第1章 献身的な修道女達の強制的要求
1
「と、言う訳です。理解しやがりましたか?」
…………おかしい。いやちょっと待ってほしい。
学園都市に住むレベル0の平凡な高校生、上条当麻は必死に思考する。
彼の前には黒を基調とした修道服に身を包んだシスター3人が、さも当然のように座っていた。
学園都市に住むレベル0の平凡な高校生、上条当麻は必死に思考する。
彼の前には黒を基調とした修道服に身を包んだシスター3人が、さも当然のように座っていた。
「やはり理解できませんでしたか?……シスター・アニェーゼ、やはりこの少年の頭脳レベルに合わせて解説するべきなのでは?」
(シ、シスター・ルチア!か、仮にもこれからお世話になる人にその言い方はちょっと……)
(しかしシスター・アンジェレネ、実際に彼は固まったまま動かないじゃないですか)
(シ、シスター・ルチア!か、仮にもこれからお世話になる人にその言い方はちょっと……)
(しかしシスター・アンジェレネ、実際に彼は固まったまま動かないじゃないですか)
ヒソヒソ話まる聞こえだぞこの野郎。固まったまま動けないのはあなた達のせいですからね?つーか内容は理解出来たけど何でそういう展開になるんだと激しくツッコミを入れたいんですがOKですか?
と、固まっている割には意外と激しく脳内思考をしている上条だったが、続くアニェーゼの台詞で反射的に口が動き、逆に脳内思考は完全に停止した。
と、固まっている割には意外と激しく脳内思考をしている上条だったが、続くアニェーゼの台詞で反射的に口が動き、逆に脳内思考は完全に停止した。
「そーですか、そんじゃ簡潔に……………………私達をここに1~2週間ほど泊めやがれってんです」
「………はぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
「………はぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
なんだかその1~2週間全てが不幸で埋め尽くされそうな気がした。
○月×日・午後3時半
上条の絶叫から、遡ること2時間半前…………
今日の授業が終わり、上条の通う高校の廊下をデルタフォースの3バカトリオ、上条、青髪ピアス、土御門元春は、今日も他愛のない話をしながら帰宅の為に昇降口に急いでいた。
その中でも特に急いでいたのが他でもない上条である。
「今日はDiscountスーパーで冷凍食品の大安売り!!節約学生の第1人者である上条さんとしては行かない訳には参りません!!」
「………どおでもええけど、なんだかカミやん最近ずいぶん所帯じみてきたような…………なんでなん?カミやんが自炊派だってのは知ってるけどそれほど金に困ってる訳でもないやろ?1人暮らしなんやから。…………まさか、どっかの薄幸少女を家に連れ込んでたりすんのん?」
「………どおでもええけど、なんだかカミやん最近ずいぶん所帯じみてきたような…………なんでなん?カミやんが自炊派だってのは知ってるけどそれほど金に困ってる訳でもないやろ?1人暮らしなんやから。…………まさか、どっかの薄幸少女を家に連れ込んでたりすんのん?」
ビックウ!!と肩を震わせる上条。彼は訳あってアパートの自分の部屋に「インデックス」と言う修道女を保護しているのだ。
真っ白な生地に金色の刺繍を施した、ティーカップの様な修道服をきているそのインデックスがとにかく食べる食べる。
ある日の夕食なんか、インデックスが上条さん特製フライ定食(ご飯&サラダ&スープ付き)を上条の分まで平らげ、自分だけ「18秒で出来上がり!学園都市特製、速さ0、1倍、美味さ10倍!!真・カップラーメン・しょうゆ」の時があったほどだ。
ある日の夕食なんか、インデックスが上条さん特製フライ定食(ご飯&サラダ&スープ付き)を上条の分まで平らげ、自分だけ「18秒で出来上がり!学園都市特製、速さ0、1倍、美味さ10倍!!真・カップラーメン・しょうゆ」の時があったほどだ。
そんな訳で家計簿をつけるのは当たり前、少しでも安い物を求め、スーパーを渡り歩くようになった上条は、お目当ての店が少し位遠くても足を運ぶようになっていた。
…………問題はとある事情により、この事実を周りに伝えられないという事だ。(1人暮らしの男の部屋に少女を連れ込んでる時点で話せるものではないのだが)
自分は勿論、インデックスの為にも。
上条がどう言い逃れしようと考えていたその時
「はっは~!夢があるニャー青髪は。朝起きたら「おはようお兄ちゃん?」って微笑んでくれる幼女メイドがいてくれたら最高なんだけどニャー」
「……そうやな~、考えてみたら日々フラグに塗れているカミやんがわざわざ「少女誘拐」なんてする訳あらへんもんな~」
「ブフッ!!?」
「……そうやな~、考えてみたら日々フラグに塗れているカミやんがわざわざ「少女誘拐」なんてする訳あらへんもんな~」
「ブフッ!!?」
「少女誘拐」の所で思わず噴き出した。
もしかしたら自分は何も知らない他人から見たら犯罪に見えかねない事をやっているのではないだろうか?と、上条は少々本気で頭を抱える。
もしかしたら自分は何も知らない他人から見たら犯罪に見えかねない事をやっているのではないだろうか?と、上条は少々本気で頭を抱える。
「……せや、よう考えたらカミやんはそーゆー事せんでもええんやないか!おかしない!?そーゆー事に手ぇ出さんでも大満足のフラグパラダイスなんて!!?つーかどっちかっていうと僕がそっちに手ぇ出しちまいそうやもん!!」
「……何だかお前が言うと、妙にリアルに聞こえるぞ…………」
「にゃー……あとで小萌先生に青髪注意報を呼びかけておこうぜぃ……」
「……何だかお前が言うと、妙にリアルに聞こえるぞ…………」
「にゃー……あとで小萌先生に青髪注意報を呼びかけておこうぜぃ……」
同時刻。職員室で職務を全うしていた上条達のクラスの担任、月黄泉小萌は、小学生にしか見えないその小さな体全体で多大なる悪寒を感じとっていた。
2
