そして、機械が感情のない声で言う。
「白井黒子。女性。常盤台中学1年、大能力者(レベル4)の空間移動者(テレポーター)」
と、機械がそこまで言うと、次は黒子が風紀委員(ジャッジメント)の腕章をつけている状態の写真が映し出された。
「風紀委員(ジャッジメント)第一七七支部所属。
本人が所持している能力、空間移動(テレポート)はかなりの有用性を誇り、昨日の戦闘においても、同系の超能力者(レベル5)を単独で撃破。戦闘能力地は大能力者(レベル4)でもかなりのものだと思われます」
「実際に役に立つ能力ではありますが…結構繊細ですので、扱いが難しいんですの」
黒子が、誰ともなく言った。
それが拾われることなく、次にモニターに写ったのは、いつもと同じチャラけた格好の土御門だった。
「土御門元春。男性。現在では多角スパイとして、学園と市内の高校1年、イギリス清教の必要悪の教会(ネセサリウス)所属、という立場に立っています」
そこまで言うと、なぜか土御門は携帯を取り出し、誰かと会話し始めた。
機械はそれを無視し、話を続ける。
「学園都市の能力開発の時間割り(カリキュラム)を受けた影響で、魔術を使うと身体に多大なダメージを――――」
と、機械が離していた途中で、土御門は電話を切って発言した。
「白井黒子。女性。常盤台中学1年、大能力者(レベル4)の空間移動者(テレポーター)」
と、機械がそこまで言うと、次は黒子が風紀委員(ジャッジメント)の腕章をつけている状態の写真が映し出された。
「風紀委員(ジャッジメント)第一七七支部所属。
本人が所持している能力、空間移動(テレポート)はかなりの有用性を誇り、昨日の戦闘においても、同系の超能力者(レベル5)を単独で撃破。戦闘能力地は大能力者(レベル4)でもかなりのものだと思われます」
「実際に役に立つ能力ではありますが…結構繊細ですので、扱いが難しいんですの」
黒子が、誰ともなく言った。
それが拾われることなく、次にモニターに写ったのは、いつもと同じチャラけた格好の土御門だった。
「土御門元春。男性。現在では多角スパイとして、学園と市内の高校1年、イギリス清教の必要悪の教会(ネセサリウス)所属、という立場に立っています」
そこまで言うと、なぜか土御門は携帯を取り出し、誰かと会話し始めた。
機械はそれを無視し、話を続ける。
「学園都市の能力開発の時間割り(カリキュラム)を受けた影響で、魔術を使うと身体に多大なダメージを――――」
と、機械が離していた途中で、土御門は電話を切って発言した。
「あー、それ訂正訂正。今のスーパーイケメン土御門元春様は、魔術を使っても何の問題もないぜよ」
「…?え、それ本当かよ??」
その、結構爆弾な発言に上条は思わず聞き返す。
「本当だぜぃカミやん。今まで嘘をつきまくってた俺だが、今回ばかりはマジだ」
途中から真剣っぽくなった土御門の言葉だが、上条には今までの経験(キャリア)がある。そう簡単には信じられない。
「んじゃ、はいそーですか、じゃあ護衛頼むわー、ってなって、実際戦ってる途中に「あ、悪いカミやん~、さっきの、やっぱ嘘」みたいなことになるんだろどーせ」
「ですね。あの土御門のことですから、そんなとこがオチでしょう」
上条の否定と、聖人がその上条の肯定をしたことにより、土御門は多大なダメージを受けた。
「…うう…俺はあれか、嘘つきまくって喜んでいた羊飼いの少年か…?でも、最後には本当のことを言うんだにゃー」
机にグダー、っと突っ伏した土御門が、ほとんど顔を上げずに言った。
すると、今度は機械が反応した。
「先ほど、上層部からの連絡がありました。土御門元春は現在、魔術を行使してもなんら影響はありません」
やっときてくれた肯定だったのだが、機械である、というのがネックなのだろう。土御門はさほど反応しない。
「って…本当だったのかよ…」
「あの土御門が…?まさか、誰かに魔術をかけられているのでは。少年、あなたの右手で土御門にかけられている魔術を解けるのでは?」
「…こんなガッチガチな機械が言ってるのに、まだ信じてないのかにゃー…」
ハァ、とため息をつきながら言う土御門。
「いえ、その話は信用しました。ですが、あなたともあろう者があっさりと信実を言い放つことに疑問をもっているのです」
「俺も神裂と同じく」
その二人の言葉をまともに喰らった土御門は、もはやぴくりとも動かなくなった。さしずめ、HPはかなりあるがMP0状態の魔法にしか頼れない魔術師だろう。
「お待たせして申し訳ございません。今、情報の処理が終了いたしました。話を続けさせてもらいます」
これ以上追撃がきたらHPもだんだん減ってくかもな、とか上条が思っていたときに、タイミングよく機械が割り込んできた。
「やはり、土御門元春は、今はただの魔術師です。以前まで持っていた『肉体再生(オートリバース)』
は現在所持していません」
「どォやって、ンなことした」
今まで全く無関心だった一方通行(アクセラレータ)が、唐突に発言する。
「…極秘情報、とあります。簡潔に説明すると、能力使用に必要な脳回路を一時的に遮断しているようです。遮断期間は大体24時間程度かと」
その、結構爆弾な発言に上条は思わず聞き返す。
「本当だぜぃカミやん。今まで嘘をつきまくってた俺だが、今回ばかりはマジだ」
途中から真剣っぽくなった土御門の言葉だが、上条には今までの経験(キャリア)がある。そう簡単には信じられない。
「んじゃ、はいそーですか、じゃあ護衛頼むわー、ってなって、実際戦ってる途中に「あ、悪いカミやん~、さっきの、やっぱ嘘」みたいなことになるんだろどーせ」
「ですね。あの土御門のことですから、そんなとこがオチでしょう」
上条の否定と、聖人がその上条の肯定をしたことにより、土御門は多大なダメージを受けた。
「…うう…俺はあれか、嘘つきまくって喜んでいた羊飼いの少年か…?でも、最後には本当のことを言うんだにゃー」
机にグダー、っと突っ伏した土御門が、ほとんど顔を上げずに言った。
すると、今度は機械が反応した。
「先ほど、上層部からの連絡がありました。土御門元春は現在、魔術を行使してもなんら影響はありません」
やっときてくれた肯定だったのだが、機械である、というのがネックなのだろう。土御門はさほど反応しない。
「って…本当だったのかよ…」
「あの土御門が…?まさか、誰かに魔術をかけられているのでは。少年、あなたの右手で土御門にかけられている魔術を解けるのでは?」
「…こんなガッチガチな機械が言ってるのに、まだ信じてないのかにゃー…」
ハァ、とため息をつきながら言う土御門。
「いえ、その話は信用しました。ですが、あなたともあろう者があっさりと信実を言い放つことに疑問をもっているのです」
「俺も神裂と同じく」
その二人の言葉をまともに喰らった土御門は、もはやぴくりとも動かなくなった。さしずめ、HPはかなりあるがMP0状態の魔法にしか頼れない魔術師だろう。
