時計の針が深夜をさす頃には、皆疲れて寝静まっていた。
吹寄や姫神や打ち止め、小萌先生はソファーで酔い潰れて寝ているが、土御門や青髪や浜面は布団も敷かずにそのまま床で寝てしまっていた。
カエル顔の医者は、皆が寝静まる前に帰ってしまった。もちろん、酔っているのでタクシーを使ってである。
唯一ベットが置いてある部屋は、妊婦の滝壺と子供のとうま、それに滝壺について行った絹旗が使っていた。
ベットは大きく、大人がかるく4人は寝られそうなスペースがあり、滝壺と絹旗は真ん中に当麻を寝かせて川の字で寝ていた。
と言っても滝壺と絹旗はまだ起きていた、滝壺は横に寝るとうま胸のあたりをポンッポンッとゆっくり叩きながら眠りを促していた。
その横で絹旗は、滝壺のお母さんらしい行動をただ横になって見ていた。
「もう滝壺さんは超立派なお母さんですね」
「そうかな…」
「そうですよ…それにもうすぐ二人目も生まれるなんて」
「うん…暗部に居た頃なら…想像もできなかったかも…私がお母さんになるなんて」
「私もですよ…しかも、相手はあの浜面なんて」
絹旗は妙な笑みを浮かべながら、滝壺を見つめてきた。そこで滝壺はとうまの上に置いている手を動かすのをやめて、今度は絹旗の方を見た。
「きぬはたも結婚したらいい」
「超遠慮させてもらいます」
「どうして?」
「別に超したくはないし…する相手も超いません」
「…暗部を止めたら、きっと見つかるよ」
「そんな超簡単に暗部は止められませんよ…」
そう言うと絹旗は横向きから仰向けへと変わって、天井を見詰め始めた。
「かみじょうに頼べば、止めさせてくれるかも」
「上条当麻ですか…」
「うん…なんとかしてくれると思うよ…私もはまづらもいっぱい助けられたから…」
「仮に止めたとしても…それからどうすれば…」
「一緒にイギリスに行こうよ…向こうのかみじょうの友達がいろいろ親切にしてくれるよ」
「どんだけの人脈があるんですか?…彼は……てゆーか、上条当麻の方だったら超理解できますが…よりによってどうして浜面なんです?」
「理由を聞かれても…正直なんて答えていいか分からないけど…でも…はまづらは私を必要としてくれたから…
暗部しか居場所のない私に生きる場所をくれたから」
ゆっくりと喋っていた滝壺だったが、その表情はとても穏やかで何一つ嘘は言っていないと絹旗は感じられた。
「は~でもやっぱり結婚は超遠慮させて貰います…それに子供なんてできたら、さらに超大変になります」
「うん…そうだね、やっぱり大変だよ子育ては…でも、かみじょうの友達がいっぱい手伝ってくれたよ…天草式とかシスターさんとか」
「超意味が分からない人脈ですね……でも子供とか旦那なんていても、なんか超鬱陶しそうです……でも」
「でも?」
「どうしてでしょうね…滝壺さん達を見ているとなんだか…超悪くないかもって思えます。」
吹寄や姫神や打ち止め、小萌先生はソファーで酔い潰れて寝ているが、土御門や青髪や浜面は布団も敷かずにそのまま床で寝てしまっていた。
カエル顔の医者は、皆が寝静まる前に帰ってしまった。もちろん、酔っているのでタクシーを使ってである。
唯一ベットが置いてある部屋は、妊婦の滝壺と子供のとうま、それに滝壺について行った絹旗が使っていた。
ベットは大きく、大人がかるく4人は寝られそうなスペースがあり、滝壺と絹旗は真ん中に当麻を寝かせて川の字で寝ていた。
と言っても滝壺と絹旗はまだ起きていた、滝壺は横に寝るとうま胸のあたりをポンッポンッとゆっくり叩きながら眠りを促していた。
