とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

3-06

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匿名ユーザー

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(3-27)
一方舞台をはけた上条と五和は舞台袖の荷物搬入口まで逃げてきた。

「はあ、はあ。ここまでくれば一安心だ」
「あっ、あのーっ、当麻さん。先ほどは助けて頂きありがとうございました」
「気にするなって。
 御坂のヤツも何考えてんだ!小学生にスプラッターを見せる気だったのか、全く。
 そんなことより一体どうしたんだ。五和!?」
「はい。まさか弾丸よけの魔法陣が破られるとは思ってなかったもので焦っちゃいました。
 それに天草式の皆で張った結界まで破っちゃうなんて、やっぱり皆さんすごいですね」

「そうじゃなくて、五和。この茶番は一体何なんだ!?」
「えーっと、どういうことかと尋ねられましても……………………ハハッ、アハハッ」

笑って誤魔化そうとする五和に上条は詰め寄る。

「そもそも天草式は一体学園都市(ここ)で何してやがる!?」
「それはですねぇー、そのーっ、私達は学園都市からの依頼で動いて…………」
「何!学園都市からの依頼だぁあ?」
「わっ、わっ、ゴメンナサイ。今のは内緒の話なんです。
 お願いです!今のは聞かなかったことにしてもらえません?」
「バカ野郎!そこまで話を聞いて、簡単にハイそうですかって言えるか!」
「じゃあ後で必ずお話しますからそれまで内緒にしてもらえませんか?」
「後っていつだよ?」
「では火曜日の夕刻、当麻さんの下宿でよろしいですか?」
「それまで黙ってりゃ良いんだな。ああ、わかったよ」
「ありがとうございます。では火曜日に」

そう言うと五和は荷物搬入口からスルリと外へ抜け出した。
あんな格好のまま外へ出て大丈夫か?と心配した上条が搬入口から顔を出した時には五和
の姿はどこにも見えなかった。
どこかで人払いの術式を掛けたのだろう。引き際の速さも天草式らしかった。

「(ようやく終わったな)ふーっ」と一息ついた上条上条であったが「当麻さん」と突然
背後から掛けられた呼びかけにビクッと身体を震わせる。

「当麻さん、とミサカは再度呼びかけます。ひょっとしてお邪魔でしたか?」
「み、御坂妹。えーっと、お前いつからそこに?」
「確か『私達は学園都市からの依頼で動いて』という辺りからです、とミサカは正直に応えます。
 あの人が当麻さんのお知り合いだったということは、ミサカがあの人の槍を狙撃した
 ことは当麻さんにとって余計なお世話だったのでしょうか?
 とミサカは当麻さんの反応を探るように問いかけます」
「そんなこと無いぞ!お前は良くやった。
 五和のヤツもまさか弾丸よけの魔法陣が破られるとは思わなかったってビックリしてたぞ」

「ではミサカは当麻さんのお役に立ったのですね?
 とミサカはまだ少し不安げな表情を残したまま尋ねます」
「当たり前だ!」
「では、ミサカは当麻さんにご褒美を要求します
 とミサカは少し頬を赤らめながらもここぞとばかりに当然の対価を請求します」
「えっ?えーっと、ご褒美?
 ちょっと待て!(貧乏)学生の俺に余裕(お金)なんてないぞ!」

「当麻さんに経済的余裕がない、端的に言えば貧乏だ、ということぐらい承知しています
 とミサカは無理難題を押しつけるつもりはありませんと予め断っておきます。
 その代わり当麻さんのお時間を少しミサカに頂けませんか?
 とミサカは当麻さんにとってもリーズナブルな提案をしてみます」
「時間?」
「はい。水曜日の放課後をミサカのために空けてもらえませんか?
 とミサカはこれぐらいならOKでしょという口調でお願いしてみます」
「(ホッ、それくらいなら問題ないよな)そんなことならおやすいご用だ!まかせとけ」

