「ミサカ、巫女と美琴(みさかみことみこと)」第4話「ホワイトバニーの幻影」
(Chap.5)
神裂火織は七天七刀の柄に右手をかけると己の身と心と魂に刻み付けたもう一つの名を告げる。
「──────救われぬ者に救いの手を(Salvere000)」
「今からお見せするのは対天使用の術式です」
「はあ?天使だあァ??オマエはこの状況でもまだふざけやンのかッ!?」
「いいえ、もし『天使』という単語が気に入らないのでしたら、そうですね…………
そう。あえて科学サイド風に言うならば超高次元生命体といったところでしょうか?
そういう存在に対抗するために天草式十字凄教が編み出した術式です」
「はあ?天使だあァ??オマエはこの状況でもまだふざけやンのかッ!?」
「いいえ、もし『天使』という単語が気に入らないのでしたら、そうですね…………
そう。あえて科学サイド風に言うならば超高次元生命体といったところでしょうか?
そういう存在に対抗するために天草式十字凄教が編み出した術式です」
(コイツ今…………超高次元生命体…………と言いやがったのか?
コイツが狂人じゃないとすると次は高次元世界にまで干渉する攻撃を出すってことか!?
……………………フハハハッッ、おもしれェ!
この攻撃が弾き返せりゃ俺は神だろォが天使だろォがぶちのめすことができるって訳だ!!
きやがれ!その攻撃、弾き返してやるぜッッ!)
「では参ります!唯閃ッッッッッッッッ!!」
コイツが狂人じゃないとすると次は高次元世界にまで干渉する攻撃を出すってことか!?
……………………フハハハッッ、おもしれェ!
この攻撃が弾き返せりゃ俺は神だろォが天使だろォがぶちのめすことができるって訳だ!!
きやがれ!その攻撃、弾き返してやるぜッッ!)
「では参ります!唯閃ッッッッッッッッ!!」
斬(ざん)!っと。神裂火織と一方通行の間の空気が引き裂かれた。
鯉口を切るという予備動作もなく神裂火織は2mもの大太刀『七天七刀』を一瞬で振り抜く。しかも
振り抜かれたはずの刀身は一瞬後には鞘の中に静かに収まっていた。僅か1000分の1秒単位で
繰りだされる超高速の抜刀術。その常識外れのスピードは鋼鉄をも易々と切り裂く切れ味と破壊力
を生む。しかしそんなものは唯閃の本質ではない。唯閃の本質は仏教・神道・十字教を融合させた
天草式十字凄教に根ざしている。すなわち、
十字術式にできないことは仏教術式で、
仏教術式にできないことは神道術式で、
神道術式にできないことは十字術式で、
それそれの宗教様式が持つ弱点を他の術式でカバーすることで、一般に神とも仏とも呼ばる存在
すなわち人間が認識することすらできない超高次元に君臨する存在達へも干渉できる対神格用の
術式、それが唯閃である。
鯉口を切るという予備動作もなく神裂火織は2mもの大太刀『七天七刀』を一瞬で振り抜く。しかも
振り抜かれたはずの刀身は一瞬後には鞘の中に静かに収まっていた。僅か1000分の1秒単位で
繰りだされる超高速の抜刀術。その常識外れのスピードは鋼鉄をも易々と切り裂く切れ味と破壊力
を生む。しかしそんなものは唯閃の本質ではない。唯閃の本質は仏教・神道・十字教を融合させた
天草式十字凄教に根ざしている。すなわち、
十字術式にできないことは仏教術式で、
仏教術式にできないことは神道術式で、
神道術式にできないことは十字術式で、
それそれの宗教様式が持つ弱点を他の術式でカバーすることで、一般に神とも仏とも呼ばる存在
すなわち人間が認識することすらできない超高次元に君臨する存在達へも干渉できる対神格用の
術式、それが唯閃である。
ドバッ!!と。
原因不明の衝撃が一方通行の身体を袈裟懸けに突き抜ける。同時に足下のアスファルトが一方通
行を中心に水のように波打ち衝撃波によって地面から抉り取られ巻きあげられた大量の土砂が砂
の壁となって周囲へ襲いかかる。虹色に光りながら音速で駆け抜ける砂の壁に巻き込まれた街灯、
ガードレール、樹木は全てなぎ倒された。
原因不明の衝撃が一方通行の身体を袈裟懸けに突き抜ける。同時に足下のアスファルトが一方通
行を中心に水のように波打ち衝撃波によって地面から抉り取られ巻きあげられた大量の土砂が砂
の壁となって周囲へ襲いかかる。虹色に光りながら音速で駆け抜ける砂の壁に巻き込まれた街灯、
ガードレール、樹木は全てなぎ倒された。
直径100mの更地に立っているのは一方通行と神裂火織だけである。だがその姿は対照的だ。
押し寄せる衝撃波を七天七刀の剣圧で吹き飛ばし先程と同じ姿勢で鞘に収めた七天七刀の柄に
右手をかける神裂火織りに対して、唯閃を受けた一方通行は血まみれであった。
押し寄せる衝撃波を七天七刀の剣圧で吹き飛ばし先程と同じ姿勢で鞘に収めた七天七刀の柄に
右手をかける神裂火織りに対して、唯閃を受けた一方通行は血まみれであった。
一方通行は7次元世界にまで拡張した反射フィルターを展開していたにも係わらず、唯閃は一方
通行を激しく打ち付けた。唯閃を構成する一部の力(ベクトル)は反射することができた。だが唯閃
は多神教である神道に基づき、十字教の天使を傷付ける力(ベクトル)、八百万の神を傷付ける力
