そんな大混乱真っ最中の美琴の状況を、一部始終を見ていた人影が一つ。
その人物は、然も面白いものを見つけたという不敵な笑みを浮かべながら、二人に近付いく。
「みさかみさかー、なにしてるー?」
メイド服姿の少女、土御門舞夏は二人に接触を試みた。
その人物は、然も面白いものを見つけたという不敵な笑みを浮かべながら、二人に近付いく。
「みさかみさかー、なにしてるー?」
メイド服姿の少女、土御門舞夏は二人に接触を試みた。
しかし、意外にも反応は返ってこなかった。
現在美琴さんは絶賛上条さんを心配中で、舞夏の声など全くと言っていいほど届いていなかった。(上条さんは気絶中)
何度も声をかけ、結構な位置にまで近付いたのだが、美琴は未だに気付く気配なし。
ただいま絶賛大混乱中だ。
現在美琴さんは絶賛上条さんを心配中で、舞夏の声など全くと言っていいほど届いていなかった。(上条さんは気絶中)
何度も声をかけ、結構な位置にまで近付いたのだが、美琴は未だに気付く気配なし。
ただいま絶賛大混乱中だ。
「落ち着こう、まずは落ち着こう……。深呼吸、そう、まずは深呼吸よ」
自分自身に言い聞かせ、気分を落ち着けようと深呼吸を始めるが、何か呼吸がおかしい。
「いや、それ違うだろー」
深呼吸ではなく、何故かラマーズ法をやっている美琴に、口に出して突っ込んでしまったが、それでも美琴さんは舞夏の存在に全く気付いていません。
「(ここまで気付かないのも、ある意味すごいなー)」
などと舞夏が感心していると、呼吸法の間違いに気付いたようで、普通に深呼吸し始めた。
「スー……ハァー……スー……ハァー……よし!」
数回深呼吸を繰り返し、なんとか正気を取り戻す御坂美琴。
しかし、正気を取り戻した事で、ようやく間近にいた土御門舞夏の存在に気付く。
「……」
「よー、みさかー」
ようやく自分の存在に気付いた美琴に対し、舞夏は満面の笑みであいさつする。
「つ、土御門!?」
美琴は驚きの声を上げると、変なポーズで固まった。
自分自身に言い聞かせ、気分を落ち着けようと深呼吸を始めるが、何か呼吸がおかしい。
「いや、それ違うだろー」
深呼吸ではなく、何故かラマーズ法をやっている美琴に、口に出して突っ込んでしまったが、それでも美琴さんは舞夏の存在に全く気付いていません。
「(ここまで気付かないのも、ある意味すごいなー)」
などと舞夏が感心していると、呼吸法の間違いに気付いたようで、普通に深呼吸し始めた。
「スー……ハァー……スー……ハァー……よし!」
数回深呼吸を繰り返し、なんとか正気を取り戻す御坂美琴。
しかし、正気を取り戻した事で、ようやく間近にいた土御門舞夏の存在に気付く。
「……」
「よー、みさかー」
ようやく自分の存在に気付いた美琴に対し、舞夏は満面の笑みであいさつする。
「つ、土御門!?」
美琴は驚きの声を上げると、変なポーズで固まった。
「しかし、さっきのみさかは傑作だったなー。ぷぷぷぷ……」
「忘れろー! 今すぐに忘れろー! 記憶から永遠に消去しろー!」
「そりゃ無理だなー。あんな強烈なの忘れろなんて」
「う〜……」
心底楽しそうな笑みを浮かべながら、清掃ロボに乗って美琴を先導する舞夏。
美琴の強烈な威嚇も軽く流し全く動じないところ、なかなか度胸が据わっている。
電撃喰らわせて記憶を消去させたいところだが、上条に肩を貸して歩いているためか、電撃は発生しない。(右手に触れてるんで)
「ていうか、あんたも手伝いなさいよ。結構きついんだけど……」
「自業自得じゃないかー? 全く、病人に向かって電撃ぶっ放すだなんて、普通信じられないぞー」
「うっ……! そ、それはまあ、そうなんだけど……あれはまあ……何というか……挨拶みたいなもので……」
「物騒な挨拶だなー」
「ううっ……」
痛いところをつかれ口篭もる。
