【序章 任務は速やかに】
一〇月五日
学園都市 第一学区
学園都市 第一学区
ここは学園都市の行政が集中する学区であり、経済や司法関係の大学が多いことで知られている。生活感が希薄で住み辛いという学区でもある。
しかし裏では、学園都市の目を欺くための貴重な場所で有名であり、多くの裏取引や裏商売が行われているのが現状だ。そんな場所でも学園都市が見逃すはずが無く、アンチスキルなどを投入して犯人たちを捕らえていたりもする。だが今日の夜は違う、アンチスキルという名の警備隊は別の学区で起きた事件へと出向いてしまっていた。そのチャンスを逃すはずもなく、犯罪者たちはここぞと言わんばかりに裏取引を始めていた。
しかし裏では、学園都市の目を欺くための貴重な場所で有名であり、多くの裏取引や裏商売が行われているのが現状だ。そんな場所でも学園都市が見逃すはずが無く、アンチスキルなどを投入して犯人たちを捕らえていたりもする。だが今日の夜は違う、アンチスキルという名の警備隊は別の学区で起きた事件へと出向いてしまっていた。そのチャンスを逃すはずもなく、犯罪者たちはここぞと言わんばかりに裏取引を始めていた。
すでに午後11時を過ぎ、学園都市は裏の世界へと変わろうとしていたのだ。
そんな犯罪者たちの中に、標的はいる。
そんな犯罪者たちの中に、標的はいる。
とある屋敷の中、黒いスーツに黒い蝶ネクタイ。ワインの入ったグラスを片手にし、オシャレに決めているようだ。だが自身が少し太っているせいでオシャレも冗談になってしまっている。
しかし黒いスーツの男の前にいる細身の小柄な男、そいつも標的であった。あらかじめ仕掛けておいた小型の盗聴器から、奴らの会話を傍受して会話を聞いていた。
「さて、今回の商品は大目玉ですよ。グフフ・・・ではご覧下さい」
少し太った黒いスーツの男がそう言った。その瞬間に黒いスーツの男の後ろに箱が出された。細身の男は言った。
「それが噂の小型電磁波銃ですか?たしかに、その箱に入るぐらいなら小型でしょうね」
「そうでしょう? ただし今回はこの一品しかありませんので、少々値段が上がりますよ」
「そこは常連客ということで一つお願いしますよ?私もお金は大切に使いたいのでね」
細身の男が指をパチンッと鳴らした。するとその周りにいたボディーガードの奴に金を出させた。双眼鏡で見た感じでは五百万ぐらいあるだろう。黒いスーツの男はこう言った「では一千万円の半額の五百万円でよろしいですね?」と。我ながらこの仕事にも慣れすぎているようだ。細身の男は首を立てに振り、金を黒いスーツの男の前に出した。
しかし黒いスーツの男の前にいる細身の小柄な男、そいつも標的であった。あらかじめ仕掛けておいた小型の盗聴器から、奴らの会話を傍受して会話を聞いていた。
「さて、今回の商品は大目玉ですよ。グフフ・・・ではご覧下さい」
少し太った黒いスーツの男がそう言った。その瞬間に黒いスーツの男の後ろに箱が出された。細身の男は言った。
「それが噂の小型電磁波銃ですか?たしかに、その箱に入るぐらいなら小型でしょうね」
「そうでしょう? ただし今回はこの一品しかありませんので、少々値段が上がりますよ」
「そこは常連客ということで一つお願いしますよ?私もお金は大切に使いたいのでね」
細身の男が指をパチンッと鳴らした。するとその周りにいたボディーガードの奴に金を出させた。双眼鏡で見た感じでは五百万ぐらいあるだろう。黒いスーツの男はこう言った「では一千万円の半額の五百万円でよろしいですね?」と。我ながらこの仕事にも慣れすぎているようだ。細身の男は首を立てに振り、金を黒いスーツの男の前に出した。
とある屋敷の隣のビル。その屋上には、黒いコートと白い仮面を身に纏った人物がいた。
この任務(物語)の暗殺者(主人公)である。
この任務(物語)の暗殺者(主人公)である。
そして思惑通りに任務(物語)は進む。
黒いスーツの男が金を受け取った時、屋敷内の電球の明かりが消えてしまった。慌てているのか、盗聴器からバタバタと音が聞こえてきた。
そう・・・これが黒いコートの暗殺者にとっての合図であった。