上条の絶叫から遡る事18時間30分前・イギリス清教・必要悪の教会・とある公園の一画
「わかりました。そんじゃ、準備がすみしだい出発します」
必要悪の教会の女子寮近くの公園に呼び出されたシスター、アニェーゼ・サンクティスは仕事の説明を受け終わると、資料として渡された紙を手早く折りたたみ、修道服の中にしまう。
彼女、実は生粋のイギリス清教徒ではなく、ローマ正教の250人からなる1部隊を任されていたシスターのリーダー的存在だったのだが、現在はとある2つの事件によりイギリス清教に改宗した(本人はイギリス内にローマ正教支部を作ろうとしているらしいが)元・ローマ正教徒である。
「ああ、本当なら神裂達「天草式」の出番なんだろうけど、こんな術式が発動した以上、天草式は勿論、土御門も役に立たないだろうからね」
一方アニェーゼを呼び出したのはステイル・マグヌスという神父だ。
アニェーゼとは違い、此方は生粋のイギリス清教徒。ルーンカードを使った炎の術式を得意としていて、教皇クラスの術式も使える天才魔術師。
アニェーゼとは違い、此方は生粋のイギリス清教徒。ルーンカードを使った炎の術式を得意としていて、教皇クラスの術式も使える天才魔術師。
……ただ、神父としては勿論、人としても見本にはならない格好をしていた。
真っ赤に染まったロン毛、両耳にピアス、目の下にバーコード、そして何より超タバコ臭い……と言うか、今も喫煙中だった。
「ニコチンとタールが無い世界の名は地獄」という名言を吐いた事があるほどタバコ好きで、彼の事を知る人はそれを注意しようとしない。なぜか「絶対に」無駄だからだ。
それはもはや「依存」や「中毒」どころの話では無く、彼にとって「酸素=タバコの煙」の方程式が成り立つほどの物だ。
それはもはや「依存」や「中毒」どころの話では無く、彼にとって「酸素=タバコの煙」の方程式が成り立つほどの物だ。
彼からタバコを取り上げた未来は、取り上げた者が確実な燃えカスとなる、もしくは、ステイル自身が廃人になる、の2択だろう。
だからアニェーゼも
(ったくこの喫煙神父が、自重しろってんです)
と思ってはいても口には出さないのだった。
(ったくこの喫煙神父が、自重しろってんです)
と思ってはいても口には出さないのだった。
「んで、貴方はいかねぇんですか?」
「ああ、正確には「行けない」かな?状況が状況だし「外」でサポートさせてもらうよ」
「(ふん、ウソつきやがれってんです「ジュッチューハック」禁書目録の世話がしてぇだけでしょ)」
「ああ、正確には「行けない」かな?状況が状況だし「外」でサポートさせてもらうよ」
「(ふん、ウソつきやがれってんです「ジュッチューハック」禁書目録の世話がしてぇだけでしょ)」
心の中で悪態をつくアニェーゼに
「…………ずいぶん余裕そうだね、ま、仕事を成功さる自信がそれだけあるって言うなら大いに結構だけど」
「……なにがいいてぇんですか?」
「……なにがいいてぇんですか?」
ステイルの目が微妙に細まる。
何の質問が来るか分かっているのに、いや、分かっているからこそアニェーゼは聞き返した。
何の質問が来るか分かっているのに、いや、分かっているからこそアニェーゼは聞き返した。
「別に、ただ元・同僚である誰かと殺しあう事になるだろうからさ」
「…………あたしの仕事に甘さがあるってんですか?笑えねぇ冗談です」
「…………あたしの仕事に甘さがあるってんですか?笑えねぇ冗談です」
そんな言葉を返したアニェーゼに、ステイルは嘲るようにフッ、と笑う。
「そんな事は言ってないよ?ただ「かつて仲間と慕ってくれた者が向ける敵意の視線」に耐えられれば良いね、そう言ってるんだ。まあ、君が嫌いだった人が来ない確率も無いわけじゃないし、出来ればそっちの可能性であることを祈っていてあげるよ」
ステイルはそう言うと、公園に掛けてあった人払いを解除し、自然な足取りで公園の出口へ向かい、人ごみにまぎれていった。
「…………ったく自分の経験を尊重しすぎてんですよ」
公園に一人残されたアニェーゼは、嘲るように、自分の意思を再認識させるように呟く。
「今も、そしてこれからも、あたしに昔はねぇんですよ」
3
○月×日・午後5時半・上条の絶叫から、遡る事1時間前
「くっそ、だーもうちきしょう不幸だ~!!」
上条は街道を全速力で走っていた。
目的地は冷凍食品のタイムセールがあるスーパー…………のはずなのだが、何故か「全く逆方向に」走っている。このまま行くと上条の住んでいるアパートにたどり着く道のりだ。
目的地は冷凍食品のタイムセールがあるスーパー…………のはずなのだが、何故か「全く逆方向に」走っている。このまま行くと上条の住んでいるアパートにたどり着く道のりだ。
上条の全力疾走の理由は何時も通り不良に追いかけられている……のではない。
逆だ「上条」が「不良」を、追っているのだ。
逆だ「上条」が「不良」を、追っているのだ。
何でそんな事をする必要があるのかと聞かれれば、単純明快、とても分かりやすい答えを用意する事が出来る。
サイフヲスラレタ
いや、正確にはスラれたと言っていいのかは分からない。何故なら…………
「ちっ、しつけーな!いい加減あきらめなよ!!」
「ふざけんな!こっちに近づいてきたと思ったらいきなり腹にグーをブチ込みやがって!!んでもってうずくまった人から財布奪ってそのまま逃亡開始する奴を上条さんは見逃しはしませんよ!?」
「ふざけんな!こっちに近づいてきたと思ったらいきなり腹にグーをブチ込みやがって!!んでもってうずくまった人から財布奪ってそのまま逃亡開始する奴を上条さんは見逃しはしませんよ!?」
いきなり不意打ち&急所狙いをしてくる輩をスリと呼べるのかは分からないからだ。
まあとにかく財布だけは取り返さなくてはならない。
あれには1~2週間の食生活を保障するだけのお金が入っている。もし無くしたら……………とりあえず上条の頭が腹ペコシスターに噛み砕かれる事は間違いない。
あれには1~2週間の食生活を保障するだけのお金が入っている。もし無くしたら……………とりあえず上条の頭が腹ペコシスターに噛み砕かれる事は間違いない。
