香焼の学園都市トラベル
仏教で使われる道具に五鈷(ごこ)と独鈷(とっこ)というものがあるのを知っているだろうか?
この道具は人の煩悩を打ち砕く仏の智慧を象徴するものといわれている。
この道具は人の煩悩を打ち砕く仏の智慧を象徴するものといわれている。
その五鈷と独鈷がひょんなことから、天草式十字凄教の魔術師少年・香焼の元へたどり着く。
香焼と五鈷・独鈷が交わる時、物語は始まる―
香焼と五鈷・独鈷が交わる時、物語は始まる―
第1章 天草の幼き魔術師 kouyagi_travel_to_gakuentoshi
1
天草式が本拠地を置く、ロンドンの日本人街。
ここは天草式がイギリス清教の傘下に入って以来、住みかとなり又治安維持も努めている。
そんな天草式に所属する少年・香焼はとある事情で、元教皇代理・建宮の部屋へ来ていた。
「で、何の用なのよな?」
部屋のなかにあるちゃぶ台の向かいから建宮が香焼に問いかける。
「教皇代理!」
香焼は勢いよく建宮へ詰める
「もうその呼び方はやめるのよな。」
そんな建宮の言葉を無視して続ける。
「俺を今度の、学園都市への遠征メンバーに入れてください!」
そう言って、香焼は机をバンッ!と叩く
建宮は五和の注いでくれたお茶をひとすすりし、
「ダーメ。」
速攻で、香焼の願いを却下した。
「というか、なんでお前が遠征の話を知ってるのよな?アレはイギリス清教の重役しか知らないはずなのよな。」
実は、今度天草式の数人がこの間起きた戦争の事後処理の為に、学園都市へ向かうことになっていた。
だがこのことは、イギリス清教の重役連中しか知らないはずなのだ。何しろ、戦後まもないこの時期に魔術師が学園都市に
踏み込むと多くの人に知られると、あまりかんばしくない状況になると思われたからだ。
ここは天草式がイギリス清教の傘下に入って以来、住みかとなり又治安維持も努めている。
そんな天草式に所属する少年・香焼はとある事情で、元教皇代理・建宮の部屋へ来ていた。
「で、何の用なのよな?」
部屋のなかにあるちゃぶ台の向かいから建宮が香焼に問いかける。
「教皇代理!」
香焼は勢いよく建宮へ詰める
「もうその呼び方はやめるのよな。」
そんな建宮の言葉を無視して続ける。
「俺を今度の、学園都市への遠征メンバーに入れてください!」
そう言って、香焼は机をバンッ!と叩く
建宮は五和の注いでくれたお茶をひとすすりし、
「ダーメ。」
速攻で、香焼の願いを却下した。
「というか、なんでお前が遠征の話を知ってるのよな?アレはイギリス清教の重役しか知らないはずなのよな。」
実は、今度天草式の数人がこの間起きた戦争の事後処理の為に、学園都市へ向かうことになっていた。
だがこのことは、イギリス清教の重役連中しか知らないはずなのだ。何しろ、戦後まもないこの時期に魔術師が学園都市に
踏み込むと多くの人に知られると、あまりかんばしくない状況になると思われたからだ。
「いや、だって最近ずっと五和が舞い上がってて、あれに気づかないほうがおかしいすよ。」
しかし、遠征メンバーに選ばれた五和が愛しの上条当麻に会えるということで、かなり舞い上がっており、
何があるかは天草式に筒抜けも同然だった。
毎日鼻歌を歌いながらカレンダーに×をつけていたり、ロンドンのブティックショップを練り歩いたり、
恋愛小説や恋愛マニュアル本を読み込んだり、どこか上の空で得意の料理に失敗したりと、天草式全員が気づくほどの気の舞い上がりようだったのだ。
(五和…、恋は盲目ってやつなのよな…)
建宮は心の中で溜息をつくと、
「大体、お前は学校があるのよ、学園都市なんて行く暇あるなら学校行ってあのフロリスとか言う奴といちゃいちゃしてるのよな。」
と、とりあえず正論を言ってみる。
香焼はまだ一応、子供なので現地の学校へ通っているのだ。
「学校なんて、サボればいいじゃないすか!つか、なんでフロリス!?」
香焼は息を荒げながら反論する。
「いやいや、あの娘、最近良くここら辺で会うのよな。で、会うたびに「あのぅ、香焼くんはいますか?」とか恥じらいながら聞いてくる
のよな。香焼、あの娘絶対お前に気があるのよな。」
建宮はニヤニヤしながら答える。
「嘘だぁ!だってアイツ常に俺にツンツンしてるんすよ!?せっかく戦争のとき助けてやったのに。」
実は香焼、あの戦争時に身のより所の無くなったフロリスを庇い騎士達と戦ったりして、立派なフラグを立ててしまったのだ。
その後、フロリスはたっての願いで香焼と同じ学校に通うこととなっている。
「香焼。それはツンデレって奴なのよな。好きな人に辛く当たっちゃうっていう…」
「教皇代理。そんな都市伝説みたいなこと信じてるんすか?だから、いつまでたっても結婚できないんすよ…」
そう言って香焼が溜息をつくと、建宮の方からビキリという不穏な音がした。
「香焼ーッ!それ以上言うとフランベルジェで切り裂いてやるのよなーッ!!!」
建宮は壁に立てかけてあったフランベルジェを手に取り、振り下ろす。
結婚適齢期を越えても未だにまともな恋愛をしたことのない建宮には、結婚の二文字は禁句らしい。
「おわわわ!教皇代理!落ち着いて!落ち着いて!」
その一振りを間一髪でよけた香焼は建宮へ向かって叫ぶ。
だが、建宮の怒りは収まらず二振り目の為に、フランベルジェを振りかぶる。