その横で絹旗は、滝壺のお母さんらしい行動をただ横になって見ていた。
「もう滝壺さんは超立派なお母さんですね」
「そうかな…」
「そうですよ…それにもうすぐ二人目も生まれるなんて」
「うん…暗部に居た頃なら…想像もできなかったかも…私がお母さんになるなんて」
「私もですよ…しかも、相手はあの浜面なんて」
絹旗は妙な笑みを浮かべながら、滝壺を見つめてきた。そこで滝壺はとうまの上に置いている手を動かすのをやめて、今度は絹旗の方を見た。
「きぬはたも結婚したらいい」
「超遠慮させてもらいます」
「どうして?」
「別に超したくはないし…する相手も超いません」
「…暗部を止めたら、きっと見つかるよ」
「そんな超簡単に暗部は止められませんよ…」
そう言うと絹旗は横向きから仰向けへと変わって、天井を見詰め始めた。
「かみじょうに頼べば、止めさせてくれるかも」
「上条当麻ですか…」
「うん…なんとかしてくれると思うよ…私もはまづらもいっぱい助けられたから…」
「仮に止めたとしても…それからどうすれば…」
「一緒にイギリスに行こうよ…向こうのかみじょうの友達がいろいろ親切にしてくれるよ」
「どんだけの人脈があるんですか?…彼は……てゆーか、上条当麻の方だったら超理解できますが…よりによってどうして浜面なんです?」
「理由を聞かれても…正直なんて答えていいか分からないけど…でも…はまづらは私を必要としてくれたから…
暗部しか居場所のない私に生きる場所をくれたから」
ゆっくりと喋っていた滝壺だったが、その表情はとても穏やかで何一つ嘘は言っていないと絹旗は感じられた。
「は~でもやっぱり結婚は超遠慮させて貰います…それに子供なんてできたら、さらに超大変になります」
「うん…そうだね、やっぱり大変だよ子育ては…でも、かみじょうの友達がいっぱい手伝ってくれたよ…天草式とかシスターさんとか」
「超意味が分からない人脈ですね……でも子供とか旦那なんていても、なんか超鬱陶しそうです……でも」
「でも?」
「どうしてでしょうね…滝壺さん達を見ているとなんだか…超悪くないかもって思えます。」
みんなが寝ている中、当麻は一人で広いベランダに座って月を見ながら酒を飲んでいた。すると後ろから、
「一人で飲んでて…寂しくねェのか?」
一方通行がとぼとぼと歩いてきた。
「おっ…まだ起きてたのか」
「まァな」
「別に…ただこうして酒を飲む機会があんまないからな…」
「そうか」
「…いろんな国を回ったが…やっぱり日本で見る月が一番綺麗だ」
月を見上げながら、当麻はコップに注いだ酒を一口飲むと振りかえり一方通行に酒瓶を見せながら
「飲むか?」
「……あぁ」
一方通行は当麻の隣に座って持っていたコップを出した、初めから持っていたとこを見るとどうやら最初から飲む気だったらしい
当麻は一方通行の持ってきたコップに酒を注ぐと自分のものにも注ぎ始めた。一方通行は注がれた酒を鼻元へ近づけて匂いを嗅いだ。
「外の酒だなァ…あんまり上物じゃねェだろォ」
「世界中の酒を飲んだが…肌に合った水から作る酒が一番だ…俺の故郷の酒だ…飲んでくれ」
一方通行はグビグビと酒を飲んでいった。
「あぁ…悪くねェ」
「そうか」
続けて当麻も酒を飲み、二人はしばらく無言だったがコップを空にした当麻が酒を注ぎながら語りだした。
「不思議なもんでな…記憶なんてないはずなのに、これを飲むと懐かしい感じがする」
「……中東の方に行っていたそォだが…目当てのもンは見つかったのか?…」
「いいや…これと言って、記憶を取り戻すのに役に立ちそうな魔術はなかった」
「……そうか」
