とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 8-129

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匿名ユーザー

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日も沈みかけた夕暮れ時に一台の車が道路を走っていた。
その車の中では、運転をしている当麻が助手席に座るカエル顔の医者に話しかけた。
「すいません、休暇中に…」
「別に構わないよ…一人で寂しく飲んでいるより楽しいからね」
カエル顔の医者は、どこか嬉しそうな顔をして答えた。その顔を見て安心した当麻はルームミラー越しに、
後ろの席に座る白い髪の男を見ながら
「一方通行も悪かったな、面倒なことを頼んで」
「…別に…金はちゃんと貰ったからな…それに浜面のやつには打ち止めが世話になったしな…」
一方通行は、今科学者として働いている。だが、それは表向きである学園都市最高の頭脳を持つ彼にとって一流大学に入ることも
博士となることも簡単なことであり、今では自分の研究所も持っている。といってもそこで働くのは一方通行と芳川しかいない
それでも、かつて様々な研究機関に身を置いていた彼は、働かなくても十分贅沢をすることはできる。
しかし、彼は今も裏で働いている、学園都市の技術を必要とする打ち止めの為にも、そしていろいろと助けてくれた友の為に
「別に無理して裏で働くこともないだろ?もう少し科学者らしくしたらラストオーダーとの時間も増やせんのに」
「…別に今のままで十分だ…一日一回は会えるし、あいつに危険も及ばないしな」
いつものように怒っても笑ってもいない表情で答える一方通行にカエル顔の医者は、笑いながら語りかけた。
「君は本当に丸くなったね…」
「…………………」
いつもならここで不機嫌そうな顔をするのだろうが、先ほどと変わらない表情でいるところを見ると、
どうやら本当に丸くなったらしい。
しばらく車を進めているとカエル顔の医者が窓の外に広がる夕暮れに染まる街を見ながら
「昔は気付かなかったけど…この街は…こんなに綺麗だったね」
「えぇ…この街に人生を狂わせられた人もいるけど…この街自体は、俺結構好きですよ」
「そうかい……まぁでも…君に一方通行、御坂君に浜面君…あの頃の学園都市を知る者はずいぶんと少なくなった」
指を折りながら数えるカエル顔の医者はしんみりと語りだした。
「十年経ちましたからね…無理もないですよ」
「君や一方通行には、ちょくちょく会ってるし、浜面君にはこれから会うけど…御坂君には、ずいぶん会ってないね…
君と御坂君は仲が良かったけど、彼女は今何をしてるんだい?」
「御坂ですか…懐かしいですね、あいつの高校の卒業式の時に会ったきり会ってませんね」


5年前…御坂の高校の卒業式の日

「よっ!御坂」
「あっ!あんた!なんで!?」
「いや…別に……卒業おめでとう」
「あっありがとう………きっ聞いたわよ、あんた医者になったんだって?すごいじゃない」
「いやっ…まだまだ師匠ほどじゃねーさ」
「そっそれで!?なんのよう!?」
「いや、卒業祝いと挨拶に…」
「挨拶?」
「あぁ…俺、イギリスに行くことになってな」
「えっ!?」
「だからお前に挨拶を…な」
「そっそうなんだ…」
「………なぁ御坂…お前も来るか?」
「えっ!なっ!?なっ!?何言ってんのよ!?どうして私が!?…」
「ははっ…だろうな…言ってみただけだ……じゃあな、元気でやれよ」
「あっ!……待っ………………」


「風の噂では親父さんの影響で世界を飛び回って人助けしてるみたいですけど…ほんとよくやりますよ」
*1
二人とも呆れながら心の声を合わせた。
「こう何年も会ってないと、たまには会いたいもんですね…」
「そのセリフを直接彼女に言ってあげれば喜ぶと思うよ」
カエル顔の医者がどこか呆れたように言ったが、当麻には何故か分からなかった、
そんな当麻にさらに呆れながらカエル顔の医者はは語りだす。
「僕にとってこの10年は、あっという間さ…今となっては伝説とまで言われてる君と一方通行との決闘も
僕にとっては、昨日のことのようさ」
「ははっ、そんなこともありましたねぇ…」
「俺は勝った思い出がねェけどな」
今はこうして二人とも笑って話しているが、昔二人が本当に2回ほど殺しあったことを知っている者達からすれば、
信じられない状況だろうが、その二人は、今まるで昔からの友達のように普通に喋っていた。
「そういやァ…また侵入した奴がいたみたいだぞォ…」
「あぁ…俺にようがあったみたいだ…」
「またか…魔術師か?」
「あぁ…適当に相手して、丁重に御帰りいただいた」
「どこのものなんだい?ロシアかい?それともアジアの方かい?」
「いいや…ローマだ」
当麻は特に慌てる様子もなく、運転を続けながら答えた。
「ローマだァ?」
「どういうことだい?ローマ教皇はもう君のことは諦めたんじゃないのかい?」
「もうあの人は引退して別の人になったんですよ…で、そいつがまた威厳っつーもんがなくて他の奴らを抑えられないんですよ」
「じゃあ、また昔の生活に逆戻りかい?」
「…苦労すんな…」
「もう慣れたよ」
若干あきらめ気味の当麻は、遠い目をして答えた。