「なにが結婚なのよ!俺にはディスプレイの中に嫁がいるからいいのよな!」
建宮は最近、日本発のオタク文化に凝っており、それで心を癒しているらしい。
まともな恋愛をしたことが無いのに、ツンデレだの恋愛の知識に詳しいのはそのオタク文化の一つ、ギャルゲーにあるということだ。
「のわッ!」
香焼は慌てて飛びのきフランベルジェを避けようとする。
だがフランベルジェは振り下ろされなかった。
何故なら台所にいた五和が騒ぎを聞きつけ、茶の間の障子をスパーン!と開け、
何故か手に持っていた一升瓶で建宮の頭をぶったたいたのだ。五和の本気の一発を食らった建宮は伸びてしまっている。
どうやら、五和は上条と会う緊張を紛らわす為に昼間から酒を飲んでいたらしく
「しんみりと1人酒を楽しんでたのに、うるさいですよ?建宮さん♪」
そして、完全に酔っ払っている五和は気を失った建宮をズルズルと引っ張っていた。
「た、助かった…」
とりあえず香焼は一難を逃れた。
(どうしよう、遠征の件は女教皇か最大主教に頼むかな…)
建宮はのびてしまってどうしようもないので、とりあえず女教皇・神裂火織のいる女子寮へ向かうために香焼は教皇代理の家を出た。
しかし、遠征メンバーに選ばれた五和が愛しの上条当麻に会えるということで、かなり舞い上がっており、
何があるかは天草式に筒抜けも同然だった。
毎日鼻歌を歌いながらカレンダーに×をつけていたり、ロンドンのブティックショップを練り歩いたり、
恋愛小説や恋愛マニュアル本を読み込んだり、どこか上の空で得意の料理に失敗したりと、天草式全員が気づくほどの気の舞い上がりようだったのだ。
(五和…、恋は盲目ってやつなのよな…)
建宮は心の中で溜息をつくと、
「大体、お前は学校があるのよ、学園都市なんて行く暇あるなら学校行ってあのフロリスとか言う奴といちゃいちゃしてるのよな。」
と、とりあえず正論を言ってみる。
香焼はまだ一応、子供なので現地の学校へ通っているのだ。
「学校なんて、サボればいいじゃないすか!つか、なんでフロリス!?」
香焼は息を荒げながら反論する。
「いやいや、あの娘、最近良くここら辺で会うのよな。で、会うたびに「あのぅ、香焼くんはいますか?」とか恥じらいながら聞いてくる
のよな。香焼、あの娘絶対お前に気があるのよな。」
建宮はニヤニヤしながら答える。
「嘘だぁ!だってアイツ常に俺にツンツンしてるんすよ!?せっかく戦争のとき助けてやったのに。」
実は香焼、あの戦争時に身のより所の無くなったフロリスを庇い騎士達と戦ったりして、立派なフラグを立ててしまったのだ。
その後、フロリスはたっての願いで香焼と同じ学校に通うこととなっている。
「香焼。それはツンデレって奴なのよな。好きな人に辛く当たっちゃうっていう…」
「教皇代理。そんな都市伝説みたいなこと信じてるんすか?だから、いつまでたっても結婚できないんすよ…」
そう言って香焼が溜息をつくと、建宮の方からビキリという不穏な音がした。
「香焼ーッ!それ以上言うとフランベルジェで切り裂いてやるのよなーッ!!!」
建宮は壁に立てかけてあったフランベルジェを手に取り、振り下ろす。
結婚適齢期を越えても未だにまともな恋愛をしたことのない建宮には、結婚の二文字は禁句らしい。
「おわわわ!教皇代理!落ち着いて!落ち着いて!」
その一振りを間一髪でよけた香焼は建宮へ向かって叫ぶ。
だが、建宮の怒りは収まらず二振り目の為に、フランベルジェを振りかぶる。
「なにが結婚なのよ!俺にはディスプレイの中に嫁がいるからいいのよな!」
建宮は最近、日本発のオタク文化に凝っており、それで心を癒しているらしい。
まともな恋愛をしたことが無いのに、ツンデレだの恋愛の知識に詳しいのはそのオタク文化の一つ、ギャルゲーにあるということだ。
「のわッ!」
香焼は慌てて飛びのきフランベルジェを避けようとする。
だがフランベルジェは振り下ろされなかった。
何故なら台所にいた五和が騒ぎを聞きつけ、茶の間の障子をスパーン!と開け、
何故か手に持っていた一升瓶で建宮の頭をぶったたいたのだ。五和の本気の一発を食らった建宮は伸びてしまっている。
どうやら、五和は上条と会う緊張を紛らわす為に昼間から酒を飲んでいたらしく
「しんみりと1人酒を楽しんでたのに、うるさいですよ?建宮さん♪」
そして、完全に酔っ払っている五和は気を失った建宮をズルズルと引っ張っていた。
「た、助かった…」
とりあえず香焼は一難を逃れた。
(どうしよう、遠征の件は女教皇か最大主教に頼むかな…)
建宮はのびてしまってどうしようもないので、とりあえず女教皇・神裂火織のいる女子寮へ向かうために香焼は教皇代理の家を出た。
2
香焼は日本人街を出て、必要悪の教会の女子寮へ向かうためロンドンの街を歩いていた。
今は丁度昼時で、街は活気にあふれている。
香焼がトボトボと歩いていると、
「あれ?香焼?アンタなにやってんの!?」
後ろから聞きなれた声がした。
声のしたほうを振り向くと、そこには学校の制服姿のフロリスがいた。
最近、イギリスの女子学生の間では日本の女子高生の格好を真似るのが流行っているらしく、
フロリスもその例外ではないのか、黒いニーソにかなり短くなっているスカート、上はブラウスとカーディガンを着用している。
いかにも、日本の女子高生らしい格好だ。
香焼はフロリスのユニフォーム姿に見慣れていた為か、制服効果により普段よりカワイク見えてしまう。