(ベクトル)などあらゆる神格に干渉できる無数の高次元ベクトルを叩き付ける術式である。いわば
垣根帝督の『未元物質』を数桁も強化し巨大化したものである。一方通行が処理しきれない無数の
ベクトルが次々と反射膜を突き抜け、ゴキバキガリ!!と鈍い音を立てて一方通行の体内で炸裂
する。そして一方通行の視界は歪む。視覚だけでなく聴覚も平衡感覚も嗅覚や触覚さえも異常を
伝達してくる。身体が引き裂かれる感覚に一方通行は咆吼を響かせた。
通行を激しく打ち付けた。唯閃を構成する一部の力(ベクトル)は反射することができた。だが唯閃
は多神教である神道に基づき、十字教の天使を傷付ける力(ベクトル)、八百万の神を傷付ける力
(ベクトル)などあらゆる神格に干渉できる無数の高次元ベクトルを叩き付ける術式である。いわば
垣根帝督の『未元物質』を数桁も強化し巨大化したものである。一方通行が処理しきれない無数の
ベクトルが次々と反射膜を突き抜け、ゴキバキガリ!!と鈍い音を立てて一方通行の体内で炸裂
する。そして一方通行の視界は歪む。視覚だけでなく聴覚も平衡感覚も嗅覚や触覚さえも異常を
伝達してくる。身体が引き裂かれる感覚に一方通行は咆吼を響かせた。
「ォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
衝撃波が去った後、肩で息をする一方通行は傷だらけの身体を辛うじて支えている状態だった。
しかし血まみれの一方通行の顔にはなぜか笑みが浮かんでいた。
しかし血まみれの一方通行の顔にはなぜか笑みが浮かんでいた。
「ハハハ、イイねェ!イイぜ!オマエ、やればできるじゃねェかッ!!
まさかそれで終わりって訳じゃねェよな!俺はまだくたばっちゃいねェぜ!
まだまだ付き合って貰うぜ!!」
まさかそれで終わりって訳じゃねェよな!俺はまだくたばっちゃいねェぜ!
まだまだ付き合って貰うぜ!!」
神裂火織は臨戦態勢のまま注意深く一方通行のダメージを観察する。
(手応えありッ!!学園都市第一位といえども唯閃を受けて無傷で済むはずがありません!!
…………否ッ!
唯閃を受けてなおまだ立っているという事実にこそ驚愕すべきですね。
先ほどの虹色に光る衝撃波…………あれはきっと反射された唯閃なのでしょう。
身体に受けたダメージは大きいようですが目の輝きに一点の曇りも見えません。
ならば私のすべきことはただ一つ!!)
…………否ッ!
唯閃を受けてなおまだ立っているという事実にこそ驚愕すべきですね。
先ほどの虹色に光る衝撃波…………あれはきっと反射された唯閃なのでしょう。
身体に受けたダメージは大きいようですが目の輝きに一点の曇りも見えません。
ならば私のすべきことはただ一つ!!)
そして神裂火織は七天七刀に手をかけた右手に力を込め一方通行の言葉に応える。
「応(おう)ッッ!!唯閃ッッッッッッッッ!!」
再び神裂火織と一方通行の間の空気が引き裂かれる。
ズバァッ!!と。
無数の未知なる力(ベクトル)が一方通行の身体に叩き付けられる。その瞬間、一方通行の身体
は地面に叩き付けられ2度、3度とバウンドしながら後方へ転がされていた。だが同時に反射した力
(ベクトル)が叩き付けられる力(ベクトル)と激突し稲妻のような閃光が迸る。そして轟く爆音を追い
抜き虹色の衝撃波が周辺を蹂躙する。しかし今回、その一部がまるで自らの意志を持つかのように
軌道を変え威力も性質も軌道もタイミングも異なる3721種類の力(ベクトル)となって神裂火織に襲
いかかる。
無数の未知なる力(ベクトル)が一方通行の身体に叩き付けられる。その瞬間、一方通行の身体
は地面に叩き付けられ2度、3度とバウンドしながら後方へ転がされていた。だが同時に反射した力
(ベクトル)が叩き付けられる力(ベクトル)と激突し稲妻のような閃光が迸る。そして轟く爆音を追い
抜き虹色の衝撃波が周辺を蹂躙する。しかし今回、その一部がまるで自らの意志を持つかのように
軌道を変え威力も性質も軌道もタイミングも異なる3721種類の力(ベクトル)となって神裂火織に襲
いかかる。
「──────は、ァアア!!」
神裂火織は気を吐き迎撃に移る。『神を殺せるように』組み替えられた身体が振るう七天七刀は
僅か100分の1秒の間に次々と襲い来る数千もの力(ベクトル)を次々と撃ち落とす。しかし天草式
十字凄教の粋を集め一時的に人の領域を越えた存在となった身体にも限界はある。3694の力を
撃ち落としたものの27の力を撃ち漏らし、その内13の力が神裂火織の身体を直撃する。
ドガガガガッ!!と神裂火織の周囲に落ちた力が轟音とともに土煙を大量に巻きあげる。
僅か100分の1秒の間に次々と襲い来る数千もの力(ベクトル)を次々と撃ち落とす。しかし天草式
十字凄教の粋を集め一時的に人の領域を越えた存在となった身体にも限界はある。3694の力を
撃ち落としたものの27の力を撃ち漏らし、その内13の力が神裂火織の身体を直撃する。
ドガガガガッ!!と神裂火織の周囲に落ちた力が轟音とともに土煙を大量に巻きあげる。
「く──ッッ!!」