そんな不幸な未来予想に身を震わせる上条が追っている暴力スリは全身を黒いコートで包んでいて、顔は勿論、外見が全く分からなかった。だが身長と声の高低から察するに、上条より二、三歳年下のようだ。
それにしても動きにくいであろう服装のくせにとんでもないスピードだ。長距離が得意なマラソン選手と言うよりは、こういう事(スリ)に慣れた、すばしっこい子ネズミの様な感じだった。
気を抜くとすぐに距離を離されそうだったが、上条も必死で食らいついている。
気を抜くとすぐに距離を離されそうだったが、上条も必死で食らいついている。
「しょうがねえじゃん!だってズボンの、しかも尻ポケットなんてスリやすい所に財布入れてるなんて思わなかったんだから!!日本人って不用心だよな~、でも銀行にはたっぷり貯め込んでんだから財布のカネ位いいっしょ?」
「ブ・ッ・ツ・ブ・ス、俺がどんな思いでやりくりしてると思ってんだテメェ!!」
「ブ・ッ・ツ・ブ・ス、俺がどんな思いでやりくりしてると思ってんだテメェ!!」
上条が雄叫びと共にスピードを上げると、暴力スリは顔を引き攣らせ、同じくスピードを上げた……と言うより本能的に上げさせられた。
何と言うか、上条の表情に鬼気迫るものがある。「必死」そのものだ。
捕まったらどうなるか………………考えたくも無い。
捕まったらどうなるか………………考えたくも無い。
……同時刻・某国で新発見されたとある遺跡内にて……
『と、言う訳なのよん♪』
「…………そうですか…………」
「…………そうですか…………」
小宗教、天草式の女教皇である神裂火織。
片足が根元からバッサリ切られたジーンズを穿いている彼女は、遺跡入り口の大広間の様な場所に作った作戦拠点ポイントで必要悪の教会の拠点、イギリスはセントジョージ大聖堂にいる最大宗教、ローラ・スチュアートと連絡を取っていた。
片足が根元からバッサリ切られたジーンズを穿いている彼女は、遺跡入り口の大広間の様な場所に作った作戦拠点ポイントで必要悪の教会の拠点、イギリスはセントジョージ大聖堂にいる最大宗教、ローラ・スチュアートと連絡を取っていた。
『あれれ~?カ~ンザキ~、どうかしたのん?それはかとなく元気ない様な気がす』
「相変わらずとんでもなく変な日本語ですね、まるで貴女のマヌケスキルをそのまま形にしたような気がします。憐れみを覚えてしまいそうですよ」
『え、あの……カンザ』
「そんな貴女のマヌケスキルに振り回される彼は非常に迷惑でしょうね。彼にはただでさえあの子のお世話をして頂いているというのにあなたは厄介事ばかり押し付けるのですね」
『カン;』
「だいたい貴女はいつも何時も………………」
「相変わらずとんでもなく変な日本語ですね、まるで貴女のマヌケスキルをそのまま形にしたような気がします。憐れみを覚えてしまいそうですよ」
『え、あの……カンザ』
「そんな貴女のマヌケスキルに振り回される彼は非常に迷惑でしょうね。彼にはただでさえあの子のお世話をして頂いているというのにあなたは厄介事ばかり押し付けるのですね」
『カン;』
「だいたい貴女はいつも何時も………………」
……なぜだかひどく不機嫌な神裂に尻込みするローラ。
ちなみにこの状態で神裂を刺激するような事を言ってしまうと一気に「ブチギレモード」になってしまう事を知っている天草式のメンバーは「触らぬ神に祟り無し」の言葉如く、状況を静かに見守っている………………と思ったら大間違いだ。
(女教皇と五和が大ピンチなのよな!)
(少年との距離を一気に縮めるチャンスだと言うのについてませんね~)
(ほんとですよ、この機会に堕天使エロメイド&大精霊エロメイドで少年に迫る女教皇と五和が見れたかと思うとものすごーく残念です)
(少年との距離を一気に縮めるチャンスだと言うのについてませんね~)
(ほんとですよ、この機会に堕天使エロメイド&大精霊エロメイドで少年に迫る女教皇と五和が見れたかと思うとものすごーく残念です)
……なんだか神裂が聞いたら問答無用で叩きのめされそうなセリフをがんがん言っている天草式メンバー(おもに男)。
その顔は「せっかく面白そうな展開(もの)が見られたかもしれないのに!!」という無念でいっぱいだった。
その顔は「せっかく面白そうな展開(もの)が見られたかもしれないのに!!」という無念でいっぱいだった。
(いろいろアプローチできるチャンスだったのにな~五和。どうするよ?あの少年が3人の内の誰かと……あ、いや、あの少年の事だから3人纏めてって事もぐぼはぁあ!!)
(不安にさせる様な事言ってんじゃないわよ!!)
(だ、だだだだだっだ、大丈夫ですよ!あああ、あ、あの人は、紳士で強くてヒーローで…………)
(いや……安心はできねーのよ)
(ど、どういう意味ですか?)
(不安にさせる様な事言ってんじゃないわよ!!)
(だ、だだだだだっだ、大丈夫ですよ!あああ、あ、あの人は、紳士で強くてヒーローで…………)
(いや……安心はできねーのよ)
(ど、どういう意味ですか?)
元・天草式教皇代理、建宮才二の意味深な言葉と表情に一段と反応する、恋する乙女、五和。
……実はこういう時の建宮は、大抵の場合が面白がって話を煽っているのだが、テンパッているのか、五和はまったく気づいていない。
……実はこういう時の建宮は、大抵の場合が面白がって話を煽っているのだが、テンパッているのか、五和はまったく気づいていない。
(そもそも俺達の思考レベルが低いって言ってるのよ。あの少年に「俺達の知っている奴らだけが」好意を抱いているなんて事は100%無いのよな!!)
(ッツ!)
(ッツ!)
建宮の言葉に天草式のメンバーも、ああ!と、納得の表情を浮かべ、思考レベルを上昇させる。
(なるほど、確かにあの少年なら普通に1クラス位の女子は好意を抱いていそうですよね)
(むしろ学校の女子全員?)
(教師を忘れてるぞ!)
(通っている学校だけじゃねえ!違う学校の……ほら!例えばどっかの破天荒お嬢様とか!!)
(甘い!俺は学園都市の可愛い女子全員にかけるぜ!!)
