とりあえず上条は町を歩いてみたが、やっぱり高校生以外の人影は何処にも居なかった。
(こんなに学園都市に高校生は居ないはずなんだけど……どうなってんだ?)
「ねえ」
誰かが呼ばれるような声が聞こえたが、別の人を呼んでいるんだと思ったので上条は無視した。
「ねえってば」
なんだか知り合いの声に似ているような気がしたが、さらに無視を続ける。
なんか後ろから静電気がバチバチと、そして殺気が放たれているような気がしても。
「……聞いてんのかコラァァァァァァァァァァ!」
相手が言い終わる前に上条は振り向いて、右手を前にかざす。予想通りに右手に雷撃の槍が飛び込んできた。
もちろん、煙の向こうにいたのはいつも通り、御坂美琴だった。こちらも体型が高校生になっている。見た感じ、サイズ的に親と同じぐらいだろうか?いや、少し大きいか?
なんて、気になる一点を見ていると間違いなく命が危なくなりそうなので、全体を見ているフリをする。常盤台の制服ではなく、どこかで見たような高校の制服を着ていた。
「アンタ途中から絶対分かってたでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「じゃあ無視すんなやぁぁぁ!」
もう一発来たので右手で打ち消す。さすがに、三発目は撃ってこないようだった。
「んで御坂」
「何よ?」
「常盤台の制服はどうした?」
そもそも高校生になっているのに中学の制服を着ているのもおかしいと言えばおかしいのだが、御坂が着ている服があまりにも自分がいる高校のものに似ているので、遠まわしに上条は聞いてみた。
わずかに沈黙したあと、御坂が手を上条の額に当ててきた。
「……何やってるの?」
「いや、熱でもあるんじゃ……と思って」
俺は大丈夫だって、と御坂を引き離す。御坂の感じからすると、本当に心配しているらしい。
上条は今の『御坂美琴』に関する知識は無に等しいので、じゃあどこの高校に通っているのかと聞いてみた。
「何聞いてんの?アンタと同じ高校じゃない」
その答えは予想していたが、本当に返ってくると上条は思っていなかった。
(御坂が俺と同じ高校なのか……でも霧ヶ丘もあるのになんでこっちなんだ?)
せっかくだから聞いてみる。
「御坂、霧ヶ丘もあったのになんでこっちにしたんだよ?」
「霧ヶ丘は長点上機と一緒に無くなったじゃない」
「無くなった……?まあそれは置いておくとして、じゃあなんでうちに来たんだよ?」
別に大したことは聞いてないはずなのだが、なぜか御坂の顔が赤くなる。
「そ、そりゃあ決まってるじゃない。あ、アンタと……」
一言喋るたびに、どんどん御坂の顔が赤くなって、うつむいていく。
なんか悪いこと言ったかな?と上条が思っていると、
ぐるる、と上条のお腹が鳴った。
御坂が顔を上げると、いつもの表情に戻って言った。まだ顔は赤いままだったが。
「と、とりあえず、そろそろ昼だし、ご飯食べに行かない?」
「いや、でも俺お金が無いんだけど……」
「私が奢るから大丈夫!」
という事で、御坂に手を引っ張られて近くのレストランに向かうことになった。
(こんなに学園都市に高校生は居ないはずなんだけど……どうなってんだ?)
「ねえ」
誰かが呼ばれるような声が聞こえたが、別の人を呼んでいるんだと思ったので上条は無視した。
「ねえってば」
なんだか知り合いの声に似ているような気がしたが、さらに無視を続ける。
なんか後ろから静電気がバチバチと、そして殺気が放たれているような気がしても。
「……聞いてんのかコラァァァァァァァァァァ!」
相手が言い終わる前に上条は振り向いて、右手を前にかざす。予想通りに右手に雷撃の槍が飛び込んできた。
もちろん、煙の向こうにいたのはいつも通り、御坂美琴だった。こちらも体型が高校生になっている。見た感じ、サイズ的に親と同じぐらいだろうか?いや、少し大きいか?
