とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-715

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匿名ユーザー

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「……『アリア』」
「あぁ…」

雷電は再び彼女の墓の方を向いた。

「最初は、俺やシオン、ライトと同じようにレベル4だったが、後にレベル5…超能力者へとなり、俺達を率いる隊長になった…
 彼女の強さだけがそうした訳じゃない…彼女の人柄…というか心がみんなを惹きつけた」
「……好きだったんだな…彼女が」
「アリアが嫌いな奴なんて誰もいなかったさ…まぁ最初は苦手だったな……………彼女は戦う俺達に希望をくれたんだ…
 殺す為じゃなく、誰かを守る為に戦う、そう教えてくれたのは彼女だ…だから俺達は戦えた…国や人種すべてが違っても
 同じように戦場で生きる仲間達を守るため」
「………雷電」
「……ディックと言う名は彼女がつけてくれた、俺だけじゃない…シオンやライト、他のみんなも…アリア自信も自分で名前を考えたんだ…
 番号でしか呼ばれたことがなかったからな…うれしかったな…………そして戦場で戦っていくうちに俺達はレベル5へとなった、
 戦場も今までのような内戦ではなく、政府の要人暗殺が主になった、その頃から俺達は、『大蛇部隊』なんて呼ばれ始めた…あまり気に入らなかったがな…
 そしてレベル5になった俺達を学園都市が本格的に研究する為に「ある任務」を終らせたら戻ってくるように指示された……任務は単純、何時も同じく要人暗殺…
 だが、任務は失敗…俺とシオン、ライトは瀕死の重傷を受けてシオン、ライトは死亡…俺は「肉体再生」のおかげで助かった、
 任務は俺達よりも軽症ですんだアリアが完遂させた……そして、俺とアリアはシオンとライトを連れて学園都市に戻った」

黙って聞いていた当麻だが、あたりを見渡し一つ疑問を抱いた。

「2人の墓は?」
「墓はない…2人はその後、ガイアメモリの実験に使われた」
「っ!?死体をか!?」
「あぁ……俺は反対しなかった…ガイアメモリも使うことで2人が俺の中で生きる事ができる…そう思ったんだ
 いや…勝手に思い込んだんだ…だから2人のガイアメモリを使った『多重能力者』開発にも俺は手を貸した…実験に手を貸していくと同時に
 裏の仕事にも手を出した…もともと要人暗殺なんてやってた俺には裏も表もなかったけどな……
 そして、俺が学園都市に戻ってからから一年後にある事件が起きた」
「彼女が…アリアさんが起こした学園都市への……反乱」
「そうだ…戻ってからというもの彼女は実験には一切協力せずにいた…が、ある日一晩で学園都市の実験施設が4ヵ所破壊されるという事件が起きた
 犯人が彼女であることはすぐに分かった…すぐに手を打とうとしたが彼女はすでに学園都市を逃げた後だった、そこで、刺客として送られたのが」
「お前……か」
「そうだ…俺は彼女を追って学園都市を出た…どうしても確認したかったんだ…直接会って」
「そして彼女を見つけた…」
「いや…見つかったんだ、彼女のほうから…俺に真実を伝えるために」
「真実?……」

雷電は体を当麻の方へと向けた。



「俺達が学園都市に帰る前にやった任務…あれは仕組まれていた」
「仕組まれる?」
「……俺達の襲撃が既に伝えられていたんだ、学園都市によって」
「なっ!?どうして!?」
「俺達を恐れたんだ…戻ってくれば学園都市に復讐してくんじゃないかと考えたんだ」
「だったら!!お前達を戻さなきゃいいだけだろ!!」
「…その頃、学園都市の研究者達はあることを研究していた…昔、いや今も尚研究されている『絶対能力者』の開発…当時の科学者は
 不可能と言われていた『多重能力者』こそが、その領域踏み込めると考えられていた。そして、その『多重能力者』になれるのは
 俺だけという結論に至った…そして何とか俺を連れ戻し、『多重能力者』の開発プロジェクトに参加させようとした……そのために罠を仕掛けた
 うまくいけばレベル5のガイアメモリの素材を3人分手に入れることができ、さらに俺を連れ戻す事もできる、後は、適当に俺をそそのかす。
 さっき俺が言った「2人が俺の中で生きられる」ってのは、科学者に言われたんだ……その言葉を真に受けて俺は奴等に協力した…まったくバカだよな」
「……その事をアリアさんは」
「あぁ…知ったんだ、だけどそれだけじゃない…周りを見てみろ」