轟(ごう)ッッ!!と吹き荒れる土煙の中で神裂火織は苦悶の声を漏らす。
もはや直撃は避けられないと判断した力に対しては回避を諦め己の強化された身体を信じ正面
から受け止めた。ズガガグギガギギッッ!!と13の衝撃が歯を食いしばる神裂火織の腕を、腰を、
肩を、そして頭を容赦なく叩く。
もはや直撃は避けられないと判断した力に対しては回避を諦め己の強化された身体を信じ正面
から受け止めた。ズガガグギガギギッッ!!と13の衝撃が歯を食いしばる神裂火織の腕を、腰を、
肩を、そして頭を容赦なく叩く。
ヌルッ!と汗が一筋額を流れ落ちる。
いやそれは汗ではない。前髪を濡らし額をつたわる赤い滴りは右目の視界を徐々に塞ぎ始める。
だが神裂火織は血を拭おうともせず唯閃を受けて地面に転がっている一方通行を凝視する。
いやそれは汗ではない。前髪を濡らし額をつたわる赤い滴りは右目の視界を徐々に塞ぎ始める。
だが神裂火織は血を拭おうともせず唯閃を受けて地面に転がっている一方通行を凝視する。
倒れたまま、地面を掴むように伸びていた指がピクリと動いた。そして地面を這わせる指が大地を
握りしめると一方通行は起き上がる。ボロボロになった身体に残ったわずかばかりの力を全て注ぎ
込み立ち上がる。血まみれの身体は右に傾き右手はダラリと力無く垂れ下がっているものの、神裂
火織を睨み付ける赤い瞳は光を失っていない。
握りしめると一方通行は起き上がる。ボロボロになった身体に残ったわずかばかりの力を全て注ぎ
込み立ち上がる。血まみれの身体は右に傾き右手はダラリと力無く垂れ下がっているものの、神裂
火織を睨み付ける赤い瞳は光を失っていない。
「どォしたァ!?…………もうおしまいか!?
さっきから俺ばっか愉しく踊ってるみてェだからよォ。
今度はオマエを愉快に踊らせてやるよ。オマエの血の海でな!
どうした!?掛かってきな!」
さっきから俺ばっか愉しく踊ってるみてェだからよォ。
今度はオマエを愉快に踊らせてやるよ。オマエの血の海でな!
どうした!?掛かってきな!」
(唯閃を2度も受けたはずなのに、どうして立ち上がることができるのです!?
私より遥かに大きなダメージを受けているはず…………なのに
どうしても勝っている気がしません。これが学園都市第一位ッ!!)
私より遥かに大きなダメージを受けているはず…………なのに
どうしても勝っている気がしません。これが学園都市第一位ッ!!)
神裂火織は独特の呼吸法をもって再び魔力を極限まで練り上げる。たった1度受けただけで唯
閃に対応し始める高い適応能力を見せつけた一方通行に対し、このまま単発で唯閃を放っていて
はいずれ唯閃ですら弾き返されると判断した神裂火織は次の一撃に全てを託す。
閃に対応し始める高い適応能力を見せつけた一方通行に対し、このまま単発で唯閃を放っていて
はいずれ唯閃ですら弾き返されると判断した神裂火織は次の一撃に全てを託す。
(先程は唯閃の反射も不完全でした。ならば唯閃を反射した衝撃波を出すタイミングに合わせて
唯閃を連続で叩き込むのみ。唯閃に対応しきる前に叩き伏せなければ私の負けです)
唯閃を連続で叩き込むのみ。唯閃に対応しきる前に叩き伏せなければ私の負けです)
七天七刀に掛けた指先にまで気を充填させ神裂火織は決戦に備える。
体内にため込んだ気がまさに爆発寸前にまで高まった瞬間、建宮斎字の声が頭に響き渡った。
体内にため込んだ気がまさに爆発寸前にまで高まった瞬間、建宮斎字の声が頭に響き渡った。
『プリエステス!!11時の方向。距離400メートルの鉄塔に狙撃手!』
「!」
「!」
霊装を通じて直接頭に鳴り響く建宮の警告に神裂火織は視線を僅かにずらし400メートル離れ
た鉄塔からこちらを狙う狙撃手を確認する。神裂火織の視力は人間の足首ぐらいの金属筒に鋼の
箱やケーブルをゴチャゴチャ取り付けた巨大過ぎる奇妙な銃の形状も狙撃手が引き金に掛けた指
の動きすら正確に捉えていた。
た鉄塔からこちらを狙う狙撃手を確認する。神裂火織の視力は人間の足首ぐらいの金属筒に鋼の
箱やケーブルをゴチャゴチャ取り付けた巨大過ぎる奇妙な銃の形状も狙撃手が引き金に掛けた指
の動きすら正確に捉えていた。
同時にその銃口が自分を狙っていないことにも気付く。ならば標的は一つしかない。一触即発の
状況で敵から注意を逸らすことは敗北(死)に直結する。だが神裂火織はためらうことなく一方通行
を狙う狙撃手に向けて唯閃を放った。
状況で敵から注意を逸らすことは敗北(死)に直結する。だが神裂火織はためらうことなく一方通行
を狙う狙撃手に向けて唯閃を放った。
引き金が引かれるより早く狙撃手の足場となっている鉄塔の根元が真っ二つに切断される。異常
事態に慌てた狙撃手が退避動作に入る頃には既に神裂火織は七天七刀を鞘に収めて一方通行
に対峙し直していた。もし狙撃手がスコープを覗いていたなら困惑する神裂火織の表情を伺い見
ることができただろう。
事態に慌てた狙撃手が退避動作に入る頃には既に神裂火織は七天七刀を鞘に収めて一方通行
に対峙し直していた。もし狙撃手がスコープを覗いていたなら困惑する神裂火織の表情を伺い見
ることができただろう。
(どうして?)
