とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

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匿名ユーザー

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 上条当麻はゲームセンターの前に立っていた。
 店の周辺は放課後らしく学生達で賑わっている。その中に混じっておそらくパトロール中であろう見知った顔の腕章を付けた風紀委員を見つけて思わずうげ、と声を上げる。
 その声に反応したツインテールの風紀委員はこちらに向かってくる。
「あら、どこかで見た顔だと思えばお姉様にまとわりつくダニ虫ですの。」
「誰がまとわりついた誰が!あれは御坂の方が俺に突っかかってくるんだっての!」
「お、お姉様から迫られてるとでも言いたいんですのこの類人猿が!」
「誤解のある言い方すんなぁぁぁぁぁぁ!」
 だからこいつは嫌なのだ。このお姉様大好き少女、白井黒子はこれまでは御坂美琴といるときに限って姿を現しそのたびドロップキックを放ち、今ではもう先の通り「お姉様にたかる害虫」と見なされたらしく敵対の目を向けられている。
 以前御坂が学校での周りから自分への接し方に閉口しているとチラッと聞いたがその原因はほぼこいつではないのだろうか。
「ま、まぁいいですの。それよりあなた1人でここへ?」
 と、白井は視線を横のゲームセンターに向けてへっと嘲笑を浮かべる。その顔には、他にやることないのかとか一緒に来てくれる友達はいなかったのかとかいう嘲りが言葉なしで伝わってきた。
「知り合いを迎えに来ただけだよ。」
「ふーん、そうですの・・・。まぁできるだけ早く帰ってくださいませ。どうもあなたはトラブルに巻き込まれやすい質のようですから。」
 うっとどもる上条。おそらく彼女の知っている件の何倍ものトラブルを経験している以上否定はできない。もっとも、なかには少なからず自分からトラブルに飛び込んでいるものもあるのだが。
 ではこれで、と白井は上品なしぐさで踵を返す。その背中を見送りながら上条は深いため息をつく。そういや今日多いなため息などと思いながら、白井の忠告があったからではないが今日はできるだけ早く帰ろうと考えていた。


「はぁ・・・」
 ため息はゲームセンターの中からも発されていた。その主は黒スーツの少女、リア・ノールズ。原因は彼女の前で騒いでいる学生とシスターである。
「お菓子!お菓子が凄い大きくなってるんだよ!」
「くっそ今絶対コマンド入っただろくそもう一回っ」
 見方によっては久しぶりの外出にはしゃぐ子供とその母親に見えなくもない。もっとも、学生服と修道服とスーツの組み合わせではその表現にたどり着くのは限りなく難しいと思えるが。
 室内には、ゲームセンター独特のいくつもの音が重なって響いている。あまり騒がしいところを好まないリアはおそらく聞いていないであろうディスプレイの前でボタンをたたく少年に断って外へと出る(ちなみに返ってきたのはおーという生返事とディスプレイから聞こえるキャラが叫んだ技名だった)。
 横の路地裏近くに自動販売機を見つけたリアは、硬貨を入れて小さなサイズの缶コーヒーのボタンを押す。ガコンッという音を聞きながらふと横をみると小奇麗なベンチを見つけたため、とりあえずそこに座ることにした。
 しかし、あのシスターは何者なのだろうか。あの無邪気さや雰囲気、おまけに自分の分では飽き足らずリアの分までも一瞬で平らげる食欲、まず彼女の知っているシスター像に当てはまる要素はない。どうも話を聞くと保護者のような人がいるようで、今こっちに向かっているようだ。
「よお、ねーちゃん。ひとりかよ?」 
「何よそのスーツ、コスプレかぁ?」
 そして、少女の思考は無粋な声に中断された。顔を上げるといかにもチンピラといった風貌の男が3人自分の前に立っている。一瞬なにを言われているか理解できなかったが、ああもしかしてこれがナンパ?というやつかという考えにたどり着くまでに時間はそうかからなかった。その間にも目の前の男達はベンチの周りを囲んでこちらを威圧してくる。一応この男達3人を適当に撒けるぐらいの護身術の覚えはあるが、ゲームセンターのおっきい子供達をおいておくのも気が引ける。さて、どうしようかと考えていているとさらに彼女の幼馴染と同じ制服を着たツンツン頭の少年が少女と不良の間に割って入った。
「あ?なんだてめぇ。」
「ったく、大の男が寄ってたかって女の子に何しようとしてんだ。悪いこと言わねぇからやめとけって。」
「なに正義の味方きどってんだお前。許してやっから光速で消えろこのボケ。」
 いつのまにか絡まれていた少女をおいて、不良とツンツン頭の少年の言い争いになっている。見た感じ助けに入ってくれた少年はなんとか言葉で相手を受け流そうとしているように見える。もしかしたらあまり腕には自信がないのにもかかわらず、助けに入ってくれたのかもしれない。とはいえ、不良が彼に気をとられている今なら不意打ちで3人叩きのめすことは可能だ。
 その考えを実行しようと動こうとした瞬間、ツンツン頭の少年の後ろから不良たちの1人がその頭めがけて角材を振り上げた。
「あぶないっ!」