なんて、気になる一点を見ていると間違いなく命が危なくなりそうなので、全体を見ているフリをする。常盤台の制服ではなく、どこかで見たような高校の制服を着ていた。
「アンタ途中から絶対分かってたでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「じゃあ無視すんなやぁぁぁ!」
もう一発来たので右手で打ち消す。さすがに、三発目は撃ってこないようだった。
「んで御坂」
「何よ?」
「常盤台の制服はどうした?」
そもそも高校生になっているのに中学の制服を着ているのもおかしいと言えばおかしいのだが、御坂が着ている服があまりにも自分がいる高校のものに似ているので、遠まわしに上条は聞いてみた。
わずかに沈黙したあと、御坂が手を上条の額に当ててきた。
「……何やってるの?」
「いや、熱でもあるんじゃ……と思って」
俺は大丈夫だって、と御坂を引き離す。御坂の感じからすると、本当に心配しているらしい。
上条は今の『御坂美琴』に関する知識は無に等しいので、じゃあどこの高校に通っているのかと聞いてみた。
「何聞いてんの?アンタと同じ高校じゃない」
その答えは予想していたが、本当に返ってくると上条は思っていなかった。
(御坂が俺と同じ高校なのか……でも霧ヶ丘もあるのになんでこっちなんだ?)
せっかくだから聞いてみる。
「御坂、霧ヶ丘もあったのになんでこっちにしたんだよ?」
「霧ヶ丘は長点上機と一緒に無くなったじゃない」
「無くなった……?まあそれは置いておくとして、じゃあなんでうちに来たんだよ?」
別に大したことは聞いてないはずなのだが、なぜか御坂の顔が赤くなる。
「そ、そりゃあ決まってるじゃない。あ、アンタと……」
一言喋るたびに、どんどん御坂の顔が赤くなって、うつむいていく。
なんか悪いこと言ったかな?と上条が思っていると、
ぐるる、と上条のお腹が鳴った。
御坂が顔を上げると、いつもの表情に戻って言った。まだ顔は赤いままだったが。
「と、とりあえず、そろそろ昼だし、ご飯食べに行かない?」
「いや、でも俺お金が無いんだけど……」
「私が奢るから大丈夫!」
という事で、御坂に手を引っ張られて近くのレストランに向かうことになった。
一方通行の朝は遅い。
少し前まで能力を補助無しでは使えなかったころまでは、常に周囲に気を配っていた。
が、現在は完全とは言えないが、能力を取り戻しているので、またかつてのように自分の気が済むまで寝るようになっていた。が、そんな一方通行を邪魔する人影があった。
「起きろー!!」
(?、どォなってやがる)
聞こえてきた声は、番外個体に似ているのだが……少し感じが違う。おそらく、番外個体が明るい声を出したとするとこんな感じになるのだろう。もしくは、番外個体が打ち止めのような性格になったらこんな感じだろうか?
(なんでこンな悪ふざけをしてやがる?アイツはこンな事しねェはずだが)
なので一方通行は目を開けず、睡眠を続行する。
「じゃあ強硬手段だー、くらえミサカの全力!」
一方通行は能力を取り戻しているが、全身を反射の膜で包むことはできない。
だが、どちらにしろ番外個体がこんなことをする訳が無い。ただの冗談だろうと思って寝続けていると、
本当にボディプレスが叩き込まれ、高校生一人分の体重が一方通行に強烈なダメージを与えた。
「ごはぁっ!?」
ベクトル操作で体の上から番外個体……と思われる人影を押しのけ、同時に跳ね起きる。
「テメェ何しやが……」
言いかけた言葉が途中で止まる。そこに居たのは、番外個体ではなく打ち止めだった。
ただし、番外個体と同じ高校生程度まで成長しているが。
「何って、昼まで起きないのは良くないと思ったんだよ」
「起きるのが遅くても別に良いだろォが」
「身長伸びないよ?」
「そンな俺の身長は低くねェだろ」
「そうかな?」
なぜか意地悪い笑みを浮かべる打ち止め。
「どっちにしろオマエには抜かれてねェ。つーか、俺の身長なんてどォでも良いだろ」
話しながら着替え、外出する準備を整える。
「どこ行くの?外食?」
「オマエの期待通り、飯食いに行くンだよ」
「やったー!」
結構大人びた外見に似合わず、幼児のようにはしゃぐ打ち止め。
そして準備が終わったころ、一方通行の携帯が鳴った。どうやら土御門かららしい。
『やっほー、元気かにゃー?』
「俺が元気じゃねェ時があるのかよ?」
『ま、そうだけどな。とりあえず、今からこっちに来てくれないかにゃー?』
「何でだよ」
『一つ、話があるんだぜい』
「そォかよ」
話という事は、『グループ』絡みだろうか。無くなった筈なのだが。とりあえず、場所を教えてもらう。
どうやら、丁度行こうとしていたレストランに居るらしかった。
「行くぞ」
「んじゃ、ミサカは先に行ってるねー」
(……打ち止めは場所分かってンのか?)