「今度はアフリカの方に行ってみるつもりだ…あそこはインデックスも知らない魔術の知識が広がっている国があるらしいからな」
「あのあたりは、まだ紛争が絶えない国ばかりだろォ…また国境なき医師団として行くのか?」
「あぁ…その方がもっともらしいだろ」
当麻は確かに国境なき医師団として働いているが、本当の目的は紛争地域で苦しむ人を助けるだけが目的ではない
本当の目的は、様々な国を回って未だに知られていない魔術知識を集めて、記憶を取り戻すのに役立つものを探す
それが本当の目的である。しかし、第3次世界大戦もしくは、それよりも前から上条当麻という人物の名前は知られていた。
学園都市では、知ろうとしても上層部の者しか知ることのできない貴重な能力を持つ者として、
世界では、魔術大国ローマの野望を何度も阻止した者として、
その上、彼を慕い彼の役に立ちたいと思う者も今では数えられないほどいる。そらに、そのほとんどが曲者揃いときている。
今では上条当麻という人物は一国が恐れるほどの人物へとなってしまったのだ。
そんな人物が自分の国に入ろうとするなんて国のお偉いさんが許すはずもない、そのため当麻は国境なき医師団として働く傍ら
様々な魔術の知識を集めていく、それが当麻が今送っている日常であった。
「上の奴らは困惑してんぞ…急にお前が帰ってきてな…しかも昔、学園都市が躍起になって殺そうとした男付きで」
「あいつらはまだ諦めてないのか?」
「さァな…だが見張りはついてたな…」
「やれやれ…別に何もしなねぇっつーのに」
「向こうも隙あらばって来てんだろォよ」
そこまで言うと一方通行はコップの酒を飲みほした。当麻は一方通行のコップに酒を注ぎながら
「なぁ…結標の奴とはまだ付き合いがあるのか?」
「あぁっ?結標?…この前仕事で一緒になったけどなァ……それがなんだ?」
「じゃあこの街にいるんだな…ちょっと…頼みたい事が」
「一人で飲んでて…寂しくねェのか?」
一方通行がとぼとぼと歩いてきた。
「おっ…まだ起きてたのか」
「まァな」
「別に…ただこうして酒を飲む機会があんまないからな…」
「そうか」
「…いろんな国を回ったが…やっぱり日本で見る月が一番綺麗だ」
月を見上げながら、当麻はコップに注いだ酒を一口飲むと振りかえり一方通行に酒瓶を見せながら
「飲むか?」
「……あぁ」
一方通行は当麻の隣に座って持っていたコップを出した、初めから持っていたとこを見るとどうやら最初から飲む気だったらしい
当麻は一方通行の持ってきたコップに酒を注ぐと自分のものにも注ぎ始めた。一方通行は注がれた酒を鼻元へ近づけて匂いを嗅いだ。
「外の酒だなァ…あんまり上物じゃねェだろォ」
「世界中の酒を飲んだが…肌に合った水から作る酒が一番だ…俺の故郷の酒だ…飲んでくれ」
一方通行はグビグビと酒を飲んでいった。
「あぁ…悪くねェ」
「そうか」
続けて当麻も酒を飲み、二人はしばらく無言だったがコップを空にした当麻が酒を注ぎながら語りだした。
「不思議なもんでな…記憶なんてないはずなのに、これを飲むと懐かしい感じがする」
「……中東の方に行っていたそォだが…目当てのもンは見つかったのか?…」
「いいや…これと言って、記憶を取り戻すのに役に立ちそうな魔術はなかった」
「……そうか」
「今度はアフリカの方に行ってみるつもりだ…あそこはインデックスも知らない魔術の知識が広がっている国があるらしいからな」
「あのあたりは、まだ紛争が絶えない国ばかりだろォ…また国境なき医師団として行くのか?」
「あぁ…その方がもっともらしいだろ」