目の前でカハッ!!っと胸を押さえて咳き込む一方通行の姿に神裂火織は困惑する。神裂火織
は狙撃を完全に防いだ訳ではなかった。狙撃手はもう一人いたのだ。彼らは学園都市統括理事の
一人トマス=プラチナバーグが雇った傭兵崩れの狙撃手だ。学園都市製の磁力狙撃砲MSR-001
と一方通行用に開発された特殊な成形炸薬弾を与えられた彼らは一方通行の頭と心臓をそれぞ
れが狙撃する計画だった。
は狙撃を完全に防いだ訳ではなかった。狙撃手はもう一人いたのだ。彼らは学園都市統括理事の
一人トマス=プラチナバーグが雇った傭兵崩れの狙撃手だ。学園都市製の磁力狙撃砲MSR-001
と一方通行用に開発された特殊な成形炸薬弾を与えられた彼らは一方通行の頭と心臓をそれぞ
れが狙撃する計画だった。
使用弾頭は対戦車榴弾(HEAT) として使われる成形炸薬弾を一方通行専用に改良したもので
ある。もともと対戦車榴弾はモンロー/ノイマン効果によって生じた超高速金属噴流(メタルジェット)
に戦車装甲を貫通させるものである。例え鋼鉄であろうとユゴニオ弾性限界を超える動的超高圧下
では塑性流動を引き起こすためセラミックを用いた複合装甲でなければ対戦車榴弾を防ぐことはで
きない。
ある。もともと対戦車榴弾はモンロー/ノイマン効果によって生じた超高速金属噴流(メタルジェット)
に戦車装甲を貫通させるものである。例え鋼鉄であろうとユゴニオ弾性限界を超える動的超高圧下
では塑性流動を引き起こすためセラミックを用いた複合装甲でなければ対戦車榴弾を防ぐことはで
きない。
とはいえただの対戦車榴弾(HEAT)が一方通行に通用するはずはない。だが学園都市の科学者
達は一方通行の反射に引っ掛からないはずの酸素分子に目をつけた。そして弾頭内の金属板(ラ
イナー)を固体酸素に置き換え、炸薬の爆発で生じる爆轟波により秒速数千メートルという超高速
で酸素噴流を噴出させる新たな成形炸薬弾を開発した。ただし一方通行の反射により弾頭が弾き
返される瞬間に正確に炸薬を起爆させる信管技術、凝固点が-218℃の固体酸素を炸薬の起爆
まで融解させない断熱技術そして酸素分子に十分な貫通力を与える技術の開発に莫大な予算と
人員が費やされたことは言うまでもない。
達は一方通行の反射に引っ掛からないはずの酸素分子に目をつけた。そして弾頭内の金属板(ラ
イナー)を固体酸素に置き換え、炸薬の爆発で生じる爆轟波により秒速数千メートルという超高速
で酸素噴流を噴出させる新たな成形炸薬弾を開発した。ただし一方通行の反射により弾頭が弾き
返される瞬間に正確に炸薬を起爆させる信管技術、凝固点が-218℃の固体酸素を炸薬の起爆
まで融解させない断熱技術そして酸素分子に十分な貫通力を与える技術の開発に莫大な予算と
人員が費やされたことは言うまでもない。
だが莫大な予算をかけて開発されたもののその有効範囲は着弾点から前方わずか5cmまでしか
伸びなかった。それでも科学者達は心臓あるいは頭部を正確に狙えば一方通行に致命傷を与え
ることは可能だというレポートを提出し、それを信じたトマス=プラチナバーグは一方通行の狙撃に
ゴーサインを出したのだ。
伸びなかった。それでも科学者達は心臓あるいは頭部を正確に狙えば一方通行に致命傷を与え
ることは可能だというレポートを提出し、それを信じたトマス=プラチナバーグは一方通行の狙撃に
ゴーサインを出したのだ。
一方通行以外に使い道が無い弾丸に莫大な私財をつぎ込んだことはトマス=プラチナバーグが
この時点でいかに9月30日の私怨に囚われ冷静な判断能力を失っていたかを示している。そうで
なければ後日ステファニー=ゴージャスパレスに無惨に殺されることもなかっただろう。
この時点でいかに9月30日の私怨に囚われ冷静な判断能力を失っていたかを示している。そうで
なければ後日ステファニー=ゴージャスパレスに無惨に殺されることもなかっただろう。
法外な報酬と引き替えに狙撃を引き受けた二人の狙撃手の内、頭を狙った狙撃手は神裂火織に
阻止されたが、心臓を狙った狙撃手の磁力狙撃砲は特殊成形炸薬弾を秒速290メートルで射出し
た。放たれた成形炸薬弾は一方通行の反射膜に触れた瞬間その運動ベクトルを変換され狙撃手
へと正確に打ち返される。しかしその直前に信管は炸薬を起爆させ超高速酸素噴流を一方通行の
心臓に叩き込んでいた。
阻止されたが、心臓を狙った狙撃手の磁力狙撃砲は特殊成形炸薬弾を秒速290メートルで射出し
