とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-740

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匿名ユーザー

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「あれぇー? 透桐ちゃんオネンネ中かなぁー? まぁ、いいけどねぇー」
「ダメですよ…ボクたち的には困りますよ…早く起きてもらわないと…」
「じゃ、銃弾ぶち込めば起きっか? さっさと起こすには銃弾ぶち込むのが一番だろ」
わざと大声で会話しているのだろう。透桐はどうやら眠りについていたらしい。だが、いい加減にわざと大声で言われるのはむかついてくるので、透桐はその状態から一言だけ言ってやた。
「少し静かにしろよ、それだけ大声で騒いでれば誰でも起きるぞ」
「ありゃー?透桐ちゃん起きてたのぉー?なぁーんだ。わざと寝たフリしてたんだぁー」
「寝たフリはしてないが、お前らがわざと大声で会話してたのくらいは分かったよ」
「ちっ、せっかく銃弾ぶち込もうと思ってたのによ。つまんねぇ」
「ま、まぁまぁ…透桐さん起きたんですし…任務の内容を…」
メガネの男がそう言った瞬間、拳銃をグルグル振りましている男はメガネの男が座っているソファへと飛び込むように座った。透桐の横には、スレンダーで体のラインが綺麗な女がいつの間にか座っていた。拳銃を持つ男が言葉を発した。
「んで、今回の任務には俺の出番があるんだろうな? 前の任務は透桐が全部出番を持ってったからな」
「まぁまぁ…灰牙さんはもう少しテンションを下げて…」
「うッせぇ! 毎度毎度、出番取られてる俺の身にもなってみやがれッ!!」
拳銃を持っている男、あいつの名は『灰牙 狼(かいが ろう)』
性格は大雑把、考えるより先に行動するタイプ。口癖は「つまんねぇ」 任務を好き好んで受ける変な奴だ。
「狼ちゃんもうるさいよぉー? 出番が増えてもモテないからねぇー?」
そして彼女、スレンダーで体のラインが綺麗な彼女は『十刹 逢華(じっせつ あいか)』
性格はいたずらっ子、というよりは分かりずらい性格。とにかく言葉を伸ばす口癖と相手の名前に必ず「ちゃん」をつけたりしている。
「あ、あの…任務内容を…説明したいんですが…」
それで、このメガネをかけた少年は『進入 防止(しんにゅう ぼうし)』
性格は弱気で、機械や機器などの複雑なものに対してはエキスパート。名前は珍しいが本名らしい。

透桐遼一(とうどう りょういち)
灰牙狼(かいが ろう)
十刹逢華(じっせつ あいか)
新入防止(しんにゅう ぼうし)

この四名を総称して『アクセス』と呼ぶ。


【行間1】

元々、優れた能力を持っていたのが原因だった。

幼い頃に学園都市に来て、能力を開花し、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を見い出した俺は、周りの大人たちから注目されることになった。
学園都市でも珍しい能力らしく、その当時は俺が最初に能力を開花させたらしい。
けど、周りの人間からの扱いは変わった。友達だった奴は全員が俺から距離を取ろうとした。俺の能力が恐怖に怯える能力でもないのに、だ。
だが、そんな俺にも幼馴染がいた。

『時沢 希望(ときざわ のぞみ)』

希望は俺が幼い頃、学園都市にやって来た時に学生寮の部屋が隣だった。当時は幼かったので、幽霊が出るんじゃないか?と思い、一緒に相手の部屋で寝たりもした記憶がある。
俺も希望も中学生になった頃、俺たち二人の能力は一際目立った。その時、俺と同じ系統の能力者は五人しかおらず、希望の能力もまた珍しいものであった。
いい加減、周りの目線に嫌気がさして来た頃。希望は俺に相談があると言ってきた。もちろん、俺は希望の相談を聞くことにした。

「遼一、実は私の能力はね…学園都市が作った『特殊な物』を服用しないとダメな能力だったの…」
「特殊な物? そんな話聞いてないぞ、いつから飲んでるだ?」
「私の能力が開花して、一週間後には飲み始めたよ…」
「それで、その『特殊な物』は身体には悪いもんじゃないんだよな?」
「それがどうやら身体に悪いものだったみたいなの…」

俺はこの時に思ったことがあった。希望にこれ以上、その『特殊な物』を服用させてはならないと。
だが、希望が次に言った言葉は、俺にとって衝撃を受ける言葉だった。

「遼一…、私ね、これから三年間ぐらいは会えなくなるの」
「なっ!? どういうことだよッ! 何で三年間も会えなくなるんだよッ!!」
「それは…私の身体に悪い影響を与えた物は、ずっと今も私の中にあるの…」
「じゃあ何で今まで、それを飲み続けたんだよッ!!」
「だって…だって遼一が遠ざかる気がして……飲むだけで私も一緒に居られるならと思って……」
「………」

俺はそれ以上、言葉を出せなかった。希望は希望なりに考えがあった。
だけど、希望は悲しそうな顔で俺に言ってきた。

「でも結局は三年間ぐらい会えなくなるから…意味無かったのかな…」
「てかさ、何でそんなの飲んでたんだよ。別に俺はどこにも行かないし、ずっとお前と一緒だと思ってたし」
「遼一…、ごめんね。もう黙ってこんなことしないから……」
「もういいって、別に怒ってるわけじゃないからさ。三年間、専門の病院に通うんだろ?」
「うん…、病院で三年間はいないとダメだって。医者の方に言われた…」
「会えないのか? その病院に行ってもさ」
「うん、面会もダメ。もしものことがあったら大変だって」