「ただいま~っと…」
個室サロンの部屋を開けた当麻は、少しふざけ気味言った。
「おかえり~ってみさかはみさかは癒しの笑顔で迎えてみる!」
初めに当麻達を出迎えたのは打ち止めであった。当麻達が奥の広いリビングに行くとそこには、子供と遊ぶ滝壺と絹旗
そして、おそらくコンビニで買ったであろうお菓子をテーブルに少し置いて雑談する浜面や吹寄達の姿があった。
「なんだよ…適当にルームサービス使ってくれりゃいいのに」
当麻はあまりに寂しい食事を見て思わず言ってしまった。
「ほら!言った通りぜよ」
「いや~勝手に使ったら悪いかな~思うて」
「とりあえず貴様が来るまで待とうと決めたのだ」
「別に気にしなくていいのによ…」
みんなの優しさに感動しつつ、当麻はテーブルの上にある薄いカタログを指さし
「そん中から適当に選んでくれ…金は俺が払うよ」
「うひょ~太っ腹ぜよ~!」
「ゴチになりま~す!!」
土御門と青髪はゴチになる気満々だが、少し離れたところで姫神が申し訳なさそうに
「本当にいいの?」
「んっ?あぁ気にしなくていいよ」
「そう…上条君その人達は?」
姫神は、当麻の後ろにいるカエル顔の老人と白い髪の男を見て尋ねた。
「あぁ!白髪の方は一方通行…友達だ」
「…どうも」
一方通行は驚くことに友達と言う言葉否定しなかったうえ、挨拶までしてきた。
「おかえり~ってみさかはみさかは抱きつきながら定番の挨拶をしてみたり!」
「…あぁ」
適当に返した一方通行は打ち止めに連れてかれ、そのまま大きなソファーに座った。
「でっこっちは、俺の師匠…てか、お前らは会ったことあるだろ?」
「えっ!?……あっもしかして大覇星祭のときの?」
姫神がハッと気付くと
「お久しぶり…元気そうだね…そちらのお嬢さんも」
カエル顔の医者は吹寄の方に顔を向けてニコっと笑った
「あぁ!あの時は…どうもお世話になりました」
「いやいや、あれが僕の仕事だからね」
「まさか…あなたが上条の師匠だったとは…」
吹寄も姫神も驚いていたが、そんな二人を見て当麻が
「ほらっ!積もる話は後で…とりあえず、なんか頼もうぜ…って、ん?」
当麻が話していると携帯のバイブ音が鳴った。
「わりっ!ちょっと外す…なんか適当に頼んどいてくれ」
そう言うと、当麻は携帯を持って広いベランダへと足を運んだ。


広いベランダに出た当麻は携帯に出た。
「もしもし?」
『こんばんわ、かな?上条君』
電話からは老人の声が聞こえた。
「あぁ…どうもお久しぶりです…ローマ教皇」
『要件は分かると思うが…』
「えぇ来ましたよ、3人ほど」
『その者たちは?』
「御帰りいただきました…」
『そうか…申しわけない』
「あなたのせいではないですよ…まぁでも、もっとマシな奴を教皇にして欲しかったですよ」
『彼は彼でよくやっているんだが…』
「俺も嫌われたもんですね」
『…私としても、あまり君にローマ正教徒を会わせたくないのだがね…また君に取られてしまう』
「別に俺は取っちゃいませんよ…俺は好き勝手にさせているだけです」
『それが一番厄介なんだが…………探し物は?』
「いえ…見つかりませんでした」
電話越しのローマ教皇は分からないだろうが、この時の当麻はどこか悲しそうな顔をしていた。
『そうか…これからどうするんだい?』
「……もう少し世界を見て回るつもりです」
『そうかい…もしもローマ正教に入る気があったら言ってくれ、私が手を打とう』
「折角ですけど、お断りします」
『やはりな…残念だ』
「まぁでも近いうちにそっちに行くつもりなので…その時は一杯付き合ってくださいよ」
『悪いが…酒は』
「もう教皇じゃないですから…別にいいじゃないですか?」
『いいや…腐っても私はローマ教皇だった男だ』
「そうですか…じゃあヴェントやつと飲みますよ」
『………………………』
なにやら妙な沈黙が続いた。
「なんですか?」
『いや…あんなやつと酒を飲みたがる者なんて、おそらく世界中を探しても君だけだろう』
「はははっ確かに、でも一緒に飲んで騒げるやつは、ローマじゃあいつくらいでしょう?」
『君はいい!だがヴェントのやつが騒ぎだしたら…』
「俺がいるでしょう?」
『君も酔っぱっらてたら止める者がいなくなるだろう!?もし二人一緒に暴れたら国一つ滅ぼしかねん!』
「大げさですよ~」
『やれやれ………もし来たのなら連絡をしなさい、酒はだめだが、お茶なら付き合おう』
「………じゃあ可愛いウェイトレスがいる所で」
『フッ、分かった探しておこう…では』
「えぇまた、そのうち…」


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注釈

*1 お前が言うな…