とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 8-963

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「ミサカ、巫女と美琴」(第4話その15)

『出現した敵戦力は1名のみ。とミサカは大気中のお姉様方に現状を簡潔に報告致します』

御坂妹からの戦況報告は上条、御坂美琴、姫神秋沙のインカムに届いていた。

『やっぱり、予告ビデオに出てきた女(ヤツ)なの!?』
『観測された顔立ちならびに体格より東洋系の若い女性である確率は78%、ただし予告ビデオの
 ようなバニーなコスチュームではありません。残念でしたね。当麻さん!っとミサカはちょっとトゲの
 ある言い方で当麻さんに向けたメッセージをこっそりと報告致します』
「痛って────ッ」

両耳を御坂美琴と姫神秋沙に同時に左右から引っ張られ上条は思わず声をあげてしまう。

「へ────ッ!やっぱりバニーが良いんだ!アンタってッ!!」
「なんせ相手は見事な巨乳。そうだったね。上条君ッ!!」
「待て、そんな目で俺を睨むんじゃない!
 だから落ち着けって!止めろ!ビリビリするんじゃねえ!それに特殊警棒も出すんじゃないッ!
 そもそも俺はそんなこと一言も言ってねえだろうがッ!!」
『てっきり当麻さんはガッカリされるものだと思っていました、っとミサカは追い打ちをかけてみます』
『こら!御坂妹。だ・か・ら・俺はガッカリなんかしちゃいねえよッ!!』

『まあ良いわ!それよりさっき空から噴き出した炎とか山腹を突き破った氷の槍は一体何なのよ!』
『わかりません!とミサカは潔くキッパリと回答します。先ほどの現象とこちらの戦闘との因果関係は
 不明。ただし、敵戦力の火炎攻撃ならびに冷気攻撃に関連していた可能性は高いと判断します』
「火炎に冷気かね。多重能力者(デュアルスキル)な訳ないからやっぱり今回の敵も魔術師ね!」
『でっ。どうなの。戦況は』
『一方通行の左腕からの出血を確認、っとミサカはあの一方通行が傷付いたことに驚きつつ戦況が
 膠着状態に入ったことを報告します』
「あの一方通行に傷を負わせるって……………………キシサクマアの首領って一体どんな化け物
 なのよ!まったく!」

二度も身体を傷付けられれば一方通行も敵の攻撃が反射をすり抜けたのだと認めざるを得ない。

(クソッ!判らねえェ。
 さっき俺の反射を通過したのは必要最低限の可視光と可聴音に重力に酸素ぐらいなもンだ。
 チタンなんてもンは通過しなかったハズだ。一体コイツは何を使って攻撃してやがるッ!?)

「まだ判りませんか?あなたを傷付けたのは正真正銘チタン合金製の不可視の糸です。
 とはいえ、本来ならこんなものであなたを傷付けることなどできるはずもありません。
 ですから今回は糸の表面に少々細工を施しておきました。」
「表面に細工だァ?………………………………まさか、そォ言ゥことか!?」
「気付きましたか?間違っていたら今度地面に落ちるのはあなたの首ですよ」

次の瞬間、キンッ!という微かな音が鳴り響く。すると一方通行の背後にあった街灯の支柱に細い
斬線が走り照明がスッと消え落ちる。そして斬線に沿って街灯の上部構造がずり落ちズゴッ!!と
音を立てて道路に突き刺さるとゆっくりと傾き始め大音響を響かせて横倒しになった。

「なるほど。
 まさかチタンの糸の表面を酸素分子でびっしりコーティングしてやがったとはなッ!
 そりゃ俺の反射にも引っ掛からねェ訳だ。
 オマエ達もなかなかどォして大した(科学)技術を持ってるじゃねェか?」
「見事です。
 でもひとつだけ訂正して頂きます。
 学園都市の科学技術をもってしてもこの不可視の糸は作れません!僅か1000分の1ミクロンの
 チタン合金製の糸に金属を切り裂く強度を与えることも、そして斬撃に耐えられるほど強固に酸素
 原子をチタン合金に吸着させることはできません。それを可能にしたのは技術ではなく魔術です」
「そんなこたァ、どうでも良い。
 で?どォすンだ。せっかく俺に勝てる唯一のチャンスをみすみす手放すなンてよォ!
 オマエ、そんなに早死にしてェのか?」

手の内さえ判ればそれが科学だろうが魔術だろうが関係ない。
しかし神裂火織を指差す一方通行の言葉が終わらない内にその手に鋭い痛みが走る。思わず
手を引いた一方通行の手の甲には一本の朱線が走っていた。

「あなたこそ、そんなおしゃべりをする余裕なんてあるのですか?
 本来、私は攻撃する前にわざわざあなたに予告する必要など無いのですよ」
(ちィィィ!)