「お待たせして申し訳ございません。今、情報の処理が終了いたしました。話を続けさせてもらいます」
これ以上追撃がきたらHPもだんだん減ってくかもな、とか上条が思っていたときに、タイミングよく機械が割り込んできた。
「やはり、土御門元春は、今はただの魔術師です。以前まで持っていた『肉体再生(オートリバース)』
は現在所持していません」
「どォやって、ンなことした」
今まで全く無関心だった一方通行(アクセラレータ)が、唐突に発言する。
「…極秘情報、とあります。簡潔に説明すると、能力使用に必要な脳回路を一時的に遮断しているようです。遮断期間は大体24時間程度かと」
「…それって、長いのか短いのかわからねぇな…」
上条がポツリと呟く。
それに土御門は、やっと顔を上げた。
そして意味ありげな笑みを見せ、
「カミやん。俺に丸1日魔術を使わせたら、実は結構とんでもないことになっちゃうんだぜい?」
そう言った。
「…やっぱ信じられん」
「もはや疑心暗鬼とかそういうレベルじゃねーぞカミやん」
「日ごろの行いが悪いあなたのせいです、土御門」
「ぐっ…あんな魔法名――――救われぬ者に救いの手を――――がセオリーのねーちんまでもが…?もはや俺は、今後の人生ずっと嘘をつき続けなければならないのか…」
そんな馬鹿な会話のやり取り中、ずっと黙っていた大勢だが、流石に痺れを切らしたらしい。
「…いい加減、話を進めなさいよ」
「さっさとこんなもの終わらせてご飯食べさせてくれないと、とうまの頭がウニに見えてきちゃうんだよ?」
「あ、インデックスさん落ち着いて…とりあえず席に座りましょうよ、ねぇ?…ま、まぁ…インデックスさんほどではないにしろ、話は進めて欲しいです…」
「てか、さっさと話し進めろやコラ。そこの土御門とかいう奴、魔術つかえるとかいってるけどぶっ飛ばしちまうぞ」
「同感だね。それに土御門には日ごろの恨みが募って、一発お見舞いしてやりたかったし」
「そういえば、あなたが妙に進めたせいで、わたしはあんな服を着る羽目になったんですよね土御門。あれはいったいどうしたらよいのでしょう?」
「…土御門。がんばれ」
「ちょ、皆さん待って!?特にそこのキレかけの聖人さんっ!あなたの本気は流石の土御門さんでも相殺しきれるかどうか――――」
「…ほう。相殺しきれるか…ですか。ということは、もとより致命傷を受けるつもりはない、と…あなたの腕がそこまでなら、本当に一発かましてもかまいませんね?」
「だから待って神裂さんッ!?ちょ、ちょっと時間を…時間をくれないと流石にねーちんの攻撃は…」
「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)!!」
直後、キュインッ!!という妙な音とともに、莫大な衝撃波が生まれた。
そして、
「背中刺す刃(Fallere825)っ!!」
声が響き、
瞬間。
バシュウゥゥッ!
という音が轟き、全ては平穏に戻る。
上条が妙に冷静に周りを見渡すと、ほとんどの人間は硬直している。
しかし、神裂と土御門は互いににらみ合っている。
神裂は腰を低く落とし、唯閃の柄に手を添えている。
対し土御門は、黒、赤、白、緑など、様々な色の何の装飾もない折り紙を丁寧に持っている。
それを見て上条は、
「ちょっとお二人さんッ!?何勝手にガチになっちゃってんの!?とりあえずここらで打ちきろ、な!?」
二人の真剣極まりない表情から本気であることを察してしまい、慌てて止めに入った。
「にゃー。もとから俺はねーちんと闘り合う気はないぜい。攻撃されたから、それを吸収しただけだ」
「今の…赤ノ式と黒ノ式の混合型防御用術式ですね。赤ノ式で生み出した炎で黒ノ式で生み出した水を蒸発させ、それまでの過程に魔術的意味を添えることで特殊な水蒸気を辺りに散らす…今回は『吸収』という特徴でしたか。しかし、そんな事をせずとも、やはり相殺すればよかったのでは?」
「それはないぜいねーちん。あんたが妙に手加減するから、こっちも攻撃に小細工を加えなきゃならなかったんだぜ、相殺するとしたら。それがとんでもなく面倒くさそうだったから、防御用術式にしといた」
「…流石、陰陽博士の最高位の魔術師。これくらいなら造作もないわけですか」
「まっ、そういうことだにゃー。いやー、久々に思いっきり魔術を使ったぜよ。攻撃用術式じゃなかったけど」
「…待て。何勝手に話を終わらせようとしているんだ君たちは。僕や天草式の連中はともかく、なに科学サイド側に専門用語をそうポンポンと…」
「ってちょっと待って!いったい今のは何事だったの!?ってミサカはミサカは当然の疑問を投げつけてみたり!?」
「…お前はややこしいから黙ってろ」
「…でも、本当にさっきのは一体…?」
「あれが、魔術って奴なのか?」
「…」
ハァ、と上条は大きくため息をついた。
上条がポツリと呟く。
それに土御門は、やっと顔を上げた。
そして意味ありげな笑みを見せ、
「カミやん。俺に丸1日魔術を使わせたら、実は結構とんでもないことになっちゃうんだぜい?」
そう言った。
「…やっぱ信じられん」
「もはや疑心暗鬼とかそういうレベルじゃねーぞカミやん」
「日ごろの行いが悪いあなたのせいです、土御門」
「ぐっ…あんな魔法名――――救われぬ者に救いの手を――――がセオリーのねーちんまでもが…?もはや俺は、今後の人生ずっと嘘をつき続けなければならないのか…」
そんな馬鹿な会話のやり取り中、ずっと黙っていた大勢だが、流石に痺れを切らしたらしい。
「…いい加減、話を進めなさいよ」
「さっさとこんなもの終わらせてご飯食べさせてくれないと、とうまの頭がウニに見えてきちゃうんだよ?」
「あ、インデックスさん落ち着いて…とりあえず席に座りましょうよ、ねぇ?…ま、まぁ…インデックスさんほどではないにしろ、話は進めて欲しいです…」
「てか、さっさと話し進めろやコラ。そこの土御門とかいう奴、魔術つかえるとかいってるけどぶっ飛ばしちまうぞ」
「同感だね。それに土御門には日ごろの恨みが募って、一発お見舞いしてやりたかったし」
「そういえば、あなたが妙に進めたせいで、わたしはあんな服を着る羽目になったんですよね土御門。あれはいったいどうしたらよいのでしょう?」
「…土御門。がんばれ」
「ちょ、皆さん待って!?特にそこのキレかけの聖人さんっ!あなたの本気は流石の土御門さんでも相殺しきれるかどうか――――」
「…ほう。相殺しきれるか…ですか。ということは、もとより致命傷を受けるつもりはない、と…あなたの腕がそこまでなら、本当に一発かましてもかまいませんね?」
「だから待って神裂さんッ!?ちょ、ちょっと時間を…時間をくれないと流石にねーちんの攻撃は…」
「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)!!」
直後、キュインッ!!という妙な音とともに、莫大な衝撃波が生まれた。
そして、
「背中刺す刃(Fallere825)っ!!」
声が響き、
瞬間。
バシュウゥゥッ!