「「「「「「「「「 約束しましたよ 」」」」」」」」」

突如響いたサラウンド音声に上条は狼狽える。
なぜだか背中に冷たい汗が流れ出した上条は恐る恐る後ろを振り返る。

「げっ、御坂妹がいっぱい!!」

そこには常盤台中学校の制服に身を包み頭にNVゴーグルを着けた全く同じ顔の美少女達
がズラリと並んでいた。
妹達は一斉に顔を赤らめるとサラウンド放送を再開した。

「「「「「「「「「 水曜日が楽しみです、とミサカは満面の笑みを浮かべます 」」」」」」」」」
「「「「「「「「「 確かに約束しましたからね、とミサカは再度念を押します 」」」」」」」」」

サラウンド放送を終了した妹達は嬉々として三々五々に帰っていった。
呆気にとられて暫く真っ白になっていた上条が正気に戻ると既に妹達の姿はなかった。
上条は「ふ──────っ」と先ほどより大きなため息を漏らしていた。


(3-28)
しかし「上条君」と再び掛けられた声にまたしても上条はビクッと身体を震わせる。

「そ、その声は姫神さんでしょうか?と上条さんは少しオドオドしながら問いかけます」
「どうしたの?上条君。口調が変。何かやましいことでもあるのかな?」
「いや、そんなことは決してありません。上条さんは清廉潔白です」

上条は振り返りつつ不自然なほどのオーバーアクションで否定してみせた。

「そんなことより。上条君。ほっぺから血が出てる」
「えっ、そうなの?」

上条が左手の甲で右頬をこすると手の甲に赤い血がついていた。
どうやら先ほどの爆発の際破片が頬をかすったようだ。

「早く治療しないといけない」

そう言いながら上条ににじり寄ってくる姫神秋沙を上条は両掌で牽制する。

「いや。大丈夫だって、姫神。こんなかすり傷、唾でも付けてりゃ治るって!」
「上条君!!」

姫神秋沙のしかりつけるような声に上条は言葉を詰まらせてしまった。
これ以上抵抗してもどうにもならないようだ。

「傷を見せなさい!」
「…………はい」

姫神秋沙は右手を上条の顎に当てると左手で右耳を引っ張って上条の右頬を引き寄せた。

「ホラよく見てみろ!大したこと無いだろ…………」

そう言いかけた上条は右頬に暖かい吐息がかかったと思うと姫神秋沙の濡れた唇が右頬に吸い付くのを感じた。
軟体動物が蠢くような感触に上条の脊髄をゾクゾクゾクと電流が突き抜ける。
それは不快なものではなかった、というより不快とは正反対の感覚だった。

顔を真っ赤にする上条であったが姫神秋沙に耳をつままれているため身動きできない。
そして上条の頬に吸い付いた姫神秋沙が唇を離すと今度はたっぷりと唾液を含んだ舌が
その舌腹で上条の傷を優しく舐めあげる。
そして再び唇を押しつけると少し開いた唇の隙間を舌先が触れるか触れないかの強さで
チロチロと上条の傷を愛撫するように何度も往復する。
その身体の芯まで痺れてしまうような感触に上条は耳たぶまで真っ赤にしてしまう。

「ちょっ、ちょっと姫神!なにやって…………」

上条の傷を舐めていた姫神秋沙は頬に付いた唾液を吸い取るように「チューッ」という
音を立てるとようやく唇を離した。

「はい。治療お終い!」
「ちっ、治療?」
「君が唾でも治るからって言った。でも君の舌は君の頬には届かない。だから私の出番」

そう言う姫神秋沙の顔は真っ赤に染まっていた。
そしてどこからか絆創膏を取り出すと上条の頬にペタっと貼り付けた。

「でも化膿しないか心配だから明日の放課後上条君の下宿に様子を見に行ってあげる」
「いや、大丈夫だって!こんなの傷のうちにも入らないからさ。別に明日来なくてもさ」
「だって。火曜日と水曜日はダメなんでしょ?」
「うっ!(バレてる。全部バレてる。五和のことも、妹達のことも…………)」

