♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀
(絹旗っ!)
階下に降りた佐天はそこに絹旗の存在を認め、心の中で小さく叫んだ。
それは、絹旗が赤いセーラー服を着た少女に襲われていたからだ。
乱雑に置かれたコンテナの一つに身を潜め、セーラー服の少女の顔を確認する。
それは、
(絹旗っ!)
階下に降りた佐天はそこに絹旗の存在を認め、心の中で小さく叫んだ。
それは、絹旗が赤いセーラー服を着た少女に襲われていたからだ。
乱雑に置かれたコンテナの一つに身を潜め、セーラー服の少女の顔を確認する。
それは、
当然佐天の知らない顔だった。
故に佐天は判断する。
(やっぱり絹旗は悪い奴なんかじゃない!さっきの場所から移動してるってことは、絹旗が私をここまで運んできてくれた――何かから逃がしてくれたってこと!気絶させたのは説明する暇もないくらい切羽詰まってる状況だった……つまりは追っ手に追われていて、それがあいつ!絹旗は私を守るために戦ってくれているんだ!)
今ある情報を統合して、そう結論づける佐天。
(でも、絹旗が苦戦してる…)
絹旗は右手に持ったコンテナで自分の頭を殴っていた。
おそらくは能力による攻撃、そしてその攻撃を行っているのはセーラー服の少女。
そのせいで絹旗は身動きが取れていない。
だったら、
(私が後ろからあいつを攻撃して――ううん、当たらなくてもいい。兎に角あいつの注意を引きつけられれば、能力が弱まるかもしれない)
佐天はコンテナの陰に隠れながら、少しずつ少女の背後に近づいていく。
あと2メートルという距離まできたところで、佐天は鉄パイプを握り直して突撃の決意をする。
(やっぱり絹旗は悪い奴なんかじゃない!さっきの場所から移動してるってことは、絹旗が私をここまで運んできてくれた――何かから逃がしてくれたってこと!気絶させたのは説明する暇もないくらい切羽詰まってる状況だった……つまりは追っ手に追われていて、それがあいつ!絹旗は私を守るために戦ってくれているんだ!)
今ある情報を統合して、そう結論づける佐天。
(でも、絹旗が苦戦してる…)
絹旗は右手に持ったコンテナで自分の頭を殴っていた。
おそらくは能力による攻撃、そしてその攻撃を行っているのはセーラー服の少女。
そのせいで絹旗は身動きが取れていない。
だったら、
(私が後ろからあいつを攻撃して――ううん、当たらなくてもいい。兎に角あいつの注意を引きつけられれば、能力が弱まるかもしれない)
佐天はコンテナの陰に隠れながら、少しずつ少女の背後に近づいていく。
あと2メートルという距離まできたところで、佐天は鉄パイプを握り直して突撃の決意をする。
(あれ?)
ふと、少女の持っている大剣に違和感を感じた。
奇妙な形をした剣で、当然佐天は今まで一度も見たことはない。
だが、雰囲気を――その剣の雰囲気を、どこかで感じたことがある気がしたのだ。
奇妙な形をした剣で、当然佐天は今まで一度も見たことはない。
だが、雰囲気を――その剣の雰囲気を、どこかで感じたことがある気がしたのだ。
(――と、何ぼけっとしてんの私!絹旗がピンチなんだよっ!)
佐天は心中で自分を叱咤して違和感を振り払うと、
「たぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声を上げながらコンテナの陰から飛び出した。
佐天は心中で自分を叱咤して違和感を振り払うと、
「たぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声を上げながらコンテナの陰から飛び出した。
♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀
(新手かっ!?)
後方から聞こえてきた叫び声に、ショチトルは危機感を呼び起こす。
足音と声から判断して、相手はかなり近い所にいる。
今から振り返ってマクアフティルを構えても攻撃を防げるかわからない。
(くそっ!だったら……)
ショチトルは振り向き様、後方に『自殺術式』の媒介である皮膚の粉を放った。
これで相手が武器を所持していたなら勝手に自滅する筈だ。
だが、
(新手かっ!?)
後方から聞こえてきた叫び声に、ショチトルは危機感を呼び起こす。
足音と声から判断して、相手はかなり近い所にいる。
今から振り返ってマクアフティルを構えても攻撃を防げるかわからない。
(くそっ!だったら……)
ショチトルは振り向き様、後方に『自殺術式』の媒介である皮膚の粉を放った。
これで相手が武器を所持していたなら勝手に自滅する筈だ。
だが、
「佐天さんっ!」
ワンピースの少女が、そんな言葉を叫んだ。
(え――?)
それに遅れて完全に後ろを振り返ったショチトルの目に映ったのは、
「そん、な――」
自らの握った鉄パイプで自分の側頭部を打ちつけ、前のめりに倒れようとしている佐天涙子の姿だった。
(え――?)
それに遅れて完全に後ろを振り返ったショチトルの目に映ったのは、
「そん、な――」
自らの握った鉄パイプで自分の側頭部を打ちつけ、前のめりに倒れようとしている佐天涙子の姿だった。
♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀
あれ?
あれ?
何でだろ。
何か、ぼーっとして身体動かない……絹旗のこと、助けなきゃいけないのに。
あ、地面……じゃあ私、倒れてんのかな?
何だろ、これ。髪の毛濡れてる。
水?でも、ちょっとヌメっとしてて気持ち悪い。
やっぱりダメだ。全然身体動かない。
でも、誰かが私の身体揺すってる。私の名前呼んでる。なんか、怒ってる?
絹旗……かな?