「どうしたの?ボーッとして?」
思わずフロリスに見とれていた香焼はハッと我に返る。
「いや、なんでもないすよ!つか今日休日なのになんで制服なんすか!?」
「いや、ちょっと学校に用事があって…それにユニフォーム姿は目立つし…、何?似合ってないって言いたいの?」
フロリスは自信の勝手な勘違いで、少し機嫌を悪くする。
「いや、似合ってるっすよ…、カ、カワイイと思うすよ。」
「か、カワイイ!?ななな、何恥ずかしいこと言ってんの!バッカじゃないの!?」
顔を真っ赤にしてフロリスが言い返してくる。
「いや、褒めただけなのにバカ呼ばわりって…。つか用が無いんなら俺いくっすよ?」
どうにもフロリスのテンションについていけない香焼は先を急ごうとする
「用ならある!コレ拾ったから、アンタにあげようとおもったの!」
そう言ってフロリスは何かを握った手を突き出す。
「なんだコレ?」
「分かんないけど、さっきバッキンガム宮殿に行ってきてさ、何か大掃除したら色々出てきたからコレもらったの。
よく知らないけど、特殊な霊装らしいよ?」
今は丁度昼時で、街は活気にあふれている。
香焼がトボトボと歩いていると、
「あれ?香焼?アンタなにやってんの!?」
後ろから聞きなれた声がした。
声のしたほうを振り向くと、そこには学校の制服姿のフロリスがいた。
最近、イギリスの女子学生の間では日本の女子高生の格好を真似るのが流行っているらしく、
フロリスもその例外ではないのか、黒いニーソにかなり短くなっているスカート、上はブラウスとカーディガンを着用している。
いかにも、日本の女子高生らしい格好だ。
香焼はフロリスのユニフォーム姿に見慣れていた為か、制服効果により普段よりカワイク見えてしまう。
「どうしたの?ボーッとして?」
思わずフロリスに見とれていた香焼はハッと我に返る。
「いや、なんでもないすよ!つか今日休日なのになんで制服なんすか!?」
「いや、ちょっと学校に用事があって…それにユニフォーム姿は目立つし…、何?似合ってないって言いたいの?」
フロリスは自信の勝手な勘違いで、少し機嫌を悪くする。
「いや、似合ってるっすよ…、カ、カワイイと思うすよ。」
「か、カワイイ!?ななな、何恥ずかしいこと言ってんの!バッカじゃないの!?」
顔を真っ赤にしてフロリスが言い返してくる。
「いや、褒めただけなのにバカ呼ばわりって…。つか用が無いんなら俺いくっすよ?」
どうにもフロリスのテンションについていけない香焼は先を急ごうとする
「用ならある!コレ拾ったから、アンタにあげようとおもったの!」
そう言ってフロリスは何かを握った手を突き出す。
「なんだコレ?」
「分かんないけど、さっきバッキンガム宮殿に行ってきてさ、何か大掃除したら色々出てきたからコレもらったの。
よく知らないけど、特殊な霊装らしいよ?」
そして、フロリスはその何かを香焼に押し付けてくる。そのとき、一瞬だけフロリスの手が香焼と触れ合う。
「ッ!!!!!」
その受け取った”何か”から目を離し香焼が顔を上げフロリスを見ると、タコのように真っ赤になっていた。
「どうしたんすか?フロリス?」
「ななな、何でもないッ!じゃあ、ワタシ帰るからッ!!」
そう言うとフロリスは香焼の目の前からあっという間に消え去ってしまった。
「なんなんだ?アイツ。」
フロリスの行動を不思議に思いながらも、受け取った物をもう一度確認してみる。
それは、二つあり、一つはダンベルのような形状で両端の膨らんだ部分が5個に分かれていて色は金。
もう一つは、ナイフのような形状で色は銀。
手で握れるぐらいの大きさではあるが、その大きさの割には重みがあった。
「これは、確か…仏具だったよなぁ…?」
仏具というのは、仏教で使われる道具のことであり、仏壇なども仏具の一つといわれる。
こう見えても、香焼は天草式の魔術師なので仏教などの法具に関しては詳しいのだ。
「確か…五鈷と独鈷だっけ?魔術的意味は、”煩悩を打ち消す”だったっけ?つかなんでこんな物がバッキンガムに?」
とりあえず、五鈷・独鈷よりも今の香焼にとっては学園都市遠征の問題のほうが優先事項なので、ちゃっちゃと女子寮へ向かうことにした。
「ッ!!!!!」
その受け取った”何か”から目を離し香焼が顔を上げフロリスを見ると、タコのように真っ赤になっていた。
「どうしたんすか?フロリス?」
「ななな、何でもないッ!じゃあ、ワタシ帰るからッ!!」
そう言うとフロリスは香焼の目の前からあっという間に消え去ってしまった。
「なんなんだ?アイツ。」
フロリスの行動を不思議に思いながらも、受け取った物をもう一度確認してみる。
それは、二つあり、一つはダンベルのような形状で両端の膨らんだ部分が5個に分かれていて色は金。
もう一つは、ナイフのような形状で色は銀。
手で握れるぐらいの大きさではあるが、その大きさの割には重みがあった。
「これは、確か…仏具だったよなぁ…?」
仏具というのは、仏教で使われる道具のことであり、仏壇なども仏具の一つといわれる。
こう見えても、香焼は天草式の魔術師なので仏教などの法具に関しては詳しいのだ。
「確か…五鈷と独鈷だっけ?魔術的意味は、”煩悩を打ち消す”だったっけ?つかなんでこんな物がバッキンガムに?」