という音が轟き、全ては平穏に戻る。
上条が妙に冷静に周りを見渡すと、ほとんどの人間は硬直している。
しかし、神裂と土御門は互いににらみ合っている。
神裂は腰を低く落とし、唯閃の柄に手を添えている。
対し土御門は、黒、赤、白、緑など、様々な色の何の装飾もない折り紙を丁寧に持っている。
それを見て上条は、
「ちょっとお二人さんッ!?何勝手にガチになっちゃってんの!?とりあえずここらで打ちきろ、な!?」
二人の真剣極まりない表情から本気であることを察してしまい、慌てて止めに入った。
「にゃー。もとから俺はねーちんと闘り合う気はないぜい。攻撃されたから、それを吸収しただけだ」
「今の…赤ノ式と黒ノ式の混合型防御用術式ですね。赤ノ式で生み出した炎で黒ノ式で生み出した水を蒸発させ、それまでの過程に魔術的意味を添えることで特殊な水蒸気を辺りに散らす…今回は『吸収』という特徴でしたか。しかし、そんな事をせずとも、やはり相殺すればよかったのでは?」
「それはないぜいねーちん。あんたが妙に手加減するから、こっちも攻撃に小細工を加えなきゃならなかったんだぜ、相殺するとしたら。それがとんでもなく面倒くさそうだったから、防御用術式にしといた」
「…流石、陰陽博士の最高位の魔術師。これくらいなら造作もないわけですか」
「まっ、そういうことだにゃー。いやー、久々に思いっきり魔術を使ったぜよ。攻撃用術式じゃなかったけど」
「…待て。何勝手に話を終わらせようとしているんだ君たちは。僕や天草式の連中はともかく、なに科学サイド側に専門用語をそうポンポンと…」
「ってちょっと待って!いったい今のは何事だったの!?ってミサカはミサカは当然の疑問を投げつけてみたり!?」
「…お前はややこしいから黙ってろ」
「…でも、本当にさっきのは一体…?」
「あれが、魔術って奴なのか?」
「…」
ハァ、と上条は大きくため息をついた。
思いっきり、魔術の話題で盛り上がってしまっている会議場。
それを引き起こしたのは、神裂と土御門。
この二人は、プロの魔術師である。あんなことをすればこういうことになることくらい、考えなくとも分かるだろう。
その二人が、多少イラっときたくらいで、魔術を行使するとは思えない。
つまり、
(…何かあったか?)
おそらく、あの二人はステイルよりも強い。
ステイルも十分強いのだが、世界に20人といない聖人、陰陽博士としての最高位の魔術師が相手だったら流石に見劣る。
そして、インデックス。
彼女は、10万3000冊の魔道書の原典を、その頭に全て叩き込んでいる。そんな彼女が気づけない魔術なら、あの二人といえ気づけないだろう。
となると…
少し考えをまとめた上条は、少し落ち着いてきた頃を見計らい、天井に向かってこういった。
「おい、機械さんよ。まだ話って続くのか?」
「はい。といっても、あとは今後について簡単な予想を話すだけですが…なにか?」
「あ、話があるんなら続けてくれ。それでいいよな?」
上条がそういい、辺りを見回すと特に反応はなかった。科学サイド側は魔術について考えてるだろうし、魔術サイド側は科学サイドに出回った魔術の知識をどう扱うか考えているはずだ。反応がなくて当然だと思う。
そして機械は、その無反応を『肯定』と受け取ったらしい。話を始めた。
「今回反乱因子と闘ってもらう皆様の紹介は終わりました。次に、反乱因子と戦う際の、それぞれのグループに分かれてもらいます」
「待て。さっきの『あれ』はまるっきりスルーかァ?少しは説明しやがれ」
と、一方通行(アクセラレータ)が唐突に野次を入れてくる。
「それに関しては、完璧なイレギュラー事項ですので、当本人から聞いてください」
「もとからテメェに聞く気なンてねェよ。だから、こいつらに言ってんだ」
一方通行(アクセラレータ)の視線が、うっとうしそうに天井を睨んだ後、神裂たちに移る。
「あ、おい、一方通行(アクセラレータ)」
「あン?なンだ、お前に説明できンのかよ」
そういいながら一方通行(アクセラレータ)が振り向くと、顔だけを使い『ちょっといろいろあるらしいから』ということを伝えようとしている上条が目に入った。
…おそらく一方通行(アクセラレータ)は、それを見ても何なのか全く分からなかっただろう。しかし、何か事情があることは察したらしく、それ以上は言及してこなくなった。
一方通行(アクセラレータ)が黙った次に、機械がまた話し始めた。
「では、まずグループAの皆様から順に発表します」
そう機械が言った次の瞬間、モニターにいっせいに写真が写り、そのうちの一つがクローズアップされる。
「グループA、リーダーは上条当麻とさせて貰います。副リーダー、御坂美琴。以下、構成員です。削板軍覇、アニェーゼ=サンクティス、シスタールチア、アンジェレネ」
その写真は、一番上に上条が写っており、次にステイル、そして美琴、黒子…となっていた。
「何か意見がおありの場合は、全てのグループ発表後に受け付けますのでご了承ください」
特に誰も口を開いていなかったが、機械がそんな事を言う。
「グループB、リーダーは一方通行(アクセラレータ)。副リーダー、長谷田鏡子。以下、構成員です。五和、牛深、香焼」
今度写真に写ったのは、思いっきり無愛想な一方通行(アクセラレータ)。そして鏡子、結標淡希、と紹介された露出度の高い女。最後に、五和たちが写った。
「次に、グループC、リーダーは神裂火織、副リーダーは海原光貴。以下、構成員。諫早、野母崎、対馬」
やはりこの写真も変わらず、神裂、海原…と、順に移されていく。
「最後、グループDのリーダー、土御門元春。副リーダー、建宮斎字。以下、構成員。結標淡希、葛城妖夜」
機械の淡々とした説明が終わり、モニターには、全てのグループが映し出されていた。
それを引き起こしたのは、神裂と土御門。
この二人は、プロの魔術師である。あんなことをすればこういうことになることくらい、考えなくとも分かるだろう。
その二人が、多少イラっときたくらいで、魔術を行使するとは思えない。
つまり、
(…何かあったか?)