舞夏の言う事ももっともだ。
というか、普段から電撃ぶっ放す事が挨拶になってることがおかしい。
「まあ、そんな心配しなくても、もう着いたから。ほら、この寮だぞー」
清掃ロボの回転でこちらを向いた舞夏が、じゃじゃーんと効果音のつきそうな勢いで紹介する。
まあ、とくになんの変哲もない、学園都市のどこにでも建っていそうな普通の寮だ。
「(こいつ、この寮に住んでるのね……)」
ようやく知ることの出来た上条の家に、ちょっぴり嬉しそうな美琴。
しかしその反面、舞夏が上条の家を知っていた事にモヤモヤしたものを感じている。
「(土御門の兄貴が、こいつの家のお隣りさんとか言ってたけど、本当かしら? いや、たとえそれが本当だとしても、本当にそれだけ?)」
ここに案内される前、舞夏が上条のことを知っている事に美琴は過剰に反応してしまった。
またこの男は、舞夏のピンチでも救ってお近付きになったのではないのかと。
その反応が、舞夏の悪戯心にさらなる拍車をかけてしまう。
舞夏と上条の関係について、間違いではないけれど勘違いされそうな説明をしてくれたので、美琴としてはずーっとモヤモヤしっぱなしだった。
中でも、『偶に晩御飯のおかずをおっそわけしたりしてるなー』は、聞き捨てならないセリフだった。
「(偶にってどのくらいかしら?)」と知恵熱出そうなほど考え込み、いろんな妄想を膨らませる事となっていた。
「どうかしたかー?」
舞夏がいやらしい笑みを浮かべながら、美琴の表情を窺っていた。
「な、なんでもないわよ!」
「そうかー。それならさっさと行こうー」
舞夏先導のもと、寮の中へと入っていった。
「忘れろー! 今すぐに忘れろー! 記憶から永遠に消去しろー!」
「そりゃ無理だなー。あんな強烈なの忘れろなんて」
「う〜……」
心底楽しそうな笑みを浮かべながら、清掃ロボに乗って美琴を先導する舞夏。
美琴の強烈な威嚇も軽く流し全く動じないところ、なかなか度胸が据わっている。
電撃喰らわせて記憶を消去させたいところだが、上条に肩を貸して歩いているためか、電撃は発生しない。(右手に触れてるんで)
「ていうか、あんたも手伝いなさいよ。結構きついんだけど……」
「自業自得じゃないかー? 全く、病人に向かって電撃ぶっ放すだなんて、普通信じられないぞー」
「うっ……! そ、それはまあ、そうなんだけど……あれはまあ……何というか……挨拶みたいなもので……」
「物騒な挨拶だなー」
「ううっ……」
痛いところをつかれ口篭もる。
舞夏の言う事ももっともだ。
というか、普段から電撃ぶっ放す事が挨拶になってることがおかしい。
「まあ、そんな心配しなくても、もう着いたから。ほら、この寮だぞー」
清掃ロボの回転でこちらを向いた舞夏が、じゃじゃーんと効果音のつきそうな勢いで紹介する。
まあ、とくになんの変哲もない、学園都市のどこにでも建っていそうな普通の寮だ。
「(こいつ、この寮に住んでるのね……)」
ようやく知ることの出来た上条の家に、ちょっぴり嬉しそうな美琴。
しかしその反面、舞夏が上条の家を知っていた事にモヤモヤしたものを感じている。
「(土御門の兄貴が、こいつの家のお隣りさんとか言ってたけど、本当かしら? いや、たとえそれが本当だとしても、本当にそれだけ?)」
ここに案内される前、舞夏が上条のことを知っている事に美琴は過剰に反応してしまった。
またこの男は、舞夏のピンチでも救ってお近付きになったのではないのかと。
その反応が、舞夏の悪戯心にさらなる拍車をかけてしまう。
舞夏と上条の関係について、間違いではないけれど勘違いされそうな説明をしてくれたので、美琴としてはずーっとモヤモヤしっぱなしだった。
中でも、『偶に晩御飯のおかずをおっそわけしたりしてるなー』は、聞き捨てならないセリフだった。
