とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

1~10

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匿名ユーザー

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■1~物語の序章
とある男は久しぶりに訪れた街の空気に触れ、
ふと懐かしさがこみ上げてくるのを感じていた。
「まあ少しぐらいは思い出に浸ってもいいよな。」
そう呟いて歩みを止めた。
 今日は空がとても青い。
神父の服装は、学園都市においてとても珍しいのであるが、
人々はとりたててそのツンツン頭の男に気をとめない。


上条当麻が学園都市を去ってから3年が経っていた。
上条がロシアに渡った数カ月後、戦争が起きた。
そして、その戦争でインデックスという一人の少女が命を落とした。
上条は一人の少女を守れなかったこと、
大切な人を失ったことに深い絶望を感じた。
しかし、それと同時にある使命感を持つようになった。
それは、戦争をやめさせることである。
少女が死んだ後、上条は停戦に向けて活動を始めた。
一人の少年が戦争をやめさせる=それはとても無謀な事であったし、
実際にも大変な困難が立ちはだかった。
それでも上条は決して諦めることなくボロボロになりながらも行動を続けた。
その姿勢は多くの人々を惹きつけ、幾人かの助力もあって戦争は終わった。
今、上条は、二度と戦争が起きないように、各勢力の仲介者という
役割を果たしており、3年ぶりに学園都市にきたのも
宗教側と科学側の交渉の仲介者として選ばれたからである。


■2~再会
とある自販機の前で、懐かしいツンツン頭を発見した少女は、
背後からその男に近づいて、ケリを入れた。

「痛ってーいきなりなんなんだ!?」

上条が振り返ると、紺の制服をきた綺麗な肩まである
茶色い髪の少女が上条を見て睨んでいた。

「御坂・・」

「アンタっ!!!今までいったいどこに行ってたの!!!
連絡一つよこさないで!心配したんだから!!」

「悪いな御坂・・・ほんとにごめん」

「まぁいいわ。とりあえず、謝る前に言うことあるでしょ?」

 上条は少しだけ考えたが、自然と口から言葉が出てきた。
「ただいま御坂」

「おかえり」
 茶髪の少女は、優しさと悲しみ、そして迷いが混在する、
そんな不思議な目をしていたが、すぐにとても美しい笑顔に変わった。


■3~やりとり
「そー言えばお前今日暇か?もし暇だったならちょっと付き合ってくれないか?」

「は?いきなり何よ。もしかして、やっと私の魅力に気付いちゃったわけ?
残念だけどちょろっと遅かったわね」
そう言いながら少女は悪戯っぽく笑った。

「そっかーそれなら仕方ないな。」
 言った瞬間電撃の槍が飛びすぐさま上条は右手で打ち消す。

「おわっ! お前、ちっとも変わってないなー
なんでいきなりビリビリすんだよ!」

「なんでアンタはそんなに簡単に引き下がるのよ!」

「はぁ?」

「まったく。あいにくだけど今日はとっーても暇だから、
アンタに付き合ってあげるわよ。そんでどこ行くの?」

上条はよくわからないといった様子だったが、昔と変わらぬ少女に安堵した。

「うーんそうだなー遊園地とかどうだ?」

「へーアンタから遊園地のお誘いねー、いいわ行きましょう」
言うや否や少女は少年の腕を引っ張って目的地に向かって歩きだした。


■4~楽しい時間
 上条はその日とても楽しんだ。
一緒にいた少女のおかげでいっぱい笑いいっぱい叫んだ。
 ただ、楽しい時間はあっという間に過ぎる。気が付けば日が暮れていた。

「御坂ありがとう。久しぶりにこんなに笑ったよ」

「どういたしまして、っていうか私もすごく楽しかったわよ」
 そういって満面の笑顔で少女は答えた。

「ちょっと飲み物買ってくるからそこで待ってなさい。」
少女はすぐ近くのベンチにカバンを置いてその場を離れた。

「やれやれ相変わらずだな」
そう呟いた上条が、ベンチに腰を降ろして何の気なしに、カバンの方を
見ると、中身が目に入ってしまった。

「何でアイツがこれを?」


■5~告白
 少女が買ってきた飲み物を飲んで二人は遊園地を出て移動した。
とある橋の上で、少女は足を止めた。

「どうした御坂?」

少女はしばらく沈黙した後、口を開いた。

「私、アンタのことがずっと好きだった。



だけど、関係が壊れるのが怖くてずっと言えなかった。
でも、アンタがいなくなって伝えなかったことを死ぬほど後悔したの。
だから、決めてた。
もしアンタに会えたらちゃんと想いを伝えようって。