おそらく、あの二人はステイルよりも強い。
ステイルも十分強いのだが、世界に20人といない聖人、陰陽博士としての最高位の魔術師が相手だったら流石に見劣る。
そして、インデックス。
彼女は、10万3000冊の魔道書の原典を、その頭に全て叩き込んでいる。そんな彼女が気づけない魔術なら、あの二人といえ気づけないだろう。
となると…
少し考えをまとめた上条は、少し落ち着いてきた頃を見計らい、天井に向かってこういった。
「おい、機械さんよ。まだ話って続くのか?」
「はい。といっても、あとは今後について簡単な予想を話すだけですが…なにか?」
「あ、話があるんなら続けてくれ。それでいいよな?」
上条がそういい、辺りを見回すと特に反応はなかった。科学サイド側は魔術について考えてるだろうし、魔術サイド側は科学サイドに出回った魔術の知識をどう扱うか考えているはずだ。反応がなくて当然だと思う。
そして機械は、その無反応を『肯定』と受け取ったらしい。話を始めた。
「今回反乱因子と闘ってもらう皆様の紹介は終わりました。次に、反乱因子と戦う際の、それぞれのグループに分かれてもらいます」
「待て。さっきの『あれ』はまるっきりスルーかァ?少しは説明しやがれ」
と、一方通行(アクセラレータ)が唐突に野次を入れてくる。
「それに関しては、完璧なイレギュラー事項ですので、当本人から聞いてください」
「もとからテメェに聞く気なンてねェよ。だから、こいつらに言ってんだ」
一方通行(アクセラレータ)の視線が、うっとうしそうに天井を睨んだ後、神裂たちに移る。
「あ、おい、一方通行(アクセラレータ)」
「あン?なンだ、お前に説明できンのかよ」
そういいながら一方通行(アクセラレータ)が振り向くと、顔だけを使い『ちょっといろいろあるらしいから』ということを伝えようとしている上条が目に入った。
…おそらく一方通行(アクセラレータ)は、それを見ても何なのか全く分からなかっただろう。しかし、何か事情があることは察したらしく、それ以上は言及してこなくなった。
一方通行(アクセラレータ)が黙った次に、機械がまた話し始めた。
「では、まずグループAの皆様から順に発表します」
そう機械が言った次の瞬間、モニターにいっせいに写真が写り、そのうちの一つがクローズアップされる。
「グループA、リーダーは上条当麻とさせて貰います。副リーダー、御坂美琴。以下、構成員です。削板軍覇、アニェーゼ=サンクティス、シスタールチア、アンジェレネ」
その写真は、一番上に上条が写っており、次にステイル、そして美琴、黒子…となっていた。
「何か意見がおありの場合は、全てのグループ発表後に受け付けますのでご了承ください」
特に誰も口を開いていなかったが、機械がそんな事を言う。
「グループB、リーダーは一方通行(アクセラレータ)。副リーダー、長谷田鏡子。以下、構成員です。五和、牛深、香焼」
今度写真に写ったのは、思いっきり無愛想な一方通行(アクセラレータ)。そして鏡子、結標淡希、と紹介された露出度の高い女。最後に、五和たちが写った。
「次に、グループC、リーダーは神裂火織、副リーダーは海原光貴。以下、構成員。諫早、野母崎、対馬」
やはりこの写真も変わらず、神裂、海原…と、順に移されていく。
「最後、グループDのリーダー、土御門元春。副リーダー、建宮斎字。以下、構成員。結標淡希、葛城妖夜」
機械の淡々とした説明が終わり、モニターには、全てのグループが映し出されていた。
「以上で、全グループの紹介を終わります。何かご意見のある方は、挙手してから意見してください」
その写真がモニタから消え去り、間髪いれずに機械が言葉を発する。
そして、無言で機械に言われたとおり手を上げる一方通行(アクセラレータ)。おそらく、機械相手には融通が利かない、というのを理解したのだろう。
「一方通行(アクセラレータ)の意見を聞きます。どうぞ」
機械が、思いっきり機械的に言う。
それに調子を狂わせられながらも、一方通行(アクセラレータ)はさっさと言葉を紡いでゆく。
「そこに3人で固まってる女どもの力量は知らねェが…それにしたって、グループAの戦力は低くねェか?」
そう、上条もそう思っていた。
美琴や軍覇は、それなりに頼りになると思う。しかし、一方通行(アクセラレータ)や心理掌握(メンタルアウト)、神裂や魔術を使えるようになった土御門、葛城妖夜などと比べると、どう見ても見劣りする。
「それなら、グループCもちょっとまずくないか?聖人がいるけど、それ以外は…」
自分で言っておきながら、途中で口ごもる上条。
神裂がいるのは心強いだろうが、正直言ってグループCはそれだけだ。海原なら、上条単体でも撃破出来たし、それ以外の魔術師も超能力者(レベル5)には勝てないだろう。
そんな質問を受けた機械は、冷静に対処してくる。
「まず、グループAについて、ですが…今回の戦いでは、上条当麻が持つ『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が、大いに役立つ、と考えられます。そして、二人の超能力者(レベル5)により打点を補い、3人の魔術師により、魔術側を抑える。突出はしていませんが、バランスは保たれています」
「では、グループCの方はどう説明するのですか?」
そのリーダーを任された、神裂が率直に質問する。
「グループCは、神裂火織の統率による天草式の連携を期待しておりますので、その程度にしておきました。さらに、海原光貴…エツァリも、最近大きな力を手に入れたようですので、実はかなりの戦力を持っているグループ、となっております」
「うわ…ばれてたんですか?」
なんか、本名がエツァリとか言われていた魔術師が、否定せずに嫌そうな顔をする。
「本当なのか、海原」
土御門が、まじめな口調で海原に聞く。
「…まぁ、それなりの力は手に入りましたね」
「その、それなりの力ってンのは、具体的にドレくらいのレベルだ?」
一方通行(アクセラレータ)が、海原を睨みつけながら言う。
「いえ、そちら(科学サイド)にはあまりなじんでいない力でして…」
「じゃあ、俺に言え」
土御門に言われ、逃げることが出来なくなった海原。
いい加減諦めたのか、ハァ、とため息をついてから一息で言った。
「ちょっと…魔道書の原点を2冊ほど」
「…」
ちょっと一息置いたあと、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!??」
主に、魔術サイドの魔術師が、もはや叫びとなった声を上げる。
「…いや、あのですね…これは、あくまで自分のためではなく…」
とっさに言い訳をしようとしている海原だが、魔術サイド勢はそんな事を気にしていない。
主に土御門が、海原に掴みかかり、一気にまくし立てる。
