誰もが幻想殺しの死を知った。
名前は伏せられて、ニュースにもなったほどだった。
ただし、「上条当麻」が死んだのではなく、「学園都市最大の防御壁」が無くなった、と。
ローマ正教との戦争、そしてつい先月の「0930」事件。
上条当麻の死は、学園都市の防御力をガクンと下げてしまった。
「……というわけなのって、ミサカはミサカは10032号からの連絡を包み隠さず伝えてみたり」
打ち止め、と呼ばれる見た目10歳の少女が、白髪の少年に伝えた。
その横には黄泉川愛穂と芳川桔梗もいる。
ここは、黄泉川の家のリビングだ。
「ああ、それで小萌先生がここ最近、ずっと休暇を取ってるじゃん?」
黄泉川は納得したように言うと、うつむいてしまった。
「あの少年とは、9月の初めに地下都市で戦ったじゃん。正直、死んだなんて信じられないじゃん」
黄泉川はそう言ったあと、黙った。
「あンだ?そういやお前、アイツが死ンだって言ってから、色々と司令みたいなンを出してっけどよォ。そりゃなンでだ?」
「そ、それは……」
打ち止めは黙った。しばらく無言の状態が続く。
「……彼の死に、妹達が精神的ショックを受けて、暴走をし始めちゃったから止めてるだけだよってミサカはミサカは強がってみたり」
「はァ?」
白髪の少年は黙った。
彼がこの生活を手に入れたのは、何を隠そう上条当麻のおかげだ。
上条がこの白髪の少年に勝たなければ、この生活はなかった。
そして、今暴走し始めている妹達の命もなかった。
その場がまた、無言になる。
(オレには、何もできない……)
白髪の少年は、自分の悲しみを悟られないように、静かにリビングを後にした。
名前は伏せられて、ニュースにもなったほどだった。
ただし、「上条当麻」が死んだのではなく、「学園都市最大の防御壁」が無くなった、と。
ローマ正教との戦争、そしてつい先月の「0930」事件。
上条当麻の死は、学園都市の防御力をガクンと下げてしまった。
「……というわけなのって、ミサカはミサカは10032号からの連絡を包み隠さず伝えてみたり」
打ち止め、と呼ばれる見た目10歳の少女が、白髪の少年に伝えた。
その横には黄泉川愛穂と芳川桔梗もいる。
ここは、黄泉川の家のリビングだ。
「ああ、それで小萌先生がここ最近、ずっと休暇を取ってるじゃん?」
黄泉川は納得したように言うと、うつむいてしまった。
「あの少年とは、9月の初めに地下都市で戦ったじゃん。正直、死んだなんて信じられないじゃん」
黄泉川はそう言ったあと、黙った。
「あンだ?そういやお前、アイツが死ンだって言ってから、色々と司令みたいなンを出してっけどよォ。そりゃなンでだ?」
「そ、それは……」
打ち止めは黙った。しばらく無言の状態が続く。
「……彼の死に、妹達が精神的ショックを受けて、暴走をし始めちゃったから止めてるだけだよってミサカはミサカは強がってみたり」
「はァ?」
白髪の少年は黙った。
彼がこの生活を手に入れたのは、何を隠そう上条当麻のおかげだ。
上条がこの白髪の少年に勝たなければ、この生活はなかった。
そして、今暴走し始めている妹達の命もなかった。
その場がまた、無言になる。
(オレには、何もできない……)
白髪の少年は、自分の悲しみを悟られないように、静かにリビングを後にした。
「まさか」
神裂火織は上条当麻の部屋で座り込んでいた。
(上条当麻が、亡くなるとは……)
イギリスのローラが出した指令は、「治療部隊を派遣する」ということだった。
(間に合う訳が、ないのに……)
神裂は自らの頬を伝う、水滴に気付いた。
(涙……)
自分も相当なショックを受けていることを、神裂は悟った。
止めようと思っても、止まらない。
(お礼を、言い損ねましたね…)
神裂は天を仰ぐ。
(流石に、失礼なことをしてしまいました)
それ以上に、神裂は思う。
(私は、この魔法名を名乗っていてよいのでしょうか)
救われぬものに、救いの手を。
魔法名に従うなら、今しかない。
でも、神裂にはどうすることもできなかった。
神裂火織は上条当麻の部屋で座り込んでいた。
(上条当麻が、亡くなるとは……)
イギリスのローラが出した指令は、「治療部隊を派遣する」ということだった。
(間に合う訳が、ないのに……)
神裂は自らの頬を伝う、水滴に気付いた。
(涙……)
自分も相当なショックを受けていることを、神裂は悟った。
止めようと思っても、止まらない。
(お礼を、言い損ねましたね…)
神裂は天を仰ぐ。
(流石に、失礼なことをしてしまいました)