当麻は確かに国境なき医師団として働いているが、本当の目的は紛争地域で苦しむ人を助けるだけが目的ではない
本当の目的は、様々な国を回って未だに知られていない魔術知識を集めて、記憶を取り戻すのに役立つものを探す
それが本当の目的である。しかし、第3次世界大戦もしくは、それよりも前から上条当麻という人物の名前は知られていた。
学園都市では、知ろうとしても上層部の者しか知ることのできない貴重な能力を持つ者として、
世界では、魔術大国ローマの野望を何度も阻止した者として、
その上、彼を慕い彼の役に立ちたいと思う者も今では数えられないほどいる。そらに、そのほとんどが曲者揃いときている。
今では上条当麻という人物は一国が恐れるほどの人物へとなってしまったのだ。
そんな人物が自分の国に入ろうとするなんて国のお偉いさんが許すはずもない、そのため当麻は国境なき医師団として働く傍ら
様々な魔術の知識を集めていく、それが当麻が今送っている日常であった。
「上の奴らは困惑してんぞ…急にお前が帰ってきてな…しかも昔、学園都市が躍起になって殺そうとした男付きで」
「あいつらはまだ諦めてないのか?」
「さァな…だが見張りはついてたな…」
「やれやれ…別に何もしなねぇっつーのに」
「向こうも隙あらばって来てんだろォよ」
そこまで言うと一方通行はコップの酒を飲みほした。当麻は一方通行のコップに酒を注ぎながら
「なぁ…結標の奴とはまだ付き合いがあるのか?」
「あぁっ?結標?…この前仕事で一緒になったけどなァ……それがなんだ?」
「じゃあこの街にいるんだな…ちょっと…頼みたい事が」
当麻達がいる個室サロンを一キロほど離れたビルの屋上から見つめる、黒服を着た一つの集団があった。
「で…どうする?」
「言われた以上…やるしか…」
「最初に言っておくが俺はやだぞ」
集団から離れた所にいる男が言った
「そんなこと言って~どうすんですか先輩?」
個室サロンの様子を双眼鏡で見る小柄な若い男が言った。
「うるせぇよ…そもそも上条当麻だけでも厄介なのに…一方通行に『グループ』の土御門、おまけに元『アイテム』の絹旗まで…
命がいくつあってもたりねぇよ!」
「たしかに…」
「上も面倒なこと言ってくれますよね~」
「だけど…命令された以上…」
「そもそも何なんだよ「浜面仕上を抹殺せよ…もしも上条当麻が邪魔するようなら同じ処置を取ること」って…もう邪魔してくること前提じゃねぇか」
「は~報酬がいいから思わずうけてしまったが」
「まぁやってみましょうよ…どうやら酒飲んでるみたいだし…今ならいけるんじゃないんですか?」
彼らが迷っていると、屋上の入口から声がした。
「何をしてるんだ…お前らは」
「あっ!杉谷先輩!!」
「どうも…お久しぶりです」
「挨拶はいい…何をしている」
「いや~先輩が厄介な仕事を~」
「俺の所為か?」
彼らの任務の説明を一通り聞いた杉谷は
「悪いことは言わん…すぐに中止しろ」
「いや…しかし…」
「お前らは上条当麻の恐ろしさを分かっていない…」
「いやっそりゃあ強いことぐらい百も承知ですよ!」
「違うお前らは上条当麻を根本的に誤解している」
杉谷は腕を組み呆れた様子で語りだした。
「で…どうする?」
「言われた以上…やるしか…」
「最初に言っておくが俺はやだぞ」
集団から離れた所にいる男が言った
「そんなこと言って~どうすんですか先輩?」
個室サロンの様子を双眼鏡で見る小柄な若い男が言った。
「うるせぇよ…そもそも上条当麻だけでも厄介なのに…一方通行に『グループ』の土御門、おまけに元『アイテム』の絹旗まで…