そう・・・これが黒いコートの暗殺者にとっての合図であった。
屋敷より高いビルの屋上から奴らを監視していた黒いコートの暗殺者。屋敷内の明かりが消え、奴らが騒ぎ始めた瞬間にビルから飛び降りて屋敷内へ突入するという大胆な作戦を実行した。飛び降りると言っても生身ではさすがに無理がある、黒いコートの暗殺者はベルトに仕込まれたワイヤーをビルの屋上の手すりに引っ掛けて飛び降りた。屋敷の天井はガラス窓だったため突き破ればいいだけだった。その天井を突き破るために俺は腰辺りにつけている両刃のナイフを取り出し、天井のガラス窓に向かって投げつけた。バキィンッ!!と天井のガラス窓が割れ、破片が下へと飛び散る。黒いコートの暗殺者はそこへと巧みに着地し、周りにいたボディーガードたちを即座に格闘で気絶させていく。すると細身の男が逃げ出そうとしていた。逃がすわけにはいかなかった。そのため違うワイヤーを使い、細身の男を確保して床に叩きつけた。だが、黒いスーツの男が拳銃を黒いコートの暗殺者の方に向けていた。
「グフフ、どうやら暗殺は失敗ですね。私も今まで何度か命を狙われましたが、何度も撃退してきたのですよ」
「・・・・・・そうかよ」
「なッ!? バカなッ! どこへ消えたッ!! 今、たしかに私の目のま・・・」
最後の一言を発しようとした時には、黒いスーツの男は倒れていた。いや、黒いコートの暗殺者が殺したと言うべきだった。
床に倒れていた細身の男が口を開き言った。
「そうか、そういうことですか。あなたの能力は・・・!!」
「グフフ、どうやら暗殺は失敗ですね。私も今まで何度か命を狙われましたが、何度も撃退してきたのですよ」
「・・・・・・そうかよ」
「なッ!? バカなッ! どこへ消えたッ!! 今、たしかに私の目のま・・・」
最後の一言を発しようとした時には、黒いスーツの男は倒れていた。いや、黒いコートの暗殺者が殺したと言うべきだった。
床に倒れていた細身の男が口を開き言った。
「そうか、そういうことですか。あなたの能力は・・・!!」
その後、黒いスーツの男と細身の男の死体が発見されたのは、翌日だったという。
とある組織の暗殺記録(アサシネーション)
【第一章 とある組織の名は】
一○月六日
学園都市 第七学区 とある学生寮
学園都市 第七学区 とある学生寮
「・・・もう朝か、あまり眠れなかったな」
珍しく目覚めは悪かった。周りを見渡すと、部屋の壁には黒いコートが掛けられ、白い仮面が横にある机に立てかけられていた。
昨日の任務は簡単な方であった。「第七学区での取引相手二人、暗殺をしろ」という任務。対象外は気絶させるだけの単純作業。ただ単に二人、殺すだけでよかった。だが、疲れていたのだろうか。普段なら正体がばれないように隠しておくのが『暗殺者』の常識だ。
「今、何時だ? あぁー・・・もうこんな時間かよ」
時計を見れば、すでに午後12時過ぎであった。朝飯を食べるというより、昼飯を食べるというほうが正しい時間だ。
少年はベッドから降り、制服に着替えていた。今頃、学校へ登校するつもりはなかったが、出掛けるにはこの格好が一番都合が良かった。学生寮から出て、街中を歩いていると色々な人がいた。
友達と会話をしながら昼飯を食べている人、その昼飯を販売している人、お気楽に散歩でも楽しんでいる人。
珍しく目覚めは悪かった。周りを見渡すと、部屋の壁には黒いコートが掛けられ、白い仮面が横にある机に立てかけられていた。
昨日の任務は簡単な方であった。「第七学区での取引相手二人、暗殺をしろ」という任務。対象外は気絶させるだけの単純作業。ただ単に二人、殺すだけでよかった。だが、疲れていたのだろうか。普段なら正体がばれないように隠しておくのが『暗殺者』の常識だ。
「今、何時だ? あぁー・・・もうこんな時間かよ」
時計を見れば、すでに午後12時過ぎであった。朝飯を食べるというより、昼飯を食べるというほうが正しい時間だ。
少年はベッドから降り、制服に着替えていた。今頃、学校へ登校するつもりはなかったが、出掛けるにはこの格好が一番都合が良かった。学生寮から出て、街中を歩いていると色々な人がいた。