「(偶にってどのくらいかしら?)」と知恵熱出そうなほど考え込み、いろんな妄想を膨らませる事となっていた。
「どうかしたかー?」
舞夏がいやらしい笑みを浮かべながら、美琴の表情を窺っていた。
「な、なんでもないわよ!」
「そうかー。それならさっさと行こうー」
舞夏先導のもと、寮の中へと入っていった。
「ここがこいつの部屋……」
初めて入る上条当麻の部屋。
男の一人暮らし(実際は違うのだが)の部屋にしては、意外にも普通に片付いている。
美琴が想像していた、男の一人暮らしの部屋とは全くかけ離れていた。
いろいろと目がいってしまうが、とりあえず何より先に上条当麻をベットに寝かせるのが先だ。
舞夏にも手伝って欲しいところだが、生憎今はいない。
隣りの兄貴の部屋に荷物を置きに行っている。
少し待っていればすぐ来るだろうが、今は時間がおしい。
早く上条を寝かせてあげたかった。
「よいしょっと……」
未だ目を覚ます気配のない上条を支え直すとベッドへと運ぶ。
「(ようやく終わりか……)」
ちょっとした苦行(美琴さん的にはドキドキイベント?)が終わるんだなー、と気を抜いたその時、
初めて入る上条当麻の部屋。
男の一人暮らし(実際は違うのだが)の部屋にしては、意外にも普通に片付いている。
美琴が想像していた、男の一人暮らしの部屋とは全くかけ離れていた。
いろいろと目がいってしまうが、とりあえず何より先に上条当麻をベットに寝かせるのが先だ。
舞夏にも手伝って欲しいところだが、生憎今はいない。
隣りの兄貴の部屋に荷物を置きに行っている。
少し待っていればすぐ来るだろうが、今は時間がおしい。
早く上条を寝かせてあげたかった。
「よいしょっと……」
未だ目を覚ます気配のない上条を支え直すとベッドへと運ぶ。
「(ようやく終わりか……)」
ちょっとした苦行(美琴さん的にはドキドキイベント?)が終わるんだなー、と気を抜いたその時、
スルッ……!
何か踏んだわけでもないのに、足がスベった。
「えっ!? ちょ、ちょっと待って!?」
静止の声を叫ぶが、そんな願いが届くはずもなく、美琴は盛大にバランスを崩す。
「と、と、ととととと……」
なんとか体勢を整えようとするも、もはや無駄な抵抗でしかなく、盛大にひっくり返るのだった。
「きゃっ!」
「えっ!? ちょ、ちょっと待って!?」
静止の声を叫ぶが、そんな願いが届くはずもなく、美琴は盛大にバランスを崩す。
「と、と、ととととと……」
なんとか体勢を整えようとするも、もはや無駄な抵抗でしかなく、盛大にひっくり返るのだった。
「きゃっ!」
ボスッ……!
しかしながら運が良かったのか、倒れ込んだのはベッドの上だ。
……が、この状況は運が良かったと言っていいのだろうか?
仰向けにベッドに倒れた美琴の上に、上条当麻が覆い被さるように倒れ込んだのだ。
「わっ、わっ、な、な、ななななな……!」
思わぬハプニングにカチコチに固まる。
顔はもうこれでもかというくらい真っ赤になる。
肩を貸していた時もそれなり密着していたのだが、この状況はもう先程までの比ではない。
はっきり言って、現在の御坂美琴は上条当麻に抱きつかれて押し倒されているようなものなのだから。
上条の顔がすぐ真横にあり、彼の息遣いがリアルに直接聞こえてくる。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
風邪のせいで息遣いが荒いのだが、この状態だと美琴を押し倒して興奮して息が荒いように思えてしまう。
「え、えっと……」
一応、上に乗っかってる上条を退かすことくらいはなんとかできるかもしれないのだが、美琴は何も出来なかった。
いや、何もしようとしなかった。
「もう少し…このままでも……いいよ、ね?」
そう思ってしまったから。
……が、この状況は運が良かったと言っていいのだろうか?