そして打ち止めは家を出て走っていった。レストランと反対方向に。
「アイツ、場所分かってねェのに走るんじゃねェェェェェェェ!」
ベクトル操作で飛び出し、一方通行は打ち止めを追いかけていった。
少し前まで能力を補助無しでは使えなかったころまでは、常に周囲に気を配っていた。
が、現在は完全とは言えないが、能力を取り戻しているので、またかつてのように自分の気が済むまで寝るようになっていた。が、そんな一方通行を邪魔する人影があった。
「起きろー!!」
(?、どォなってやがる)
聞こえてきた声は、番外個体に似ているのだが……少し感じが違う。おそらく、番外個体が明るい声を出したとするとこんな感じになるのだろう。もしくは、番外個体が打ち止めのような性格になったらこんな感じだろうか?
(なんでこンな悪ふざけをしてやがる?アイツはこンな事しねェはずだが)
なので一方通行は目を開けず、睡眠を続行する。
「じゃあ強硬手段だー、くらえミサカの全力!」
一方通行は能力を取り戻しているが、全身を反射の膜で包むことはできない。
だが、どちらにしろ番外個体がこんなことをする訳が無い。ただの冗談だろうと思って寝続けていると、
本当にボディプレスが叩き込まれ、高校生一人分の体重が一方通行に強烈なダメージを与えた。
「ごはぁっ!?」
ベクトル操作で体の上から番外個体……と思われる人影を押しのけ、同時に跳ね起きる。
「テメェ何しやが……」
言いかけた言葉が途中で止まる。そこに居たのは、番外個体ではなく打ち止めだった。
ただし、番外個体と同じ高校生程度まで成長しているが。
「何って、昼まで起きないのは良くないと思ったんだよ」
「起きるのが遅くても別に良いだろォが」
「身長伸びないよ?」
「そンな俺の身長は低くねェだろ」
「そうかな?」
なぜか意地悪い笑みを浮かべる打ち止め。
「どっちにしろオマエには抜かれてねェ。つーか、俺の身長なんてどォでも良いだろ」
話しながら着替え、外出する準備を整える。
「どこ行くの?外食?」
「オマエの期待通り、飯食いに行くンだよ」
「やったー!」
結構大人びた外見に似合わず、幼児のようにはしゃぐ打ち止め。
そして準備が終わったころ、一方通行の携帯が鳴った。どうやら土御門かららしい。
『やっほー、元気かにゃー?』
「俺が元気じゃねェ時があるのかよ?」
『ま、そうだけどな。とりあえず、今からこっちに来てくれないかにゃー?』
「何でだよ」
『一つ、話があるんだぜい』
「そォかよ」
話という事は、『グループ』絡みだろうか。無くなった筈なのだが。とりあえず、場所を教えてもらう。
どうやら、丁度行こうとしていたレストランに居るらしかった。
「行くぞ」
「んじゃ、ミサカは先に行ってるねー」
(……打ち止めは場所分かってンのか?)
