十月十五日午後十一時。
「で、結局、外に飛び出た野郎も回収したけど、何も吐く気配が無いと。……もうちょい過激な尋問が必要ですかね」
「いや、あの、シスター・アニェーゼ落ち着いて……」
女子寮の一角、厳密に言えば半壊した食堂の一角にて、手足を縛られた三人の男と、それを囲む数人の少女の姿が有った。その少女達の内、比較的中央に居座っている赤毛の少女、アニェーゼ=サンクティスは拗ねたように鼻を鳴らし、そっぽを向く。
「いや、あの、シスター・アニェーゼ落ち着いて……」
女子寮の一角、厳密に言えば半壊した食堂の一角にて、手足を縛られた三人の男と、それを囲む数人の少女の姿が有った。その少女達の内、比較的中央に居座っている赤毛の少女、アニェーゼ=サンクティスは拗ねたように鼻を鳴らし、そっぽを向く。
「普通に聞いても口を動かす気配すら無いなら、無理矢理にでも聞き出すしか無いでしょう。さて、どれを使いますか? 縄か首輪か鞭か蝋燭か木馬か……」
「ちょ、シスター・アニェーゼ!! それは違いますから!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐイラーリアを鬱陶しそうに一瞥した後、アニェーゼは隣にちょこんと座っている絹旗を見て、強ち興味無さそうに聞いた。
「キヌハタはどうすればコイツ等が情報吐くと思います? ぼこぼこやっても何も吐きそうに無いんですけど」
「超残念ですけど、この手の戦闘員は、大抵どんな超拷問に遭っても何一つ吐こうとしないと思います。ていうか、むしろ『あまり情報を持っていない』可能性の方が超高いでしょうね。コイツ等の事はよく解りませんが多分『そのような要員で送られた』はずですから」
数分前に絹旗達を襲った男達は我口無と言わんばかりに、頑として言葉を発そうとはしない。というか、三人の内二人は絹旗の容赦無い打撃によって失神状態である。残った一人は拷問に強いと言うよりは、状況に怯えて何一つ言葉を口に出来ないと言った所だ。
そんな結構可愛そうな男達を見て、イラーリアは溜息を吐いた。
「どうせ『仕事』まで三〇分ぐらいしか無いんだし、見張り付けてこのまま放って置いてもいいんじゃないの? 適当に束縛術でも掛けてさ。例の魔術限定絶対防御は解かれてるみたいだし」
「しかし、私はこの男達に聞きたい事が山程……」
なんとなく携帯電話を弄りながら、言いかけたアニェーゼの言葉が突然止まった。
「ちょ、シスター・アニェーゼ!! それは違いますから!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐイラーリアを鬱陶しそうに一瞥した後、アニェーゼは隣にちょこんと座っている絹旗を見て、強ち興味無さそうに聞いた。
「キヌハタはどうすればコイツ等が情報吐くと思います? ぼこぼこやっても何も吐きそうに無いんですけど」
「超残念ですけど、この手の戦闘員は、大抵どんな超拷問に遭っても何一つ吐こうとしないと思います。ていうか、むしろ『あまり情報を持っていない』可能性の方が超高いでしょうね。コイツ等の事はよく解りませんが多分『そのような要員で送られた』はずですから」
数分前に絹旗達を襲った男達は我口無と言わんばかりに、頑として言葉を発そうとはしない。というか、三人の内二人は絹旗の容赦無い打撃によって失神状態である。残った一人は拷問に強いと言うよりは、状況に怯えて何一つ言葉を口に出来ないと言った所だ。
そんな結構可愛そうな男達を見て、イラーリアは溜息を吐いた。
「どうせ『仕事』まで三〇分ぐらいしか無いんだし、見張り付けてこのまま放って置いてもいいんじゃないの? 適当に束縛術でも掛けてさ。例の魔術限定絶対防御は解かれてるみたいだし」
「しかし、私はこの男達に聞きたい事が山程……」
なんとなく携帯電話を弄りながら、言いかけたアニェーゼの言葉が突然止まった。
「……なんですかこれ」
そう言う彼女の持つ携帯電話の画面には不思議な羅列が並んでいる。
そう言う彼女の持つ携帯電話の画面には不思議な羅列が並んでいる。
『不在着信78件』
(相手は全員……オルソラ?)