しばらく、俺と希望の会話が止まった。
しかし、俺はここで言っておかないといけない気がした。もう三年間も会えなくなるのだから。

「三年間だっけ? 短いよそれぐらい。その…三年間…えっと、待ってるからな」
「ふふふ、遼一可愛い。普通は女の子がそういう台詞を言うんだよ?」
「えっ!? あ、そうか? ま、まあいいだろ? 別にいいよな!?」
「うん、全然いいよ。 だから待っててね」

そう一言だけ残すと、希望は走り去っていった。

これが最後に、俺と希望が会話をした時だった。


【第二章 物語の始まりは暗殺と共に】

透桐は考え事をしていた。過去に時沢希望とのやり取りを思い出していたのだ。
すると、新入にすぐに指摘された。
「あの…透桐さん聞いてます…?」
「すまないな、ちょっと考え事をしていた」
「愛しの彼女のことでも考えてたぁー? まぁまぁ、健気だねぇー」
「うるさい、黙ってろ。お前には関係ないだろ、十刹」
「もぅ…冷たいんだからぁー、私だって冷たくされると落ち込むんだぞぉー?」
「はいはい」
ムムッ、っと透桐の方に顔を寄せる十刹。透桐は離れるようにソファのギリギリまで寄った。
残念そうな顔をする十刹だが、すぐにまたいつも通りの顔に戻った。
「では…続きを説明しますね…」
進入はそう言うと、ソファの前にあるガラスの机に地図を広げた。
「あぁん? これってよ、学園都市の第三学区じゃねぇの?」
「うーん、そうだねぇー。たしかに第三学区だねぇー」
「今回はこの第三学区での任務です……」
「いいから説明続けていいからな、新入」
新入は頷くと、すぐに続きを話し始めた。

今回の任務は『第三学区にある高級ホテルに泊まっている人物を暗殺せよ』とのことだ。
まず最初に、ホテルに入るための会員証を作る。
次に、その会員証でホテルに入り、ホテルの従業員の服を拝借する。
次に、ホテルの従業員になりすましたら、標的のいる部屋まで行き、部屋に入る。
そして、ターゲットを暗殺し、任務終了だ。

「それで、俺と透桐のどっちが潜入すんだよ」
「それは…やはり…」
「透桐ちゃんだねぇー、だって狼ちゃんはうるさいからぁー」
「はいはい、分かってますよ。どうせ俺は特攻突撃専門ですよ」
「おっ、素直でよろしい! 素直ちゃんには優しくするからねぇー」
灰牙の頭を撫でようと、机越しに手を伸ばす十刹。灰牙はその手をどかし、頭をブルブルと振った。
その後、髪の毛を弄り始めた。どうやら、髪型が気になったらしい。
「それでぇー? 新入ちゃん。透桐ちゃんが潜入でいいのぉー?」
「はい…それで助かります…」
「助かるってどういう意味だゴラァ!!」
「じゃあ、俺はさっそく任務に行ってくるから。喧嘩はお前らでやってて」
「あー、透桐ちゃんずるーい! 私も連れてけよぉー」
「お断りしておくよ」
俺はその一言だけを残し、事務所を後にした。


第七学区からバスで第三学区に行こうとしていた透桐に、小さな事件が起きた。
何だか分からないが、「不幸だぁぁ!!」と叫びまくる少年にぶつかったのだ。
ぶつかるぐらいなら良かったのだが、透桐の手には缶コーヒーがあり、飲もうとしていた時にぶつかったわけである。
「それで、不幸だ不幸だ言ってるけど…大丈夫か?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。缶コーヒーが体全体にぶち撒かれるなんて、上条さんにはよくあることですから!」
「上条さん? あぁ、お前の名前か」
「そうです。てか、上条さんはとっても急いでるのです!何故なら、ガブリガブリと噛み付いてくるシスターさんに追われているのだからッー!!」
「そ、そうなのか…。じゃあ、そのシスターさんから逃げ切れば早い話だろ? どうせ暇だし、ちょっと手伝ってやろうか?」
「な、なんとココロ優しい方! 今まで、こんなに幸せを感じたことは…って何回かあるか…」
すると遠くの方から「とうまー! おしおきは絶対に必要なものなんだよー! とうまー!」なんて、言いながら誰かが近くにやって来ようとしていた。
「や、やばいッ! ココロ優しい方! それでどうやって、逃げ切るんだッ!?」
「まぁ…俺の能力使えば…簡単だけど?」
「よし! じゃあ、早速その能力を使って頂きたいと上条さんは切なる願いを見知らぬココロ優しい方に願ってみる!」
「あ、あぁ…じゃあ…」
普段ならこんなことはしない透桐だが、珍しくこんなことをするのも良いだろうと思い、上条とやらの肩に手を置いて、能力を発動させた。が、何故か能力が発動しなかった。
「だぁぁぁ! やっぱ無理かぁぁぁ! 我が幻想殺し(イマジンブレイカー)ぁぁぁ!!」
「幻想殺し? お前の能力か?」
「そうです。異能の力なら何でも打ち消すという能力です。が、今のこの状況じゃ意味ないんだよッ! くそぉぉぉ!!」
「は、はぁ…とにかく、俺の能力も発動できないのか。なら逃げた方が懸命だな」
「くそッ! 我が幻想殺しよ、お前を信じた俺がバカだったよッ!!くそぉぉぉぉ!!!」
「あ、とうまー! 見つけたからには逃がしはしないんだよー!!」
透桐は走り去っていく少年と少女を見据えながら思った。何だったんだあれは?と…。


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