行間 一
『………ザピッ………ジ……ザザ………』
『……本部より各部署へ通達。……マルキュウヨンハチに状況D-7発生。レベルF-4。ディフェンスパターンをC-3に
シフト。ルートはG-27を使用。なお………』
シフト。ルートはG-27を使用。なお………』
『………ザザッ………ブッ――――――』
「ふむ、そこそこは動くようだな……」
呟いた人影は、顎に手を当ててしばし考えた後に踵を返すと静かに歩き去っていく。
呟いた人影は、顎に手を当ててしばし考えた後に踵を返すと静かに歩き去っていく。
◇ ◇
『………ブルルッ………ブルルッ………ブルルッ……』
祭り開催のアナウンスが流れ、本格的に人が動き始めた会場から外に向かって歩いていた人物は、
ポケットに入れていた携帯が受信した事を知ると直ぐに取り出し素早く操作、そこに出された表示をざっ
と流し見ると、チッ、と舌打ちをしながら携帯をポケットに戻す。
そして、今まで歩いていた方向とは逆の方向へと歩き出す。
肩に掛けたスポーツバッグのベルトを担ぎ直し、若干足を速める。だが、決してそうと分かるようにあか
らさまに急いだりはしない。そんなことをすれば周囲に何かあったと知らせてしまう事になるからだ。
その表情も特に変わったりはしない。ただし、その目は鋭さを増している。
歩きながら、先程読んだメールの内容を反芻、吟味する。
ポケットに入れていた携帯が受信した事を知ると直ぐに取り出し素早く操作、そこに出された表示をざっ
と流し見ると、チッ、と舌打ちをしながら携帯をポケットに戻す。
そして、今まで歩いていた方向とは逆の方向へと歩き出す。
肩に掛けたスポーツバッグのベルトを担ぎ直し、若干足を速める。だが、決してそうと分かるようにあか
らさまに急いだりはしない。そんなことをすれば周囲に何かあったと知らせてしまう事になるからだ。
その表情も特に変わったりはしない。ただし、その目は鋭さを増している。
歩きながら、先程読んだメールの内容を反芻、吟味する。
(開始30分も待たずに動いてくるなんてやってくれるじゃんよ……。うーんと、6学区と17学区は向こうに
任せるとして問題は11学区、だよなぁ……。目立たない様にしてるようだけどラインを動かしてるって事
はかなりの状況だって事だろうし、18学区のも気になるけどどのみち今からじゃ間に合わないんじゃん。
やっぱこっちか……。となると一番早い移動方法は……)
任せるとして問題は11学区、だよなぁ……。目立たない様にしてるようだけどラインを動かしてるって事
はかなりの状況だって事だろうし、18学区のも気になるけどどのみち今からじゃ間に合わないんじゃん。
やっぱこっちか……。となると一番早い移動方法は……)
すれ違う人の多くは展示されている物に目を向けたり、仲間内で話し合っているためにあまり注目され
ていない。
そんな中、一人の学生はギョッ、とした様子で慌てて道を譲るとそそくさと離れていく。
それを視界に入れながら先を急いで行く。
ていない。
そんな中、一人の学生はギョッ、とした様子で慌てて道を譲るとそそくさと離れていく。
それを視界に入れながら先を急いで行く。
◇ ◇
その人物を見ていた学生は後姿を見ながら、肩の力を抜いて息を吐く。
(あーびびったー。いきなりこっちに来るんだもんなー。何か睨んでるみたいだったから思わず逃げた
けど、どうも俺のことじゃなかったみたいだな……。なんだったんだろ?)
けど、どうも俺のことじゃなかったみたいだな……。なんだったんだろ?)
などと思っていると、
「おーい、今度はあれ見に行こうぜぃ」
と声を掛けられたので、おう、と返事をしながらそちらに歩いていく。
◇ ◇
祭りが始まって直後の一時。今日という長い日が終わるまでには、まだまだ多くの出来事が起ころうとしている。