 少女は思わず声を上げ、慌てて少年を突き飛ばした。飛びついたために二人はもつれたままアスファルトに転がる。その一瞬後、さっきまで彼のいた場所に角材が空を切った。
 すぐに少女は顔を上げると、一気にかかってくるほかの不良が視界に入る。彼女も少年もバランスを崩したまますぐには体勢を直せない。2,3発もらうことを覚悟したとき、バリバリッという鋭い音と共に辺り一帯にやたら白っぽい電流が走り、不良たちは前のめりに倒れた。
「・・・何やってんだお前。」
 倒れた不良のその後ろにほんの2時間ほど前と同じような台詞と共に右手を前にかざしてため息でもつきそうな表情の篠原が姿を現す。彼はその視線を少しずらしてそのまま右手から電流を飛ばす。その先にいた角材を持った男は一瞬体をビクッと震わし、そのままうめき声を上げ他の不良たちと同様にアスファルトに転がった。
「電撃使い・・・?」 
 リアが横を見ると、ツンツン頭の少年が篠原の方を呆けたような顔で見つめていた。そしてその顔は徐々に青ざめていく。
「やばいな・・・おいあんた立てるか、逃げるぞ!」
 彼は慌てて立ち上がるとこちらに手を伸ばす。それに答えたのはきょとんとしたままの少女ではなく向かいに立っているもう1人の少年の方だった。
「おい、何言ってんだお前。とりあえずここは俺に礼を言うなりそこの自販機で奢るなり他にやることがあるだろーが。なんで絡んでくるやつもいなくなったのにわざわざここから逃げんだよ?」
 さっきまで立っていた不良と余り変わらないような物言いもさりげなく混じってはいるが、まあおおよその正論を篠原が言う。これについて少女は自分も同感だと思ったがそれに大して返ってきたのは慌てたままの少年の声だ。
「その絡んでくるやつがすぐにここに来るんだよ!」
 それも質の悪いのが!と実はだいぶ個人的な主張をしたあと、とりあえず急げと手を振って促す。正直、何がなんだかわからないままその少年の勢いに流されてその場を離れようとすると、ゲームセンターからとぼとぼと純白シスターが姿を現した。
「あれー、二人ともどこいったのかなー。あ、とうまだー。おーいとう」
 とうまと呼ばれたその少年は足を緩めずインデックスに端から見ればまるで腹にラリアットでも喰らわすかのように手を引っ掛けて走っていく。彼らがその場から完全に姿を消すまでにそう時間は掛からなかった。


「ジャッジメントですの!無駄な抵抗はやめておとなしく・・・?」
 騒ぎからものの1分もしないうちにゲームセンターの前には風紀委員の少女の声が響く。
 しかしこの風紀委員の少女、白井黒子が見たものは絶えず帯電し続けている景色とアスファルトに転がっているチンピラ風の男達であった。