ん、なんか目も見えなくなってきた。まぶた、重い。
誰だっけ、この声。ううん、声は聞き覚えないんだけど。
前も同じように怒られたことがある気がする。
『この大馬鹿野郎!』って……
――そして、佐天の意識は闇へ落ちて行った。
♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀
「覗き魔がやられたのか?」
360度にプラグが挿してあり無数のケーブルを腰の機械に繋げている、 土星の輪のように頭全体を覆うゴーグルを装備した奇妙な格好の少年――『スクール』の構成員である少年の報告に、『スクール』のリーダーである垣根帝督は驚きの声を上げた。
こくん、と頷いた少年に
「そうか、俺達(オトコ)の夢が……」
と残念がっているのを見ると、どうやら覗き魔とは先程この世から消滅した狙撃手のことのようである。
酷いあだ名ではあるが、その通りなので仕方がない。
「そう、あの覗き魔やられたのね」
隣にいたドレスの少女が、興味のなさそうな様子で言う。
「何だよ、仲間がやられたってのに随分淡白だな。あぁ、そういやお前覗き魔に嫌われてたっけ」
どうやら覗き魔は『スクール』内共通のあだ名であるようだ。
酷いあだ名ではあるが、初春のパンツを覗きやがった犬畜生のあだ名としては物足りない位である。
「逆よ逆。私が『嫌わせてた』の。能力を使ってね。そうでもしないと、あいつすぐに私の下着覗こうとするんだもの」
「そうかよ。んで、覗き魔ヤったのはどこのどいつなんだ?」
少年に問いかける垣根。
少年は、そのゴーグルから情報を受信しているのか、数秒機械を操作してから、事件の起こった状況を述べ始めた。
「成る程。つまりは『アイテム』の連中の仕業か。現場から立ち去ったのも4人……丁度数も合うな。そんで二手に別れて逃げた、と。どこに逃げたか分かるか?」
少年は再度機械をいじると、机の上の『街』の地図(暗殺計画のために用意したものだ)の一点を指差す。
「片方はこの廃棄された施設。もう片方は不明、か。……よし、お前は人材派遣に連絡して新しい狙撃手を仕入れておいてくれ。多少金がかさんでも構わないから、使える奴を用意しろ」
垣根が少年にそう命令すると、少年はこくり、と頷いたあと早速機械を使って何処かしらと遣り取りを始めた。
「で、あなたはどうするの?」
ドレスの少女が垣根に問う。
「あぁ、所在が分かってる『アイテム』の構成員を殺しておく。今回みたいに後々の計画を邪魔されても面倒だしな。第四位がいたら儲けモンだ」
答え、オトコの夢を奪った意趣返しにもなるしな、と小さく付け足す垣根。
「言っておくけど、私は行かないわよ」
即座に言い放ち、オンナの敵を滅ぼしてくれてお礼を言いたいぐらいよ、とやはり小さく付け足すドレスの女。
「期待してねえよ」
短く言い返した後、垣根は一拍置いてから静かに告げた。
「覗き魔がやられたのか?」
360度にプラグが挿してあり無数のケーブルを腰の機械に繋げている、 土星の輪のように頭全体を覆うゴーグルを装備した奇妙な格好の少年――『スクール』の構成員である少年の報告に、『スクール』のリーダーである垣根帝督は驚きの声を上げた。
こくん、と頷いた少年に
「そうか、俺達(オトコ)の夢が……」
と残念がっているのを見ると、どうやら覗き魔とは先程この世から消滅した狙撃手のことのようである。
酷いあだ名ではあるが、その通りなので仕方がない。
「そう、あの覗き魔やられたのね」
隣にいたドレスの少女が、興味のなさそうな様子で言う。
「何だよ、仲間がやられたってのに随分淡白だな。あぁ、そういやお前覗き魔に嫌われてたっけ」
どうやら覗き魔は『スクール』内共通のあだ名であるようだ。
酷いあだ名ではあるが、初春のパンツを覗きやがった犬畜生のあだ名としては物足りない位である。
「逆よ逆。私が『嫌わせてた』の。能力を使ってね。そうでもしないと、あいつすぐに私の下着覗こうとするんだもの」
「そうかよ。んで、覗き魔ヤったのはどこのどいつなんだ?」
少年に問いかける垣根。
少年は、そのゴーグルから情報を受信しているのか、数秒機械を操作してから、事件の起こった状況を述べ始めた。
「成る程。つまりは『アイテム』の連中の仕業か。現場から立ち去ったのも4人……丁度数も合うな。そんで二手に別れて逃げた、と。どこに逃げたか分かるか?」
少年は再度機械をいじると、机の上の『街』の地図(暗殺計画のために用意したものだ)の一点を指差す。
「片方はこの廃棄された施設。もう片方は不明、か。……よし、お前は人材派遣に連絡して新しい狙撃手を仕入れておいてくれ。多少金がかさんでも構わないから、使える奴を用意しろ」
垣根が少年にそう命令すると、少年はこくり、と頷いたあと早速機械を使って何処かしらと遣り取りを始めた。
「で、あなたはどうするの?」
ドレスの少女が垣根に問う。
「あぁ、所在が分かってる『アイテム』の構成員を殺しておく。今回みたいに後々の計画を邪魔されても面倒だしな。第四位がいたら儲けモンだ」
答え、オトコの夢を奪った意趣返しにもなるしな、と小さく付け足す垣根。
「言っておくけど、私は行かないわよ」
即座に言い放ち、オンナの敵を滅ぼしてくれてお礼を言いたいぐらいよ、とやはり小さく付け足すドレスの女。
「期待してねえよ」
短く言い返した後、垣根は一拍置いてから静かに告げた。
「そもそも第二位と戦うんだぜ。ニ対一ってだけでもハンデとしちゃ不十分なのに、助っ人なんて頼める訳ないだろ」