とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-453

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匿名ユーザー

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予報にない雷が降って、様々な電気器具が機能停止しているなか、雷電は、そんなことがなかったかの様に
普通にパソコンやエアコンなどの電気器具が動いている、表通りから外れたあまり人が来ない店を訪れていた。

「はぁぁぁーここは、いいな~」
「わざわざ、涼みに来んじゃねぇよ」

エアコンの近くに椅子を置いて、まさにベストポジションで寛いでいる雷電に、
作業着を着て、丸いレンズのゴーグルを掛けた50代半ばの男が雷電へと不満をぶつけてきた。

「仕方ないだろ……ここいら一帯停電になって、家に居たってエアコンつかねぇし」
「だったら、せめて珠理ちゃんつれて来い、ヤローばっかりじゃ、むさ苦しくてしょーがねぇ」
「そー言うなって、仕事頼みに来たんだよ…ほらっ」

ポケットから小さな紙切れを出して、男に渡した。

「また、頼むよ」
「もう使っちまったのか?」
「あぁ、ちょっとすごいのに会ってな」
「んー……手裏剣はただの加工でいいが…液化爆薬はちっと厳しいぞ…最近取締りが厳しくなってきてなぁ
 知ってんだろ?レベルアッパーの話」
「あぁ聞いてるよ…能力のレベルを上げるって噂の…」
「そいつが出回ってからというもの、随分、アンチスキルやジャッジメントが色々嗅ぎまわってなぁ
 おかげでまともに商売ができやしねぇ」
「元々真っ当な商売じゃねぇだろ?とにかく頼むよ…俺もこんな短期間に全部使っちまうとは思わなかったんだよ」
「はぁー…もう止めたらどうだ?どれだけガイヤメモリを壊したって、また同じような物は出てくる」
「……そうはイカンだろ…あれがどういう物か知っちまったら…それに、あれは俺の所為で…」
「まっそう思いたいなら、そう思ってればいいが…あんまりやりすぎん方がいいぞ…ガイヤメモリの開発、
 ありゃおそらく…暗部が関わってる…『お偉いさんには、逆らうな』この世界の鉄則だ」
「心配してくれんのか?」
「アホ…ぼったくる相手がいなくなるのが困るんだよ」
「ははっ…本人の前で言うかぁ?」
「ヤローに優しくする必要ねぇだろ」

そう言って、貰った紙と睨めっこしながら男は部屋の奥へと行った。そこで雷電はあることを思い出した。

「そうだ!あれは出来たか?」
「んっ?あぁーあれか!いや、まだだ、もう少し調整しないと」
「そうか…そろそろ当麻の奴にもやろうと思ったんだが…」
「そもそも必要なのか?あんな物が当麻に」
「…まっ、あいつもいつまでも子供じゃねぇさ」
「だがっ……俺は賛成出来んぞ、あんなガキにライダーシステムを与えるなんて、ありゃ玩具じゃねぇぞ…」
「たしかに…ライダーシステムは使い方を一歩間違えば…ただの破壊者になっちまう…けどあいつなら大丈夫さ…」
「お前が当麻を買ってんのは、知ってるが…だが買かぶりすぎだ、あいつはただの無能力者だ…」
「…違ぇよ、あいつは俺なんかよりずっと大人だ…」
「………まったく、おめぇは当麻に恋でもしてんのか?」

当然の男の質問にビックリというよりは少しあきれた顔で雷電は返事をした。

「はぁ!?なんでだよ?」
「よく言うだろ、恋は盲目ってな…」
「はははっ、まぁ俺にそういう趣味はないが…俺からしたらあんな無鉄砲なバカでも、弟みたいなもんなんだよ」
「はっ!あんな弟ならおりゃ泣きたくなるよ」
「ふっ…お前からしたらそうかもしれんが…俺は家族ってもんを持ったことがないからな…」
「………まぁ頼まれた仕事はちゃんとやってやる」
「あぁ頼むよ…じゃあ俺はそろそろ行くわ…」
「あぁ…出来たら連絡する」
「分かった…」

用件を済ませた雷電は適当に別れの挨拶をしながら店を出て、
店の前に置いてあるバイクに跨り停電で動かない信号のせいで混んでいる道路へとバイクを進めた。

昨夜の『謎の雷』によって周辺は停電になっていた。ある程度の施設などは予備電源などで回復している所もあるが
信号など電気器具は未だに回復しておらず、今は、アンチスキルやジャッジメントによる誘導で車やトラックなどの
車両を整理させているが、やはりスムーズには行かず、雷電はこの真夏の暑いなかじっと渋滞の中を耐えていた。
(あじぃぃぃぃ何なんだよこの渋滞!?あぁクソ!どっかファミレスにでも入るか…)
そう考えどこか適当な場所にバイクを停めてファミレスを探し始めた雷電だったが、
(あそこのファミレスのパフェは全部クリアしたし、あそこのパフェはイマイチだしなぁ…)
などと大の大人が何を考えているんだとツッコまれそうな事を考えていると、とあるファミレスのとある人物が目に止まった。
(あいつ…なんで?)