番号から見て間違いは無いと思う。アニェーゼは得体の知れない嫌な予感がして、慌ててオルソラへと連絡を取る。コールが三回四回と鳴った所で、相手は通話に出た。
(相手は全員……オルソラ?)
番号から見て間違いは無いと思う。アニェーゼは得体の知れない嫌な予感がして、慌ててオルソラへと連絡を取る。コールが三回四回と鳴った所で、相手は通話に出た。
「……オルソラですよね? この馬鹿みたいな不在着信数」
『はぁ…..やっと、繋がったのでございます。何回掛けても録音した声しか聞こえなかった者ですから、心配致しました』
「で、何の用です? 出ないのを確認した後までも掛け続けたんですから、重要な情報と取っていいんですよね?」
オルソラは一度息を整えてから、
『はい。『残念ながら』そのような報告にございます』
ゆっくりとそう言った。アニェーゼが顔を顰める。
「……言ってみてください」
『……わたくしは先程までアークライト家の家系図を詮索していたのですが、その「過程」でとんでもない名前を見つけてしまったのでございます。偉人などを軽く超越したレベルでの名前を』
「名前……ですか」
『はい。アークライト家の八〇〇年前の「功績」を残した張本人であり、『歴代の人類の中でも桁違いな力を持っていた人物』でございます。『王家と世界』を守った偉大な騎士の名は、ゲオルギウス』
「ゲオル……ギウス?」
ええ、と一回頷いたオルソラは震える声で慎重に言葉を繋いでいく。
『ゲオルギウス=アークライト。当時の欧州の「人間」の中で最も強大な力を奮っていた『聖人』です。そして、……またの名を『聖ジョージ』』
「っ!? ………まさか」
『そのまさかです。古書記にもしっかりと記載されていますし、その「功績」ついても申し分なく残されています』
この時点でアニェーゼは、『ゲオルギウスという人物が何をしたのか』も予想は大方ついてしまっていた。
「……っと、言うことは、アークライト家が八〇〇年前に残した「功績」っていうのは……」
『……悪竜退治、ということになります。もちろん信憑性の面では『絶対』と言う訳では無いですが』
『はぁ…..やっと、繋がったのでございます。何回掛けても録音した声しか聞こえなかった者ですから、心配致しました』
「で、何の用です? 出ないのを確認した後までも掛け続けたんですから、重要な情報と取っていいんですよね?」
オルソラは一度息を整えてから、
『はい。『残念ながら』そのような報告にございます』
ゆっくりとそう言った。アニェーゼが顔を顰める。
「……言ってみてください」
『……わたくしは先程までアークライト家の家系図を詮索していたのですが、その「過程」でとんでもない名前を見つけてしまったのでございます。偉人などを軽く超越したレベルでの名前を』
「名前……ですか」
『はい。アークライト家の八〇〇年前の「功績」を残した張本人であり、『歴代の人類の中でも桁違いな力を持っていた人物』でございます。『王家と世界』を守った偉大な騎士の名は、ゲオルギウス』
「ゲオル……ギウス?」
ええ、と一回頷いたオルソラは震える声で慎重に言葉を繋いでいく。
『ゲオルギウス=アークライト。当時の欧州の「人間」の中で最も強大な力を奮っていた『聖人』です。そして、……またの名を『聖ジョージ』』
「っ!? ………まさか」
『そのまさかです。古書記にもしっかりと記載されていますし、その「功績」ついても申し分なく残されています』
この時点でアニェーゼは、『ゲオルギウスという人物が何をしたのか』も予想は大方ついてしまっていた。
「……っと、言うことは、アークライト家が八〇〇年前に残した「功績」っていうのは……」
『……悪竜退治、ということになります。もちろん信憑性の面では『絶対』と言う訳では無いですが』
冗談じゃない、アニェーゼは奥歯を噛み締めた。そんな馬鹿な話を聞かされた後では『禁竜召式が何を表すか』も、予想の延長線上で理解してしまう。
(……たしかにこんな術式が存在すれば『対十字教黒魔術』も勢力拡大も頷けますね)
