番外編
女だらけの焼肉パーティ-The roasted meat party where is full of women-
女だらけの焼肉パーティ-The roasted meat party where is full of women-
1.
ここは賃貸アパートの一室、ある事件のせいでここの天井には大きな穴が開いていた。実は
ここで起こった事件でここ学園都市の衛星が打ち落とされたのだが、その事実を知るものは
もはや誰もいない。その穴だがようやく先日修理業者が来て綺麗に直っていた。天井だけす
ごく綺麗になっていてなんだか部屋と不釣合いだと感じたがもう一つの懸念事項の方が問題
だった。当然莫大な修理代金の請求がくると身構えていた月詠小萌だったが、なぜか請求が
来なかったのだ。
少し不思議に思ったので業者に問い合わせたところ、なにやら身元不明の煙草を咥えた大男
が直接修理代金だけポンと置いて行ったとの事だった。身に覚えが全くないので事情を知っ
ているであろう上条に何回も訊ねたのだが幾度となくはぐらかされてなんだかうやむやにな
っていた。今日はそれを問いただす意味でも上条を呼んだのだが、
ここは賃貸アパートの一室、ある事件のせいでここの天井には大きな穴が開いていた。実は
ここで起こった事件でここ学園都市の衛星が打ち落とされたのだが、その事実を知るものは
もはや誰もいない。その穴だがようやく先日修理業者が来て綺麗に直っていた。天井だけす
ごく綺麗になっていてなんだか部屋と不釣合いだと感じたがもう一つの懸念事項の方が問題
だった。当然莫大な修理代金の請求がくると身構えていた月詠小萌だったが、なぜか請求が
来なかったのだ。
少し不思議に思ったので業者に問い合わせたところ、なにやら身元不明の煙草を咥えた大男
が直接修理代金だけポンと置いて行ったとの事だった。身に覚えが全くないので事情を知っ
ているであろう上条に何回も訊ねたのだが幾度となくはぐらかされてなんだかうやむやにな
っていた。今日はそれを問いただす意味でも上条を呼んだのだが、
「上条ちゃんは今日は来れなかったのですか?」
月詠小萌は慣れた手つきでビール瓶を栓抜きで開け、ジョッキにビールを注ぎながら目の前
にいるなぜか安全ピンで所々留めてある白い修道服を纏い、長い銀髪と碧眼が特徴的な自称
シスター(小萌は半信半疑)ことインデックスに話しかける。
にいるなぜか安全ピンで所々留めてある白い修道服を纏い、長い銀髪と碧眼が特徴的な自称
シスター(小萌は半信半疑)ことインデックスに話しかける。
「こもえに食費をだしてもらうのが忍びないからいいんだって、せっかくのやきにくなのに
とうまはやせ我慢するなんてもったいないんだよ」
とうまはやせ我慢するなんてもったいないんだよ」
インデックスは箸をわし掴みにして目の前に焼かれている肉に今にも飛びつきそうな勢いで
ある。彼女が連れてきた三毛猫は先ほど姫神秋沙が皿に出した牛乳を飲んでいる。本当は市
販の牛乳を猫に飲ませるのはあまり良くないのだが、手持ちがないので我慢してもらう。
ある。彼女が連れてきた三毛猫は先ほど姫神秋沙が皿に出した牛乳を飲んでいる。本当は市
販の牛乳を猫に飲ませるのはあまり良くないのだが、手持ちがないので我慢してもらう。
「姫神ちゃんがここにくるのも久しぶりですねー、先生姫神ちゃんが寮に入ってからちょっ
とさみしかったんですよー?」
とさみしかったんですよー?」
「それは嬉しいけど………私の紹介を軽くスルーされたあたり、私の存在って……フッ、私
って救われない」
って救われない」
「? どうかしたの?あいさ」
「うん、なんでもない。私の下の名前を覚えていてくれている人がいるだけでも満足」
「?? なにがあったかはしらないけど私の完全記憶能力はどんなゴミ記憶でも忘れること
はないからそんな心配なんてしなくても大丈夫なんだよ?あいさ」
はないからそんな心配なんてしなくても大丈夫なんだよ?あいさ」
「……ミ、…ゴミ…ふぅ…私ってしょせんそんな存在…ふっ」
良かれと思って言った言葉が姫神の心に快心の一撃で止めを刺してしまったようだ。予想外
の姫神の反応にインデックスは動揺する。
の姫神の反応にインデックスは動揺する。
「あ、あれ?私なんか言っちゃったかな、こもえーっ」
悪気がないだけに性質が悪いなと小萌は苦笑しつつ、インデックスに助け舟を出す。
「大丈夫ですよーシスターちゃん。こうなったときの姫神ちゃんは上条ちゃんの話でもして
あげたら元に戻っちゃいますから、姫神ちゃーん、上条ちゃんがこっち見てますよー」
あげたら元に戻っちゃいますから、姫神ちゃーん、上条ちゃんがこっち見てますよー」
「……どこ?」
放心状態になっていた姫神が正気を取り戻し、きょろきょろとここにいるはずのない上条を
探し始める。
探し始める。
「…とうま、もはやその場にいなくても女の子をたぶらかせるんだね……」
「上条ちゃんは昔からやんちゃですからねー、先生たまに出張に行くときも上条ちゃんの名
前はよく耳にするんですよー。この間常盤台中学にたまたま用があったので行ったんですけ
どね、そこのレベル5に手を出したって噂が構内で広まってたんですよ。その話を先生に聞
いたとき思わず出されたコーヒー吹き出しそうになっちゃいました」