そして打ち止めは家を出て走っていった。レストランと反対方向に。
「アイツ、場所分かってねェのに走るんじゃねェェェェェェェ!」
ベクトル操作で飛び出し、一方通行は打ち止めを追いかけていった。
「ありがとう御坂!今ちょうど金欠だったんだ!」
レストランに着いた上条と御坂は、とりあえずいろいろと食べ物を注文した。
全部御坂の奢りらしいので、上条はありがたく食べさせてもらっている。
「まあ、別に気にしなくてもいいわよ」
「いや、でもありがとう!上条さんはここ数週間で一番幸せです!」
なぜか、また御坂は顔を赤くする。
そして、しばらくの間黙って食べていると、上条は一つ気になったことがあった。
「なあ御坂」
「何よ?」
「ここ食べ物持ち込んでいいのか?」
「さあ?」
すぐ近くの席に女子4人組が座っているのだが、一人はレストランの中なのにコンビニ弁当を食べながら、「今日と昨日のシャケ弁は違う気がするなー?あれー?」と言っていたり、一人は大量にサバの缶詰を食べてたり、一人は名前も聞いたことの無いようなマイナーな映画のパンフレットを読み、一人はボーっとしているだけだった。一人が弁当を食いながらしきりに時計を見ているところからすると、誰かを待っているらしい。とりあえず弁当を食っている人に心の中だけで「弁当なんてどこでも変わんないですよ」とツッコんでおく。
その近くの席では、土御門が座っていた。
何話してるんだろう?と上条が思っていると、土御門がこちらに気づいた。
「カミやーん、ちょっとこっちに来てくれないかにゃー?」
断る理由は特に無いので、席を立つ。
「んじゃ少し行ってくる」
御坂はなぜか残念そうな顔をしたが、了承してくれた。
とりあえず土御門の隣に座る。すると、土御門の表情が真面目になる。
「カミやん、今、何かおかしいと思っていることは無いか?」
「ああ……ってことは土御門は気付いてるのか?」
「ああ。なんとか結界で守ったんだが……今回もご覧の通りでな」
土御門の服の下から、包帯が覗く。そして、スピーカー機能がONになっている通話中の携帯を見せる。
「ただ、今回はオレたちだけじゃないんだぜい。海原も今回は自分を守れた
みたいだからな」
『ええ。ですので、今土御門さんと何故こんな事になっているのか話していたんですよ』
土御門は海原と言ったが、恐らくはかつて上条を襲った偽海原なのだろう。
「で、答えは出そうなのか?」
「お互いの知識を最大限出してみたが、まったく……って所だぜい。恐らくインデックスなら
答えが出せるんだろうけどにゃー……」
「いや、インデックスも無理みたいだ」
『じゃあ、どうします?科学の方も調べてみます?』
「でも、科学じゃこんなの説明できないぞ」
「んじゃ海原、町をもう一回調べにいこうぜい」
『じゃあ先に調べてますね』
通話を切り、土御門は立ち上がろうとした。しかし、店の入り口のほうを見ると、腰を下ろした。
「どうした?」
土御門の目線の先を見てみる。そこには、
レストランに着いた上条と御坂は、とりあえずいろいろと食べ物を注文した。
全部御坂の奢りらしいので、上条はありがたく食べさせてもらっている。
「まあ、別に気にしなくてもいいわよ」
「いや、でもありがとう!上条さんはここ数週間で一番幸せです!」
なぜか、また御坂は顔を赤くする。
そして、しばらくの間黙って食べていると、上条は一つ気になったことがあった。
「なあ御坂」
「何よ?」
「ここ食べ物持ち込んでいいのか?」
「さあ?」
すぐ近くの席に女子4人組が座っているのだが、一人はレストランの中なのにコンビニ弁当を食べながら、「今日と昨日のシャケ弁は違う気がするなー?あれー?」と言っていたり、一人は大量にサバの缶詰を食べてたり、一人は名前も聞いたことの無いようなマイナーな映画のパンフレットを読み、一人はボーっとしているだけだった。一人が弁当を食いながらしきりに時計を見ているところからすると、誰かを待っているらしい。とりあえず弁当を食っている人に心の中だけで「弁当なんてどこでも変わんないですよ」とツッコんでおく。
その近くの席では、土御門が座っていた。
何話してるんだろう?と上条が思っていると、土御門がこちらに気づいた。
「カミやーん、ちょっとこっちに来てくれないかにゃー?」
断る理由は特に無いので、席を立つ。
「んじゃ少し行ってくる」
御坂はなぜか残念そうな顔をしたが、了承してくれた。