とりあえず、五鈷・独鈷よりも今の香焼にとっては学園都市遠征の問題のほうが優先事項なので、ちゃっちゃと女子寮へ向かうことにした。
3
神裂火織は悩んでいた。
それは例の学園都市遠征のメンバーについてだ。
(やはり、遠征メンバーに五和を入れるのはやめましょうか…)
彼女が何故こんなことを思っているのか。それは彼女自身が自らの気持ちに気づいた為だ。
ついこの間の戦争で、彼女にとっての大切な人である”禁書目録”こインデックスという少女を再びあの少年に助けられた。
あれ以来彼女は、あの少年のことを考えるだけで夜も眠れなくなるほどだった。
そして、彼女は気づいた。これが”恋”なのだと。
かりにもまだ18歳である、神裂にとってこの想いは重い物だった。
自分があの少年に恋をしていると気づいた以上、同じ対象に同じ想いを抱く少女を対象に近づけたくなくなるのはごくごく自然なことである。
自らの魔法名である「救われぬ者に救いの手を」という言葉を捻じ曲げてしまうほど、神裂にとって、この想いは重要な物だった。
(い、いけませんいけません!このような傲慢な感情をもってしまうなど私もまだまだ未熟ですね…)
いろいろと神裂が悩んでいるところに、他人の声が割り込んでくる。
「神裂さん?来客者ですよ!」
それは、神裂の部屋のドアの外からの声だった。声の主はこの女子寮にすむシスター・ルチア。
「聞いてますか?神裂さん!?」
「は。はい!今行きます!」
一旦思考を中断し、神裂は部屋から出る。
するとそこには、ルチアと並んで天草式の少年魔術師・香焼がいた。
「ち、ちわっす。」
女子寮という空間にやや緊張気味の香焼はどこか動きがぎこちない。
「どうしたんですか香焼?」
「いや、ちょっと女教皇様に頼みたいことがあるんすよ…」
香焼はかなり深刻そうな顔をしている。
並ならぬ空気を感じたのかルチアは「私はこれで…」と言いながら立ち去っていく。
「まあ、立ち話もなんですから部屋に入りなさい、香焼。」
「は、はい!」
神裂火織は悩んでいた。
それは例の学園都市遠征のメンバーについてだ。
(やはり、遠征メンバーに五和を入れるのはやめましょうか…)
彼女が何故こんなことを思っているのか。それは彼女自身が自らの気持ちに気づいた為だ。
ついこの間の戦争で、彼女にとっての大切な人である”禁書目録”こインデックスという少女を再びあの少年に助けられた。
あれ以来彼女は、あの少年のことを考えるだけで夜も眠れなくなるほどだった。
そして、彼女は気づいた。これが”恋”なのだと。
かりにもまだ18歳である、神裂にとってこの想いは重い物だった。
自分があの少年に恋をしていると気づいた以上、同じ対象に同じ想いを抱く少女を対象に近づけたくなくなるのはごくごく自然なことである。
自らの魔法名である「救われぬ者に救いの手を」という言葉を捻じ曲げてしまうほど、神裂にとって、この想いは重要な物だった。
(い、いけませんいけません!このような傲慢な感情をもってしまうなど私もまだまだ未熟ですね…)
いろいろと神裂が悩んでいるところに、他人の声が割り込んでくる。
「神裂さん?来客者ですよ!」
それは、神裂の部屋のドアの外からの声だった。声の主はこの女子寮にすむシスター・ルチア。
「聞いてますか?神裂さん!?」
「は。はい!今行きます!」
一旦思考を中断し、神裂は部屋から出る。
するとそこには、ルチアと並んで天草式の少年魔術師・香焼がいた。
「ち、ちわっす。」
女子寮という空間にやや緊張気味の香焼はどこか動きがぎこちない。
「どうしたんですか香焼?」
「いや、ちょっと女教皇様に頼みたいことがあるんすよ…」
香焼はかなり深刻そうな顔をしている。
並ならぬ空気を感じたのかルチアは「私はこれで…」と言いながら立ち去っていく。
「まあ、立ち話もなんですから部屋に入りなさい、香焼。」
「は、はい!」
こうして二人は部屋へと入っていく。
二人とも腰を落ち着けてから、神裂が口を開く。
「で、相談事とはなんのことですか?」
「あ、あのー女教皇様、俺を今度の学園都市への遠征メンバーに入れてくれないすか?」
香焼はどこか申し訳なさそうに、相談事を話す。
「な、何故あなたがソレをしっているんですか!?あれは重役だけの…」
一方、神裂は驚きを隠せない。何しろ先ほどまで彼女の頭を悩ませていたことが香焼の口から出てきたのだから仕方がない気もするが。
「いや、それはっすねー最近の五和の浮かれ具合を見れば分かるんすよ…」
(五和…やはり侮れませんね…)
神裂は五和への対抗心を心に隠し、香焼との会話を続ける。
「でも、香焼。あなたには学校があるじゃないですか。」
「学校なんてどうでもいいじゃないすか!たった一週間だけっすよ!お願いしますよ、女教皇様!」
そういって、香焼は土下座をする。
「うーん、でも…」
「そこをなんとか!」
「いや、しかし!」
「何でもしますから!」
「うーん…」
「女教皇様!」
「わ、分かりました。考えておきましょう。」
結局、香焼の粘りに神裂は屈する形となる。
「本当すか!?ありがとうございます!女教皇様!頼みますよ!」
わずかな希望がさした香焼は目を輝かせている。
(困りましたね…最大主教になんといえば良いのか…)
「救われぬ者に救いの手を」を魔法名とする神裂はこのような熱心な頼みごとに弱いのだ。
しかし、なぜ香焼はここまでして学園都市に行きたいのだろうか…?
