これはとある不幸な少年と自らを禁書目録と名乗る少女が出会う数年前の話
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イタリア最大の都市、ローマ。
その巨大な都市の中心部から少し外れた住宅街にアニェーゼ=サンクティスは居た。
その巨大な都市の中心部から少し外れた住宅街にアニェーゼ=サンクティスは居た。
「パパ!早くしないと遅れちまいますよ!」
「分かった分かった、今行くから待ってろって」
「分かった分かった、今行くから待ってろって」
家からなかなか出てこない父を急かす少女、アニェーゼは緑のワンピースに履くのが難しいと評判の「チョピン」と呼ばれる細長いサンダルのような
靴を履いていた。それを器用に履きこなしながらさらに父を急かす。
靴を履いていた。それを器用に履きこなしながらさらに父を急かす。
「せっかく、パパが休みとったのに出発時刻に1時間以上遅れるなんて.....、やっぱり今日はやめにしませんか?」
「わ、分かった!分かったから頼むから今日は付き合ってくれ!」
「分かりました。六十秒数えますからそれまでに来なかった場合は家のソファで寝そべりながらのTVタイムに移行します。はい、い~ち、」
「よ、よし。たった今準備が完了した。じゃぁ、出発しようか」
「(....ちっ、間に合っちまいましたか)」
「おい、実の父親にその言い方は無いんじゃないか!?」
「まぁ、もういいからさっさと行きましょう。こんなことしてても時間の無駄ですから」
「そうだな。じゃぁ出発だ」
「わ、分かった!分かったから頼むから今日は付き合ってくれ!」
「分かりました。六十秒数えますからそれまでに来なかった場合は家のソファで寝そべりながらのTVタイムに移行します。はい、い~ち、」
「よ、よし。たった今準備が完了した。じゃぁ、出発しようか」
「(....ちっ、間に合っちまいましたか)」
「おい、実の父親にその言い方は無いんじゃないか!?」
「まぁ、もういいからさっさと行きましょう。こんなことしてても時間の無駄ですから」
「そうだな。じゃぁ出発だ」
今日は休日だった。休日といっても神父である父が「たまには娘と一日過ごそう!」とかいって、半ば無理やり仕事を休んで無理やり作った休
日であるのだが。
日であるのだが。
「で、結局どこ行くんでしたっけ?かなりいきなり誘われたので出かける理由をまだ聞いてないんですが」
父の運転する日本製の軽自動車の助手席に座りながら、アニェーゼは質問する。
「いやぁ、最近は我が愛娘と過ごす時間が少なくなったな、と思ってな。たまには一緒の外でご飯で食べようかと」
アニェーゼの目が少し細くなる。
「.....ほかには?」
「あとショッピングとか。お前に新しい服でも買ってやろうかと」
「まだあるでしょう?」
この時、アニェーゼの顔は完全に疑心暗鬼を表していたが、父は気づかずに素で答えた。
「ん?まぁ、あとは夜は二人でホテルでも借りて親子の愛を育もうかと思」
「それ以上言うと法に引っかかりそうなんでよしてください。小学4年の娘を狙うなんてどうゆう神経してんですか、このロリコン野郎」
「あ、アニェーゼ、そんな言葉どこで覚えた!?」
「ママに教わりました。あと、パパには気をつけなさいと」
「カテリナめ、娘にそんなこと教えこませるなんてどういう神経してるんだ....」
「あなたは絶対に人のこと言えませんが」
父の運転する日本製の軽自動車の助手席に座りながら、アニェーゼは質問する。