とりあえず土御門の隣に座る。すると、土御門の表情が真面目になる。
「カミやん、今、何かおかしいと思っていることは無いか?」
「ああ……ってことは土御門は気付いてるのか?」
「ああ。なんとか結界で守ったんだが……今回もご覧の通りでな」
土御門の服の下から、包帯が覗く。そして、スピーカー機能がONになっている通話中の携帯を見せる。
「ただ、今回はオレたちだけじゃないんだぜい。海原も今回は自分を守れた
みたいだからな」
『ええ。ですので、今土御門さんと何故こんな事になっているのか話していたんですよ』
土御門は海原と言ったが、恐らくはかつて上条を襲った偽海原なのだろう。
「で、答えは出そうなのか?」
「お互いの知識を最大限出してみたが、まったく……って所だぜい。恐らくインデックスなら
答えが出せるんだろうけどにゃー……」
「いや、インデックスも無理みたいだ」
『じゃあ、どうします?科学の方も調べてみます?』
「でも、科学じゃこんなの説明できないぞ」
「んじゃ海原、町をもう一回調べにいこうぜい」
『じゃあ先に調べてますね』
通話を切り、土御門は立ち上がろうとした。しかし、店の入り口のほうを見ると、腰を下ろした。
「どうした?」
土御門の目線の先を見てみる。そこには、
銃を持った男が入店しようとしていた。
「ッ!」
上条は立ち上がろうとするが、土御門が制止する。
「何でだよ!」
口の動きだけで土御門は言葉を伝えてきた。
(まずは相手の出方を見るぞ)
「……わかった」
上条は座りなおす。
男が入店した。と同時に、男は声を張り上げる。
「全員動くんじゃねえ!」
と同時に、男は懐から音楽プレーヤーを取り出した。そして再生ボタンを押す。数秒変な音が流れ、音は止んだ。と同時に、
レストランにいた半分以上の人間が、突然頭を押さえ、うめき始めた。
その中には、御坂も含まれていた。
「御坂!?」
「ありゃあ、恐らく能力者の『演算』を妨害する装置だろうな」
「じゃあ何で御坂は……!」
「恐らく、能力と行動の両方を妨害するために、思考も『演算』として
見てる……ってとこだろうな」
「くそっ!」
再び上条は立ち上がろうとするが、また土御門が制止する。
「冷静に考えろ、カミやん!お前は素手で銃に勝てるのか!」
「っ……」
ただ見ていることしか出来ないのか?そう上条は思う。
だが、『不幸』は加速する。
「やっと着いたー!……ってあれ?」
一人の少女が入店してきた。と同時に入り口で固まった。
(あいつは……打ち止め!?)
高校生くらいになっているが、御坂とそっくりなので間違いない。
打ち止めが入ってきたのを、男は見逃さなかった。
ナイフを懐から取り出し、固まっている打ち止めを羽交い絞めにし、ナイフを突きつける。
「こいつが殺されたくなけりゃ、早く金を出しやがれ!」
入り口から上条の席は結構離れているので、走っても間に合わない。警備員(アンチスキル)を待てばいいのだろうが、それまで打ち止めの安全は保証されている訳では無い。
(どうすればいいんだ……何か逆転の手は?)
上条が考えていると、さらにもう一人入店してきた。
もちろん、男は振り向く。そしてそこに居たのは、
その『逆転の手』だった。
上条は立ち上がろうとするが、土御門が制止する。
「何でだよ!」
口の動きだけで土御門は言葉を伝えてきた。
(まずは相手の出方を見るぞ)
「……わかった」
上条は座りなおす。
男が入店した。と同時に、男は声を張り上げる。
「全員動くんじゃねえ!」
と同時に、男は懐から音楽プレーヤーを取り出した。そして再生ボタンを押す。数秒変な音が流れ、音は止んだ。と同時に、
レストランにいた半分以上の人間が、突然頭を押さえ、うめき始めた。
その中には、御坂も含まれていた。
「御坂!?」
「ありゃあ、恐らく能力者の『演算』を妨害する装置だろうな」
「じゃあ何で御坂は……!」
「恐らく、能力と行動の両方を妨害するために、思考も『演算』として
見てる……ってとこだろうな」
「くそっ!」
再び上条は立ち上がろうとするが、また土御門が制止する。
「冷静に考えろ、カミやん!お前は素手で銃に勝てるのか!」
「っ……」
ただ見ていることしか出来ないのか?そう上条は思う。
だが、『不幸』は加速する。
「やっと着いたー!……ってあれ?」
一人の少女が入店してきた。と同時に入り口で固まった。
(あいつは……打ち止め!?)