ここはとあるファミレスそこでは、ジャッジメント2人にレベル5が1人、民間人の無能力者が1人に
とある脳学者が1人、計5人である事件について話し合いをしていた。

「なぜ脳の学者さんとお茶を?」

と頭に花飾りをのせた少女がジャッジメントの同僚であるツインテールの少女に尋ねた。

「『幻想御手』の件で相談してましたの」

その答えを聞いたとある無能力者の少女が

「『幻想御手』ですか?それなら私…」

と答えようとした時、彼女達が座っている席に面したガラスの窓がコンコンと叩かれ話を中断した。
彼女達が見てみるとそこには、銀髪の20代前半ぐらいの男が、よっ!言うような感じに手を上げていた。
誰?と少女達は疑問を持ったが同じ席に脳学者答えた。

「あぁ……私の知り合いだ…」

銀髪の男は彼女達が座っている席を指差し、そっちに行っていいか?と言っているようだったので脳学者は少女達に

「構わんか?」

と聞いてきたので少女達はコクンッと首を縦に振ってくれたので、脳学者も男にいいぞと、頷いた。
許可を貰った男はファミレスに入ってきて、少女達が座る席に近づいて、脳学者に

「よぉ…久しぶりだな木山」
「あぁ……」
「席……いいか?」
「そのつもりで来たんだろ…」

とりあえず許可が下りたので空いている頭に花をのせた少女の隣に座った。

「すまないね、お譲ちゃん」
「あっ、いえ……木山さんのお知り合いですか?」

と当然の質問をしてきたので、答えようと思ったが先に木山が答えた。

「昔の研究仲間だ…」
「あぁじゃあ、学者さんですか?」

と今度は雷電に質問してきたので、雷電が答えた。

「いいや、今はもう違う…」

考えと違う答えが返ってきて、また疑問が生まれたが、少女はあまり詮索しないことにしたらしい。

特に質問もなかったあので、雷電は木山を見て

「本当に久しぶりだな…1年ぶりかな」
「あぁ…こんな所で何をしてるんだ?」
「そりゃこっちの台詞だろ…お前のことだから、どうせ研究室にでも引きこもってると思ってたんだが…」
「…ある事件で協力を求められてな…」

事件?と呟いた雷電に隣に座る頭に花をのせた少女が答えてくれた

「『幻想御手』の件です」

そう答えた彼女の隣にいるツインテールの女子が民間人に教えるな、と言った感じに雷電の隣の少女睨み付けたが、
雷電は、とりあえず気付かないふりをして、

「あぁ…はいはい、アレね」
「知ってるんですの!?」

とツインテールの少女が尋ねてきたので、

「いや…そりゃ噂程度ならな…たしか、ある所じゃかなり高額で取引されてるとか」
「!?どこですの?」
「……そこら辺さ」
「えっ!?」
「そこら辺の路地裏で不良共を適当にしめりゃ、見つかると思うぜ」
「そんなに出回ってるの?」

今度は雷電の向かいの木山の隣に座る少女、正確にはレベル5の超能力者が聞いてきた。
雷電がその質問に答えようとすると、

「いらっしゃいませ、ご注文は?」

とファミレスの店員が入ってきたばかりで何も頼んでいない雷電にメニューを尋ねてきた。一先ず何か頼もうとメニューを見て

「あぁ、じゃあこの………『季節限定スペシャルフルーツパフェ』を」
「「「「…………」」」」

少女4人は声には出さなかったが、どう見ても、えっ!?っと言いたげな顔だった。

ガツガツと品のない音を立ててパフェを食べる雷電を見ながら、隣のお花少女は恐る恐る尋ねてきた。

「あの…………パフェお好きなんですか?」
「あぁ!?」

とさっきと声色が違い、怒っているような声を出したので、少女は、反射的に誤った。

「すっ!すいません!!」
「…………お譲ちゃん…ふざけた事言っちゃいけねぇよ…俺に『パフェ好きなんですか?』って聞くって事はな
 3つ星レストランに行って『ここの料理おいしいんですか?』聞くようなもんだぜ…」
「えっ!?そんな失礼なこと私言ったんですか!?」
「時にお譲ちゃん…セブンスミストの喫茶『甘太』を知ってるかい?」
「えっ!?えぇあのすごい種類のスイーツのある」
「俺…あそこのパフェ全部コンプリートしましたぁ」
「えっ!?うそ!?だってあそこパフェだけでも60種類はありますよ!?」
「全部食いましたぁー」
「すっすごいです!!」