「何で隠してたんだ海原ッ!?そしてその魔道所の種類とかそこら辺はどうなってる!?」
「ちょ、ちょっと!あなた、原典を2冊所持していても、なんともないの!!??ちょっと考えられないかも!」
インデックスも、土御門に加勢する。といっても、インデックスのほうが軽く5万1500倍は海原よりぶっ飛んでいるのだから、あまり説得力はないのだが。
「え、ええと…原典の種類は、『暦石』というものでして…」
「インデックス。その『暦石』ってのは、具体的にどんなものなんだ」
土御門が、一瞬もためらわずにインデックスに聞く。あれ?こいつらって、なんか面識あったんだっけ?と首を傾げる上条を置いといて、インデックスはすらすらと答え始める。
「暦石っていうのは、アステカ地方のカレンダーみたいなものだね。2つの方式の暦を同時に扱って、太陽の死、蘇生とかを書き込んでいくことで、とんでもなく複雑化したものだよ」
「その暦石にも、種類とかってあるのか?」
「けっこうあるね」
「海原」
「…なんかもう、自分を置いといて勝手に話し進めてますよね…」
そんな軽口を叩く海原だが、土御門たちは取り合わない。
その写真がモニタから消え去り、間髪いれずに機械が言葉を発する。
そして、無言で機械に言われたとおり手を上げる一方通行(アクセラレータ)。おそらく、機械相手には融通が利かない、というのを理解したのだろう。
「一方通行(アクセラレータ)の意見を聞きます。どうぞ」
機械が、思いっきり機械的に言う。
それに調子を狂わせられながらも、一方通行(アクセラレータ)はさっさと言葉を紡いでゆく。
「そこに3人で固まってる女どもの力量は知らねェが…それにしたって、グループAの戦力は低くねェか?」
そう、上条もそう思っていた。
美琴や軍覇は、それなりに頼りになると思う。しかし、一方通行(アクセラレータ)や心理掌握(メンタルアウト)、神裂や魔術を使えるようになった土御門、葛城妖夜などと比べると、どう見ても見劣りする。
「それなら、グループCもちょっとまずくないか?聖人がいるけど、それ以外は…」
自分で言っておきながら、途中で口ごもる上条。
神裂がいるのは心強いだろうが、正直言ってグループCはそれだけだ。海原なら、上条単体でも撃破出来たし、それ以外の魔術師も超能力者(レベル5)には勝てないだろう。
そんな質問を受けた機械は、冷静に対処してくる。
「まず、グループAについて、ですが…今回の戦いでは、上条当麻が持つ『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が、大いに役立つ、と考えられます。そして、二人の超能力者(レベル5)により打点を補い、3人の魔術師により、魔術側を抑える。突出はしていませんが、バランスは保たれています」
「では、グループCの方はどう説明するのですか?」
そのリーダーを任された、神裂が率直に質問する。
「グループCは、神裂火織の統率による天草式の連携を期待しておりますので、その程度にしておきました。さらに、海原光貴…エツァリも、最近大きな力を手に入れたようですので、実はかなりの戦力を持っているグループ、となっております」
「うわ…ばれてたんですか?」
なんか、本名がエツァリとか言われていた魔術師が、否定せずに嫌そうな顔をする。
「本当なのか、海原」
土御門が、まじめな口調で海原に聞く。
「…まぁ、それなりの力は手に入りましたね」
「その、それなりの力ってンのは、具体的にドレくらいのレベルだ?」
一方通行(アクセラレータ)が、海原を睨みつけながら言う。
「いえ、そちら(科学サイド)にはあまりなじんでいない力でして…」
「じゃあ、俺に言え」
土御門に言われ、逃げることが出来なくなった海原。
いい加減諦めたのか、ハァ、とため息をついてから一息で言った。
「ちょっと…魔道書の原点を2冊ほど」
「…」
ちょっと一息置いたあと、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!??」
主に、魔術サイドの魔術師が、もはや叫びとなった声を上げる。
「…いや、あのですね…これは、あくまで自分のためではなく…」
とっさに言い訳をしようとしている海原だが、魔術サイド勢はそんな事を気にしていない。
主に土御門が、海原に掴みかかり、一気にまくし立てる。
「何で隠してたんだ海原ッ!?そしてその魔道所の種類とかそこら辺はどうなってる!?」
「ちょ、ちょっと!あなた、原典を2冊所持していても、なんともないの!!??ちょっと考えられないかも!」
インデックスも、土御門に加勢する。といっても、インデックスのほうが軽く5万1500倍は海原よりぶっ飛んでいるのだから、あまり説得力はないのだが。
「え、ええと…原典の種類は、『暦石』というものでして…」
「インデックス。その『暦石』ってのは、具体的にどんなものなんだ」
土御門が、一瞬もためらわずにインデックスに聞く。あれ?こいつらって、なんか面識あったんだっけ?と首を傾げる上条を置いといて、インデックスはすらすらと答え始める。
「暦石っていうのは、アステカ地方のカレンダーみたいなものだね。2つの方式の暦を同時に扱って、太陽の死、蘇生とかを書き込んでいくことで、とんでもなく複雑化したものだよ」
「その暦石にも、種類とかってあるのか?」
「けっこうあるね」
「海原」
「…なんかもう、自分を置いといて勝手に話し進めてますよね…」
そんな軽口を叩く海原だが、土御門たちは取り合わない。
「…自分は、どちらも名前を知らないのですが、少し知識は持ってます。1冊目は巻物状のもので、生と死に関する時間の内容を突出しており、宗教的な論説にまで発展させたものだとか」
「…『万物主管の書』だね。用途は、『武具を持つものへの反撃』。武器を操り、所持者を自殺に追い込ませる術式だよ。原典の自動迎撃術式の応用、みたいなものかな。原典の視点から、『武器』として認識された『万物』を所持している人間の精神に干渉し、その武器の所持権をのっとり、所持者を殺す、っていう内容。原典は、その知識を欲するものを護衛する性能があるから、武器を認識したら、その所持者をすぐに排除する、っていうのも原典の性能を少しいじれば出来ると思うよ。術式名は、『堕落による万物主管権の移動』だね」
何も見ずにすらすら言うインデックス。こういうところを見ると、やっぱりこの少女が只者ではないことを改めて認識させられる。
「…その原典のリスクは、大体どのくらいなんだ」
土御門が、まだ緊張した状態でインデックスに聞く。
「一般人なら、3日と持たないね。そこらの魔術師でも、良くて2週間程度」
「お前、その原典を所持し始めて、どれくらい経つ?」
海原を睨みつけながら言う土御門。
大使、海原は驚いたように言う。
