とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

第四章

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風は丘原の生み出した炎を容易く吹き消す。
「なっ………?」
「あらあら。この程度の風で消えてしまうなんて、随分貧相な炎ですこと」
大通りから裏路地へと歩み入りながら告げるのは、常磐台指定体操服を身につけ扇子を優雅に振る少女。

常磐台1年、レベル4。
『空力使い(エアロハンド)』の婚后光子だ。

「このやろっ……!?」
炎を繰り出そうとした丘原の視界が突如3メートル程高くなった。
「ぐぁっ!」
丘原は重力に引かれ、3メートルの高さから一気に背中から地面に叩きつけられながら
「全く。何度もまぁ、懲りない連中ですわ」
婚后の隣に、同じく常磐台指定体操服を着たツインテールの少女が何の前触れもなく出現するのを見た。

常磐台1年、レベル4。
『空間転移(テレポート)』の白井黒子だ。

「またテメェか!よくも兄貴を!くそっ!」
叫びながら、部下Aがその身体から電撃を放つ。
電撃は白井と婚后を貫こうとするが、

パチンッ

とその僅か手前で消滅してしまった。

「だ、大丈夫ですか?私ちゃんと防げました?」
やはり常磐台指定体操服を着た少女が、おずおずと白井と婚后に告げる。


常磐台1年、レベル3。
『気力絶縁(インシュレーション)』の薄絹休味だ。

そして、
「ナイス薄絹さん」
薄絹に声をかけながら、その後ろからもう一つ人影が飛び出した。
「さぁて、あんたもしかして電撃自慢だったりする?」
「て、テメェは……」
「だったら私の電撃、食らってみなさいよ!」
叫びとともに、部下Aのものとは比べ物にならない程のド派手な電流が部下Aを襲った。
常磐台指定体操服を着たその少女は、雷を帯びた髪の毛を右手でさっと払った。

常磐台2年、レベル5。
『超電磁砲(レールガン)』の御坂美琴だ。


「あぁ、御坂さんかっこいいですぅ」
御坂に羨望の眼差しを向ける薄絹に、
「お姉様のお隣は私のポジションですのよ」
白井がしっしっと手を振り、
「白井さん、私の助力に対して何の言葉もないとはどういうことですか!」
その白井に婚后が噛みつき、
「そこら辺にいたのを引っ張ってきただけの即席のチームだったけど、案外何とかなるもんね」
御坂がひとりごちる。

「くそっ……テメェら一体どうして………」
残された部下Bが歯軋りし、そこでようやく初春がその手に携帯電話を握りしめていることに気付いた。
壊された自身の物ではない、恐らくニット帽から拝借したものだろう。
「くそっ風紀委員を呼んだってのか……」
「いいえ」
部下Bの言葉を白井が遮る。
「私は、私達は風紀委員としてここへ来たのではありません」
その言葉通り、白井は風紀委員の腕章をつけていなかった。
「初春飾利と佐天涙子の友人として――私達はここに来たんですの」

その言葉に、佐天は思わず笑みを溢してしまう。

彼女達は凄い。
本当に凄い能力を持っている。
だが佐天はもうそのことに暗い感情を抱くことはない。
だから佐天は叫んだ。

「見たかチクショー―!!これが私の力だーー!!」

確かに自分は弱いかもしれない。
だが自分には自分を思ってくれる力強い友人達がいる。
他の誰が何と言おうと、
それは佐天の力であり、
それは佐天の誇りなのだ。

佐天はひとしきり叫び終わると、糸が切れたようにその場に倒れこんで気絶してしまった。

「さて、それであんたはどうするのかしら?」
電流をバチバチ言わせながら残る部下Bに御坂が問う。
すると、
「ふっふっふ、バカ共め。俺を最後に残したことがテメェらの敗因だ」
部下Bが低い声で呟くと、彼の周囲を黒い旋風が取り巻いた。
「こ、これは…?」
動揺する白井に向かって部下Bは両手を突き出して叫ぶ。
「見せてやるよ!俺の最強の能力を…………!?」

果たして、
部下Bの能力が発現することは無かった。

「――超能力か。そいつはウチの寮則よりも偉いのか?」
ゴキリと後ろから部下Bの首を直角になるまで曲げながら、眼鏡にスーツの痩身の女性が言った。


常磐台寮、最凶の存在。

――――寮監だ。

「りょ、寮監!もしかして私達を助けに来てくれたんですの?」
白井の言葉に、しかし寮監は指をゴキリと鳴らして冷淡に答えた。

「いいや。点呼に来なかった馬鹿ども2人を、寮則に則って取り締めに来ただけだ」
顔から一瞬にして血の気が引いていく御坂と白井。
残りの2人はそれを見ながら静かに黙祷を捧げたのだった。

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