(フッ……これだからド素人は……問題は数だけじゃねーのよ。フラグの立て方なのよな)
(むしろ学校の女子全員?)
(教師を忘れてるぞ!)
(通っている学校だけじゃねえ!違う学校の……ほら!例えばどっかの破天荒お嬢様とか!!)
(甘い!俺は学園都市の可愛い女子全員にかけるぜ!!)
(フッ……これだからド素人は……問題は数だけじゃねーのよ。フラグの立て方なのよな)
これだけでもかなりの精神的ダメージを負っている五和だが、ここで建宮がさらに追い打ちをかける。
(いいか?まずいくら好意を抱いている人間が山ほどいるって言ってもフラグの立て方が上手くなければ意味がないのよ。良い例えがアイドルなのよな。どんなに人気があってファンがいても、ファンはファン。よほど親しくならないとお互いは勿論、どちらかが完璧な好意を抱くなんて事はあり得ねーのよ)
(え?じゃ、じゃあ……)
(え?じゃ、じゃあ……)
(だがしか~~~~~~~し!!少年は強い印象を残し、ある程度間を開けるというやり方でこの常識を覆したのよ!!広く浅くと言うやり方は一見駄フラグに見える。だが植え付けた印象は根強く残るから何らかのきっかけで思考の輪廻に少年の事が組み込まれてしまえば後はずっと少年の事を考えるようになる!五和!お前がその良い証明なのよな!!)
(!!??)
(!!??)
(要は長距離恋愛の理論を取り入れる事によって多数の人間から同時に好意をもたれる様になる!根強く、幅広くと言う方法で夢のハーレムENDへの道を確立したのよ!!さらに通常の恋愛理論「長い時間」「1目惚れ」「血族」etc……などを計算に加えれば…………もはや少年のフラグ数は我らに想像できるものでは無いのよ!!!)
( ( ( ( (おォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)))))
今日1番の盛り上がりを見せる天草式メンバー。
( ( ( ( (おォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)))))
今日1番の盛り上がりを見せる天草式メンバー。
だが彼ら勿論、上条の周りに居る、彼を羨ましがる人々は何人が辿り着いているだろう。
上条がフラグ体質と言われ続けられている理由。その先にある答えに。
上条がフラグ体質と言われ続けられている理由。その先にある答えに。
……その一方……
「ちょっと五和!しっかりしなさい!!いつわ~~~~~~!!!」
「ん?どうしたの…………んおわぁあ!!五和が壊れたのよ~~~!!」
「うふふ…………私って救われない……うふふ……」
「なんか日本の巫女霊がとり憑いてる気がする!!なぜだか分からないけど確信を持って言えるわ!!」
「しっかりするのよ!何故だか分からないけどこのままだと「忘れられた子」になってしまうような気がするのよ~~~!!」
「ん?どうしたの…………んおわぁあ!!五和が壊れたのよ~~~!!」
「うふふ…………私って救われない……うふふ……」
「なんか日本の巫女霊がとり憑いてる気がする!!なぜだか分からないけど確信を持って言えるわ!!」
「しっかりするのよ!何故だか分からないけどこのままだと「忘れられた子」になってしまうような気がするのよ~~~!!」
4
「ち、ち、く……しょう……あの暴力スリ、今度会ったら……はぁ、はぁ………か、かみじょーさん必殺の一撃を……ぜぇ、ぜぇ…………」
結局あのスリに逃げられた上条は、自分の部屋がある学生寮に帰ってきていた。
エレベーターに貼られた『現在調整中です。階段をお使いください』という張り紙を恨めしそうに数秒見つめるが、使えない物は使えないので素直に階段で自室を目指す上条。だが朝は使用禁止になって無かった所から考えて、やはり不幸だった。
エレベーターに貼られた『現在調整中です。階段をお使いください』という張り紙を恨めしそうに数秒見つめるが、使えない物は使えないので素直に階段で自室を目指す上条。だが朝は使用禁止になって無かった所から考えて、やはり不幸だった。
逃げられた原因は単純明快。
全力でスリを追い、距離もいくらか縮まってきたとき、スリは急に方向転換をして路地裏の道に入ろうとしたのだ。
これを今まで以上のスピードで追う上条、これまで何度も無能力者集団とやりあってきた上条には分かる。路地裏は彼らのホームグラウンド。縄張り。
逃げ込まれたらマズイ。そう思い、スピードを上げたのが間違いだった。
自らの経験をもっとよく思考すれば、こうなるかもしれない位の事は予想できたのに。
これを今まで以上のスピードで追う上条、これまで何度も無能力者集団とやりあってきた上条には分かる。路地裏は彼らのホームグラウンド。縄張り。
逃げ込まれたらマズイ。そう思い、スピードを上げたのが間違いだった。
自らの経験をもっとよく思考すれば、こうなるかもしれない位の事は予想できたのに。
路地裏へと逃げたスリを追うため、上条も路地裏へと入ろうとしたその瞬間
ドゴン!!というすさまじい音が「自分の腹から」体全体に伝わってきた。ガハッツ!!と肺の酸素を強制的に吐き出させられ、上条はその場にうずくまる。
「奇襲」の2文字が頭をよぎる。対多数戦に有効なこの手は、上条がよくやる事でもあった。
「奇襲」の2文字が頭をよぎる。対多数戦に有効なこの手は、上条がよくやる事でもあった。
喧嘩慣れしている上条は自分の実力を熟知していて、勝てるのは1対1まで。2対1なら危ういし、3対1なら迷わず逃げる…………のだが時々、逃げても逃げても追いかけてくる奴らがいたりする。
そんな時、手頃な脇道に入り、呼吸を整え準備をし、1番初めに入ってきた奴を殴り飛ばすのだ。逃げていると思っている&大人数と言う事で油断しきっているからこれがやたらと効く。さらに1人撃破する事で相手の指揮も乱れ、逃げ果せるチャンスも大きくなる。