それ以上に、神裂は思う。
(私は、この魔法名を名乗っていてよいのでしょうか)
救われぬものに、救いの手を。
魔法名に従うなら、今しかない。
でも、神裂にはどうすることもできなかった。
余談だがその頃、天草では、五和が自殺しようとしているのを建宮が必死に止めている最中だった。
上条刀夜、同じく詩菜、そして竜神乙姫の3人は学園都市の入口に立っていた。
上条当麻の、亡骸を見るために。
「当麻……」
声を出せたのは刀夜だけだった。
詩菜はずっと泣き続け、乙姫に関しては、泣き疲れて寝てしまった。
そんな3人の前を、身長の高い一人の少年が走っていく。
「これで、第一段階は成功や。あとは、西に逃げ切れば……」
青い髪でピアスを付けた少年は走っていってしまった。
しかし、3人にそれを気にする余裕はなかった。
その時、
「すみません。学園都市って、ここであってますよね?」
上条と同い年ぐらいの少年が、刀夜たちに尋ねた。
「そうですが……何かご用でも?」
刀夜が尋ねると、少年は頭をかきながら、
「いやあ、インターネットで知り合った友達が学園都市に居るって言ってて、今日会う予定なんですよ」
「そうなんですか……」
少年は刀夜の言葉に対して、こういった。
「まあ、ウチのクラブのサイトにコメントを残してくれてた人なんですけど、何度かメールで愚痴りあってたんですよ。んで、会おうってことになって」
刀夜は言う。
「でも、最近学園都市では、色々な現象が起こってるらしいですよ。気を付けてくださいね」
「ご忠告、ありがとうございます」
少年は、最後にこう言った。
「色々な現象、か。アイツが喜びそうな街みたいだな」
上条当麻の、亡骸を見るために。
「当麻……」
声を出せたのは刀夜だけだった。
詩菜はずっと泣き続け、乙姫に関しては、泣き疲れて寝てしまった。
そんな3人の前を、身長の高い一人の少年が走っていく。
「これで、第一段階は成功や。あとは、西に逃げ切れば……」
青い髪でピアスを付けた少年は走っていってしまった。
しかし、3人にそれを気にする余裕はなかった。
その時、
「すみません。学園都市って、ここであってますよね?」
上条と同い年ぐらいの少年が、刀夜たちに尋ねた。
「そうですが……何かご用でも?」
刀夜が尋ねると、少年は頭をかきながら、
「いやあ、インターネットで知り合った友達が学園都市に居るって言ってて、今日会う予定なんですよ」
「そうなんですか……」
少年は刀夜の言葉に対して、こういった。
「まあ、ウチのクラブのサイトにコメントを残してくれてた人なんですけど、何度かメールで愚痴りあってたんですよ。んで、会おうってことになって」
刀夜は言う。
「でも、最近学園都市では、色々な現象が起こってるらしいですよ。気を付けてくださいね」
「ご忠告、ありがとうございます」
少年は、最後にこう言った。
「色々な現象、か。アイツが喜びそうな街みたいだな」
「ううぅぅ、白井さんがさぼったぁぁぁ」
パソコンのキーボードをカタカタと鳴らしながら、風紀委員の初春飾利が言う。
初春も、ショッピングモールで上条に助けてもらった経験があるが、名前を知らない初春は「上条当麻」がその少年だということを知らない。
「こういう時に限って、仕事は多いんですよぅぅぅぅ」
もう、半泣き状態の初春は「もう、いいですっ」と言って、仕事を一旦止め、とあるサイトにアクセスした。
(そういえば、今日はここの人と会うんだったなぁ)
仕事を終わらさないことには、後で固法の痛いお仕置きが待っている。
「ふぇぇぇ、あと一時間で終わらさないと……」
初春はキーボードを打ち続ける。
約束の時間に間に合わせるために。
待ち合わせは第七学区の常盤台中学の前。
時間まで、あと1時間ちょっとだ。
パソコンのキーボードをカタカタと鳴らしながら、風紀委員の初春飾利が言う。
初春も、ショッピングモールで上条に助けてもらった経験があるが、名前を知らない初春は「上条当麻」がその少年だということを知らない。
「こういう時に限って、仕事は多いんですよぅぅぅぅ」
もう、半泣き状態の初春は「もう、いいですっ」と言って、仕事を一旦止め、とあるサイトにアクセスした。
(そういえば、今日はここの人と会うんだったなぁ)
仕事を終わらさないことには、後で固法の痛いお仕置きが待っている。
「ふぇぇぇ、あと一時間で終わらさないと……」
初春はキーボードを打ち続ける。
約束の時間に間に合わせるために。
待ち合わせは第七学区の常盤台中学の前。
時間まで、あと1時間ちょっとだ。