第7学区某ファミリーレストランのチェーン店。
 騒ぎの後、お腹を鳴らしたインデックスの視線に耐えかねた上条たちはここにいた。
「で、なんで逃げてきたんだよ。」
 最初に声を上げたのは茶髪がかった少年、篠原だ。
「近くに風紀委員がいたんだよ。絡まれただけならまだしも、それに能力で反撃してしかも全員気絶となればただの被害者って話じゃすまないからな。」
 特に今日みたいな日にあいつともう一度顔を合わすのは避けたい、と覇気のない顔をして上条はブツブツとつぶやく。
「風紀委員?」
 きょとんとした顔で上条の対面の二人が聞き返した。また、インデックスは隣でメニューに夢中である。
「いや、風紀委員ぐらい知ってんだろ?学園都市の人間なら。」
「私達、3日前にこの街に来たばかりなんです。」
 余計なことを言うなと言いたいような顔をした篠原に上条は気付かない。よく考えれば外部の人間が3人の男を軽くいなすほどの能力を持っていること自体おかしいのだがそれにも彼が気付く様子はない。
「へぇ、そーなのか。そーいやお前たしかうちの転校生の・・・?」
「篠原だ、篠原圭。やっぱお前学校一緒なのか。」
「ああ、俺は上条当麻。学年も一緒だ。クラスは隣。で、そっちのあんたは?」
「私はリア・ノールズといいます。先ほどは助けに入ってくださってありがとうございます。」
「いや、俺は何もしてないけどな。で、風紀委員ってのは学生の自警団みたいなもんだよ。」
 そんな感じでかいつまんで上条は話していく。その話を聞きながら篠原は日ごろ口うるさい初老の男を思い出す。
(要は騒ぎの中心になる前にこいつに助けられたってとこか。揉め事起こしてと『儀式』に支障きたすのもだりーし、なにより絶対サイモンがうるせーからな。)
 彼がサイモンと呼ぶ初老の眼鏡男性は怒鳴ったりすることはない。ただねちねちひたすら説教を繰り返す。あの面倒臭い時間は正直何度体験しても閉口するばかりだ。
 そんなことを一通り考えた篠原は上条の方を見る。
「まぁ話を聞いた感じ、助けられたみたいだな。礼といっちゃなんだが、ここの払いは俺がもってやんよ。」
 思わぬ幸福な提案に逆に上条は身をすくめる。
「い、いーって。俺は何もしてないししかも最後助けたのはお前じゃねーか。」
「ふーん、まいーけど。でもいいのかそれ。」
 ん、と篠原が指差したその先を上条は見た。そこには店員に向かってメニューを指差し、なにやら話しかけているインデックスがいた。おまけにそれとは別の店員達がトレイに料理を載せて続々とやってきていた。
 それを見た上条は一瞬固まった後、さび付いた蛇口をひねるようにギシギシと首を篠原の方に振り向かせる。生気のなくなった顔をして上条はつぶやくように話しかけた。
「あの・・・やっぱりこいつの分半分出してもらってよろしいでしょうか。」