神裂はそこを不思議に思いながら、悩みの種が増えたことに困惑していた。
二人とも腰を落ち着けてから、神裂が口を開く。
「で、相談事とはなんのことですか?」
「あ、あのー女教皇様、俺を今度の学園都市への遠征メンバーに入れてくれないすか?」
香焼はどこか申し訳なさそうに、相談事を話す。
「な、何故あなたがソレをしっているんですか!?あれは重役だけの…」
一方、神裂は驚きを隠せない。何しろ先ほどまで彼女の頭を悩ませていたことが香焼の口から出てきたのだから仕方がない気もするが。
「いや、それはっすねー最近の五和の浮かれ具合を見れば分かるんすよ…」
(五和…やはり侮れませんね…)
神裂は五和への対抗心を心に隠し、香焼との会話を続ける。
「でも、香焼。あなたには学校があるじゃないですか。」
「学校なんてどうでもいいじゃないすか!たった一週間だけっすよ!お願いしますよ、女教皇様!」
そういって、香焼は土下座をする。
「うーん、でも…」
「そこをなんとか!」
「いや、しかし!」
「何でもしますから!」
「うーん…」
「女教皇様!」
「わ、分かりました。考えておきましょう。」
結局、香焼の粘りに神裂は屈する形となる。
「本当すか!?ありがとうございます!女教皇様!頼みますよ!」
わずかな希望がさした香焼は目を輝かせている。
(困りましたね…最大主教になんといえば良いのか…)
「救われぬ者に救いの手を」を魔法名とする神裂はこのような熱心な頼みごとに弱いのだ。
しかし、なぜ香焼はここまでして学園都市に行きたいのだろうか…?
神裂はそこを不思議に思いながら、悩みの種が増えたことに困惑していた。
4
「シスター・アンジェレネ、あなたは何をやっているのですか?」
アンジェレネは背後から突然聞こえてきた声にビクッとしながら、後ろを振り向く。
「シ、シスター・ルチア…あ、あのーこれは…」
「シスター・アンジェレネ、あなたは何をやっているのですか?」
アンジェレネは背後から突然聞こえてきた声にビクッとしながら、後ろを振り向く。
「シ、シスター・ルチア…あ、あのーこれは…」
この二人のシスターが現在いるのは女子寮の厨房。
ルチアは昼飯前なのに何故か厨房のドアが半開きになっているのが見えたので、覗いてみると…
そこには、冷蔵庫(学園都市製)をゴソゴソと漁るアンジェレネの姿が!………
というのが、ことの成り行きである。
「シスター・アンジェレネ、もう一度聞きますが何をやっていたんですか?」
ルチアはそう言ってアンジェレネをキッと睨む。
「あ、あのあれですよ!今日の昼飯の下ごしらえをですね…」
あたふたしながらも、アンジェレネは言い訳を考えるも…
「シスター・アンジェレネ、口の横にチョコがついてますよ。」
「え?ああ、ありがとうございます。いやーチョココロネって食べるときチョコがでてきちゃいますよn…」
そこでアンジェレネは見た、怒りに震えルチアの鬼の形相を…
「シスター・アンジェレネ、私も鬼ではありません。素直に白状したら許してあげますよ…?」
ルチアはなんとか怒りを抑えながら、必死に笑顔を造る。
「え…あぁ…すいません、早食いしました…」
ルチアは昼飯前なのに何故か厨房のドアが半開きになっているのが見えたので、覗いてみると…
そこには、冷蔵庫(学園都市製)をゴソゴソと漁るアンジェレネの姿が!………
というのが、ことの成り行きである。
「シスター・アンジェレネ、もう一度聞きますが何をやっていたんですか?」
ルチアはそう言ってアンジェレネをキッと睨む。
「あ、あのあれですよ!今日の昼飯の下ごしらえをですね…」
あたふたしながらも、アンジェレネは言い訳を考えるも…
「シスター・アンジェレネ、口の横にチョコがついてますよ。」
「え?ああ、ありがとうございます。いやーチョココロネって食べるときチョコがでてきちゃいますよn…」
そこでアンジェレネは見た、怒りに震えルチアの鬼の形相を…
「シスター・アンジェレネ、私も鬼ではありません。素直に白状したら許してあげますよ…?」
ルチアはなんとか怒りを抑えながら、必死に笑顔を造る。
「え…あぁ…すいません、早食いしました…」
アンジェレネがこうして罪を吐いたところで、ルチアの方からジャカッという音がする。
「え…?」
驚いたアンジェレネがルチアの方を見ると、そこには車輪をもち臨戦態勢のルチアがいた。
「シスター・アンジェレネ…あなたは一回ぐらい痛い目を見たほうがいいですね…」
そう言って、ルチアは世にも恐ろしい笑顔を浮かべる。
「ッ…、ギャーーーー!!鬼です!鬼がここにいますー!」
アンジェレネは叫びながら厨房の外へ飛び出す。
「待てェェェェェ!アンジェレネェェェェェ!」
性格が歪むほど怒り狂ったルチアがアンジェレネを追う。
「え…?」
驚いたアンジェレネがルチアの方を見ると、そこには車輪をもち臨戦態勢のルチアがいた。
「シスター・アンジェレネ…あなたは一回ぐらい痛い目を見たほうがいいですね…」
そう言って、ルチアは世にも恐ろしい笑顔を浮かべる。
「ッ…、ギャーーーー!!鬼です!鬼がここにいますー!」
アンジェレネは叫びながら厨房の外へ飛び出す。
「待てェェェェェ!アンジェレネェェェェェ!」
性格が歪むほど怒り狂ったルチアがアンジェレネを追う。
「腹減ったすね…」
いろいろと頑張って腹が減った香焼は神裂の部屋を出た後、女子寮の食堂へと向かっていた。
ロンドンで十本の指に入る旨さだという噂もたつ、オルソラのご飯を食べてみようと思ったのだ。
「なんか、騒がしいっすね…」
なにやらドッタンバッタンと音が食堂のほうから聞こえる。
(まぁ、人数多いっすもんね、この寮は…)
勝手な解釈に自分で納得した香焼が食堂のドアを開けると…
「アンジェレネェェェェェェ!」
「ひー!許してください、許してください!神様ー!」
「普段教えに背く行為をしているような貴方に神のご加護があるわけ無いでしょうがぁぁ!」