…………まさかそのシュチュエーションを自分が受ける事になろうとは。
上条が蹲ったまま顔だけ上げると、案の定スリは逃げ果せた後だった。
そんな時、手頃な脇道に入り、呼吸を整え準備をし、1番初めに入ってきた奴を殴り飛ばすのだ。逃げていると思っている&大人数と言う事で油断しきっているからこれがやたらと効く。さらに1人撃破する事で相手の指揮も乱れ、逃げ果せるチャンスも大きくなる。
…………まさかそのシュチュエーションを自分が受ける事になろうとは。
上条が蹲ったまま顔だけ上げると、案の定スリは逃げ果せた後だった。
「…………はぁ……これで少なくとも上条さんの1週間の食事は朝昼晩と食パン、そしてインデックスに頭を喰い千切られる事は決定ですはい……」
部屋で待つ超大食修道女の怒りをどうやって和らげようか考える上条が、自分の部屋がある階へと続く階段の途中の踊り場で立ち止まってから5分が経過しようとしていた…………その時だった。
「?」
踊り場から、ふと自分の部屋を見上げると、なにか違和感をおぼえる。階段を登り切り、近づいて違和感を確かめようと……した。
近くに行くまでも無かった。僅かだが確実に「ドアが開いている」
踊り場から、ふと自分の部屋を見上げると、なにか違和感をおぼえる。階段を登り切り、近づいて違和感を確かめようと……した。
近くに行くまでも無かった。僅かだが確実に「ドアが開いている」
「んなッ!!」
上条は迷う事無く駆け寄り、ドアの具合を確かめる。
上条は迷う事無く駆け寄り、ドアの具合を確かめる。
インデックスが部屋に居るならドアが開いているという事は無い。
部屋の合鍵も渡してあるから自由に外出が出来る……よって、鍵をかけ忘れたまま出かけるという事も無いはずだった。
部屋の合鍵も渡してあるから自由に外出が出来る……よって、鍵をかけ忘れたまま出かけるという事も無いはずだった。
考えられる可能性は………………かなり絞られてくる。
上条は、自身の不幸体質というのがあるから断言はできないが、ただの空き巣ではないと考えていた。
ただの空き巣が、学生寮、それも平凡な高校の平凡な高校生の部屋に狙いを定めるわけがない。それにこんな上の階じゃ無く、逃げやすさを考慮した下の階を狙うだろう。
ただの空き巣が、学生寮、それも平凡な高校の平凡な高校生の部屋に狙いを定めるわけがない。それにこんな上の階じゃ無く、逃げやすさを考慮した下の階を狙うだろう。
…………魔術関連が1番高い、と上条は思う。
禁書目録―10万3000冊の魔道書を管理するインデックス。
ローマ政教の30億人に命を狙われている上条。
ローマ政教の30億人に命を狙われている上条。
そっちの方がよっぽど納得がいく。実際には納得いってほしくないのだが、それ以外に思いつかない。
よって、誰かが無理やりこじ開けたのではと思ったのだが、その様な後は全く無い。空いている事を除けば、極々自然な状態だった
よって、誰かが無理やりこじ開けたのではと思ったのだが、その様な後は全く無い。空いている事を除けば、極々自然な状態だった
だが油断は出来ない。上条の経験上、魔術師ってのは何でもありのとんでも集団だ。
聖人だったらその腕力だけでドアをへし曲げる事が出来るだろう。スパイ業を兼ねている者なら合鍵ぐらい持ってそうだし、タバコ好きの者なら人払いかなんかで人目に付くこと無く行動していそうだ。
だからいとも簡単に、かつ自然に、部屋へ侵入する事が出来る魔術だってあるかもしれなかった。
(インデックスは今どこだ!?携帯……ってどうせまた充電切れてんだろうな…………)
このドアの先、自室には上条もしくはインデックスを狙う奴らがいるかもしれない。
ここでインデックスを呼ぶわけにはいかない、だが中で人質にされている場合だってあるかもしれない。
ここでインデックスを呼ぶわけにはいかない、だが中で人質にされている場合だってあるかもしれない。
上条はドアを近距離で穴があくほど睨みつける。
その手はドアノブまであと数センチの所で止まっていた。
その手はドアノブまであと数センチの所で止まっていた。
(……くそっ!どうする…………)
入るべきか、入らざるべきか
(……どうする…………!!)
と、ここで上条の意識は一度途切れかける。
ドアがいきなり内側から思いっきり開いてきたからだ。
超視近距離でドアノブとにらめっこしていた上条は、問答無用で手すりがある方の壁にぶっとばされる。
ドアがいきなり内側から思いっきり開いてきたからだ。
超視近距離でドアノブとにらめっこしていた上条は、問答無用で手すりがある方の壁にぶっとばされる。
「そげふ!!??」
「………………なんだ、少年でしたか……んなとこでなにやってんです?」
「………………なんだ、少年でしたか……んなとこでなにやってんです?」
顔を押さえてのた打ち回る上条の耳に、聞き覚えのある、少し生意気な女の子の声が聞こえてきて、上条はガバッ!と顔を上げる。
「な……!!」
「ちょうどよかったです、色々話したい事がありますんで早く入ってください」
「ちょうどよかったです、色々話したい事がありますんで早く入ってください」
いやそこ俺の部屋だし、そもそも俺に対する謝罪の言葉は無しですかそうですか、んでもってインデックスはどこ行った、つーか人の家に勝手に上がり込んでんじゃねえ。
と、言いたい事は色々あったが、とりあえず上条の口から出たのはその声の主の名前だった。
「アニェーゼ!!なんでお前がここに!!?」
5
上条の絶叫から15秒後……
「つーわけであたし達3人をここに泊」
「まてまてまてまてちょっと待て!!話は分かったけどどうしてそういう展開になるんだっつーの!!」
「……話を聞いてましたか?それとも内容が理解できてねぇんですか?」
「いや分かったって言ったじゃん!たった今!!人の話聞いてねぇのはテメエらだろうが!!」
「まてまてまてまてちょっと待て!!話は分かったけどどうしてそういう展開になるんだっつーの!!」