 ファミリーレストランの外の駐車場に、ツンツン頭の少年の声が響いていた。
「おーまーえーはー何勝手に注文してんだよっ!」
「うー、ごめんなひゃいー。」
 頬を上条に平手でつぶされたインデックスはうーうー言いながら謝っている。とりあえず彼女の頬から両手を離すと、そのままシスターは会話を続ける。
「だってお腹空いてたんだよ。だいいち、ちょっとここの料理は量が少ないと思うな。」
「ファミレスってのはそういうもんです!わかったんならほら回れ右っ!」
 そう言って少年はシスターの肩を持つとぐるんと回転させた。回されたシスターの視線の先には茶髪がかった少年と黒スーツの少女がいる。
「ありがとう。とても美味しかったんだよ。」
「気にしないで。なんだかんだで私も楽しかったし。」
「おい、なんでお前がまるで全部奢ったみたいに言ってんだよ。たこ焼きもここも出したのは俺だろーが。」
 そうして軽い言い争いが始まる。少ししか見ていないが、この二人はいつもこんな感じのようだ。なんだかんだで仲がいいのだろうと上条は思う。
「そーいやお前サイモンに電話しといたのか?」
「あぁっ!?やばい、忘れてたぁ!」
 慌てたリアは、懐から携帯を取り出して電話をかけ始める。それを横目で見たあと篠原は上条たちのほうに向いて話しかける。
「じゃー俺らはここらで帰るわ。」
「ん、そっか。ほんとありがとな、じゃーまた学校で。」
 片手を上げて踵を返す上条とそれにひょこひょことついていくインデックス。それを見送って篠原は携帯ごしに頭を下げるリアをおいて一人歩き始めた。
(あっちが幻想殺しか、まさか一気に両方に出くわすとはなぁ。まぁやつは『管理人』って話だし、二人揃うのは珍しくないか。しかしあいつら、サイモンがいうような脅威には見えねぇが・・・)
 後ろからは話を終えたスーツの少女が何か叫びながらついてくる。帰ればやはりサイモンの説教が待っているのだろうが、それはこの少女にまかせておけばいい。



「まったく、お姉様ったら少しは自粛していただきたいものですわ。」
「は?何の話よ黒子。」
 常盤台中学学生寮二〇八号室。
 帰ってくるなり訳のわからないことをルームメイトの後輩に言われて御坂美琴は顔をきょとんとさせる。
「今日も街のチンピラ相手に電撃ぶっ放しましたでしょ?いつも申しておりますがお姉さまはあくまで一般人ですの。だから今日みたいな行動はいいかげん」
「ちょっと待ちなさいよ。どれのこと言ってんのか知らないけど私じゃないわよ。」
 そう、彼女のはずがなかった。この日御坂は放課後、こっそりおまけのゲコ太目当てに某チェーン店のハンバーガーショップでセットを頼んだ後、少女趣味丸出しの(小学生の視点からみた場合の)可愛らしい服を見にショッピングモールに立ち寄っていた。さいわい今日は自分や他の誰かに絡んでくるバカを見なかったため、非常に有意義な一日を過ごせたのである。
「では今日お姉様は一体何をしていらしたので?」
 白井にぐっと迫られ、おもわず御坂は顔を少し赤らめる。
「別にいーでしょ、私が何してよーが。」
 それはゲコ太目当てで1人こっそり出歩いたことに対する気恥ずかしさからでたものであったが、白井はその反応から別の答えを導き出す。
「ま、まさかまたあの殿方と密会をっ!?許さんあの類人猿がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「なんでそーなんのよっ!?だ、大体あたしとあいつは別にそういう関係じゃ・・・」
「わたくし、殿方と言っただけで誰とは言ってませんの。やはりお姉様はあの上条とかいう猿の事が・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「あ、あんたねー!」
 部屋の中には黒いオーラを出しながらだめな方向にハイになるツインテールの少女と顔を赤くしながら実はまんざらでもないような表情をするショートカットの少女が二人。
 しばらくこの状況は続いたが、一人で息を上げていた白井が落ち着くように深呼吸を始めた。
「まぁ冗談はこのくらいにしておきまして・・・お姉様にレベル5の超電磁砲として聞きたいことがございますの。」
 一体どこからどこまでが冗談なんだというツッコミを入れたいところではあるがそんな隙すら与えずに白井は大型雑誌ぐらいの大きさの袋を取り出す。その中にはすっぽり収まった金属片が入っており、その表面にはバチバチッと音を立てながら白い光が走っていた。
「なによそれ?」
「さっき言いました不良連中が倒れていた現場にあった金属片の一部ですわ。見ての通り、帯電していてどうもこの状態から直る様子がありませんの。よく見るとお姉さまの発する電流より若干白っぽくも見られますし・・・。」
「ふーん、それでこの力の正体を私に見てほしいって訳ね。」
「そういうことですの。」
 御坂はその袋を白井から受け取ると無造作に中から金属片を引っ張り出した。