『対十字教黒魔術討伐』の任務が始まった当初から『奴等にはとてつもない隠し玉』がある、という事自体は見当がついていた。勢力が拡大したと言う事は人々が集まると言う事。人々が集まると言う事は『人々を引き連れられるだけの何か』があると言う事。
『その一部』がつまり『禁竜召式(パラディンノート)』なのである。
(こんな馬鹿みたいな物に釣られるなんて……アイツ等はとことん性根が腐ってますね)
「オルソラ、ありがとうございます。こっちも、もうそろそろ仕事が始まるので一旦切りますね」
『はい。……解っていると思いますが、絶対に帰ってください。こんな所で貴女に死なれては『あの少年』に会わせる顔がありませんから』
それを聞いてアニェーゼは一瞬思考が止まった。そして、もう一度お礼を言ってから、彼女は携帯電話の電源を唐突に落とした。
(……たしかにこんな術式が存在すれば『対十字教黒魔術』も勢力拡大も頷けますね)
『対十字教黒魔術討伐』の任務が始まった当初から『奴等にはとてつもない隠し玉』がある、という事自体は見当がついていた。勢力が拡大したと言う事は人々が集まると言う事。人々が集まると言う事は『人々を引き連れられるだけの何か』があると言う事。
『その一部』がつまり『禁竜召式(パラディンノート)』なのである。
(こんな馬鹿みたいな物に釣られるなんて……アイツ等はとことん性根が腐ってますね)
「オルソラ、ありがとうございます。こっちも、もうそろそろ仕事が始まるので一旦切りますね」
『はい。……解っていると思いますが、絶対に帰ってください。こんな所で貴女に死なれては『あの少年』に会わせる顔がありませんから』
それを聞いてアニェーゼは一瞬思考が止まった。そして、もう一度お礼を言ってから、彼女は携帯電話の電源を唐突に落とした。
十月十五日午後十一時半ば頃……
「全員揃いましたね?」
女子寮に隣接する形で造られたイギリス清教徒専用の教会。その内には二〇〇人以上の修道女がすし詰め状態で整列していた。その全てのシスターの手には車輪、杖、槍、トンファー、レイピアなど様々な『武器』が握られている。
そんな物騒な少女達を統括する赤毛の少女が、教会の『教卓』前から大声で指令を下した。
「これから『非公式任務』を実行と共に『対十字教黒魔術』の討伐作戦を開始します。基本的には数グループに分かれて行動。『人手』が必要な場合は通信霊装での打ち合わせを私を通してのみ許可する事にします」
女子寮に隣接する形で造られたイギリス清教徒専用の教会。その内には二〇〇人以上の修道女がすし詰め状態で整列していた。その全てのシスターの手には車輪、杖、槍、トンファー、レイピアなど様々な『武器』が握られている。
そんな物騒な少女達を統括する赤毛の少女が、教会の『教卓』前から大声で指令を下した。
「これから『非公式任務』を実行と共に『対十字教黒魔術』の討伐作戦を開始します。基本的には数グループに分かれて行動。『人手』が必要な場合は通信霊装での打ち合わせを私を通してのみ許可する事にします」
今回の『仕事』についてはイギリス清教側には『シスター部隊における基本的な役割』として話を通してある。恐らくあの最大主教なら事の真理ぐらいは理解していると思うが、何も言われないという事は『上』も黙認済なのだろう。
「敵の情報源については『把握報網(MasterNet)』の使用許可がイギリス清教側から降りましたから、それに従っての行動を基準とします」
『把握報網』という単語を聞いて首を傾げる修道女が何人か見えた。その内の一人、アンジェレネは隣に佇む背の高いシスター、ルチアの服を引っ張って小さく聞いた。
「(……シスター・ルチア。『把握報網(MasterNet)』って何でしたっけ? こっち(英国)に来てから結構聞くんですけど)」
「(……確か英国に転勤になった際にシスター・アニェーゼから直々に説明を受けた筈ですけど……『把握報網』と言うのは『イギリス全体に設置された魔術的な監視カメラ』の事ですよ。通常は作動していませんが、最大主教の許可があった時のみ使用を許される一種の通信霊装です)」
