか?」
「まったく、初春ったら……………………………って、いや、その手があったか!
ねえ、初春!こんど上条さんに会いに行く時は私の選んだ紐パン履いていきなさいよ」
「えぇぇええええええ────っ、無理無理無理無理、そんなの絶対無理です。
ってゆうか、お願いですから人前で私のスカートめくらないで下さい!」
「ちぇーっ、残念。いいアイデアだと思ったのになあ」
「だあぁぁぁぁぁ!コラーッ!
誰も服を脱ぐなんて言ってない!一肌脱ごうっていったの!」
「えっ?そうだったんですか?」
「まったく、初春ったら……………………………って、いや、その手があったか!
ねえ、初春!こんど上条さんに会いに行く時は私の選んだ紐パン履いていきなさいよ」
「えぇぇええええええ────っ、無理無理無理無理、そんなの絶対無理です。
ってゆうか、お願いですから人前で私のスカートめくらないで下さい!」
「ちぇーっ、残念。いいアイデアだと思ったのになあ」
「そんなに見せたいなら、佐天さんのパンツを見せてあげれば良いじゃないですか!?」
「おおーっ!そうか。その手もあったか!じゃあ遂にこいつの出番ね。
あたしの秘蔵の一品!フリル付きレースのスケスケパァァァァ──ンツ!!」
「わ、わっ!ちょっと、本気にしないで下さい。佐天さん」
「はははっ、なあーんてね。冗談だよおぉぉぉぉぉん!」
「もう、佐天さんったら。
でもなんで佐天さんがそんなエッチな下着を持ってるんですか?」
「へへへっ、実はこの前白井さんから貰ったんだ!」
「おおーっ!そうか。その手もあったか!じゃあ遂にこいつの出番ね。
あたしの秘蔵の一品!フリル付きレースのスケスケパァァァァ──ンツ!!」
「わ、わっ!ちょっと、本気にしないで下さい。佐天さん」
「はははっ、なあーんてね。冗談だよおぉぉぉぉぉん!」
「もう、佐天さんったら。
でもなんで佐天さんがそんなエッチな下着を持ってるんですか?」
「へへへっ、実はこの前白井さんから貰ったんだ!」
「でも、佐天さん。さっきから話を聞いてると、ひょっとして……………………
『上条さん幸せ計画(ハピネスプラン)』って思いつきだけで言ってません?」
「うっ!…………な、何を言っているのかな?初春」
「じゃあ、本当は上条さんにどう恩返しするつもりなんですか?」
「えーっと、それはもちろん………………………………お願い!初春、一緒に考えて!!」
「は────っ、どうせそんなことだろうと思ってました」
『上条さん幸せ計画(ハピネスプラン)』って思いつきだけで言ってません?」
「うっ!…………な、何を言っているのかな?初春」
「じゃあ、本当は上条さんにどう恩返しするつもりなんですか?」
「えーっと、それはもちろん………………………………お願い!初春、一緒に考えて!!」
「は────っ、どうせそんなことだろうと思ってました」
「ねえ、初春。どうやったら上条さんが幸せって感じるかな?」
「そんなの、私が判る訳ないじゃないですか」
「ネットで何かチョチョイのチョイって検索できないかな?」
「男の人が幸せを感じることですかあ?
やってみますけど期待しないで下さいね。
えーっと、これをこうして……………………んでもって、チョチョイのドン!」
「そんなの、私が判る訳ないじゃないですか」
「ネットで何かチョチョイのチョイって検索できないかな?」
「男の人が幸せを感じることですかあ?
やってみますけど期待しないで下さいね。
えーっと、これをこうして……………………んでもって、チョチョイのドン!」
「幸せかどうかは分かりませんが、アンラッキーな時の気分転換法ならいくつかありましたよ」
「どんなの?どんなの?」
「どんなの?どんなの?」
「えーっとですね。ストレス発散には適度な運動が良いそうですよ」
「適度な運動…………そうだ、オープンしたばっかのウォーターパークなんかどうかな?
あそこのウォータースライダーで滑り降りたら気分がスカッとしそうじゃない!」
「適度な運動…………そうだ、オープンしたばっかのウォーターパークなんかどうかな?
あそこのウォータースライダーで滑り降りたら気分がスカッとしそうじゃない!」
「あと、適度に涙を流すのも精神衛生上良いそうですよ」
「映画だね!」
「今だとシネマパレス21で上映している『鉄橋は恋の合図』って映画がお薦めらしいですよ」
「映画だね!」
「今だとシネマパレス21で上映している『鉄橋は恋の合図』って映画がお薦めらしいですよ」
「それにショッピングも意外と効果があるとか、美味しい食事が人をハッピーにするって
ことも書いてありますよ」
ことも書いてありますよ」
「もうウォーターパークに決まりじゃない!
あそこの複合施設はあたしも行ってみたいと思ってたんだ。
上条さん!!
あたし、恩返ししてみせます。きっと上条さんを幸せにしてみせます。
だから待ってて下さいね。ふっふっふっふっ!」
あそこの複合施設はあたしも行ってみたいと思ってたんだ。
上条さん!!
あたし、恩返ししてみせます。きっと上条さんを幸せにしてみせます。
だから待ってて下さいね。ふっふっふっふっ!」
使命感に熱く燃える女子中学生の陰謀が今動き出した。
次回「乙女たちの接待作戦ウォーターパーク編」に続く…………かな?
次回「乙女たちの接待作戦ウォーターパーク編」に続く…………かな?