高校生くらいになっているが、御坂とそっくりなので間違いない。
打ち止めが入ってきたのを、男は見逃さなかった。
ナイフを懐から取り出し、固まっている打ち止めを羽交い絞めにし、ナイフを突きつける。
「こいつが殺されたくなけりゃ、早く金を出しやがれ!」
入り口から上条の席は結構離れているので、走っても間に合わない。警備員(アンチスキル)を待てばいいのだろうが、それまで打ち止めの安全は保証されている訳では無い。
(どうすればいいんだ……何か逆転の手は?)
上条が考えていると、さらにもう一人入店してきた。
もちろん、男は振り向く。そしてそこに居たのは、
その『逆転の手』だった。
服も、肌も、髪の色も、全てが白い学園都市最強の超能力者(レベル5)。
一方通行。
(あいつは……!?)
「なんだテメエ!死にたくなけりゃ床に伏せろ!」
なぜか、男は一方通行の事を知らないらしい。
それに対して、一方通行の答えは簡単だった。
腕を振り抜き、ボディブローを男の脇腹に叩き込む。
車が激突したような轟音が響いた。
「ごは……あっ?」
男は何が起きたのか理解できていない様子だった。そして、そのまま床に倒れた。
一方通行は足元を見回し、音楽プレーヤーを踏み砕く。そして打ち止めの方を向いた。
「帰るぞ」
「えっ?」
「こンなに暴れて飯が食えると思ってンのか?」
「……そうだね」
そして踵を返して店を出ようとする。だが、店長らしき人物に呼び止められた。
「なンだよ?」
「いえ、お礼の代わりに食べて行ってはくれませんか?お代は結構ですので」
「いいンだな?」
店長は頷いた。一方通行は店内を見回す。そして、土御門たちが座っている席を見つけた。一方通行と打ち止めが座る。
少しの静けさの後、再び、レストランに騒がしさが戻ってきた。
「で、何だよ、用事ってのは?」
「ちょっと待った」
上条が割り込む。
「その話、打ち止めは聞いても良いのか?」
一方通行は少し考え、言った。
「良くねェだろォな」
「んじゃ、俺は打ち止めとあっちに行ってるからな」
上条は立ち上がって、打ち止めを連れて御坂の方に向かった。
上条には一つ、気になることがあった。
(なんで、ただの強盗があんな物を持っていたんだ……?)
ただの強盗が、あんなアンチスキルが使うような、いや、アンチスキルでも持っていないような装備を簡単に入手できるのか?
(あいつは……!?)
「なんだテメエ!死にたくなけりゃ床に伏せろ!」
なぜか、男は一方通行の事を知らないらしい。
それに対して、一方通行の答えは簡単だった。
腕を振り抜き、ボディブローを男の脇腹に叩き込む。
車が激突したような轟音が響いた。
「ごは……あっ?」
男は何が起きたのか理解できていない様子だった。そして、そのまま床に倒れた。
一方通行は足元を見回し、音楽プレーヤーを踏み砕く。そして打ち止めの方を向いた。
「帰るぞ」
「えっ?」
「こンなに暴れて飯が食えると思ってンのか?」
「……そうだね」
そして踵を返して店を出ようとする。だが、店長らしき人物に呼び止められた。
「なンだよ?」
「いえ、お礼の代わりに食べて行ってはくれませんか?お代は結構ですので」
「いいンだな?」
店長は頷いた。一方通行は店内を見回す。そして、土御門たちが座っている席を見つけた。一方通行と打ち止めが座る。
少しの静けさの後、再び、レストランに騒がしさが戻ってきた。
「で、何だよ、用事ってのは?」
「ちょっと待った」
上条が割り込む。
「その話、打ち止めは聞いても良いのか?」
一方通行は少し考え、言った。
「良くねェだろォな」
「んじゃ、俺は打ち止めとあっちに行ってるからな」
上条は立ち上がって、打ち止めを連れて御坂の方に向かった。
上条には一つ、気になることがあった。
(なんで、ただの強盗があんな物を持っていたんだ……?)
ただの強盗が、あんなアンチスキルが使うような、いや、アンチスキルでも持っていないような装備を簡単に入手できるのか?