「いやぁ、最近は我が愛娘と過ごす時間が少なくなったな、と思ってな。たまには一緒の外でご飯で食べようかと」
アニェーゼの目が少し細くなる。
「.....ほかには?」
「あとショッピングとか。お前に新しい服でも買ってやろうかと」
「まだあるでしょう?」
この時、アニェーゼの顔は完全に疑心暗鬼を表していたが、父は気づかずに素で答えた。
「ん?まぁ、あとは夜は二人でホテルでも借りて親子の愛を育もうかと思」
「それ以上言うと法に引っかかりそうなんでよしてください。小学4年の娘を狙うなんてどうゆう神経してんですか、このロリコン野郎」
「あ、アニェーゼ、そんな言葉どこで覚えた!?」
「ママに教わりました。あと、パパには気をつけなさいと」
「カテリナめ、娘にそんなこと教えこませるなんてどういう神経してるんだ....」
「あなたは絶対に人のこと言えませんが」
親子が車内コントを繰り広げているうちに父の行きつけ(自称)の高そうなレストランに到着した。
「ほんとは適当に町を見回ってから来ようと思ったんだけどな。予想以上に時間が詰めてきたから先にご飯食べちゃおうか」
「ほんとは適当に町を見回ってから来ようと思ったんだけどな。予想以上に時間が詰めてきたから先にご飯食べちゃおうか」
そしてアニェーゼの父が店に入ろうとしたとき、
「ママは待たなくていいんですか?」
後ろからアニェーゼの質問が飛んできた。
その言葉に父は少しだけ眉間に皺を寄せた。
「....何度も言わせるな。カテリナは来ない」
「冗談ですよ。絶対にありえないことを望むほど私は子供ではねぇですから。家の玄関で一時間以上待ってたせいで腹はすかすかなんです。早く入り
ましょう」
「....そうだな」
その言葉に父も同意して二人は店に入っていった。
「....何度も言わせるな。カテリナは来ない」
「冗談ですよ。絶対にありえないことを望むほど私は子供ではねぇですから。家の玄関で一時間以上待ってたせいで腹はすかすかなんです。早く入り
ましょう」
「....そうだな」
その言葉に父も同意して二人は店に入っていった。
アニェーゼ=サンクティスが母親に会うということは彼女の言う通り『絶対』にありえなかった。
たとえ、彼女が神だったとしても。
たとえ、彼女が神だったとしても。
(そうですよ。私はまだ未練がましく『待つ』なんて言ってるんですか)
たとえ彼女が神だったとしても死んだ母親に会うのは不可能だろうなと、少しだけ思った。
突然現れた巨大な影に目の前で母親が吹き飛ばされた。
それだけがアニェーゼの記憶に残る殺人風景。
分かったのは巨大な『何か』が自分の母親を容赦なく吹き飛ばしたこと。
そして、その母親が死んだ事。
母を殺した『何か』の正体は分からない。分かりたくもない。
三秒以上宙を舞った母親は、アニェーゼが駆け寄ったときには顔を体もぐちゃぐちゃで、
生きているのが不思議なくらいだった。
それだけがアニェーゼの記憶に残る殺人風景。
分かったのは巨大な『何か』が自分の母親を容赦なく吹き飛ばしたこと。
そして、その母親が死んだ事。
母を殺した『何か』の正体は分からない。分かりたくもない。
三秒以上宙を舞った母親は、アニェーゼが駆け寄ったときには顔を体もぐちゃぐちゃで、
生きているのが不思議なくらいだった。
そして、そんな寿命が数分ほどの母親が、
絶望の表情で自分を見る娘に放った最期の言葉は…….
絶望の表情で自分を見る娘に放った最期の言葉は…….