命がいくつあってもたりねぇよ!」
「たしかに…」
「上も面倒なこと言ってくれますよね~」
「だけど…命令された以上…」
「そもそも何なんだよ「浜面仕上を抹殺せよ…もしも上条当麻が邪魔するようなら同じ処置を取ること」って…もう邪魔してくること前提じゃねぇか」
「は~報酬がいいから思わずうけてしまったが」
「まぁやってみましょうよ…どうやら酒飲んでるみたいだし…今ならいけるんじゃないんですか?」
彼らが迷っていると、屋上の入口から声がした。
「何をしてるんだ…お前らは」
「あっ!杉谷先輩!!」
「どうも…お久しぶりです」
「挨拶はいい…何をしている」
「いや~先輩が厄介な仕事を~」
「俺の所為か?」
彼らの任務の説明を一通り聞いた杉谷は
「悪いことは言わん…すぐに中止しろ」
「いや…しかし…」
「お前らは上条当麻の恐ろしさを分かっていない…」
「いやっそりゃあ強いことぐらい百も承知ですよ!」
「違うお前らは上条当麻を根本的に誤解している」
杉谷は腕を組み呆れた様子で語りだした。
「あいつの恐ろしさ…それは確かに力もあるだろうが、本当に恐ろしいのは…人を引き付ける力だ」
彼ら正直なんだそれはっと思った。確かに上条当麻が世界各国に様々なパイプを築いているのは知っているが、それが何なのか分からなかった
「昔あった事件を教えてやろう…今から4,5年前に上条当麻はロシアを訪れようとしていた、理由は国境なき医師団としての仕事だったが
ロシア側は上条当麻がロシアの有能な人材を引き抜きに来たと考えた…まぁもともと第三次世界大戦では上条当麻の所為で
ロシアは敗戦国となってしまった様なものだからな…奴らも相当恨んでいたであろう…
そしてロシア側は上条当麻にロシア内での医師としての働きに感謝を述べたいと言い、上条当麻との会談を望んだ…そして上条当麻はそれを承諾した…
仲間の中には止める者もいたらしい、ロシアがどれだけ上条当麻を恨んでいたか知っていたからな、だが上条当麻はそれを無視し会談に行った
そして案の定…ロシア側は一切の交渉もせず上条当麻を撃ち殺そうとした」
そこまで聞いて彼らがザワッとした
「そっ!そんなことが!?」
「でっ!?上条当麻は?」
「彼の人脈が幸いした…ロシアに居た特殊部隊…確か『殲滅白書』と言われている部隊だ、彼らが重傷を負った上条当麻を助け出し、
上条当麻は一命を取り留めた」
「どうして、その『殲滅白書』が?」
「よく分からんが第三次世界大戦時に『殲滅白書』の誰かが世話になったらしい…まぁとにかく、上条当麻は一命を取り留めた
そして…その噂を聞いた上条当麻の仲間達がロシアの国境近くに集まり、今にも戦いが起こりそうな一触即発の事態へとなった」
「そんな事件、俺達は…」
「知らされていないだろう…学園都市の上層部でしか知られていないことだからな、
そして、その戦いを原因となったのも、終わらせたのも上条当麻だった…奴は今にも戦いが起こりそうな雰囲気の中、
傷も癒えていない状態で戦場に表れて、その戦いを止めた…」
黒服の集団はいつの間にか杉谷の話を真剣に聞いていた。すると集団から離れた屋上の端から
「説明御苦労さま…杉谷」
突然女の声がした。黒服の集団は反射的に銃を向けた。
「結標…なぜお前が…」
「結標!?土御門、一方通行と同じグループの…」
「これっ!」
結標は手に持っていた袋を近くにいた男に投げ渡した。男はその中身を見て呟いた。
「これは…ピザ?」
「上条当麻からよ…」
「何!?」
届主の名前を聞いて驚いていると、双眼鏡を持っていた男が