イギリス、ロンドンの市街に、傭兵、ウィリアム・オルウェルは一人佇んでいた。
(一体何がどうなっているのであるか)
ウィリアムの体には、『聖人』としての力が戻り、若返って、高校生ほどになっていた。筋肉の量も、服の上からではわかりにくいほどまで減っている。とはいえ、『聖人』の力には筋力はあまり関係ないので、結果的には第三次世界大戦の後よりは腕力は上がっているのだが。
そんなウィリアムの後ろに、立つ影があった。
「騎士団長であるか」
「名前を呼んで欲しいものだが……まあいい」
背後に立つ騎士団長もまた、高校生ほどになっていた。とはいえ、ウィリアムとは違い、それほど見た目が違ってはいない。それだけ騎士団長が若作りだという事なのだろう。
「何の用であるか」
「聞かなくても分かるだろう?今何がどうなっているのか」
確認するように騎士団長は視線を投げかける。
「ということは、そちらでも起こっているのであるか?」
「ああ、たまたまウィンザー城にいたのだが、それでもこの魔術からは逃れられなかったようだ」
「ウィンザー城クラスの魔術防壁でも防ぎ切れなかった、という事であるか?」
「ああ。とはいっても、今のところ実害は無い様だ。ただ、原因に関しては今も調査中だ」
ウィリアムは、軽くうなずくと、振り返る。
「では、何故ここに来たのであるか?」
「ああ、それは簡単だ」
いつの間にか騎士団長の手にはロングソードが握られていた。おそらくフルンティングと呼ばれる霊装だろう。
「普段なら出来ない事をしたいだろう?」
「手合わせはいつでもできるであろう?」
ウィリアムの言葉に、軽い調子で騎士団長は返答する。
「まあ、確かにそうといえばそうだが、『聖人』の力が戻っているお前と勝負したいからな」
(ブリテン・ザ・ハロウィンの時に剣は交えたはずであるが……殺し合いではなく勝負をしたい、という事なのであろうな)
ウィリアムは頷いて、
「では、行くとしよう」
騎士団長と共に郊外へと、家の屋根を飛び移りながら移動していった。
(一体何がどうなっているのであるか)
ウィリアムの体には、『聖人』としての力が戻り、若返って、高校生ほどになっていた。筋肉の量も、服の上からではわかりにくいほどまで減っている。とはいえ、『聖人』の力には筋力はあまり関係ないので、結果的には第三次世界大戦の後よりは腕力は上がっているのだが。
そんなウィリアムの後ろに、立つ影があった。
「騎士団長であるか」
「名前を呼んで欲しいものだが……まあいい」
背後に立つ騎士団長もまた、高校生ほどになっていた。とはいえ、ウィリアムとは違い、それほど見た目が違ってはいない。それだけ騎士団長が若作りだという事なのだろう。
「何の用であるか」
「聞かなくても分かるだろう?今何がどうなっているのか」
確認するように騎士団長は視線を投げかける。
「ということは、そちらでも起こっているのであるか?」
「ああ、たまたまウィンザー城にいたのだが、それでもこの魔術からは逃れられなかったようだ」
「ウィンザー城クラスの魔術防壁でも防ぎ切れなかった、という事であるか?」
「ああ。とはいっても、今のところ実害は無い様だ。ただ、原因に関しては今も調査中だ」
ウィリアムは、軽くうなずくと、振り返る。
「では、何故ここに来たのであるか?」
「ああ、それは簡単だ」
いつの間にか騎士団長の手にはロングソードが握られていた。おそらくフルンティングと呼ばれる霊装だろう。
「普段なら出来ない事をしたいだろう?」
「手合わせはいつでもできるであろう?」
ウィリアムの言葉に、軽い調子で騎士団長は返答する。
「まあ、確かにそうといえばそうだが、『聖人』の力が戻っているお前と勝負したいからな」
(ブリテン・ザ・ハロウィンの時に剣は交えたはずであるが……殺し合いではなく勝負をしたい、という事なのであろうな)
ウィリアムは頷いて、
「では、行くとしよう」
騎士団長と共に郊外へと、家の屋根を飛び移りながら移動していった。
第三次世界大戦を潜り抜けても、やっぱり浜面仕上の人生は変わらなかった。いや、元に戻ったと言うのかもしれない。
「遅い、はまづら」
「超遅いですね。やはり浜面は超浜面ですね」