「……話を聞いてましたか?それとも内容が理解できてねぇんですか?」
「いや分かったって言ったじゃん!たった今!!人の話聞いてねぇのはテメエらだろうが!!」
上条はテーブル向かいに座っている、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネの3人に向かって、必死に説明を求めていた。
いや、正確には「アニェーゼ達がなぜここにいるのか」の説明では無くなぜ「上条の家に泊めてくれ」などと言ってくるのかなのだが、彼女達は全くくみ取ってくれない。
いや、正確には「アニェーゼ達がなぜここにいるのか」の説明では無くなぜ「上条の家に泊めてくれ」などと言ってくるのかなのだが、彼女達は全くくみ取ってくれない。
上条の絶叫から15分前・上条の自室
「1人暮らしの男の部屋としては結構片付いて……1人じゃねぇでした、同棲してんですよね。まああの禁書目録が進んで家事や手伝いをするとは思えねぇですが」
アニェーゼはまるで自分の家の様にベットの上でくつろぎ…………
「…………正直、修道女としてその事実は了承しかねますね。まったく……成り行きでこうなってしまったと聞きますが、あなたならこの調子で何名もの女性とパイプを持っていそうです……それと鍵はもっと解除が難しく、窓ガラスは防弾ガラスの物にしなさい、不用心ですよ?」
ルチアは礼儀こそ正しいが自分たちの行いなどまるで気にも留めていないかの様子で無神経にペラペラと話し…………
「す、すみません……ちょっと事情があって(モグモグ)……し、仕方なくなんですよ?勿論仕事であって(パクパク)……決して嫌がらせでは……(パクモグ)」
アンジェレネはインデックス様に買っておいたケーキ菓子を上条の了承も無く勝手にパクパク食べている…………
「……………………ちょ」
「「「?」」」
「ちょっと待てテメエら~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」
「「「?」」」
「ちょっと待てテメエら~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」
と、ここで上条の今までためていた何かが一気に爆発した。それは怒りと言うより激しい混乱によるもので……
「まず人の家に勝手に上がり込んでんじゃねえよ、なんでお前らがここに居る!?んでもってなに和んでんだ!ここは上条さんのお家ですよお分かりですか!?つーか本来ここに居る筈のインデックスはどこ行った!!?そしてあなたは自分の事を棚に上げて人を注意をするんじゃありません!最後にケーキをパクパク食ってるきみ!!君がそのケーキをパクパク食べると後に私が腹ペコ野獣と化したインデックスに頭をガブリと食べられてしまうのですが!!??」
勢い良く立ち上がり、息継ぎなしで怒涛のツッコミ連打をした上条は、ここでようやく息を整えアニェーゼ達をキッ!と睨む。
「了承なら最大宗教の許可を」
「俺の許可を取れよ!何度も言いますけどここは上条さんの部屋です!!」
「……じゃあ許可をください」
「俺の許可を取れよ!何度も言いますけどここは上条さんの部屋です!!」
「……じゃあ許可をください」
一瞬ドついてやろうかとも思った上条だったが、まずは状況を把握し、混乱を治めたい。
「…………まず何がどうなってるのか説明してくれよ…………」
溜息をつきながら再び床に座る。
「ん~……そうですね、色々説明しなきゃいけない事があんですよね…………取り合えず何かを言うなら禁書目録は無事ですから安心すると良いです」
「むしろ今頃大満足してるかもしれません…………まったく、禁書目録もそうですがあの喫煙神父も許しがたい。煙草もそうですが、あの人は禁書目録に甘すぎです」
「赤髪さん、今日の為に貯金を目一杯降ろして様々な料理店を貸し切りにしてましたもんね…………う、羨ましいです…………」
「むしろ今頃大満足してるかもしれません…………まったく、禁書目録もそうですがあの喫煙神父も許しがたい。煙草もそうですが、あの人は禁書目録に甘すぎです」
「赤髪さん、今日の為に貯金を目一杯降ろして様々な料理店を貸し切りにしてましたもんね…………う、羨ましいです…………」
赤髪・タバコ、この2つに禁書目録が合わさるだけでインデックスがどこの誰といるかは明白だった。
「ステイルも来てるのか?だったら何でお前らと一緒じゃないんだ?」
「そりゃあとうぜんです、だって…………」
「そりゃあとうぜんです、だって…………」
禁書目録は今、学園都市に居ませんから。
行間1
同時刻・学園都市の外・某有名料理店
「これと、これと………ああもうここにある料理全部食べてみたいかも!!」
「…………好きにすると良いさ……」
「…………好きにすると良いさ……」
東京で超有名な和風料理店の最高級ランクの部屋。
そこには同じく最高級ランクの、少なくとも今の上条には絶対に手が出ないほど馬鹿高い料理をガンガン注文するインデックスと、それを見て溜息をつきつつも、内心かなり和んでいるステイル・マグヌスが居た。
純和風の部屋に英国の修道女と神父がいるというのはいささか奇妙な光景だったが、店の従業員は外国からの客に慣れているのか、そこまで気にしていないようだ。
……そう「その事に関しては」気にしてない……だが
「お、お客様。お会計の方は大丈夫ですか?」
「最初にカードを渡しただろ?そこから会計の分だけ引き落としてくれ」
「は………はい」
「(ガツガツむしゃむしゃ)あ!あとこれとこれも~!!」
「最初にカードを渡しただろ?そこから会計の分だけ引き落としてくれ」
「は………はい」
「(ガツガツむしゃむしゃ)あ!あとこれとこれも~!!」
従業員は呆れたような困ったような顔で注文票に料理名を書くと、厨房へと走っていった。
驚いているのはその注文の量だ。