再びキンッ!という音が鳴り響くと今度は一方通行の右隣の大木がなぎ倒される。


「ミサカ、巫女と美琴」(第4話その16)

「そうです。この攻撃から逃れるためにはあなたは酸素を全て反射し続けるしかありません。
 しかし無酸素状態であなたはあと何分耐えられますか?」
(確かにこのままじゃヤバイ!なら、酸欠になる前に速攻ォで片ァ付けてやるッ!)

地面を軽く蹴っただけで一方通行は矢のようなスピードで神裂火織に迫る。その意図は単純だ。
不可視の糸を防ぐことができないのならそれを操っているものを倒せば良い。ただそれだけだ。
相手の切り札を封じた以上一方通行を遮るものなど何もない。相手がテレポーターでもない限り
一方通行から時間稼ぎの逃走を図ることも不可能であろう。しかし神裂火織まであと7mと迫った
とき、突然地面が眩く発光し一方通行はその光に飲み込まれてしまった。

(なンだァ、この光は?攻撃じゃァねェが…………チッ!目くらましか!?クソッ、逃がすかよ!)

眩い発光は一瞬で収まったが今敵を見失えば敵の射程を把握していない一方通行が不利になる
のは明白である。逃走に転じたハズの相手を逃がすまいと一方通行は素早く周囲を探索する。
しかし意外にも前方7mの場所すなわち地面が発光する前と同じ位置に神裂火織は立っていた。
先ほどの発光が逃走用の目くらましでは無かったことに少々気抜けしたせいで一方通行は自分に
起こった不思議な現象に気付くのが遅れてしまった。

(???なンで、さっきから同じ場所にいるんだ俺は!?)

先ほど地面が発光してから既に3秒は経っているハズなのに一方通行は今なお発光前と同じ位置
にいた。一方通行がその能力を打ち切った訳ではない。外部から加わる力を全てベクトル変換し
推力に変換している手応えはある。一方通行の感覚としてはスピードを落とすことなく今なお前進
しているハズなのに相手との距離が一向に縮まらない。まるで一方通行が今存在している空間ごと
同じ速度で引き戻されているかのようだった。

(なんだァ!?ミサカネットワークとの接続をジャミングされた訳じゃない。
 俺の能力は正常に働いている。じゃァなンでヤツに近づけねェ!?。
 念動力?…………いや!周りに念動力者の力場なンて存在しちゃいねェし、そもそもそンな
 もンで俺が止められるハズはねェ。
 催眠術…………そんなチンケな心理攻撃でもねェ。
 じゃァ一体何が俺の身体を拘束してやがる?)

『一方通行が敵に突進するも現在何らかの方法で敵にその動きを拘束されている模様、っとミサカ
 は手に汗握りつつ戦闘の実況を続けます』
「あの一方通行を拘束するって…………魔術ってそんなこともできる訳?」
「俺に聞かれたって、俺だって判らねえよ!」
「ごめんなさい。わたしにも判らない」
「魔術っていったい何なのよ!?」

その時一方通行は気付いていなかった。その足下の地面に描かれた魔法陣に。
一方通行を襲った七閃が跳ね返された時、神裂火織は弾かれた鋼糸を使って一方通行と自分との間に魔法陣が描いていた。それはある方向へは進めるが反対方向には進めなくなるように空間を湾曲させる無限回廊という名の高位魔法陣である。

(早くコイツの攻撃を解析しないと流石の俺もヤバイ。タイムリミットまで30秒位しかねェ!
 さっきの火炎に冷気といいコイツの攻撃は一体どォなってやがる。
 テレポーターと殺し(やり)あった時の奇妙な現象とも違う。…………待て…………そうかっ!
 もしかしてそういうことか。なンてこった。気付くのが遅すぎた。今から間に合うか!?)

『御坂妹!もう少し詳しく教えてくれないか?……………………おい!御坂妹!どうした!?』

一方通行は目を閉じると推進力へのベクトル変換を止めて静かに地面に降り立った。その額には
珠の汗が浮かんでいる。
一方、目の前で突然地面に降り立つ一方通行を見て神裂火織は緊張感を高める。

(タイムリミットまで30秒は残っているはずですが、ひょっとして降参する…………訳ありませんね。
 しかしこの無限回廊はそう易々と突破できませんよ。さあ!どうします?)

10秒後、一方通行は口元に笑みを浮かべると静かに右足を一歩踏み出す。すると神裂火織との
距離が一歩分近づいた。そして突然笑い声を上げた。それは正確には声では無い。前方の空気
を直接振動させて自分の声を作り出しているのだ。

『フハハハッ!まったくもって愉快だぜ!
 まさか7次元世界を経由して俺という存在に干渉してやがったとはな!恐れ入ったぜ。
 だがタネがわかりゃァあとは簡単じゃねェか!』


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