「先輩…なんか上条当麻のやつこっちに向かって手振ってんすけど」
「何だと…」
杉谷は男が持っていた双眼鏡を奪って覗いてみると、確かに当麻が酒を飲みながらこちらに向かって手を振っていた。
「伝言よ…こんな夜遅くまで御苦労さまですって」
「…すべてお見通しって訳か」
「じゃあ私行くわよ…ちゃんとバイト代くれたからやってやっただけなんだから…」
振りむき帰ろうとする結標に杉谷は声をかけた。
「…一つ頼みが…上条当麻に………「かたじけない」と」
「いやよ…」
そう言うと結標はシュンッと一瞬で消えてしまった。
彼ら正直なんだそれはっと思った。確かに上条当麻が世界各国に様々なパイプを築いているのは知っているが、それが何なのか分からなかった
「昔あった事件を教えてやろう…今から4,5年前に上条当麻はロシアを訪れようとしていた、理由は国境なき医師団としての仕事だったが
ロシア側は上条当麻がロシアの有能な人材を引き抜きに来たと考えた…まぁもともと第三次世界大戦では上条当麻の所為で
ロシアは敗戦国となってしまった様なものだからな…奴らも相当恨んでいたであろう…
そしてロシア側は上条当麻にロシア内での医師としての働きに感謝を述べたいと言い、上条当麻との会談を望んだ…そして上条当麻はそれを承諾した…
仲間の中には止める者もいたらしい、ロシアがどれだけ上条当麻を恨んでいたか知っていたからな、だが上条当麻はそれを無視し会談に行った
そして案の定…ロシア側は一切の交渉もせず上条当麻を撃ち殺そうとした」
そこまで聞いて彼らがザワッとした
「そっ!そんなことが!?」
「でっ!?上条当麻は?」
「彼の人脈が幸いした…ロシアに居た特殊部隊…確か『殲滅白書』と言われている部隊だ、彼らが重傷を負った上条当麻を助け出し、
上条当麻は一命を取り留めた」
「どうして、その『殲滅白書』が?」
「よく分からんが第三次世界大戦時に『殲滅白書』の誰かが世話になったらしい…まぁとにかく、上条当麻は一命を取り留めた
そして…その噂を聞いた上条当麻の仲間達がロシアの国境近くに集まり、今にも戦いが起こりそうな一触即発の事態へとなった」
「そんな事件、俺達は…」
「知らされていないだろう…学園都市の上層部でしか知られていないことだからな、
そして、その戦いを原因となったのも、終わらせたのも上条当麻だった…奴は今にも戦いが起こりそうな雰囲気の中、
傷も癒えていない状態で戦場に表れて、その戦いを止めた…」
黒服の集団はいつの間にか杉谷の話を真剣に聞いていた。すると集団から離れた屋上の端から
「説明御苦労さま…杉谷」
突然女の声がした。黒服の集団は反射的に銃を向けた。
「結標…なぜお前が…」
「結標!?土御門、一方通行と同じグループの…」
「これっ!」
結標は手に持っていた袋を近くにいた男に投げ渡した。男はその中身を見て呟いた。
「これは…ピザ?」
「上条当麻からよ…」
「何!?」
届主の名前を聞いて驚いていると、双眼鏡を持っていた男が
「先輩…なんか上条当麻のやつこっちに向かって手振ってんすけど」
「何だと…」
杉谷は男が持っていた双眼鏡を奪って覗いてみると、確かに当麻が酒を飲みながらこちらに向かって手を振っていた。
「伝言よ…こんな夜遅くまで御苦労さまですって」
「…すべてお見通しって訳か」
「じゃあ私行くわよ…ちゃんとバイト代くれたからやってやっただけなんだから…」
振りむき帰ろうとする結標に杉谷は声をかけた。
「…一つ頼みが…上条当麻に………「かたじけない」と」
「いやよ…」
そう言うと結標はシュンッと一瞬で消えてしまった。