一見一人では食べきれないだろうと思われる膨大な数の高級料理が、次々とインデックスの胃袋へと吸い込まれてゆく。しかもステイルは料理に一切手を付けていない。
一見一人では食べきれないだろうと思われる膨大な数の高級料理が、次々とインデックスの胃袋へと吸い込まれてゆく。しかもステイルは料理に一切手を付けていない。
「…………随分と食い付きが悪いね」
この場にインデックスと関わりを持たない誰かがいれば迷わずツッコミをいれただろうが、実際に全力時のインデックスと比べれば若干スピードに勢いが無い。
「そ、そんなこと…………」
「…………さっきも言ったけど、その術式が発動する可能性がある以上、君を学園都市に置いておくわけにはいかない。」
「う、うん……分かってるけど…………でも……」
「…………さっきも言ったけど、その術式が発動する可能性がある以上、君を学園都市に置いておくわけにはいかない。」
「う、うん……分かってるけど…………でも……」
箸を止め、若干不安そうな表情をするインデックスに、ステイルはこんな言葉を掛けた。
「……あいつには護衛が付いている。任務が優先とはいえ、ある程度安全のはずさ。それにあいつなら巻き込もうが巻き込まれまいが、勘づきさえすれば自分から飛び込んでくると思うけど?」
「!!?」
「!!?」
バッ!と、こちらを見たインデックスに、ステイルはこの発言が失敗だったとすぐに気付いた。
…………が、もう遅い。
「そ、そうなんだよ!当麻ったらいつも何時も!!あいさ曰く当麻はフラグ体質~って言って次々と女の子と厄介事を引き寄せる体質らしいけど、ただでさえ色んな事に巻き込まれやすいって言うのに自分から関わっていくんだもん!私の知らない所でも色々あったみたいだし!!それと当麻は私がご飯をたくさん食べるから食費が大変だ~!って言ってるけど正直当麻の入院費もバカにならないかも!!あとあと………………」
「…………ハァ…………」
「…………ハァ…………」
この後ステイルは、インデックスの気が済むまで上条への愚痴(ステイル曰く、そうは聞こえない)を聞かされ、上条に理不尽な殺意を抱くことになるのだが、肝心の上条はそれを知らない。
7
「ちょっ、ちょっと待てよ!学園都市にいないって…………」
「言った通りの意味です。禁書目録は今、学園都市にいねぇんです。危険だから置いとけねえって事ですよ」
「な……………………」
「言った通りの意味です。禁書目録は今、学園都市にいねぇんです。危険だから置いとけねえって事ですよ」
「な……………………」
言葉を失った。
理由は嫌というほど分かっていた。
理由は嫌というほど分かっていた。
インデックスは魔術側の人間。イギリス清教、必要悪の教会のシスターで、完全記憶能力を生かし「禁書目録」10万3千冊の魔道書を脳内に保管している「魔道書図書館」だ。
この魔術と対する科学の街。学園都市に置いておくという事自体が危険だと判断されても不思議では無かった。
この魔術と対する科学の街。学園都市に置いておくという事自体が危険だと判断されても不思議では無かった。
今まで上条とインデックスが共に暮らしてこれた事の方が奇跡なのだ………………だけど
「……………………………………………………………………………………でだよ……」
「は?」
「なんで今になってあいつを連れ戻そうって話になったんだよ!!?」
「は?」
「なんで今になってあいつを連れ戻そうって話になったんだよ!!?」
上条は叫ぶ。奇跡という幻想が消えていくのをただ黙って見ている訳にはいかない。
「……俺は魔術の世界や魔術は勿論、肝心のインデックスの事だって殆ど知らない無知野郎だけど………困った事や苦労した事だってあったし、危険な事に巻き込まれる事なんてもう数えんのもバカバカしい位だ…………だけど…………だけど俺達は今まで一緒に居たんだ!!インデックスに確認取らないでこんな事言うのもなんだけど…………最悪、俺の幻想かもしれねぇけど…………俺「達」の意思で一緒に居たんだよ!!!」
そうだ。現に今までインデックスは上条と一緒にいた。
それ自体が危険である事を知りつつも、この学園都市で、上条の部屋で、時を過ごしてきた。
それ自体が危険である事を知りつつも、この学園都市で、上条の部屋で、時を過ごしてきた。
それは、笑顔を絶やさない彼女が上条に見せてくれた信頼。
だったらそれを、自分が裏切るのは勿論、他の誰かにも断ち切らせるわけにはいかない!!
だったらそれを、自分が裏切るのは勿論、他の誰かにも断ち切らせるわけにはいかない!!
上条は知らず知らずのうちにテーブルの向こうの3人に思いっきり顔を近づけていた。
「だから……!!」
「ちょっ、お、落ち着いてくださいっ!!禁書目録を学園都市の外に連れ出すのは事件を解決するまでです!!」
「ちょっ、お、落ち着いてくださいっ!!禁書目録を学園都市の外に連れ出すのは事件を解決するまでです!!」
……………………………………………………………………………………………え?
「え?……あ…………は?」
「……シスター・アンジェレネの言うとおり。私達は禁書目録を回収、もしくは連れ戻しにきた。とは1言も言っていませんよ?」
「まったく、早とちりもいいとこです。……………それと、ちょっと身を乗り出し過ぎでねぇですか?」
「………………………あ、すみません………」
「……シスター・アンジェレネの言うとおり。私達は禁書目録を回収、もしくは連れ戻しにきた。とは1言も言っていませんよ?」
「まったく、早とちりもいいとこです。……………それと、ちょっと身を乗り出し過ぎでねぇですか?」
「………………………あ、すみません………」
……………………………………え~……と、と言う事は……
ゼンブカミジョウサンノカンチガイ?
ゼンブカミジョウサンノカンチガイ?
(うぎゃァアアア~~~~~!!!!!ハズッ!恥ず!!いま俺すっげぇ恥ずかしいんですけど!!?)