友達と会話をしながら昼飯を食べている人、その昼飯を販売している人、お気楽に散歩でも楽しんでいる人。
だが、暗殺者こと、制服を着た少年は考えていることが違った。
周りの人間の中には、裏の世界にも通っている人間がいるかもしれない。制服を着た少年、彼は周りを普通には見ていない。そういう世界に住んでいるからだ。
だが、逆に言えば、相手も恐れているかもしれない。いつ自分の素性がばれて、命を狙われるか分からないからだ。だからこそ、制服を着た少年は周りを信用しない。
そんな少年に、他校の女子生徒二人が話しかけてきた。
「あの、長点上機学園の透桐 遼一(とうどう りょういち)さんですよね?」
「そうだけど、何か用ですか?」
「すごいよ!あの透桐さんだよ!あの能力見せてくれませんか!?」
「そうねだねぇ、私も見てみたいですねぇ・・・」
女子生徒二人から能力を使用してくれとせがまれる少年。こういう人目に付くことは避けたい少年、またの名を透桐遼一。透桐の能力は珍しく貴重であり、周りからすればとても興味深いものであることには変わりはなかった。
「・・・・・・ごめん、学園側から人前では使用するな。って言われてるんだ」
「そうなんですか・・・、残念です・・・・・・」
「仕方ないよぉ、だって学園都市では五人しか能力開花してないんだよぉ?貴重ですよねぇ?透桐さん」
「あ、あぁ・・・そうだね」
女子生徒二人は残念そうに透桐から離れていった。たしかにこの『能力』を見られなかったのは残念なことかもしれない。
色々と騒いでいたので、周りからの目線が絶えなかった。透桐は何とかその目線を避けるために、路地裏へと入っていった。だが、ただ単純に路地裏に入ったのではなかった。これから任務内容を聞きに、アジトへと向かおうとしていたのである。路地裏を入り、すぐに右に曲がる透桐。さらにすぐ、右に曲がった所には道がさらにあった。いつも通りのアジトへの道であった。
アジトへと続く道を歩くと、一つのビルが見えてきた。そのビルの中にある事務所がアジトの一つである。透桐は階段を上っていき、三階にある事務所についた。
だが、逆に言えば、相手も恐れているかもしれない。いつ自分の素性がばれて、命を狙われるか分からないからだ。だからこそ、制服を着た少年は周りを信用しない。
そんな少年に、他校の女子生徒二人が話しかけてきた。
「あの、長点上機学園の透桐 遼一(とうどう りょういち)さんですよね?」
「そうだけど、何か用ですか?」
「すごいよ!あの透桐さんだよ!あの能力見せてくれませんか!?」
「そうねだねぇ、私も見てみたいですねぇ・・・」
女子生徒二人から能力を使用してくれとせがまれる少年。こういう人目に付くことは避けたい少年、またの名を透桐遼一。透桐の能力は珍しく貴重であり、周りからすればとても興味深いものであることには変わりはなかった。
「・・・・・・ごめん、学園側から人前では使用するな。って言われてるんだ」
「そうなんですか・・・、残念です・・・・・・」
「仕方ないよぉ、だって学園都市では五人しか能力開花してないんだよぉ?貴重ですよねぇ?透桐さん」
「あ、あぁ・・・そうだね」
女子生徒二人は残念そうに透桐から離れていった。たしかにこの『能力』を見られなかったのは残念なことかもしれない。
色々と騒いでいたので、周りからの目線が絶えなかった。透桐は何とかその目線を避けるために、路地裏へと入っていった。だが、ただ単純に路地裏に入ったのではなかった。これから任務内容を聞きに、アジトへと向かおうとしていたのである。路地裏を入り、すぐに右に曲がる透桐。さらにすぐ、右に曲がった所には道がさらにあった。いつも通りのアジトへの道であった。
アジトへと続く道を歩くと、一つのビルが見えてきた。そのビルの中にある事務所がアジトの一つである。透桐は階段を上っていき、三階にある事務所についた。
事務所の名は『アクセス』
ガチャ、っと扉を開けて中に入る。中にはまだ誰もいなかった。透桐は事務所に来たからといってもやる事は無く、目の前にあったソファに腰を掛けた。眠るつもりはないが、とりあえず目を瞑っておくことにした・・・。