仰向けにベッドに倒れた美琴の上に、上条当麻が覆い被さるように倒れ込んだのだ。
「わっ、わっ、な、な、ななななな……!」
思わぬハプニングにカチコチに固まる。
顔はもうこれでもかというくらい真っ赤になる。
肩を貸していた時もそれなり密着していたのだが、この状況はもう先程までの比ではない。
はっきり言って、現在の御坂美琴は上条当麻に抱きつかれて押し倒されているようなものなのだから。
上条の顔がすぐ真横にあり、彼の息遣いがリアルに直接聞こえてくる。
「ハァ…ハァ…ハァ……」
風邪のせいで息遣いが荒いのだが、この状態だと美琴を押し倒して興奮して息が荒いように思えてしまう。
「え、えっと……」
一応、上に乗っかってる上条を退かすことくらいはなんとかできるかもしれないのだが、美琴は何も出来なかった。
いや、何もしようとしなかった。
「もう少し…このままでも……いいよ、ね?」
そう思ってしまったから。
しかし、美琴は忘れていた。
ここへ案内してくれた少女の存在を。
「待たせたなー、みさかー。どうだー、上条当麻の容態……」
陽気な声を上げながら部屋に駆けつけた舞夏は、目の前の光景に言葉を失う。
ベッドの上にもつれ合う若い男女二人。
御坂美琴が上条当麻にベッドに押し倒されているように見える。
「……」
「……」
「え〜っと……土御門?」
沈黙に耐え切れなかった美琴が先に口を開くが、
「あーそーだそーだ舞夏さんまだしごとがのこってたんだーいそいでやらないとー」
いかにもわざとらしいセリフを完全棒読みすると、何事もなかったかのように、舞夏は部屋を出て行こうとする。
「ちょ、ま、待ちなさい、土御門! こ、これは違うの! 誤解なのよ!」
慌てて美琴は起き上がるが、新たなハプニングが発生する。
ここへ案内してくれた少女の存在を。
「待たせたなー、みさかー。どうだー、上条当麻の容態……」
陽気な声を上げながら部屋に駆けつけた舞夏は、目の前の光景に言葉を失う。
ベッドの上にもつれ合う若い男女二人。
御坂美琴が上条当麻にベッドに押し倒されているように見える。
「……」
「……」
「え〜っと……土御門?」
沈黙に耐え切れなかった美琴が先に口を開くが、
「あーそーだそーだ舞夏さんまだしごとがのこってたんだーいそいでやらないとー」
いかにもわざとらしいセリフを完全棒読みすると、何事もなかったかのように、舞夏は部屋を出て行こうとする。
「ちょ、ま、待ちなさい、土御門! こ、これは違うの! 誤解なのよ!」
慌てて美琴は起き上がるが、新たなハプニングが発生する。
むにぃ……
上半身を起こした際に上条当麻の頭が、つーと滑るように流れ、上手い具合に胸元で止まった。
「ちょ……!?」
「おおおー!」
驚愕と歓喜、二つの声が同時に上がる。
そして未だ絶賛気絶中の上条当麻は、そんな声にも反応する事もなく、母性の塊(塊といえるほどのものではないが……)が心地いいのか甘えるように頬擦りしていた。
「ちょ、ちょっと……」
「ん……」
声に反応した、わけではなく、ただ唸っただけ。
上条さんは現在美琴さんの母性の塊を堪能中。
「じゃあなーみさかー、がんばってな〜♪」
と、上条に気を取られている内に、舞夏はとても楽しそうな笑顔を向けて部屋から出て行った。
「ちょ、ちょっと、待っ……土御門!?」
追おうとするも、動いた際に美琴の胸から解放された上条がベッドから落ちそうになったので、それを助けたりしている内に追えなくなった。
かくして、二人だけが部屋に取り残された。
「えっと……どうしよう?」
美琴の問いに答えるものはいない。
唯一の存在、上条当麻は未だ目を覚ます気配はなかった。
「ちょ……!?」
「おおおー!」
驚愕と歓喜、二つの声が同時に上がる。
そして未だ絶賛気絶中の上条当麻は、そんな声にも反応する事もなく、母性の塊(塊といえるほどのものではないが……)が心地いいのか甘えるように頬擦りしていた。