た。放たれた成形炸薬弾は一方通行の反射膜に触れた瞬間その運動ベクトルを変換され狙撃手
へと正確に打ち返される。しかしその直前に信管は炸薬を起爆させ超高速酸素噴流を一方通行の
心臓に叩き込んでいた。
トマス=プラチナバーグの執念の一撃は一方通行の反射を突き破ることに成功した。しかし唯一
のそれでいて致命的な誤算は直前に神裂火織の攻撃を受けた一方通行が反射の演算式を書き
換えていたことだろう。本来なら酸素噴流は体表から心臓まで直径1mmの穴を穿ち心臓を内部か
ら破裂させ一撃で致命傷を与えるはずが、直前に書き換えられた演算式のせいで噴射質量の内
の82%が反射フィルターに弾かれてしまった。だが残りの18%の高速酸素噴流は錐のように一方
通行の身体に喰い込みその牙は肺の一部を噛み千切り心臓にまで届く傷を与えた。
のそれでいて致命的な誤算は直前に神裂火織の攻撃を受けた一方通行が反射の演算式を書き
換えていたことだろう。本来なら酸素噴流は体表から心臓まで直径1mmの穴を穿ち心臓を内部か
ら破裂させ一撃で致命傷を与えるはずが、直前に書き換えられた演算式のせいで噴射質量の内
の82%が反射フィルターに弾かれてしまった。だが残りの18%の高速酸素噴流は錐のように一方
通行の身体に喰い込みその牙は肺の一部を噛み千切り心臓にまで届く傷を与えた。
常人ならば即死する深手を負った一方通行は悲鳴を上げる心臓の鼓動をベクトル操作で強引に
整え、心臓の傷口から噴き出すハズの血流すら操作し全身を巡る血液の流れを確保する。また穴
が空き萎んでしまうはずの左肺も息の流れをコントロールし呼吸を確保する。だがそれは能力で最
低限の呼吸と血流を確保しただけであり、傷が治った訳でも痛みが治まった訳でもない。傷は未だ
致命傷のままであり能力を打ち切れば数十秒で一方通行は絶命するだろう。
整え、心臓の傷口から噴き出すハズの血流すら操作し全身を巡る血液の流れを確保する。また穴
が空き萎んでしまうはずの左肺も息の流れをコントロールし呼吸を確保する。だがそれは能力で最
低限の呼吸と血流を確保しただけであり、傷が治った訳でも痛みが治まった訳でもない。傷は未だ
致命傷のままであり能力を打ち切れば数十秒で一方通行は絶命するだろう。
ようやく事態を悟った神裂火織は一方通行に慌てて駆け寄る。もう一人の狙撃手を見逃したこと
は神裂火織が狙撃手を一人倒したことにより生じた油断が原因だといえなくもない。だが一方通行
という強大な相手と対峙している最中に周囲に割ける注意力を考えれば神裂火織の油断であった
と責めることはできないだろう。しかし全てのものを救うと心に決めた神裂火織は自分の油断が許せ
なかった。
は神裂火織が狙撃手を一人倒したことにより生じた油断が原因だといえなくもない。だが一方通行
という強大な相手と対峙している最中に周囲に割ける注意力を考えれば神裂火織の油断であった
と責めることはできないだろう。しかし全てのものを救うと心に決めた神裂火織は自分の油断が許せ
なかった。
「大丈夫ですか?一方通行」
『うるせェ!決着はまだついてねェぞ!!』
「傷をお見せなさい。今すぐ治療します」
『ざけンな!』
『うるせェ!決着はまだついてねェぞ!!』
「傷をお見せなさい。今すぐ治療します」
『ざけンな!』
前方の空気を振るわせ声を作っていることからも心肺機能にどれほど大きなダメージを受けてい
るかが判る。神裂火織は急いで回復術式を組みあげ発動させる。すると一方通行を取り囲むように
地面に緑色に輝く光の輪が現れゆっくりと上昇し始める。
るかが判る。神裂火織は急いで回復術式を組みあげ発動させる。すると一方通行を取り囲むように
地面に緑色に輝く光の輪が現れゆっくりと上昇し始める。
だがその途端、バチン!!と光の輪が一方通行の反射フィルターに弾かれ四散する。
「一方通行。今だけで良いですから私の回復術式を受け入れて下さい」
『こんなかすり傷に、オマエの助けなンかいらねェンだよ!』
「無茶です。一方通行!痛ッッ!」
『こんなかすり傷に、オマエの助けなンかいらねェンだよ!』
「無茶です。一方通行!痛ッッ!」
一方通行の肩に掛けようとした神裂火織の手はその運動量を反射され弾き飛ばされる。
『続きを始めッぞ!さっさと準備しやがれ!』
そう言った途端ガクン!と一方通行の両足が力を失う。
(なンだ?一体…………くそっ、打ち止めのヤツが俺の能力をブロックしやがったのか!?)