雷電の言葉に当麻は辺りの見渡し、約100弱ほど、ある墓地を見た。

「みんな…俺の仲間だった」
「えっ!?」
「一緒に戦場で戦ってきた仲間達だ…みんなガイアメモリやライダーシステムの実験に使われた…俺はまったく知らなかった………彼女は俺に伝えるために
 一芝居うった…普通伝えるだけじゃ俺に危険が及ぶと思い…監視の目のない学園都市の外へと俺を誘い出したんだ…そこで俺に全てを伝え……自ら命を絶った
 俺は裏から足を洗い、適当な人生を送ってきた」

そこまで言うと雷電は満足したような顔になり、当麻をただ見つめてきた。

「こんなところかな…俺がお前に伝えておきたかったことは」
「………………お前は…何をしようとしてんだ?」
「…全ての元凶となった奴がいる……俺達を戦場に連れて行き…罠で友を殺し…一緒に過ごしてきた仲間を実験材料にした奴が…そいつの名前は…木原幻生」
「……復讐か?」
「否定はしない……止めるか?俺を…」


雷電からの問いに当麻は答えずに俯いていた。しかし、雷電は当麻に答えを迫る事はしなかった。そして暫くすると当麻は顔を上げた。

「分からない…お前を止めるべきか」
「……そうか」

雷電は落ち込みも失望もしなかった、高校生に、しかも、記憶を失って、生まれたての子供のような状態で、
このような事を聞くのがどれだけ残酷なのかは分かっていた。しかし、それでも雷電は答えて欲しかった、
自分の出せなかった答えをきっと出してくれると期待した、あの頃の当麻を思い出して、雷電は黙っている。

「俺は…」
「いいんだ…当麻…そもそもお前に答えを求めるべきじゃない…すまない……俺が考えるべきなのに」
「でも俺は………復讐をするお前を…否定はしない!」
「えっ!?」

突然の当麻の台詞に雷電は目を見開いた。

「でも…その為にお前が命を落とすって言うなら…俺はお前を許さない!」
「当麻……」
「復讐が良い事かなんて、俺は分からないけど…その為にお前が犠牲になるなんて間違っている…それだけは絶対に言える」

雷電はただ黙って当麻の答えを聞いている。別に当麻の答えが完璧だとも、待ちに待ったものだとも思ってはいない、だが、雷電は黙って聞いていた。

「きっと復讐が良い事とか悪い事かなんて…答えなんてないんだよ、最初っから」
「俺が過去にたくさんの人を殺した事は?」
「それは…悪い事かもしれない……けど、それを後悔したくないからって、自分から死ぬ事はもっと悪い…それに」
「…それに?」
「そんな事の為にアリアさんは死んだんじゃないと思う…」

そこで雷電は気付くことができた、ちょっと考えれば分かるはずだった答えを、雷電はそこで初めて気付くことができた。

「アリアさんは…お前に生きて欲しかったんだろ…死んじゃった人の気持ちは分からないけどさ…お前だって分かってんだろ?」

ようやく雷電は自分の心を知る事ができた。知っていたはずだった、分かっていたはずなのに、なぜそれを理解できなかったのか、その答えはすぐに出す事ができた。

「俺は…自分から死のうとしてたんだ…死んで逃げようとしてたんだ…だから…分からない振りをしてたんだ…」
「ふっ…俺が偉そうなこと言う権利はないけどさ…でも、これだけは分かる……死んで解決することなんてないんだよ」

不思議な気持ちだった、当麻の言葉は世界中の人間が納得する答えではないだろう、でも、その答えには力があった。

「もしも…お前が死ななきゃ解決できないなんてものがあるなら…俺が……俺がその幻想をぶち壊す…お前の…友達として」


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