とさっきまでの恐れはどこへ行ったか、尊敬の眼差しを向け始めた。そこでツインテールの少女は話を戻すため会話に入り込んだ。

「オホンッ!えー話を戻してよろしいですの?」
「あぁゴメンゴメン…なんだっけ?」
「『幻想御手』のことですの…どこで手に入れられるのですか?」
「だから言ったろ…そこら辺の不良取っちめれば、見つかるぜ…」
「そんな簡単に!?」
「別に驚くことじゃねぇよ…この町に何人の無能力者がいると思ってる?いや」

それだけじゃない、と付け加えた後、ポケットからタバコを出して銜えたが回りに女性しかしないことに気付き
出したタバコをしまった。

「別にいいですよ…」

と隣の少女は言ってくれたが、いや大丈夫・・・と呟き、話を元に戻した

「無能力者だけじゃない…低能力、異能力、強能力者でさえ自分の力にコンプレックスを持つもんだ…
 そういう奴らの逃げ道としちゃぁ『幻想御手』はまさに夢の様だろ、どんなことしたって欲しがるさ…」
「ついさっきまでただの噂だと思ってましたのに…」
「噂つーのは大抵、真実を少し捻じ曲げただけもんさ…まっ、俺から言わせりゃそんな物に頼る奴はただの負け犬だけどな…」

そう言った時に、向かいの席に座る一番端にいる髪の長い少女が肩をビクッと震わしたことに雷電は気付いた。

「負け犬ですか?」

と隣の少女が聞いてきたので

「そうだろ?自分の力で解決出来ないから、なにか別の物に頼る…自分で戦うことを止めた…ただの負け犬だ」
「でも!!」

今まで会話に入ってこなかった、長髪の少女が突如大声を出して会話に入ってきたが自分が大声を出したことに気付き
少し恥ずかしそうにしながら、

「あっ!いやっその…ほら、やっぱり自分じゃどうしようも出来ない才能って言うのがあるじゃないですか?」
「……お譲ちゃん…無能力者かい?」
「えっ…あっはい…」
「そうかぁー…冷たいこと言うけどね、お譲ちゃん…才能なんて言葉で逃げるようじゃここから先何も掴めないよ」
「えっ!?」
「だってそうだろ…なんの努力もしないで大きな力を手に入れる…それじゃあ何時までたっても無能力者と変わらん」
「変わらない?」
「…なんの努力もしないってことは、それを手に入れるための苦労しらないってことだ
 そいつはつまり力の大きさを知らないってことだろ…自分の力の大きさを理解出来ない奴に力を持つ資格はない」
「……………」
「なんつって!!」
「えっ!?」
「今のは漫画の受け売り…」
「あぁ……そうなんですか…」

なんだか少し萎えたのか、少女は少し苦笑いを浮かべた。そんなやり取りを見ていた木山は

「お前は…変わったな」
「んー?」
「なんか……よく笑うようになった…何かあったか?」
「………まぁな…いい出会いがあって、お前は…元に戻ったな」
「……」
「あまり…笑わなくなった…」
「……だろうな」

そんな2人の会話を見ていた少女達は、何この大人のやり取り、と胸をときめかしていた。
そんな彼女達の視線には気付いていないのか、雷電は会話を続けようとしたのだが

「お前…まだあの子達のこと…」
「なぁ……あれお前のバイクじゃないか?」
「えっ?」

木山に言われてガラス窓の外を見てみると、
そこには、確かに雷電の停めたバイクが今にもレッカー移動されそうになっていた。

「あぁぁぁぁぁ!!!!!」
「お前…あそこ駐車禁止だぞ…」
「マジかよ!!?」

そう言って、すぐに外に出ようとしたが、ハッ!と気付いて机にドンッと一万円を置いて

「じゃあ!!」

と残して行こうとしたが、隣に座っていた頭に花をのせている少女が

「おっ!お釣りは?」
「プレゼントッ!!」

とだけ言って、待ってくれぇ俺の生きがいを連れて行かないでぇぇぇぇと叫びながらレッカー車を追いかけて行った。

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