「きゃー!」
そこでは、そのツンとした態度と整ったボディで天草の男衆からの人気の高い(「これぞ、イタリア式ツンデレ!」というのが建宮の評価)
ルチアが怒り狂いながら、腹ペコシスター2の異名をとるアンジェレネを追い掛け回していた。
(何やってんすか…この人たちは…ルチアさんなんてあまりの怒りでパンツ見えてるのに気がついてないっすよ…)
あまり見たことの無いシスターの姿に戸惑いながらも、香焼は声をかけてみた。
「あのー!ルチアさん!ルチアさん!」
香焼は大声をだすもルチアの反応は無い。しかし、アンジェレネは香焼の存在に気付いたようで、
「ひー!香焼さん!シスター・ルチアを止めてくださいー!」
そう言ってアンジェレネは香焼の影に隠れる。しかし怒りで何も見えていないルチアは止まる気配が無い。
「え?ちょっ!ルチアさん!」
いろいろと頑張って腹が減った香焼は神裂の部屋を出た後、女子寮の食堂へと向かっていた。
ロンドンで十本の指に入る旨さだという噂もたつ、オルソラのご飯を食べてみようと思ったのだ。
「なんか、騒がしいっすね…」
なにやらドッタンバッタンと音が食堂のほうから聞こえる。
(まぁ、人数多いっすもんね、この寮は…)
勝手な解釈に自分で納得した香焼が食堂のドアを開けると…
「アンジェレネェェェェェェ!」
「ひー!許してください、許してください!神様ー!」
「普段教えに背く行為をしているような貴方に神のご加護があるわけ無いでしょうがぁぁ!」
「きゃー!」
そこでは、そのツンとした態度と整ったボディで天草の男衆からの人気の高い(「これぞ、イタリア式ツンデレ!」というのが建宮の評価)
ルチアが怒り狂いながら、腹ペコシスター2の異名をとるアンジェレネを追い掛け回していた。
(何やってんすか…この人たちは…ルチアさんなんてあまりの怒りでパンツ見えてるのに気がついてないっすよ…)
あまり見たことの無いシスターの姿に戸惑いながらも、香焼は声をかけてみた。
「あのー!ルチアさん!ルチアさん!」
香焼は大声をだすもルチアの反応は無い。しかし、アンジェレネは香焼の存在に気付いたようで、
「ひー!香焼さん!シスター・ルチアを止めてくださいー!」
そう言ってアンジェレネは香焼の影に隠れる。しかし怒りで何も見えていないルチアは止まる気配が無い。
「え?ちょっ!ルチアさん!」
無反応…ルチアの足は止まらない。
(ちくしょう!何でこんな目に!)
そう思いながらも香焼は何か使えるものは無いかとポケットを漁る。
(…ッ!)
何かの感触を感じた香焼はその物体をポケットから引きずり出す。手に握られていたのは、先程フロリスがくれた、霊装・独鈷だった。
(これは…たしか、魔術的効果は”煩悩を消す”だったはずっす!)
「香焼さん!速くしないと、シスター・ルチアが!」
焦りと恐怖に震えるアンジェレネが香焼の後ろから情けない声を出す。
「任してくださいっす!これでなんとか…ッ!」
「アンジェレネェェェェ!」
香焼は独鈷を握り、突進してくるルチアに向かい手を突き出す。
(確か煩悩には「怒り」”忿・ふん”があったはずっす!)
独鈷がルチアの体に触れる。次の瞬間、ルチアの動きがフッと止まる。
「た、助かったー…」
アンジェレネは床にヘナヘナと座り込む。
「シスター・アンジェレネ、」
ニコニコとまんべんの笑みを浮かべたルチアがアンジェレネに呼びかける。
「は、はい!」
その声にビクッとしながらもアンジェレネは返事をする。
「お尻をだしなさい、シスター・アンジェレネ。」
「えっ?」
そう言って問答無用でルチアはアンジェレネの腰をつかみ、そしてパーンっと言う音とともに尻をたたき始める。
「あなたは、何度言ったら、わかるのですか!」
「ごめんなさいー!」
(独鈷だけじゃ、ルチアさんの怒りを消しきることはできなかったぽいっすね…)
「ごめんなさいー!」
食堂では昼食前までアンジェレネの悲鳴と尻をたたく音が響いていた。
(ちくしょう!何でこんな目に!)
そう思いながらも香焼は何か使えるものは無いかとポケットを漁る。
(…ッ!)
何かの感触を感じた香焼はその物体をポケットから引きずり出す。手に握られていたのは、先程フロリスがくれた、霊装・独鈷だった。
(これは…たしか、魔術的効果は”煩悩を消す”だったはずっす!)
「香焼さん!速くしないと、シスター・ルチアが!」
焦りと恐怖に震えるアンジェレネが香焼の後ろから情けない声を出す。
「任してくださいっす!これでなんとか…ッ!」
「アンジェレネェェェェ!」
香焼は独鈷を握り、突進してくるルチアに向かい手を突き出す。
(確か煩悩には「怒り」”忿・ふん”があったはずっす!)
独鈷がルチアの体に触れる。次の瞬間、ルチアの動きがフッと止まる。
「た、助かったー…」
アンジェレネは床にヘナヘナと座り込む。
「シスター・アンジェレネ、」
ニコニコとまんべんの笑みを浮かべたルチアがアンジェレネに呼びかける。
「は、はい!」
その声にビクッとしながらもアンジェレネは返事をする。
「お尻をだしなさい、シスター・アンジェレネ。」
「えっ?」
そう言って問答無用でルチアはアンジェレネの腰をつかみ、そしてパーンっと言う音とともに尻をたたき始める。
「あなたは、何度言ったら、わかるのですか!」
「ごめんなさいー!」
(独鈷だけじゃ、ルチアさんの怒りを消しきることはできなかったぽいっすね…)
「ごめんなさいー!」
食堂では昼食前までアンジェレネの悲鳴と尻をたたく音が響いていた。
5
一騒動あった後無事にオルソラの昼飯をご馳走になった香焼は、女子寮から日本人街の自分の部屋に帰っていた。
「ふー、疲れたっすねー。」
そう言って部屋の床に寝転がる。
(ちなみに香焼に親はいない、彼は一人暮らしである。飯は五和の作るご飯をわざわざ食べにいったりしている)
ふと、香焼が顔をあげ机の上を見ると…そこには!