「良くて2週間、ですか…。ちなみに、自分はちょっと小細工を加えてまして…所持し始めて、もう1ヶ月は軽く経つかと」
そう言った瞬間、海原は土御門に殴り飛ばされそうになった。そこは、聖人の神裂が止めに入ったが。
「…なんだ、その小細工ってのは」
神裂に動きを封じられている状態でも、土御門の眼には力がこもったままだった。
「この原典は、先ほどのインデックスさんの説明にもあったとおり、通常の原典よりも、原典の知識を欲するものに対する扱いが良いんですよ。なので、通常の場合より持つのは当たり前だと思いますが…自分の場合、その『保護』に対して、それに反する無効化術式を常に発動しているんですよ。まぁ、人間が扱う術式で原典の保護を無効化できるはずがないんですが、原典の方はそうは思ってないらしくてですね。その『保護』レベルをより一層高めることで、その術式の効果を薄めようとしてくれているんですよ。つまり、自分が保護に対して無効化術式を発動していて、その無効術式に対するように原典の方が勝手に保護レベルを格段に上げてくれている、ってことですよ。実際には、どれくらいのレベルなのかは分かりませんけどね」
「こいつの話の信憑性は?」
海原が一気に話した内容を聞いていた土御門は、インデックスに聞いてくる。
「十分ありえるよ。というか、もうその方法以外じゃ、多分生きてられないんじゃないかな?ただの人間が扱う術式程度で、原典の侵食を防ぐことなんて出来ないし、そうなればやっぱり、原典自体に手伝ってもらうしかないかも」
インデックスが、一人頷きながら言う。
「…で、それだとこいつはあとどれくらい持つ?」
「…分からない。今のところ、原典に関する術式はあまりにも少ないから、その原典の『保護レベル』を知る方法なんてないんだよ。でも、私の個人的な予想だと…あと10年くらいは持つんじゃないかな?」
「そんなに持っちゃうんですか…?もう少し早いもんだと思ってたんですけどね」
ケロッ、という表情で言う海原を、やはり土御門は睨みつけている。
「…2冊目は」
「そんなに急かさないでくださいよ…ちょっと待ってください」
土御門の単純な言葉に、海原は複雑な表情を浮かべて思案する。
「…形状は、石版、ですか…。内容は、『月のウサギ』に関する記述が強調されているものです。基となっているものは、月の輝きが強すぎるため、神々が地球からウサギを月へと放ち、その輝きを弱めた、という神話です。
その発動コストは、『ウサギの骨』なのですが…神話に出てくるそんなものを用意できるわけもないので、前代のこの原典の所持者は…人間の骨を変わりに使ってました…」
そこで海原は、言葉を切らせてしまった。上条には、なんとなく『それ』が理解できた。
「…その暦石は、『月への報復』。術式名は、『輝きを弱める輝き』。原典の所持者を『地球』、攻撃対象を『月』、そしてコストを『ウサギの骨』と見立てて術式を発動させるんだよ。・・・このコストは、別に何の動物の骨でも良いんだけど…その動物の性能が高ければ高いほど、術式の威力は高まっていく…神話に出てくる、『ウサギの骨』を使った場合は、本当に神話級の威力を発揮すると思う」
そこまでインデックスは言うと、後は静かになってしまった。おそらく、彼の事情を察したのだろう。
「…『万物主管の書』だね。用途は、『武具を持つものへの反撃』。武器を操り、所持者を自殺に追い込ませる術式だよ。原典の自動迎撃術式の応用、みたいなものかな。原典の視点から、『武器』として認識された『万物』を所持している人間の精神に干渉し、その武器の所持権をのっとり、所持者を殺す、っていう内容。原典は、その知識を欲するものを護衛する性能があるから、武器を認識したら、その所持者をすぐに排除する、っていうのも原典の性能を少しいじれば出来ると思うよ。術式名は、『堕落による万物主管権の移動』だね」
何も見ずにすらすら言うインデックス。こういうところを見ると、やっぱりこの少女が只者ではないことを改めて認識させられる。
「…その原典のリスクは、大体どのくらいなんだ」
土御門が、まだ緊張した状態でインデックスに聞く。
「一般人なら、3日と持たないね。そこらの魔術師でも、良くて2週間程度」
「お前、その原典を所持し始めて、どれくらい経つ?」
海原を睨みつけながら言う土御門。
大使、海原は驚いたように言う。
「良くて2週間、ですか…。ちなみに、自分はちょっと小細工を加えてまして…所持し始めて、もう1ヶ月は軽く経つかと」
そう言った瞬間、海原は土御門に殴り飛ばされそうになった。そこは、聖人の神裂が止めに入ったが。
「…なんだ、その小細工ってのは」
神裂に動きを封じられている状態でも、土御門の眼には力がこもったままだった。
「この原典は、先ほどのインデックスさんの説明にもあったとおり、通常の原典よりも、原典の知識を欲するものに対する扱いが良いんですよ。なので、通常の場合より持つのは当たり前だと思いますが…自分の場合、その『保護』に対して、それに反する無効化術式を常に発動しているんですよ。まぁ、人間が扱う術式で原典の保護を無効化できるはずがないんですが、原典の方はそうは思ってないらしくてですね。その『保護』レベルをより一層高めることで、その術式の効果を薄めようとしてくれているんですよ。つまり、自分が保護に対して無効化術式を発動していて、その無効術式に対するように原典の方が勝手に保護レベルを格段に上げてくれている、ってことですよ。実際には、どれくらいのレベルなのかは分かりませんけどね」
「こいつの話の信憑性は?」
海原が一気に話した内容を聞いていた土御門は、インデックスに聞いてくる。
「十分ありえるよ。というか、もうその方法以外じゃ、多分生きてられないんじゃないかな?ただの人間が扱う術式程度で、原典の侵食を防ぐことなんて出来ないし、そうなればやっぱり、原典自体に手伝ってもらうしかないかも」
インデックスが、一人頷きながら言う。
「…で、それだとこいつはあとどれくらい持つ?」
「…分からない。今のところ、原典に関する術式はあまりにも少ないから、その原典の『保護レベル』を知る方法なんてないんだよ。でも、私の個人的な予想だと…あと10年くらいは持つんじゃないかな?」
「そんなに持っちゃうんですか…?もう少し早いもんだと思ってたんですけどね」
ケロッ、という表情で言う海原を、やはり土御門は睨みつけている。
「…2冊目は」
「そんなに急かさないでくださいよ…ちょっと待ってください」
土御門の単純な言葉に、海原は複雑な表情を浮かべて思案する。
「…形状は、石版、ですか…。内容は、『月のウサギ』に関する記述が強調されているものです。基となっているものは、月の輝きが強すぎるため、神々が地球からウサギを月へと放ち、その輝きを弱めた、という神話です。
