とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 8-337

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匿名ユーザー

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「馬鹿め…」
セーラー服の少女――ショチトルがそう呟いた直後、
「んなっ!?」
絹旗は頭部に右手の側から突然衝撃を受けた。
(あの女の攻撃!?)
そう思い首を右に向けると、
「!?」
右手が――自分の右手が、その手中にあるコンテナで絹旗の頭部を殴っていた。
(そんな!?右手の自由が効かない……)
右手は執拗に自分の頭部に攻撃を仕掛けてくる。
自動防御機能のおかげで、身体にダメージは殆どない。
そもそも自分の能力で操っているコンテナなのだから、自分の能力で作り上げた防壁で防げない道理はない。
だがそれでも、利き手の自由を奪われるということは攻め手を失うことと同義だった。
(成る程……これがあの女の超能力ってことですか!)
実際は魔術なのだが、そんなことは知らない絹旗はショチトルのそれを能力だと断定する。
ショチトルは絹旗が言葉通り『術中』にはまったことを確認すると近づいてきた。
その歩みが僅かに躊躇っているのは、おそらく致命傷であろう打撃を何度も受けているにも関わらず、絹旗に怪我一つ無いためだろう。
(こんな超奥の手があったなんて……あれ?)
そこで絹旗は気づいた。
(どうしてこの能力を初めから使わなかったんでしょうか?)
奥の手である自動防衛を取っておいたのは絹旗も同じだが、絹旗の奥の手が守りの一手であるに対し、ショチトルの奥の手は攻めの一手。
安全に勝利することを目的とするならば、むしろ初めから使って然るべきだろう。
(ということは能力の発動に何か条件が有るはず……)
能力は絹旗がコンテナを手に取った瞬間に発動した。
だとすれば条件も自ずと見えてくる。
(相手が武器を持っていること!おそらくは『他者が所持している物体』しか操作できないという限定条件を持った念動操作能力!)
何故そのような面倒な条件があるのかまではわからないが、つまりはコンテナから手を離せば能力は切れる。
勿論、右手の自由が効かないのでは自分からコンテナを手放すことはできない。
だが、
(能力を使ってコンテナを『発射』してしまえばいい!私の能力では何メートルも飛ばすことは超不可能ですが、数センチでも手から離してしまえばコンテナは『私の所持している武器』とは超認識されない筈!)
じりじりと絹旗に近づいてくるショチトル。
だがその顔には勝利を目前としてか、余裕の表情が見える。
余裕、即ち油断だ。
(この女が剣を振り上げた瞬間にコンテナを吹き飛ばして自由になった右手で殴る!)
自分の右手の攻撃を受け続けながら、絹旗は反撃の時を待つ。

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(何なんだこの女は!怪力の上に頑丈なのか!?)
『原典』の力を借り、粉末状にした自分の皮膚を相手の武器に付着させることで相手の武器を自分の肉体の延長として支配し、相手を自殺させる『自殺術式』。
ショチトルはその一撃で勝負は決すると思っていたのだが、思いコンテナの攻撃を何発頭に受けてもワンピースの少女――絹旗がダメージを受ける様子はない。
(……まぁいい。術式は確かに効いているんだ。身動きが取れないうちに直接マクアフティルを叩き込んでやる!)
ショチトルは『原典』を所持しているが、決して使いこなせている訳ではない。
相手の武器を使って相手を自殺させるというのも、『原典』の自己防衛能力に頼っているだけである。
つまりは術式を発動させた後は全部『原典』に任せっぱなし。
故に武器を支配したからといって、自殺させる以外のこと、例えば多人数の敵が攻めてきた時に同士討ちを促す、といったことは出来ない。
だが、逆に言えば相手を操ることにショチトル自身が意識を集中させる必要はないということであり、ゴーレム使いにありがちな、『ゴーレムを操っている間は身動きが取れない』というようなことにはならない。
ゴーレム使いを例えに出すならば、ゴーレムに自立稼働をさせている状況に似ているかもしれない。
そのような理由から術式発動中も自由に動けるショチトルは、自分の右手に殴られ続ける絹旗の元へ歩いていく。
(これで終わりだ…)
心の中で呟き、ショチトルは僅かに笑みを浮かべる。



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