「えー何でこれが机の上にあるんすか!」
かれの机の上にあったのは通称”天草男衆パーフェクト・コレクション”(エロ本)であった。
この”天草男衆パーフェクト・コレクション”というのは男のロマン・夢が詰まったモノである。
しかし、これが女衆にばれると大変なことになるので、一番女が寄り付かないであろう香焼の部屋に隠してあったのだ。
「な、なぜ…これが…」
その”天草男衆パーフェクト・コレクション”(建宮命名)が堂々と机の上にあることは天草にとって大問題なのだ。
ふと気付くと、この”天草男衆パーフェクト・コレクション”のあいだに何か紙が挟まっている。
(最低ね!バッカじゃないの!? フロリス)
「あんの野郎…」
香焼は部屋をでて、管理人室へと駆け込んでいった。ちなみに香焼が住むアパートの管理人は対馬である。
「対馬さん!アンタ勝手に俺の部屋にフロリス入れたっすね!?」
香焼がかなりの勢いで対馬を問い詰める。
「あら、駄目だった?フロリスちゃんが掃除してくれるって言うんだもん。どうせアンタの部屋汚いと思ったし」
対馬はニヤニヤとしながら答える。
「なんか、赤い顔して走って帰っていったけどねー、なにがあったのかしら?」
対馬のニヤニヤがどんどんいやらしくなっていく。
「ちくしょぉぉぉぉぉ!」
フロリス同様顔を真っ赤にした香焼が対馬の下を走り去る。
「あ!そういえば、フロリスちゃんランベス宮に用事があるって言ってたわよー」
対馬は相変わらずのニヤケ顔であった。
一騒動あった後無事にオルソラの昼飯をご馳走になった香焼は、女子寮から日本人街の自分の部屋に帰っていた。
「ふー、疲れたっすねー。」
そう言って部屋の床に寝転がる。
(ちなみに香焼に親はいない、彼は一人暮らしである。飯は五和の作るご飯をわざわざ食べにいったりしている)
ふと、香焼が顔をあげ机の上を見ると…そこには!
「えー何でこれが机の上にあるんすか!」
かれの机の上にあったのは通称”天草男衆パーフェクト・コレクション”(エロ本)であった。
この”天草男衆パーフェクト・コレクション”というのは男のロマン・夢が詰まったモノである。
しかし、これが女衆にばれると大変なことになるので、一番女が寄り付かないであろう香焼の部屋に隠してあったのだ。
「な、なぜ…これが…」
その”天草男衆パーフェクト・コレクション”(建宮命名)が堂々と机の上にあることは天草にとって大問題なのだ。
ふと気付くと、この”天草男衆パーフェクト・コレクション”のあいだに何か紙が挟まっている。
(最低ね!バッカじゃないの!? フロリス)
「あんの野郎…」
香焼は部屋をでて、管理人室へと駆け込んでいった。ちなみに香焼が住むアパートの管理人は対馬である。
「対馬さん!アンタ勝手に俺の部屋にフロリス入れたっすね!?」
香焼がかなりの勢いで対馬を問い詰める。
「あら、駄目だった?フロリスちゃんが掃除してくれるって言うんだもん。どうせアンタの部屋汚いと思ったし」
対馬はニヤニヤとしながら答える。
「なんか、赤い顔して走って帰っていったけどねー、なにがあったのかしら?」
対馬のニヤニヤがどんどんいやらしくなっていく。
「ちくしょぉぉぉぉぉ!」
フロリス同様顔を真っ赤にした香焼が対馬の下を走り去る。
「あ!そういえば、フロリスちゃんランベス宮に用事があるって言ってたわよー」
対馬は相変わらずのニヤケ顔であった。
「ふむ、香焼が遠征メンバーに入りたいといいけりなの?」
そのころランベス宮では神裂・建宮・ローラの3人による会議が行われていた。
「まったく、女教皇様、香焼の意見なんてどうでもいいのよな。」
建宮は相変わらず香焼の遠征には反対であるようだ。
「しかし、彼には並ならぬ熱意がありましたし…ひき受けてしまったので。」
神裂は困ったような顔をしている。
「ふむ、やはり香焼とフロリスはできていたると思ふのだが。」
ここでローラの爆弾発言。
「「え!?」」
神裂と建宮は驚いて素っ頓狂な声を出す。
「何をいっているのですか?最大主教?」
あまり事を把握していない神裂が質問する。」
「いや実はな、王室派も今度の遠征に参加したりとの意見がありけってな、その王室派の護衛に"新たなる光”がつきしことになったのよな」
「「はぁ。」」
「それで、私が聞きし所によりけるとな、最近フロリスが香焼という天草の少年の話ばかりをしたるるというところにありけりなのよ」
「では香焼は、フロリスの為にこの遠征メンバーに応募したということですか?」
神裂は改めて、事実確認を行う。
(そういう理由でしたか…、私としてもその気持ちは分からなくもないのですが…)
「だめ!ダメなのよな!色恋沙汰で遠征についてきてもらっては困るのよな!」
建宮は相変わらず反対を表明している。
「いいではないでぬか、なんか面白きしにありけるし」
最大主教にあるまじき発言をするローラであるが
「ダメダメ!そんな恋にうつつ抜かしているヤツが…」
「あなたに何が分かるのですか!建宮!あなたに香焼の何が分かるんですか!」
恋する乙女である神裂は声を荒げて、建宮の発言を遮る。
「そうにありしよ、建宮。おぬし、自らが結婚適齢期を過ぎしにも縁が無いにけるといって僻みたりているのではないの?」
ここでローラの言葉が建宮の心へザクっと突き刺さる。
「う、うるさいのよな…」
そのころランベス宮では神裂・建宮・ローラの3人による会議が行われていた。
「まったく、女教皇様、香焼の意見なんてどうでもいいのよな。」
建宮は相変わらず香焼の遠征には反対であるようだ。
「しかし、彼には並ならぬ熱意がありましたし…ひき受けてしまったので。」