能力によって辛うじて身体を支えていた一方通行は地面に片膝を付く。同時に失血を防いでい
た能力も失い、途端に穴の空いた心臓は再び悲鳴を上げ、破れた肺は呼吸を拒み、体中の傷口
からは大量の血液が流れ出る。神裂火織は再び回復術式を組みあげると一方通行を囲むように
緑色に輝く光の輪が現れゆっくりと上昇する。
た能力も失い、途端に穴の空いた心臓は再び悲鳴を上げ、破れた肺は呼吸を拒み、体中の傷口
からは大量の血液が流れ出る。神裂火織は再び回復術式を組みあげると一方通行を囲むように
緑色に輝く光の輪が現れゆっくりと上昇する。
意識を失う寸前だった一方通行は思わず目を瞬(しばたた)かせる。先ほどまでの激痛が嘘のよう
に治まっていた。力を失ったはずの右手すら思い通りに動いてくれる。
に治まっていた。力を失ったはずの右手すら思い通りに動いてくれる。
(これが魔術…………なのか!?)
身体のダメージをチェックしつつゆっくりと立ち上がる一方通行が顔を上げると目の前に神裂火
織と目が合ってしまった。柔和な表情を見せる神裂火織から目を逸らすと一方通行は右手で髪の
毛を掻きむしる。
織と目が合ってしまった。柔和な表情を見せる神裂火織から目を逸らすと一方通行は右手で髪の
毛を掻きむしる。
「あ…………」
何かを言い掛けた一方通行の言葉はその腰に体当たりしてきた幼女によって断ち切られた。
「ゴメンナサイ!痛かったでしょ。でもあなたを助けるためにはあそこで能力をブロックするしか方法
はなかったの、ってミサカはミサカはいつも無茶ばかりするあなたに涙目で訴えたり」
はなかったの、ってミサカはミサカはいつも無茶ばかりするあなたに涙目で訴えたり」
「どうします?一方通行。まだ続けますか?」
「こンな邪魔が入っちゃ、もォやる気なンて無くなっちまったぜ!
まあ、どうしてもオマエが闘いたいって言うンなら付き合ってやってもイイぜ!」
「いいえ、遠慮します。あなたには何故か勝てる気がしませんでしたから」
「フン!謙遜しやがって。まあイイ。じゃあ俺は帰るからな」
「あっ、待って待って!ってミサカはミサカはあなたの腕にしがみついて久しぶりに一緒に帰りましょ
って駄々をこねてみたり」
「こンな邪魔が入っちゃ、もォやる気なンて無くなっちまったぜ!
まあ、どうしてもオマエが闘いたいって言うンなら付き合ってやってもイイぜ!」
「いいえ、遠慮します。あなたには何故か勝てる気がしませんでしたから」
「フン!謙遜しやがって。まあイイ。じゃあ俺は帰るからな」
「あっ、待って待って!ってミサカはミサカはあなたの腕にしがみついて久しぶりに一緒に帰りましょ
って駄々をこねてみたり」
腕にまとわりつく打ち止めを適当にあしらいながら一方通行は今日の戦闘を思い出していた。
(今まで雑魚ばかり相手していて気付かなかったが魔術っていうのもどうやら侮れねェみてェだ。
しかし9次元での反射をデフォで展開しておくにはミサカネットワークへの負担が重すぎる。
俺の頭が元通りなら問題ねェが、ミサカネットワークに頼るならもっと演算式をスリム化しねェと。
仕方ねェ。経験を積む必要がありそうだからコイツらに少しぐらい付き合ってみるか?)
しかし9次元での反射をデフォで展開しておくにはミサカネットワークへの負担が重すぎる。
俺の頭が元通りなら問題ねェが、ミサカネットワークに頼るならもっと演算式をスリム化しねェと。
仕方ねェ。経験を積む必要がありそうだからコイツらに少しぐらい付き合ってみるか?)
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
学園都市某ビル内の一室
「この映像は永久保存版としてミサカネットワークのアーカイブに保管する必要がありそうです
とミサカはまるで傷口に塩を塗りつけるようなわざとらしい口調で呟きます」
「…………、ぷっ…………くっ、くくく、苦しい」
「御坂さん。肩が揺れてる。ほら。…………笑ったら失礼。…………ぷっ」
とミサカはまるで傷口に塩を塗りつけるようなわざとらしい口調で呟きます」
「…………、ぷっ…………くっ、くくく、苦しい」
「御坂さん。肩が揺れてる。ほら。…………笑ったら失礼。…………ぷっ」
ここは学園都市某ビル内の秘密戦隊RAILARの作戦司令室。
RAILARのメンバー全員が揃うのは上条達が初めて招集された日以来である。
上条達はその日と同じようにバトルスーツに身を包んでいた。只一人の例外を除いて。
RAILARのメンバー全員が揃うのは上条達が初めて招集された日以来である。
上条達はその日と同じようにバトルスーツに身を包んでいた。只一人の例外を除いて。
「おい、クソチビ!オマエが死ぬ前に一つだけ聞いておきてェことがある」
「一つだけで良いの?ってミサカはミサカはあなたのコメカミに浮き出た青筋に身の危険を感じつ
つ怒りの矛先を逸らそうととびっきりの営業スマイルで答えてみる」
「こいつァ何の真似だ?」
「だってあなたは昨夜の戦闘でキシサクマアの首領と互角に戦って撃退したでしょう!