『把握報網』という単語を聞いて首を傾げる修道女が何人か見えた。その内の一人、アンジェレネは隣に佇む背の高いシスター、ルチアの服を引っ張って小さく聞いた。
「(……シスター・ルチア。『把握報網(MasterNet)』って何でしたっけ? こっち(英国)に来てから結構聞くんですけど)」
「(……確か英国に転勤になった際にシスター・アニェーゼから直々に説明を受けた筈ですけど……『把握報網』と言うのは『イギリス全体に設置された魔術的な監視カメラ』の事ですよ。通常は作動していませんが、最大主教の許可があった時のみ使用を許される一種の通信霊装です)」
英国の彼方此方には『ロンドン市内の監視カメラを軽く上回る数』の監視霊装が散りばめられている。元々は魔術の使用痕跡を調べる魔術探知機のような物だが、通常のカメラと同じく映像として英国全体の様子を観察する事が可能な代物である。
「(その数は何十万とも何千万とも言われていて、正確な数字はイギリス清教側でも把握できていないそうです。要するに英国には霊装カメラが沢山ある、と覚えておけば作戦参加に支障は無いと思いますよ、シスター・アンジェレネ)」
本来は『必要悪の教会』でも迂闊に使用できない巨大霊装を『他所から来た単なる修道女部隊』に使用を許可すると言う事は、イギリス清教も『禁竜召式』については一定以上の危機感を抱いているのだろう。近頃、勢力を飛躍的に拡大させている『対十字教黒魔術』の切り札的霊装ともなれば尚更。
「(その数は何十万とも何千万とも言われていて、正確な数字はイギリス清教側でも把握できていないそうです。要するに英国には霊装カメラが沢山ある、と覚えておけば作戦参加に支障は無いと思いますよ、シスター・アンジェレネ)」
本来は『必要悪の教会』でも迂闊に使用できない巨大霊装を『他所から来た単なる修道女部隊』に使用を許可すると言う事は、イギリス清教も『禁竜召式』については一定以上の危機感を抱いているのだろう。近頃、勢力を飛躍的に拡大させている『対十字教黒魔術』の切り札的霊装ともなれば尚更。
「隊分けについては、通常通り『迎撃』『術発』『遠爆』『通信』『雑補』の五グループに分担します。私を含む『迎撃』が八人。大規模霊装の発動を担当する『術発』が七五人。遠距離からの迎撃支援側『遠爆』が八七人。『把握報網(MasterNet)』の解析とその報告を行う『通信』が三五人。あとは全員、寮に残り『予備』として待機する『雑補』。……まあ、大体はいつもの配置に着いてくれれば、問題はありません」
相変わらず馬鹿みたいな数設定だが、これがアニェーゼ率いるシスター部隊の強み、『数』である。一人が倒されれば、もう一人が向かっていって、それも倒されれば二人で向かう。そんな『足掻き』を百回以上繰り返せる彼女達には明確な『天敵』は居ないのかもしれない。
相変わらず馬鹿みたいな数設定だが、これがアニェーゼ率いるシスター部隊の強み、『数』である。一人が倒されれば、もう一人が向かっていって、それも倒されれば二人で向かう。そんな『足掻き』を百回以上繰り返せる彼女達には明確な『天敵』は居ないのかもしれない。
「『迎撃』の人員についてだけは私が決定します。まずは私。そしてルチア、アンジェレネ、カテリナ、アガター、ソフィア……あと、キヌハタとイラーリアです。以上で『説明』を終了。開始は翌日の午前0時。つまり三〇分後です。ですが『通信』だけは今の内に定位置に着いてください。では、解散します」
約四分間の独演説(説明)を終えたアニェーゼはズカズカと『教卓』前から自身を外し、二〇〇人程の修道女達は肩の力を抜いて、それぞれ束の間の休息へと戻っていった。
約四分間の独演説(説明)を終えたアニェーゼはズカズカと『教卓』前から自身を外し、二〇〇人程の修道女達は肩の力を抜いて、それぞれ束の間の休息へと戻っていった。
「シスター・アニェーゼ!!」
「? なんです、イラーリア。鼻息荒くして」