神裂は困ったような顔をしている。
「ふむ、やはり香焼とフロリスはできていたると思ふのだが。」
ここでローラの爆弾発言。
「「え!?」」
神裂と建宮は驚いて素っ頓狂な声を出す。
「何をいっているのですか?最大主教?」
あまり事を把握していない神裂が質問する。」
「いや実はな、王室派も今度の遠征に参加したりとの意見がありけってな、その王室派の護衛に"新たなる光”がつきしことになったのよな」
「「はぁ。」」
「それで、私が聞きし所によりけるとな、最近フロリスが香焼という天草の少年の話ばかりをしたるるというところにありけりなのよ」
「では香焼は、フロリスの為にこの遠征メンバーに応募したということですか?」
神裂は改めて、事実確認を行う。
(そういう理由でしたか…、私としてもその気持ちは分からなくもないのですが…)
「だめ!ダメなのよな!色恋沙汰で遠征についてきてもらっては困るのよな!」
建宮は相変わらず反対を表明している。
「いいではないでぬか、なんか面白きしにありけるし」
最大主教にあるまじき発言をするローラであるが
「ダメダメ!そんな恋にうつつ抜かしているヤツが…」
「あなたに何が分かるのですか!建宮!あなたに香焼の何が分かるんですか!」
恋する乙女である神裂は声を荒げて、建宮の発言を遮る。
「そうにありしよ、建宮。おぬし、自らが結婚適齢期を過ぎしにも縁が無いにけるといって僻みたりているのではないの?」
ここでローラの言葉が建宮の心へザクっと突き刺さる。
「う、うるさいのよな…」
会議の結果、多数決で香焼の遠征参加が可決された。精神的にフルボッコにされた建宮はしばらく落ち込んでいた。
「フロリスゥゥゥゥゥ!」
ランベス宮近くで、フロリスを見つけた香焼は猛スピードで駆け寄った。
「な、何よ!」
若干顔の赤いフロリスが香焼を見る。彼女は先程この目の前の少年に関するビッグニュースをローラに聞いたばかりで
その興奮さめやらぬ中でのご対面だった。
「何よじゃないっすよ!何で人の部屋勝手に掃除してるんすか!」
しかしそんなフロリスの心の高ぶりにも気付かず、香焼は例の件でフロリスを問い詰める。
「い、いやだって、アンタの部屋汚いと思って…」
「掃除してくれるのはありがたいんすけどね!お母さんみたいなことしないでっていいたいんすよ!」
「は?何のこと?お母さん?」
フロリスはビッグニュースを聞いたお陰で”天草男衆パーフェクト・コレクション”のことを忘れていたようだ。
さらにイギリスのお母さん方はエロ本探しなるものをやっていない可能性があり、イギリスっ子のフロリスには伝わらなかったようである。
「だーかーらー、って覚えてないんすか?」
「いや、だから何のこと?」
フロリスは”天草男衆パーフェクト・コレクション”のことなど完璧に吹っ飛んでいるようだ。
「い、いや覚えてないならなんでもいいんす…」
香焼も若干顔を赤らめながら、答える。
「それよりさ!アンタ、ビッグニュース聞きたくない?2つあるんだけど!」
急な話題転換と共に、かなりハイテンションなフロリスが早口でまくし立てる。
「な、なんすか…?」
いきなりのフロリスのテンションについていけない香焼だが
「実はね?なんとこの私とアンタの学園都市遠征メンバー入りがきまったのよ!」
「えぇ!?マジッすか!?ヤッター!つかフロリス!?」
香焼に喜びとともに疑問が生まれる。
「な、何よ?私と一緒が嬉しくないって言うの!?」
「いや…そういうわけじゃ…」
「バッカじゃないの!?私だってそこまで嬉しくないし!じゃあね!」
喜怒哀楽様々な表情をうかべ、フロリスは走り去っていった。
「何すか…あいつ…」
ランベス宮近くで、フロリスを見つけた香焼は猛スピードで駆け寄った。
「な、何よ!」
若干顔の赤いフロリスが香焼を見る。彼女は先程この目の前の少年に関するビッグニュースをローラに聞いたばかりで
その興奮さめやらぬ中でのご対面だった。
「何よじゃないっすよ!何で人の部屋勝手に掃除してるんすか!」
しかしそんなフロリスの心の高ぶりにも気付かず、香焼は例の件でフロリスを問い詰める。
「い、いやだって、アンタの部屋汚いと思って…」
「掃除してくれるのはありがたいんすけどね!お母さんみたいなことしないでっていいたいんすよ!」
「は?何のこと?お母さん?」
フロリスはビッグニュースを聞いたお陰で”天草男衆パーフェクト・コレクション”のことを忘れていたようだ。
さらにイギリスのお母さん方はエロ本探しなるものをやっていない可能性があり、イギリスっ子のフロリスには伝わらなかったようである。
「だーかーらー、って覚えてないんすか?」
「いや、だから何のこと?」
フロリスは”天草男衆パーフェクト・コレクション”のことなど完璧に吹っ飛んでいるようだ。
「い、いや覚えてないならなんでもいいんす…」
香焼も若干顔を赤らめながら、答える。
「それよりさ!アンタ、ビッグニュース聞きたくない?2つあるんだけど!」
急な話題転換と共に、かなりハイテンションなフロリスが早口でまくし立てる。
「な、なんすか…?」
いきなりのフロリスのテンションについていけない香焼だが
「実はね?なんとこの私とアンタの学園都市遠征メンバー入りがきまったのよ!」
「えぇ!?マジッすか!?ヤッター!つかフロリス!?」
香焼に喜びとともに疑問が生まれる。
「な、何よ?私と一緒が嬉しくないって言うの!?」
「いや…そういうわけじゃ…」
「バッカじゃないの!?私だってそこまで嬉しくないし!じゃあね!」
喜怒哀楽様々な表情をうかべ、フロリスは走り去っていった。
「何すか…あいつ…」