「ちょ、ちょっと……」
「ん……」
声に反応した、わけではなく、ただ唸っただけ。
上条さんは現在美琴さんの母性の塊を堪能中。
「じゃあなーみさかー、がんばってな〜♪」
と、上条に気を取られている内に、舞夏はとても楽しそうな笑顔を向けて部屋から出て行った。
「ちょ、ちょっと、待っ……土御門!?」
追おうとするも、動いた際に美琴の胸から解放された上条がベッドから落ちそうになったので、それを助けたりしている内に追えなくなった。
かくして、二人だけが部屋に取り残された。
「えっと……どうしよう?」
美琴の問いに答えるものはいない。
唯一の存在、上条当麻は未だ目を覚ます気配はなかった。
さて、上条当麻の部屋から出て行った土御門舞夏だが、彼女は本当に立ち去ったわけではなかった。
現在彼女は、一旦寮から出ると近くに身を潜めていた。
身を隠しながら眺める彼女の視線の先には、たった今出て来たばかりの学生寮がある。
しばらくそこの出入口と上条当麻の部屋のベランダを観察していると、上条当麻の部屋のベランダに御坂美琴が出て来た。
美琴はベランダから下界を見下ろし辺りを探っている。
捜しているのはたぶん自分、土御門舞夏だ。
しかし、舞夏は見つからない。
舞夏からは美琴は見えているが、美琴から舞夏は見えていない。
しばらく辺りを見渡していたが、やがて諦めたのか部屋の中へと戻っていった。
「(ふぅー……)」
一息安堵のため息をつくが、すぐに何かを思い出し、携帯電話を取り出す。
携帯の登録メモリを呼び出し、そこにある番号の一つに電話をかける。
『は、はい! もしもし、こちらインデックスです……』
未だ電話馴れしていない純白シスターの応答が返ってきた。
「おー、もしもし、シスターか?」
『あー、まいか? どうかしたの? でんわなんてめずらしいね?』
「うーん、それなんだがなー……とその前に、シスター、つかぬ事を聞くが、今どこだ?」
『ふぇ、今? 今はこもえとあいさと一緒に、スーパーの試食品を食べ歩いてるけど……モグモグ』
電話の向こうから、『シスターちゃん、食べながら話しちゃはしたないですよー』と言う声が聞こえてくる。
『今日はね、おおとくわりびきの日なんだって。だから今日はこもえの家でみんなで鍋にしよう話になってるんだけど、まいかも来る?』
「うーん、お誘いは嬉しいんだがなー、生憎と舞夏さんは忙しいんだなー」
『そっかー、それは残念だね……』
と普通にインデックスと会話しながら、舞夏は状況を分析する。
(こもえって人のところで夕食をお呼ばれとなると、寮に帰ってくるのはそれなりに遅くなるか? それはそれで好都合なんだが……)
『それでね、今日はこもえのところにお泊りするんだ』
「なにぃ!?」
『わっ、わっ! どうしたの、まいか?』
あまりにも願ってもない展開に大きな声を上げてしまった。
舞夏としては、今この純白シスターに帰ってきてほしくなかったので、状況としてはなんとも好都合な展開だった。
「あ、いや、なんでもないぞー、はははは……。そ−か、シスター今日はお泊りかー。上条当麻には連絡したのかー?」
『ううーん、とうまに今日はこもえのところに泊まるって伝えたいんだけど、連絡がつかないんだよ』
「そーか、それなら私から上条当麻に伝えておいてやるぞー。ちょうど今寮だし、さっき部屋に帰ってきたみたいだしなー」
『ほんとー? ありがとう、まいか。助かるよ』
「はっはっはー、礼には及ばんよー。それじゃあな、シスター」
『うん、ってまいか、何かようがあったんじゃないの?』
「ん、ああ、それはもういいんだ。もう解決したからなー」
『?』
そういって電話を切ると、舞夏は小さくガッツポーズする。