               ・・・
私はアンタのことが死ぬほど好きだった。」



「御坂・・。

ありがとう。本当に嬉しいよ。
俺は、お前と会えなくなって、お前の存在の大きさに気付いた。
でも、」


「その先は言わないで。
あんたがここにずっといるわけじゃないことは知ってる。
でもありがとう。すごく嬉しい。
まだしばらくはいるんでしょ?また遊びに連れてってね!
それじゃあ。 」

少女は儚げでいて優しさの満ちた笑顔を残して、その場を走り去った。


■6~考え事
ホテルに戻った後、上条は考え事をしていた。
今日の不審な出来事と、今日の少女について。
(今日一日誰からに尾行されていた?勘違いならいいんだが、
たぶん勘違いではない。それよりも、気になるのは御坂の方だ。
アイツ・・。)

上条当麻は、インデックスが亡くなった事をきっかけに、
理想を持ちそれを実現するためには、それに相応しい力と覚悟が必要
だという事を実感した。そして、それを知った時から、必要な能力
を手に入れるために努力を惜しまなかった。その結果として、
今の上条には飛びぬけた体術をはじめ、優れた状況把握能力、判断力、
洞察力、が備わっていた。

(とりあえず、むやみに知人に会わない方がいいかもな。)
そんなことを考えながら、少年は少しずつ意識を落としていった。


■7~夢
「とーまくん    あたし           」
「  ちゃん    ぼく            」
上条は、不思議な夢を見た。小さな少年と小さな少女の夢。
とても懐かしいかんじがする夢。
でも、思い出そうとしても思いだせない。夢とはそういうものだろう。


■8~目覚め
夢の余韻から完全に抜け出せないまま上条は、目を覚ますために
ホテルを出て歩くことにした。しかし、すぐに意識は覚醒した。
視線を感じたのだ。しかも、たまたま見ているというものではなく、
「観察」をしているといったものだ。
(ふー、またか。とりあえず、ここは様子を伺ってみるか。)
三年前の上条なら慌てていたかもしれない。
いやそれ以前に尾行に気付かなかっただろう。この変化が彼の過ごした
3年間がどれほど壮絶なものであったかを物語っている。

■9~プロの追跡者
上条は、移動を続けた。ランダムに見えるようで規則制のある移動。
それによって尾行者の人数と位置の把握に努めた。
 しかし、尾行者もただものではないらしく、
なかなか相手の特徴を特定できない。

(ちっ。プロか。しかも相当に優秀な奴だ。人数は一人、か?)

上条はさらに移動を続け、白い廃ビルの中に入り、階段を上っていった。
このビルは入り口が一箇所しかないため、相手の出方を伺う絶好の場所である。
ただの観察にすぎないのであれば、通常はビル内には入ってこない。
また、特定の箇所以外から視線を感じることになるなら、
相手は特殊能力者―テレポーターであると判断できる。
いずれにせよ、一番厄介なパターンは、
入り口から相手方が入ってくることである。
一つしかない入り口から、プロの尾行者が侵入する、
このことは、明確な意図=多くの場合は殺意 
があることを意味するからである。
上条は、昨日、知人がいたため、相手を刺激しないように行動したが、
今回は、場合によっては、決着をつけるつもりである。
上条は感覚を研ぎ澄ませ、三回の階段付近に身を落ち着けていた。

(入ってきた・・ )


■10~足音
コツコツと音が聞えてくる。
それはもはや尾行を隠そうとしていないことを表している。
足音から相手は一人ということを再確認し、幾分安堵しつつも身構える。
三年前の上条の戦闘は常に格上の者とであり、
機転と仲間の助力によってなんとか乗り切っていたが、
今の上条にとっては、アックア以外の者を除けば一人で対処してもお釣りがくる。
しかし、油断はしない。今来る者がアックアレベルである可能性も否定できないからだ。
足音が止まり、シルエットが見えたその時、尾行者である男が声を発した。

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