上条は言葉を詰まらせた。
どうやら先ほどまでの会話は全て姫神秋沙に聞かれていたようだ。
ここにいたって上条は無条件降伏を受け入れるしか選択肢が無くなっていた。

「…………よっ、よろしくお願いします…………」
「どういたしまして。上条君。お大事にね」

そう言う姫神秋沙の顔は満面の笑みで溢れていた。
まるでワルツのステップを踏むような軽やかさで姫神秋沙がクルッと回転するとルンルン
とスキップしながら舞台側の出口へと出て行った。
一人残された上条当麻はそこで今日一番の大きなため息をついた。
どうやらこの一週間は大変な目に遭いそうだ。

「ふっ、ふっ、不幸だああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

to be continued.

「ミサカ、巫女と美琴」第3話「宿敵。その名はブラックキャット!」お終い。


(第3話 おまけ)
その一週間に何があったのかを上条当麻が他人に語ることは生涯なかった。
しかし後年発見された上条当麻の日記には以下の記述が残されていた。
『上条当麻の日記』より抜粋

○月○日(月)
 姫神が治療と称してやって来た。
 インデックスはアレが不満らしいが『治療』だって姫神が言うんだからアレは『治療』なんだよ。
 そしてその後、なぜか夕食と翌日の弁当作りを一緒に行うことに。
 やっぱり姫神って料理が上手いよな。
 幸せも束の間、ご立腹モードのインデックスに体中噛み付かれる。…………不幸だ。
 結局、姫神を下宿まで送り届けて帰って来たときには日付が変わっていた。
 でも姫神の下宿で姫神が噛み傷を『治療』してくれたことはインデックスには内緒にしとこう。

○月○日(火)
 なぜかインデックスだけが天草式の夕食会に招待された。
 羨ましくねえからな!すき焼きなんて…………
 かわりに五和が大量の食材を持参してやって来る。相変わらずの絶品の味に感動する。
 夕食後「最近お疲れでしょう」と言われ全身をマッサージしてくれた。
 どこか中東の国のマッサージ方法らしいがあんなに全身を使ってマッサージすれば五和
 の方が疲れるんじゃねえのか?顔も真っ赤だったし息使いも荒かったし。
 でもまあ、いろいろ気持ち良かったのは確かだ。

○月○日(水):
 なぜかインデックスが出してもいない懸賞に当選した。
 自分の完全記憶能力よりも眼前の中華フルコース招待券を信じるとは…………少しは疑え!
 インデックスが出払ったのを見計らったように御坂妹&8人の妹達が押しかけて来た。
 なぜだか一人最低1時間のノルマを課せられる。
 でも上条さんの体力はこれ以上持ちません。許して下さい!
 どうやら残りは翌日に持ち越しだそうだ。はあ────っ

○月○日(木):
 またしてもインデックスが懸賞に当選した。
 だから消印のない手書きの当選葉書なんかを信じるんじゃない!
 残りの妹達だけやって来るはずがなぜかまたもや全員やって来た。
 だから上条さんの体力は持ちませんって!
 ご奉仕しますだの言ってたけど、結局自分たちが愉しんだだけじゃねえのか。全く!

○月○日(金):
 今日インデックスは小萌先生の家にお泊まり(お食事付き)だ。
 夕方やって来た御坂美琴はなぜか私服姿だった。おーっ、新鮮だ!
 早速特性スポーツドリンクの作り方を教えて貰う。
 途中少しうたた寝したのがいけなかった。
 目が覚ますと御坂が顔を真っ赤にして食って掛かってきた。
 で、結局なんだかんだとなだめるのに時間がかかっちまった。
 でもまさか御坂に朝飯を作ってもらうことになるとは夢にも思わなかった。
 あと新発見が一つ、『寝顔は可愛いんだな、あいつ』

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