あまりにも、あまりにも好都合な展開に、もう嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
「とはいえ、あとはみさか次第なんだけどなー……さて」
気持ちを切り替えて、舞夏は再び寮の中へと戻っていく。
目指すは上条当麻の部屋、の隣りの兄貴の部屋。
上条当麻と御坂美琴の状況を探るには、なんともベストな場所だ。
今夜は楽しい一夜になるかなー、と期待に胸を膨らませていた。
現在彼女は、一旦寮から出ると近くに身を潜めていた。
身を隠しながら眺める彼女の視線の先には、たった今出て来たばかりの学生寮がある。
しばらくそこの出入口と上条当麻の部屋のベランダを観察していると、上条当麻の部屋のベランダに御坂美琴が出て来た。
美琴はベランダから下界を見下ろし辺りを探っている。
捜しているのはたぶん自分、土御門舞夏だ。
しかし、舞夏は見つからない。
舞夏からは美琴は見えているが、美琴から舞夏は見えていない。
しばらく辺りを見渡していたが、やがて諦めたのか部屋の中へと戻っていった。
「(ふぅー……)」
一息安堵のため息をつくが、すぐに何かを思い出し、携帯電話を取り出す。
携帯の登録メモリを呼び出し、そこにある番号の一つに電話をかける。
『は、はい! もしもし、こちらインデックスです……』
未だ電話馴れしていない純白シスターの応答が返ってきた。
「おー、もしもし、シスターか?」
『あー、まいか? どうかしたの? でんわなんてめずらしいね?』
「うーん、それなんだがなー……とその前に、シスター、つかぬ事を聞くが、今どこだ?」
『ふぇ、今? 今はこもえとあいさと一緒に、スーパーの試食品を食べ歩いてるけど……モグモグ』
電話の向こうから、『シスターちゃん、食べながら話しちゃはしたないですよー』と言う声が聞こえてくる。
『今日はね、おおとくわりびきの日なんだって。だから今日はこもえの家でみんなで鍋にしよう話になってるんだけど、まいかも来る?』
「うーん、お誘いは嬉しいんだがなー、生憎と舞夏さんは忙しいんだなー」
『そっかー、それは残念だね……』
と普通にインデックスと会話しながら、舞夏は状況を分析する。
(こもえって人のところで夕食をお呼ばれとなると、寮に帰ってくるのはそれなりに遅くなるか? それはそれで好都合なんだが……)
『それでね、今日はこもえのところにお泊りするんだ』
「なにぃ!?」
『わっ、わっ! どうしたの、まいか?』
あまりにも願ってもない展開に大きな声を上げてしまった。
舞夏としては、今この純白シスターに帰ってきてほしくなかったので、状況としてはなんとも好都合な展開だった。
「あ、いや、なんでもないぞー、はははは……。そ−か、シスター今日はお泊りかー。上条当麻には連絡したのかー?」
『ううーん、とうまに今日はこもえのところに泊まるって伝えたいんだけど、連絡がつかないんだよ』
「そーか、それなら私から上条当麻に伝えておいてやるぞー。ちょうど今寮だし、さっき部屋に帰ってきたみたいだしなー」
『ほんとー? ありがとう、まいか。助かるよ』
「はっはっはー、礼には及ばんよー。それじゃあな、シスター」
『うん、ってまいか、何かようがあったんじゃないの?』
「ん、ああ、それはもういいんだ。もう解決したからなー」
『?』
そういって電話を切ると、舞夏は小さくガッツポーズする。
あまりにも、あまりにも好都合な展開に、もう嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
「とはいえ、あとはみさか次第なんだけどなー……さて」
気持ちを切り替えて、舞夏は再び寮の中へと戻っていく。
目指すは上条当麻の部屋、の隣りの兄貴の部屋。
上条当麻と御坂美琴の状況を探るには、なんともベストな場所だ。
今夜は楽しい一夜になるかなー、と期待に胸を膨らませていた。