上条は頭を抱え、床をゴロゴロと転がる。途中ベッドの角に足の小指をぶつけ、悶絶しながら転がるという荒業を披露した。
「ふ、不幸だ~~~~~~~!!!」
「……今回はどう見てもあなたの失態の様な気が……………」
「やめて!心と体に瀕死の重傷を負った上条さんを追撃して止めを刺すような真似はしないで~~~~!!」
「はぁ……………………?…シスター・アニェーゼ。先程から俯いたままですがどうかしましたか?少しばかり顔が赤い様な気もしますが」
「い、いえ!何でもねぇです!!……んなことより、さっさと話を戻して、さっさとこのめんどくせぇ説明を終わらせちまいましょう」
「……今回はどう見てもあなたの失態の様な気が……………」
「やめて!心と体に瀕死の重傷を負った上条さんを追撃して止めを刺すような真似はしないで~~~~!!」
「はぁ……………………?…シスター・アニェーゼ。先程から俯いたままですがどうかしましたか?少しばかり顔が赤い様な気もしますが」
「い、いえ!何でもねぇです!!……んなことより、さっさと話を戻して、さっさとこのめんどくせぇ説明を終わらせちまいましょう」
アニェーゼはわざとらしく体制と口調を正すと、今度こそ、といった感じで口を開く。
「先週……つっても何時かは分からねぇんですが、学園都市を標的としてとある魔術が発動。今までにない強力な術式で、これを新たなる原典と断定。イギリス聖教はこの魔術を「魔力暴走」(マナ・ドライブ)と名付けました」
「マナ…………ドライブ?」
「…………詳しく説明するとなると色々な専門用語から知って頂かなくてはなりませんが構いませんか?」
「マナ…………ドライブ?」
「…………詳しく説明するとなると色々な専門用語から知って頂かなくてはなりませんが構いませんか?」
ルチアの申し出に、上条は首をぶんぶん振った。
上条は以前、インデックスに魔術関連の質問をした事がある。その結果、彼女の説明のつぼに入ってしまったのか、半分以上訳の分からない、理解出来ない話を、えいえんと2時間以上語られてしまった事があった。
そして上条の不幸センサーは語っている。
このルチアと言う修道女はあの時のインデックスと同じ匂いがする、と。実際、ルチアの表情はどこか不満そうに見えた。
このルチアと言う修道女はあの時のインデックスと同じ匂いがする、と。実際、ルチアの表情はどこか不満そうに見えた。
上条と同じくルチアに説明させるのが嫌なのか、アンジェレネが慌てて口を開く。
「え、え~~っとですね。簡単に説明すると、魔術師が魔術を使うために生み出した魔力にその魔力を生み出した持ち主本人を自動攻撃させるっていうものなんです」
「………………え~っと、つまり……あれか?例えばステイルの出した「魔女狩りの王」がステイルを攻撃しちまうって事か?」
「……まあ、遠からず…………近からず…………」
「実際にはその魔術になる前の段階である「魔力」が暴走すんですよ。今の話に合わせると「魔女狩りの王」になる前に内側から大爆発って感じですかね」
「ふうん…………でもさ、何でインデックスを外に連れ出したりしたんだ?その……「魔力暴走」を仕掛けた奴の目的がインデックスなのか?」
「分かりませんが最悪の場合、死ぬかもしんねぇからですよ」
「………………え~っと、つまり……あれか?例えばステイルの出した「魔女狩りの王」がステイルを攻撃しちまうって事か?」
「……まあ、遠からず…………近からず…………」
「実際にはその魔術になる前の段階である「魔力」が暴走すんですよ。今の話に合わせると「魔女狩りの王」になる前に内側から大爆発って感じですかね」
「ふうん…………でもさ、何でインデックスを外に連れ出したりしたんだ?その……「魔力暴走」を仕掛けた奴の目的がインデックスなのか?」
「分かりませんが最悪の場合、死ぬかもしんねぇからですよ」
死というワードに、上条は思わず身を固くする。
話を聞いただけでは、魔術を使わなければ危険はなさそうな魔術に思えたのだが、どうもいろいろ違うらしい。
話を聞いただけでは、魔術を使わなければ危険はなさそうな魔術に思えたのだが、どうもいろいろ違うらしい。
「忘れてねぇですか?禁書目録の頭ん中には10万3千冊の魔道書があんですよ?どっかでうっかりこの魔道書の1つでも暴走すれば次から次へと連鎖を重ね…………管理してる禁書目録は勿論、周りの被害だって結構なものになる可能性があるんです」
「………………そ、そうか………………でもその「魔力暴走」ってのが発動してんならお前らだって魔術は使えないんじゃ…………」
「………………そ、そうか………………でもその「魔力暴走」ってのが発動してんならお前らだって魔術は使えないんじゃ…………」
と、いうかそんなものが発動しているなら魔術師全般が使い物にならなくなるはずなのだが、アニェーゼ達は何事もない様に平然としている。
「その心配はいりません。この魔術には決定的な欠陥があんですよ」
「欠陥?」
「欠陥?」
敵の弱点を語っているのに、アニェーゼ達の表情は浮かない。困っているようにも見える。
「この魔術の構造を簡単に説明すると、まず魔力Aを魔術発動の為の魔力及び保護対象に指定、それ以外の……保護対象に入れていない魔力B~Zの構造を崩し、暴走させるというものです」
「つ、つまり、この魔術を発動させている人達と同じ魔力を使っている人なら、その影響を受けずに済むんです…………」
「これで分かったんじゃねぇですか?どうしてあたし達3人が来てるのか」
「…………その術式を発動してるのがローマ政教の奴だからか?」
「つ、つまり、この魔術を発動させている人達と同じ魔力を使っている人なら、その影響を受けずに済むんです…………」
「これで分かったんじゃねぇですか?どうしてあたし達3人が来てるのか」
「…………その術式を発動してるのがローマ政教の奴だからか?」
彼女達は元・ローマ政教のシスター達だ。魔力は勿論、術式もローマ仕込みの物ばかりだろう。だから送り込まれてきた。
「そういう事です。あたし達の今回の目的はこの術式の破壊」
アニェーゼは言いながら目をそらし
「並びに相手の目的、狙いを探って…………」
ルチアは溜息をつき
「必要ならばそれを阻止する事」
アンジェレネは前にもましてワタワタと挙動不審に慌て始めた。
「へ、へえ~………………;」
そして上条はこの時点から何か嫌な予感がしていた。
「「「…………なんですが…………」」」
ギクッッ!!!と、全身を嫌な感覚が走る。
様々な不幸を体験してきた上条には分かる。これは単に「事件を解決するのを手伝え」と言われるだけじゃ無い。寧ろそれに関しては上条自身も自分から手伝うつもりだった。
様々な不幸を体験してきた上条には分かる。これは単に「事件を解決するのを手伝え」と言われるだけじゃ無い。寧ろそれに関しては上条自身も自分から手伝うつもりだった。
これはもっと別の不幸やハプニングの匂いだ。上条にとって理不尽かつ決定的な物が降りかかってくる前兆だ。
「そ、その………………つまりですね………………」
「……学園都市ってのと、敵の持ってるであろう原点とまだ分からない目的などの理由で訳なしじゃ色々行動が出来ないんですよ」
「ま…………そんな訳で………………」
「……学園都市ってのと、敵の持ってるであろう原点とまだ分からない目的などの理由で訳なしじゃ色々行動が出来ないんですよ」
「ま…………そんな訳で………………」
続いたアニェーゼの言葉を聞き、上条は例の絶叫をあげたのだ。
「私達3人を1週間ほどここに泊めやがれってんです」
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