ってミサカはミサカは昨夜のあなたの凛々しい姿を脳内再生し改めてあなたに惚れ直してみたり」
「一つだけで良いの?ってミサカはミサカはあなたのコメカミに浮き出た青筋に身の危険を感じつ
つ怒りの矛先を逸らそうととびっきりの営業スマイルで答えてみる」
「こいつァ何の真似だ?」
「だってあなたは昨夜の戦闘でキシサクマアの首領と互角に戦って撃退したでしょう!
ってミサカはミサカは昨夜のあなたの凛々しい姿を脳内再生し改めてあなたに惚れ直してみたり」
両手を頬に当て身体をくねらせながら打ち止めは答える。なおも青筋を立てたこめかみをヒクつ
かせながら一方通行は今にも爆発しそうな怒気を込めた声で打ち止めにもう一度問い直す。
かせながら一方通行は今にも爆発しそうな怒気を込めた声で打ち止めにもう一度問い直す。
「なら!!それがこれとなンの関係があンだ!?なンのバツゲームだ!こりァ!?」
「ぷっ、…………くっ、くふふっ、ふぁっははははははは──────!」
「ぷっ、…………くっ、くふふっ、ふぁっははははははは──────!」
御坂美琴は必死に堪えてきたがとうとう限界がきてしまった。溢れ出した笑い声はもはや止めるこ
とができない。腹を抱えてうずくまる御坂美琴をギロリ!!と睨み付けるが今の一方通行には御坂
美琴を黙らせる迫力が少しばかり欠けているようだ。それはひとえに一方通行の着ているスーツに
原因がある。
とができない。腹を抱えてうずくまる御坂美琴をギロリ!!と睨み付けるが今の一方通行には御坂
美琴を黙らせる迫力が少しばかり欠けているようだ。それはひとえに一方通行の着ているスーツに
原因がある。
そう。今一方通行が着ているスーツは紛れもなく、どこからどう見ても、誰がなんと言おうともセーラ
ー服以外の何ものでもなかった。おまけに頭には白い花の髪飾りまで着けている。
ー服以外の何ものでもなかった。おまけに頭には白い花の髪飾りまで着けている。
「RAILARで最も活躍した人はブラック(上条)と一日デートができるのよ、ってミサカはミサカはなに
今さらご託を並べてんの?って感じでRAILAR結成当時に決まったルールを当然のように確認し
てみる」
「あァ!?なンの話だ!そりゃァ!?」
「ほら、あの日あなたが怒って司令室から出てった後に決まったでしょ。憶えてない?
ってミサカはミサカはふざけた素振りを微塵も見せずに質問に対して質問を返してみる」
「ッざけンな!つきあってらンねェ、俺は帰るぞッ!」
「でもスーツはバトルモードに戻さないと脱げないよ、ってミサカはミサカは親切にも忠告してみる」
今さらご託を並べてんの?って感じでRAILAR結成当時に決まったルールを当然のように確認し
てみる」
「あァ!?なンの話だ!そりゃァ!?」
「ほら、あの日あなたが怒って司令室から出てった後に決まったでしょ。憶えてない?