その発動コストは、『ウサギの骨』なのですが…神話に出てくるそんなものを用意できるわけもないので、前代のこの原典の所持者は…人間の骨を変わりに使ってました…」
そこで海原は、言葉を切らせてしまった。上条には、なんとなく『それ』が理解できた。
「…その暦石は、『月への報復』。術式名は、『輝きを弱める輝き』。原典の所持者を『地球』、攻撃対象を『月』、そしてコストを『ウサギの骨』と見立てて術式を発動させるんだよ。・・・このコストは、別に何の動物の骨でも良いんだけど…その動物の性能が高ければ高いほど、術式の威力は高まっていく…神話に出てくる、『ウサギの骨』を使った場合は、本当に神話級の威力を発揮すると思う」
そこまでインデックスは言うと、後は静かになってしまった。おそらく、彼の事情を察したのだろう。
流石に土御門も、もう言及はしなかった。静かにインデックスに聞く。
「…所持者に対する侵食具合は…?」
「普通の原典と同程度。だけど、その…エツァリって人が、もう片方の原典に細工しているから、やっぱり10年くらいは生きれるんじゃないかな」
そのインデックスの言葉を最後に、場は妙な雰囲気に包まれ、誰も発言できなかった。
と、そんな空気を引き裂くのはやはり、
「質問内容は、以上でよろしいでしょうか?」
という、無粋な機械の声だった。
「…チッ」
そこで、なぜか一方通行(アクセラレータ)が舌打ちをする。…こんなキャラだったっけ、こいつ?と首をかしげる上条。
「良いんじゃねぇのか」
土御門が、思いっきり投げやりに言う。しかし、否定する人間もいない。
「では、最後に少しだけ話させてもらいます」
そう機械が言い、最後の話とやらが始まる。
「…所持者に対する侵食具合は…?」
「普通の原典と同程度。だけど、その…エツァリって人が、もう片方の原典に細工しているから、やっぱり10年くらいは生きれるんじゃないかな」
そのインデックスの言葉を最後に、場は妙な雰囲気に包まれ、誰も発言できなかった。
と、そんな空気を引き裂くのはやはり、
「質問内容は、以上でよろしいでしょうか?」
という、無粋な機械の声だった。
「…チッ」
そこで、なぜか一方通行(アクセラレータ)が舌打ちをする。…こんなキャラだったっけ、こいつ?と首をかしげる上条。
「良いんじゃねぇのか」
土御門が、思いっきり投げやりに言う。しかし、否定する人間もいない。
「では、最後に少しだけ話させてもらいます」
そう機械が言い、最後の話とやらが始まる。
「まず、反乱因子との戦闘についてですが、基本的にグループ単位で行動してもらいます。そのグループ内のみで作戦などを立ててもらいますが、その作戦には他のグループを干渉させないでください。逆に、そのグループ内のみに関することならば、基本的にどんな作戦を立ててもらっても結構です。つまり、そのグループのみで動き、反乱因子を妥当できる作戦を立ててもらいます」
「オイオイ。そんな、『グループ内の仲間をどう使っても良い』なんてタノシイこと言われたら、妄想が止まらなくなっちまうぞォ?」
一方通行(アクセラレータ)が、ニヤァ、と笑いながらいう。
「こいつの言い方は流石にイキすぎてるけど…でも、確かにそうね。おとりにでも使えっていうの?」
確か…結標とかいわれてた女が、一方通行(アクセラレータ)のほうを一瞥しながら言った。
「かまいません。しかし、死人が出ることは出来る限り避けてください」
「出来る限り、かよ…」
上条がその言葉を受け、立ち上がる。
「ふざけんじゃねぇぞ。どうせお前らは一人の命なんてどうだっていい、って考えてるだろうけどな!こちとら一人たりとも死なせる気はねぇからなッ!!」
「…何いきなりヒートアップしちゃってんのよアンタ」
「…逆に、ここでこういうことを言わなかったら、とうまの存在意義はないのかも」
美琴とインデックスに何か言われたような気がする上条だが、そんな小さいことを気にするような人間ではない。
「ですが、そうですわね。たかだが『反乱因子』どものために、この命を投げるなんてことはいたしませんわ」
白井が、珍しく上条の味方をする。
「たかだが、か…絶対能力者(レベル6)の事を、どう見てるんだか」
「かく言うお前も、この闘いで死ぬ気はないんだろう?」
「誰が死ぬだって?少なくとも、俺は死ぬ気はねぇ」
「…俺もだな」
妖夜と軍覇が、あっさりとそんなことを言い放っていく。この二人には、戦闘経験はあるのだろうか?軍覇は多少なりともありそうだけど…と、上条は一人思う。
「絶対能力者(レベル6)、といっても、私たち《超能力者(レベル5)》みたいに、弱いものと強いものがあるのかしらね?一方通行(アクセラレータ)みたいなのもいれば、念動砲弾(アタッククラッシュ)のようなものもいる。弱いほうならば、何人かでかかれば倒せると思うけど?」
「…それは喧嘩と受け取って良いのか、心理掌握(メンタルアウト)」
「7位に倒されるほど、私はヤワじゃないわよ」
「…アンタらねぇ」
と、3人の超能力者(レベル5)が、案外楽観的な言動を見せている中、現実を深く知っている二人の超能力者(レベル5)は冷静に意見を下す。
「まず、この一方通行(アクセラレータ)が超能力者(レベル5)だ、ってことを理解してる?」
「…」
美琴のその一言だけで、周りの空気が変わる。
「オイオイ。そんな、『グループ内の仲間をどう使っても良い』なんてタノシイこと言われたら、妄想が止まらなくなっちまうぞォ?」
一方通行(アクセラレータ)が、ニヤァ、と笑いながらいう。
「こいつの言い方は流石にイキすぎてるけど…でも、確かにそうね。おとりにでも使えっていうの?」
確か…結標とかいわれてた女が、一方通行(アクセラレータ)のほうを一瞥しながら言った。
「かまいません。しかし、死人が出ることは出来る限り避けてください」
「出来る限り、かよ…」
上条がその言葉を受け、立ち上がる。
「ふざけんじゃねぇぞ。どうせお前らは一人の命なんてどうだっていい、って考えてるだろうけどな!こちとら一人たりとも死なせる気はねぇからなッ!!」
「…何いきなりヒートアップしちゃってんのよアンタ」
「…逆に、ここでこういうことを言わなかったら、とうまの存在意義はないのかも」
美琴とインデックスに何か言われたような気がする上条だが、そんな小さいことを気にするような人間ではない。
「ですが、そうですわね。たかだが『反乱因子』どものために、この命を投げるなんてことはいたしませんわ」
白井が、珍しく上条の味方をする。
「たかだが、か…絶対能力者(レベル6)の事を、どう見てるんだか」
「かく言うお前も、この闘いで死ぬ気はないんだろう?」
「誰が死ぬだって?少なくとも、俺は死ぬ気はねぇ」
「…俺もだな」
妖夜と軍覇が、あっさりとそんなことを言い放っていく。この二人には、戦闘経験はあるのだろうか?軍覇は多少なりともありそうだけど…と、上条は一人思う。