「結局、そこがダメなんだよね」
「……大丈夫。それでもはまづらははまづらだから」
待ち合わせの時間には数分遅れただけなのだが、それでこの対応である。一応、滝壺は擁護してくれているようだが、意味がさっぱり分からない。
(『アイテム』再結成なんて、言わなきゃ良かったかもなぁ……)
などと考えても、現実は変わらない。パシリなのは相変わらずだった。
「で、今日はなんで俺を呼んだんだ?」
「買い物に行くから、荷物持ち」
麦野に一瞬で返答された。
「麦野一人で持てるだろ」
一見麦野の手は細く、非力に見えるが、これでも浜面並、もしかすると浜面以上の腕力がある。
いくら浜面がパシリポジションだと言っても、荷物持ちが必要だとは思えないし、そもそも女性の買い物に男がついていくのもどうかと浜面は思うのだが……
場が凍った。
「……超本気ですか?」
「……結局、やっぱりダメダメだね、浜面」
「……はまづら……」
麦野以外の全員に、まるでゴミをあさるホームレスを見るような目を向けられた。
「え?何でだよ……」
どういうことなのか分からない。
「もしかして、浜面は超鈍感なんですか?」
絹旗に質問された。
「分かった分かった、ついて行けばいいんだろ」
刺すような視線に耐えられないので、浜面は反論を諦めた。
「それじゃ、行こうか」
麦野が立ち上がり、絹旗、フレンダ、滝壺も続いて立ち上がる。
そしてそのまま立ち去ろうとする。
「っておい!代金は!?」
麦野は振り返って、
「よろしく」
そのまま店の外に4人で出て行った。
机の上には意外と多い量の料理が置かれている。フライドポテトなど、軽い物が多いが、それでもこれだけあると……
(俺の財布が……)
そんなに浜面は金持ちではない。財布に与える影響を考え、膝をつきたくなる。
が、浜面には別に気になることがあった。
(なんか今日は違和感を感じるな……なんか一人多いような……っていうか全員同じ年だっけ?まあいいか)
結局どうでもいいという結論に達し、また怒られる前に代金を支払って麦野を追いかける事にした。
「遅い、はまづら」
「超遅いですね。やはり浜面は超浜面ですね」
「結局、そこがダメなんだよね」
「……大丈夫。それでもはまづらははまづらだから」
待ち合わせの時間には数分遅れただけなのだが、それでこの対応である。一応、滝壺は擁護してくれているようだが、意味がさっぱり分からない。
(『アイテム』再結成なんて、言わなきゃ良かったかもなぁ……)
などと考えても、現実は変わらない。パシリなのは相変わらずだった。
「で、今日はなんで俺を呼んだんだ?」
「買い物に行くから、荷物持ち」
麦野に一瞬で返答された。
「麦野一人で持てるだろ」
一見麦野の手は細く、非力に見えるが、これでも浜面並、もしかすると浜面以上の腕力がある。
いくら浜面がパシリポジションだと言っても、荷物持ちが必要だとは思えないし、そもそも女性の買い物に男がついていくのもどうかと浜面は思うのだが……
場が凍った。
「……超本気ですか?」
「……結局、やっぱりダメダメだね、浜面」
「……はまづら……」
麦野以外の全員に、まるでゴミをあさるホームレスを見るような目を向けられた。
「え?何でだよ……」
どういうことなのか分からない。
「もしかして、浜面は超鈍感なんですか?」
絹旗に質問された。
「分かった分かった、ついて行けばいいんだろ」
刺すような視線に耐えられないので、浜面は反論を諦めた。
「それじゃ、行こうか」
麦野が立ち上がり、絹旗、フレンダ、滝壺も続いて立ち上がる。
そしてそのまま立ち去ろうとする。
「っておい!代金は!?」
麦野は振り返って、
「よろしく」
そのまま店の外に4人で出て行った。
机の上には意外と多い量の料理が置かれている。フライドポテトなど、軽い物が多いが、それでもこれだけあると……
(俺の財布が……)
そんなに浜面は金持ちではない。財布に与える影響を考え、膝をつきたくなる。
が、浜面には別に気になることがあった。
(なんか今日は違和感を感じるな……なんか一人多いような……っていうか全員同じ年だっけ?まあいいか)
結局どうでもいいという結論に達し、また怒られる前に代金を支払って麦野を追いかける事にした。