なんか高そうなソファーの上でのんびり休息を取っているアニェーゼの元に、イラーリアが怒っているのか疲れているのかイマイチ判断のつかない顔で怒号をぶつけた。
「なんで私が『迎撃』に入っているんですか!? 私の霊装はボウガンなんですから近距離専門の『迎撃』には向いていませんよ!!」
「別にボウガンだって近距離で当てようとすれば当たるでしょう。と言うかそっちの方が威力は高いと思いますよ」
極めてのんびりした声で返されたイラーリアはここで引き下がる訳にはいかないと言わんばかりに言葉を紡ぐ。
「キヌハタは『唯一相手にダメージを与えられる存在』かもしれませんから納得はできます。でも私は、ダメージを与える所か攻撃を当てる事だって出来るか解りませんよ!? 近接戦闘は得意とかそれ以前に経験が有りませんし、ボウガン片手に相手に突っ込むなんて馬鹿みたいじゃないですか!!」
イラーリアの必死の弁解(?)。アニェーゼは興味有りません顔で小さく息を吐いた。それから『蓮の杖』を弄りながら軽い口調でこう返した。
「? なんです、イラーリア。鼻息荒くして」
なんか高そうなソファーの上でのんびり休息を取っているアニェーゼの元に、イラーリアが怒っているのか疲れているのかイマイチ判断のつかない顔で怒号をぶつけた。
「なんで私が『迎撃』に入っているんですか!? 私の霊装はボウガンなんですから近距離専門の『迎撃』には向いていませんよ!!」
「別にボウガンだって近距離で当てようとすれば当たるでしょう。と言うかそっちの方が威力は高いと思いますよ」
極めてのんびりした声で返されたイラーリアはここで引き下がる訳にはいかないと言わんばかりに言葉を紡ぐ。
「キヌハタは『唯一相手にダメージを与えられる存在』かもしれませんから納得はできます。でも私は、ダメージを与える所か攻撃を当てる事だって出来るか解りませんよ!? 近接戦闘は得意とかそれ以前に経験が有りませんし、ボウガン片手に相手に突っ込むなんて馬鹿みたいじゃないですか!!」
イラーリアの必死の弁解(?)。アニェーゼは興味有りません顔で小さく息を吐いた。それから『蓮の杖』を弄りながら軽い口調でこう返した。
「別に経験が無いなら経験して置くのも大切でしょう……というのは建前でしてね。実際は『罰則』の一種で貴方を『迎撃』に引き入れました。この二日間、私とキヌハタの後ろで「友達」とか「キヌハタ、アニェーゼ友好条約」とか鬱陶しくて意味不明なキーワードを呟いていたのは主に貴方(イラーリア)だったでしょう?」
ギクッという効果音が聞こえた気がした。つまりこの所、陰で展開されていた「キヌハタとアニェーゼを友達にしちゃおう作戦」の首謀者はイラーリアだった訳である。そのせいで先程はルチアに酷い目に合わされたが。
アニェーゼは冷や汗だらだらなイラーリアを見て、にっこりと凶悪的に笑って駄目押しの一言をぶつけた。
「別に貴方は元々遠距離専門ですし、ちょっと後ろに下がって援護射撃してくれれば文句は有りませんし、特に期待もしていません。ですが………足手纏いになるような無様な醜態は晒さないように気をつけてくださいよ(笑顔)」
理不尽だぁぁぁぁ!! という金髪少女の叫び声は、周囲三〇m範囲に居る修道女達を飛び上がらせる程の物だったと言う。
ギクッという効果音が聞こえた気がした。つまりこの所、陰で展開されていた「キヌハタとアニェーゼを友達にしちゃおう作戦」の首謀者はイラーリアだった訳である。そのせいで先程はルチアに酷い目に合わされたが。
アニェーゼは冷や汗だらだらなイラーリアを見て、にっこりと凶悪的に笑って駄目押しの一言をぶつけた。
「別に貴方は元々遠距離専門ですし、ちょっと後ろに下がって援護射撃してくれれば文句は有りませんし、特に期待もしていません。ですが………足手纏いになるような無様な醜態は晒さないように気をつけてくださいよ(笑顔)」
理不尽だぁぁぁぁ!! という金髪少女の叫び声は、周囲三〇m範囲に居る修道女達を飛び上がらせる程の物だったと言う。