「絶対能力者(レベル6)、といっても、私たち《超能力者(レベル5)》みたいに、弱いものと強いものがあるのかしらね?一方通行(アクセラレータ)みたいなのもいれば、念動砲弾(アタッククラッシュ)のようなものもいる。弱いほうならば、何人かでかかれば倒せると思うけど?」
「…それは喧嘩と受け取って良いのか、心理掌握(メンタルアウト)」
「7位に倒されるほど、私はヤワじゃないわよ」
「…アンタらねぇ」
と、3人の超能力者(レベル5)が、案外楽観的な言動を見せている中、現実を深く知っている二人の超能力者(レベル5)は冷静に意見を下す。
「まず、この一方通行(アクセラレータ)が超能力者(レベル5)だ、ってことを理解してる?」
「…」
美琴のその一言だけで、周りの空気が変わる。
「少なくとも、弱いほうの絶対能力者(レベル6)でも、一方通行(アクセラレータ)よりチカラを持っている。そして、あなたたちは一方通行(アクセラレータ)以上の相手に、数人でかかれば何とかなるだろう、なんて考えてんの?そうだとしたら、さっさと目を覚ましなさい」
「俺以上の能力者だ、おそらく今まで現れてきた能力者とは、根本から違っているはずだ。…想像も出来ないような能力を行使してくる、と考えて戦わなきゃまずいだろォなァ」
二人の超能力者(レベル5)の口から放たれた言葉は、妙に現実味を帯びていた。
「…だぁー。だからってさ、そんな言葉を言う必要ななくねぇか?少なくとも、ちょっとくらい希望を持ったって良いだろ?」
もう、場の雰囲気が凄いことになりそうだったので、とりあえず上条は意見してみる。
だが、それさえも一方通行(アクセラレータ)により粉々にされた。
「お前らに良いことを教えてやる。人間ってのはなァ、常に最悪の事態を想定して行動した方が、結果は良くなるもンなンだぜ」
「…この上なくありがたいお言葉だな」
げんなりする上条。
と、そこで、
「…いやぁ、なんかそちらの話になると…全然ついていけませんね?」
上条の隣に座っている五和が、肩身狭そうに言い、周りを見渡す。
「ほんとですね。さっきから、何の話をしているのやら」
「もう、アンジェレネにいたっては、子供のように寝ていますしね」
「…ふあ?ね、寝てなんか…ない…ですよぉ…」
「声が次第に小さくなっています、シスターアンジェレネ。その状態で、『寝てない』なんて言われても、信じれるはずないでしょう」
アニェーゼとルチアの冷たい視線を受けているアンジェレネだが、幸せそうな顔でまた寝始めてしまった。
「…まぁ、仕方ないでしょう。そっちの話ですから、理解できなくて当然です」
「それとこれとは違う問題のような気もするけどね」
神裂がアンジェレネのフォローに入るが、ステイルが興味なさそうに水をさす。
「まぁ、自分みたいなのは例外ですから、一般の方はあまり理解できないのは当然では?」
「そもそも、俺らみたいなのは『一般人』扱いされてるのかにゃー?」
海原と、とりあえず魔術サイドの土御門が言った。
「とりあえずだ」
なんかもう一気にうるさくなりそうな雰囲気がしてたためか、一方通行(アクセラレータ)が一つため息をついてから少し大きめの声で言う。
「これから戦う奴らは、考えられねェほど強ェ。もう、本当にどうにも出来ないくらいにな。だが、俺たちは学園都市が恨みを買いまくってるせいで負けるわけにはいかねェ。だから、今後のことを各グループごとで話し合う。異論は?」
それは機械の仕事じゃないのか、と突っ込みたかったが、変に機嫌を損ねて血液を逆流させられても笑えない。とりあえず黙っている上条。
と、仕事を奪われた機械が言う。
「一方通行(アクセラレータ)の言うとおり、我々が負けることは許されません。各グループごとに分かれ、今後の作戦を立ててください。以上で、この会議を終わります」
「あれ?終わりますって…強制的に?」
上条がそう天井に向かって聞いたが、返事は返ってこない。
と、そこで。
「俺以上の能力者だ、おそらく今まで現れてきた能力者とは、根本から違っているはずだ。…想像も出来ないような能力を行使してくる、と考えて戦わなきゃまずいだろォなァ」
二人の超能力者(レベル5)の口から放たれた言葉は、妙に現実味を帯びていた。
「…だぁー。だからってさ、そんな言葉を言う必要ななくねぇか?少なくとも、ちょっとくらい希望を持ったって良いだろ?」
もう、場の雰囲気が凄いことになりそうだったので、とりあえず上条は意見してみる。
だが、それさえも一方通行(アクセラレータ)により粉々にされた。
「お前らに良いことを教えてやる。人間ってのはなァ、常に最悪の事態を想定して行動した方が、結果は良くなるもンなンだぜ」
「…この上なくありがたいお言葉だな」
げんなりする上条。
と、そこで、
「…いやぁ、なんかそちらの話になると…全然ついていけませんね?」
上条の隣に座っている五和が、肩身狭そうに言い、周りを見渡す。
「ほんとですね。さっきから、何の話をしているのやら」
「もう、アンジェレネにいたっては、子供のように寝ていますしね」
「…ふあ?ね、寝てなんか…ない…ですよぉ…」
「声が次第に小さくなっています、シスターアンジェレネ。その状態で、『寝てない』なんて言われても、信じれるはずないでしょう」
アニェーゼとルチアの冷たい視線を受けているアンジェレネだが、幸せそうな顔でまた寝始めてしまった。
「…まぁ、仕方ないでしょう。そっちの話ですから、理解できなくて当然です」
「それとこれとは違う問題のような気もするけどね」
神裂がアンジェレネのフォローに入るが、ステイルが興味なさそうに水をさす。
「まぁ、自分みたいなのは例外ですから、一般の方はあまり理解できないのは当然では?」
「そもそも、俺らみたいなのは『一般人』扱いされてるのかにゃー?」
海原と、とりあえず魔術サイドの土御門が言った。
「とりあえずだ」
なんかもう一気にうるさくなりそうな雰囲気がしてたためか、一方通行(アクセラレータ)が一つため息をついてから少し大きめの声で言う。
「これから戦う奴らは、考えられねェほど強ェ。もう、本当にどうにも出来ないくらいにな。だが、俺たちは学園都市が恨みを買いまくってるせいで負けるわけにはいかねェ。だから、今後のことを各グループごとで話し合う。異論は?」
それは機械の仕事じゃないのか、と突っ込みたかったが、変に機嫌を損ねて血液を逆流させられても笑えない。とりあえず黙っている上条。
と、仕事を奪われた機械が言う。
「一方通行(アクセラレータ)の言うとおり、我々が負けることは許されません。各グループごとに分かれ、今後の作戦を立ててください。以上で、この会議を終わります」
「あれ?終わりますって…強制的に?」
上条がそう天井に向かって聞いたが、返事は返ってこない。
と、そこで。