ってミサカはミサカはふざけた素振りを微塵も見せずに質問に対して質問を返してみる」
「ッざけンな!つきあってらンねェ、俺は帰るぞッ!」
「でもスーツはバトルモードに戻さないと脱げないよ、ってミサカはミサカは親切にも忠告してみる」
司令室の出口に向かっていた一方通行だが、後ろから掛けられた打ち止めの声に立ち止まると
ちっ!と舌打ちし面倒くさそうに言い放つ。
ちっ!と舌打ちし面倒くさそうに言い放つ。
「チェンジ、バトルモード」
「あっ、言い忘れてたけど、今スーツ変形機能はこちらでブロックしているから叫んでも無駄かも
って、ミサカはミサカはわざとらしく追加説明してみる」
「テメエ、そっちがそのつもりなら、こンなスーツ、俺の能力で引き裂いて…………」
「あっ、言い忘れてたけど、今スーツ変形機能はこちらでブロックしているから叫んでも無駄かも
って、ミサカはミサカはわざとらしく追加説明してみる」
「テメエ、そっちがそのつもりなら、こンなスーツ、俺の能力で引き裂いて…………」
チョーカーに手を当て能力使用モードにスイッチを切り替えようとする一方通行にまたしても打ち
止めは涼しい顔で通告する。
止めは涼しい顔で通告する。
「ちなみにあなたの能力もミサカネットワークの代理演算をブロックしているからスイッチを能力使用
モードに入れ替えたって無駄かも、ってミサカはミサカは余裕の表情で宣言してみる」
「ふっ、ふざけやがって!なら、こンなスーツはナイフで切り裂いて…………」
「残念でした。学園都市製の防弾防刃防爆スーツはナイフや銃なんかで傷つくほど柔じゃないよ
ってミサカはミサカは学園都市の技術水準の高さをことさら自慢してみたり」
モードに入れ替えたって無駄かも、ってミサカはミサカは余裕の表情で宣言してみる」
「ふっ、ふざけやがって!なら、こンなスーツはナイフで切り裂いて…………」
「残念でした。学園都市製の防弾防刃防爆スーツはナイフや銃なんかで傷つくほど柔じゃないよ
ってミサカはミサカは学園都市の技術水準の高さをことさら自慢してみたり」
プルプルと全身を小刻みに震わせる一方通行に打ち止めはさらにたたみ掛ける。
「無駄な抵抗はもう終わりかな、ってミサカはミサカは上から目線で宣言してみたり。
でもね。そのスーツを脱ぐ方法がまだ一つ残ってるんだよって耳寄りな情報を打ち明けてみる」
「なンだ!それは!?」
「そのスーツって一つ一つに違った『破滅の言葉』がセットされていて装着者がそのキーワードを
宣言するとスーツは5秒後に自壊する仕組みになってるの、ってミサカはミサカは衝撃の事実を
あなたに伝えてみたり」
「ほ────ッ、でもその言葉は俺に教える気はねェンだろ!どォせ」
でもね。そのスーツを脱ぐ方法がまだ一つ残ってるんだよって耳寄りな情報を打ち明けてみる」
「なンだ!それは!?」
「そのスーツって一つ一つに違った『破滅の言葉』がセットされていて装着者がそのキーワードを
宣言するとスーツは5秒後に自壊する仕組みになってるの、ってミサカはミサカは衝撃の事実を
あなたに伝えてみたり」
「ほ────ッ、でもその言葉は俺に教える気はねェンだろ!どォせ」
「そんなこと無いよ、あなたのスーツのキーワードは『ラストオーダー、愛してる』だよ。さあ大きな声
で言ってみよう、ってミサカはミサカは喜色満面であなたにキーワードをせっついてみる」
「ッざけンな!誰がそンなこと言うかよ!」
「えっ、そうなの!あなたはそんなに、そんなにブラックとの一日デートの方が良いの!?
ってミサカはミサカはあなたの意外な趣味にハンカチで涙を拭いながら嗚咽を漏らしてみる。
ついでにもう観念してキーワードを言うしかないよねってさりげなくあなたに迫ってみたり」
で言ってみよう、ってミサカはミサカは喜色満面であなたにキーワードをせっついてみる」
「ッざけンな!誰がそンなこと言うかよ!」
「えっ、そうなの!あなたはそんなに、そんなにブラックとの一日デートの方が良いの!?
ってミサカはミサカはあなたの意外な趣味にハンカチで涙を拭いながら嗚咽を漏らしてみる。
ついでにもう観念してキーワードを言うしかないよねってさりげなくあなたに迫ってみたり」
「もうその辺で許してやれよ。司令官(ラストオーダー)」
「あァァァああ?許してやれだあ?なンで俺がこのクソチビに頭下げなきゃなンねェンだよ!?
ほら、オマエはなにボサッとしてンだよ!さっさと支度しやがれ!」
「…………え?」
「えっ、じゃねェだろ!デートだよ。で・え・と!!」
「あァァァああ?許してやれだあ?なンで俺がこのクソチビに頭下げなきゃなンねェンだよ!?
ほら、オマエはなにボサッとしてンだよ!さっさと支度しやがれ!」
「…………え?」
「えっ、じゃねェだろ!デートだよ。で・え・と!!」
「じょ、冗談言うんじゃねえよ!!一方通行(アクセラレータ)」
「馬鹿野郎!誰がアクセラレータだ!?百合子って呼びやがれ!!
さっきからオマエも俺のことを散々笑ってくれたよな。
こうなりゃ、オマエも道連れだ!今日は地獄の底まで付き合って貰うぜ」
「えっ、ちょっ、ちょっと待って、心の準備が、まだ、きゃ──────────────ッッッ!」
「馬鹿野郎!誰がアクセラレータだ!?百合子って呼びやがれ!!
さっきからオマエも俺のことを散々笑ってくれたよな。
こうなりゃ、オマエも道連れだ!今日は地獄の底まで付き合って貰うぜ」
「えっ、ちょっ、ちょっと待って、心の準備が、まだ、きゃ──────────────ッッッ!」
悲鳴を上げる上条を引きずるように一方通行は出口へと向かう。そして、
「不幸だああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
上条の絶叫を絶ち切るかのように無情にも司令室の扉が閉じられた。
その日、不可思議なカップルが学園都市のあちこちで目撃されたという。
そしてこの日を境に『一方通行=鈴科百合子ちゃん』伝説が都市伝説として学園都市内でまこと
しやかに囁かれることになったのだという。
その日、不可思議なカップルが学園都市のあちこちで目撃されたという。
そしてこの日を境に『一方通行=鈴科百合子ちゃん』伝説が都市伝説として学園都市内でまこと
しやかに囁かれることになったのだという。
「ミサカ、巫女と美琴」 おしまい