前はよく耳にするんですよー。この間常盤台中学にたまたま用があったので行ったんですけ
どね、そこのレベル5に手を出したって噂が構内で広まってたんですよ。その話を先生に聞
いたとき思わず出されたコーヒー吹き出しそうになっちゃいました」
その話を聞いたインデックスと姫神が「またかあの野郎」と思ったのは言うまでもない。彼
は一体どれだけ女の子のフラグを増やせば気が済むのだろうかと少々考えたが、もはや体質
と言っていいだろうと小萌は結論づける。
は一体どれだけ女の子のフラグを増やせば気が済むのだろうかと少々考えたが、もはや体質
と言っていいだろうと小萌は結論づける。
「それはそうと焼けてきたのでそろそろカンパイしましょう」
『かんぱーい!』
~30分後~
「…あ、あいかわらずの食欲ですねーシスターちゃん」
「……私もびっくり」
けっこう多めに肉を買ってきたつもりだったが、完全にこのシスターの胃袋のキャパを見誤
っていたようだ。食事開始30分で3分の2も食べられるとは本当に予想外だった。カンパイの
次の瞬間にはトレイに乗っていた肉はほぼ全部(比喩表現ではなく)この小柄な体に収まって
いたくらいだ。
っていたようだ。食事開始30分で3分の2も食べられるとは本当に予想外だった。カンパイの
次の瞬間にはトレイに乗っていた肉はほぼ全部(比喩表現ではなく)この小柄な体に収まって
いたくらいだ。
「シスターちゃん、生焼けまで食べたらお腹壊しちゃいますよ?」
「ふっふーん、私の胃袋は頑丈だからこれくらいどうってことないんだよ」
「世の中にはア○リカ産牛肉やサイコロステーキの――」
「わわっ!そ、それ以上はNGワードなんですよ姫神ちゃん!」
インデックスは二人の会話の意味が理解できないのできょとんとしていた。
「小萌、これじゃ私達の分が殆どない」
「じゃあいまからスーパーで調達して…」
「あ、それなら私もってきたんだよ」
インデックスは脇に置いていたスーパーの袋らしきものを卓袱台に置くと、中からパックの
肉をいくらか取り出す。
肉をいくらか取り出す。
「シ、シスターちゃん?こんなにいっぱいどうしたんですか」
「家から持ってきたんだよ?台所に出しっぱなしになってたのをもってきたんだよ」
「それは上条君が解凍してたんじゃ……」
本日の彼の食卓は寂しいものになってることだろうと姫神が適当に想像していると、
「別にいいもん、とうまの家の食べ物はわたしの食べ物でもあるんだから。さ、食べよ!」
「まだたべるんですかー?シスターちゃん」
そう言いつつも、三人は彼女の持ってきた肉に手を付け始める。その後、どんな災厄が待ち
うけているかなんてこの時は想像もしていなかったのである。
うけているかなんてこの時は想像もしていなかったのである。
2.
PM9:42
上条は美琴を寮に送り届けた後、まっすぐ帰宅していた。玄関を開けると同時に部屋の熱気
がむわっと彼を襲う。もう日が沈んでいるとはいえ何時間も締め切っていたせいか、部屋の
中はサウナのなかにいるような熱気に支配されていた。
PM9:42
上条は美琴を寮に送り届けた後、まっすぐ帰宅していた。玄関を開けると同時に部屋の熱気
がむわっと彼を襲う。もう日が沈んでいるとはいえ何時間も締め切っていたせいか、部屋の
中はサウナのなかにいるような熱気に支配されていた。
「あっつー、ただいま…ってインデックスいないんだっけ。ということは久しぶりにベット
で寝られるのか」
で寝られるのか」
彼の本来の寝床は普段は居候の支配下に置かれていて、バスタブのなかで眠る生活が続いて
いた。そのせいか、時々へんな寝違いを起こして首を痛めることが多々あった。かといって
ベットをもう一つ置く場所もなければ金もない。貧乏学生の苦悩というやつだ。
いた。そのせいか、時々へんな寝違いを起こして首を痛めることが多々あった。かといって
ベットをもう一つ置く場所もなければ金もない。貧乏学生の苦悩というやつだ。
「今日の出費結構響いたな、まあ何とか持つだろう」
冷蔵庫の中には冷凍食品の買い置きもあったし、野菜も肉も間に合っている。米もまだ余っ
ていたはずだ。最悪非常食のカンパンでもかじればなんとかなるだろう。こういうとき買い
だめは便利だ。たまに買いすぎて使うのを忘れて消費期限を過ぎてしまい、捨てる羽目にな
ったことも何回かあったが。
ていたはずだ。最悪非常食のカンパンでもかじればなんとかなるだろう。こういうとき買い
だめは便利だ。たまに買いすぎて使うのを忘れて消費期限を過ぎてしまい、捨てる羽目にな
ったことも何回かあったが。
「しっかし後風呂沸かして寝るだけっていうのは結構魅力的だよな。今日は特に課題もない
はずだし…あ、そうだ。明日の弁当と朝食の準備。明日は一人分でいいのか」
はずだし…あ、そうだ。明日の弁当と朝食の準備。明日は一人分でいいのか」
いつもはインデックスにまだかまだかと逆切れされることも多々あったが、明日はその心配
もない。昼も適当に作り置きしておけば大丈夫だろうと上条は考えていると、ある異変に気
付く。
もない。昼も適当に作り置きしておけば大丈夫だろうと上条は考えていると、ある異変に気
付く。
「あれ?ここに捨てようと思って出しておいた消費期限切れの肉はどこいった?」
ある三人の女性がそれを気付かずに食べてしまい、病院送りになったのは別の話である。
END