「お姉様!そんな無用心に」
「大丈夫だって、私を誰だと思ってんの。電気に関しちゃ痛っ!」
 余裕のある顔を一瞬で苦痛にゆがめる。
 みると指先にはさっきまで金属片に流れていた白い電流が御坂の指にまとわりついていた。
「お姉様っ!?」
(わたしが電流で痛みを感じてる・・・?)
 御坂は自分の手に移った白い電流を見据える。
 しばらくその状態を続けた後、後ろで心配そうに見ている白井を尻目にその白い電流を打ち消すように青白い電流を自分の手に流した。
「だ、大丈夫ですのお姉様!」
「ふぅ、大丈夫よちょっとびっくりしただけ。」
 駆け寄ってきた後輩を安心させるためにすこし微笑んだ後、視線を金属片に戻す。
「で、黒子。これなんだけど、まず電流じゃないわ。」
「!どういうことですのっ?」
「電流ってのは電子の流れのことってのは知ってるわよね。これは性質自体は電子によく似てるわ。でも似てるってだけでまったく別モノよ。おそらく何かを操ることで電流みたいに制御しているってとこね。」
「その何かっていうのは?」
「わからないわ。でもひとつ言えることはこれを使った能力者は私と同じ電撃使いって訳じゃなさそうよ。」
 そこまで言いきったあと、御坂は違和感を覚える。そもそも電子というのは原子よりも圧倒的に小さいものであり、物質ですらない。それによく似たものがたしかに存在し、なおかつ超電磁砲と呼ばれている自分がその正体をつかめない。科学では説明できない、あるいはこの世に存在しないとでもいうのだろうか。
 まるでオカルトね、と適当に考えをまとめた御坂はふと目の前でプルプルしている白井に気付く。もしかしたらこの電流によく似た何かの影響か、と一つの懸念が浮かんだ瞬間、
「お姉様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 抱きついてきた。そのまま御坂を押し倒し胸の辺りに顔を埋めてぐりぐりと動かす。
「さっすがわたくしのお姉様!こんなにすぐにここまで答えを出していただけるなんて。お礼といっては何ですが、今日はたっぷりご奉仕させていただきますわ!ささ、まずはお背中お流しいたしますので、一緒にお風呂に・・・」
「前も言った気がするけどそれはあんたの願望でしょうがっ!」
 バリバリッと電流まがいではない電流が白井に向かって飛ばされるがそれでもなお彼女の恍惚とした表情は崩れない(むしろ若干増している)。
 ほぼいつもどおり常盤台学生寮二〇八号室の夜は更けていく。


 学園都市第7学区のとあるホテルの一室。
 中には黒スーツの集団がいた。
「サイモン様。」
 その中の1人の黒スーツは、手の中の携帯を閉じると集団の中心で腰掛ける眼鏡をかけた初老の男性の名を呼んだ。サイモンと呼ばれた同じく黒スーツを纏ったその男は眼鏡越しにじろっと話しかけられた方を見る。
「圭様は今までリアと一緒にいたようです、なんでも寄り道していたとか。これから帰るとのコトです。」
「ふん、迎えもろくにできんか。まぁいい。やつが現時点で何を使用が計画には支障はない故。」
 その男はすくっと立ち上がり脇の机の上にあるどこかの見取り図のようなものを手に取る。
「現地の状況は?」
「そちらの資料の印の部分が警備の配置図になります。これに出くわさないようにするには厳しいですが、彼らはあくまで能力を持たないただの警備員。遭遇しても撃破するのにさほどタイムロスはありません。」
「逃走ルートは?」
「問題ありません。乗り捨てれる車を3台リレー式に用意しました。能力者の追跡防止のための策も2,3用意してあります。」
「よろしい。」
 サイモンはいすに立てかけてあった剣のようなものを杖のように持つと一度カッと床に打つ。それに答えるかのように周りの黒スーツの集団は自分達の手首のリングに手を当てる。
「これから我らは下準備に入る。まずは『材料』の調達だ。」


 この夜、最近テレビで取り上げられたばかりの研究施設に爆破事件が起こった。

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