「? おい、アニェーゼ。どうしたんだそんなにぼーっとして。食欲無いのか?」
「え、あ、はい。ちょっと考え事を」
アニェーゼの座るテーブルには生ハムとレタスを盛り付けた料理がのっている。が、アニェーゼはそれにまったく手をつけていない。店員さんもちょっと心配そうな目でみている。
「大好きな生ハムサラダを差し置いて、いったいどんな重大な考え事なんだ?」
なんでもありませんよ、と一蹴してアニェーゼは目の前の食料を約十秒で平らげた。
「え、あ、はい。ちょっと考え事を」
アニェーゼの座るテーブルには生ハムとレタスを盛り付けた料理がのっている。が、アニェーゼはそれにまったく手をつけていない。店員さんもちょっと心配そうな目でみている。
「大好きな生ハムサラダを差し置いて、いったいどんな重大な考え事なんだ?」
なんでもありませんよ、と一蹴してアニェーゼは目の前の食料を約十秒で平らげた。
食事が終わればショッピングだ!、という無駄に嬉しそうな父の声を横に日本製の軽自動車が走り出す。三十分ぐらいして、これもまた父の行き着け(自称)のお洒落な感じの洋服屋に到着した。
「さて、アニェーゼ、どんな服がほしい?なんでも良いぞ。高い服でも今日は奮発して何でも買ってやる」
「そうですか。じゃぁ….」
「アニェーゼにはやっぱり今着ているようなワンピースが一番似合うと思うんだが….いや、でもやはりこのフリル付きのスカートも見過ごせない。いや、あえて半袖Gパンのボーイッシュスタイルも…..」
「私の服を買うのに私の意見は聞く気ないんですか?」
「こっちのスカート長めのワンピースでお嬢様風味を出すというのはどうだ?いや、だがあえてこっちの超ミニスカで色気を出すというのは…..小学4年生が色っぽいというのもギャップ的にはありなのでは…..!?」
アニェーゼはかなり引きつった笑顔で商品案内をする女の店員さんを助けるため父の背中を思いっきりぶん殴った。父が床にうずくまって何かを訴えながら蠢いていたが無視して自分に似合いそうな服を勝手に選び出すと、さっきより爽やかな笑顔の女性店員が嬉しそうな顔で赤色のワンピースを進めてきた。
アニェーゼがそれ着てみると自分が思っていたより似合っていたようで店員さんが一番キラキラした顔をしていた。
(まぁ、自分の進めたものが認められるってのは嬉しいもんですよね)
アニェーゼは床に倒れている父をたたき起こして「これにしました」と言って赤いワンピースをさっさとレジに運ばせた。
父はワンピースの値札に付いている「0」の多さに仰天していたようだが、「や、約束だから」といって固い財布の紐をぶった切って涙目でワンピースを購入した。
「さて、アニェーゼ、どんな服がほしい?なんでも良いぞ。高い服でも今日は奮発して何でも買ってやる」
「そうですか。じゃぁ….」
「アニェーゼにはやっぱり今着ているようなワンピースが一番似合うと思うんだが….いや、でもやはりこのフリル付きのスカートも見過ごせない。いや、あえて半袖Gパンのボーイッシュスタイルも…..」
「私の服を買うのに私の意見は聞く気ないんですか?」
「こっちのスカート長めのワンピースでお嬢様風味を出すというのはどうだ?いや、だがあえてこっちの超ミニスカで色気を出すというのは…..小学4年生が色っぽいというのもギャップ的にはありなのでは…..!?」
アニェーゼはかなり引きつった笑顔で商品案内をする女の店員さんを助けるため父の背中を思いっきりぶん殴った。父が床にうずくまって何かを訴えながら蠢いていたが無視して自分に似合いそうな服を勝手に選び出すと、さっきより爽やかな笑顔の女性店員が嬉しそうな顔で赤色のワンピースを進めてきた。
アニェーゼがそれ着てみると自分が思っていたより似合っていたようで店員さんが一番キラキラした顔をしていた。
(まぁ、自分の進めたものが認められるってのは嬉しいもんですよね)
アニェーゼは床に倒れている父をたたき起こして「これにしました」と言って赤いワンピースをさっさとレジに運ばせた。
父はワンピースの値札に付いている「0」の多さに仰天していたようだが、「や、約束だから」といって固い財布の紐をぶった切って涙目でワンピースを購入した。
「すまん、アニェーゼ。ちょっとお手洗いいってくる」
店を出て次の店行こーとか言っていた父は今居た洋服屋にトイレが無い事を知り少し離れた公衆トイレを使用することにしたようだ。
ちなみに父が『トイレ』のことを『お手洗い』と言っているのは教育のためらしい。実際意味は無いのだが。
待ってますからさっさと行ってきてください、というアニェーゼの意見に全面賛成なアニェーゼの父はダッシュで公衆トイレに駆け込んだ。
次はどこいくんだろーなーとか適当なことを考えていると、
店を出て次の店行こーとか言っていた父は今居た洋服屋にトイレが無い事を知り少し離れた公衆トイレを使用することにしたようだ。
ちなみに父が『トイレ』のことを『お手洗い』と言っているのは教育のためらしい。実際意味は無いのだが。
待ってますからさっさと行ってきてください、というアニェーゼの意見に全面賛成なアニェーゼの父はダッシュで公衆トイレに駆け込んだ。
次はどこいくんだろーなーとか適当なことを考えていると、
突如、父が入っていった公衆トイレから発砲音が聞こえた。