序章 アルバイト The_WORKING!!
アルバイト始めました。
泡まみれのスポンジで武装した典型的な皿洗いスタイルの上条当麻は、ぼんやりとそんなフレーズを思い浮かべた。せっせと食器の油汚れを拭き取る上条の周りでは、忙しなく他の従業員(スタッフ)が動き回っている。
場所は某ファミレス。八月最後の日、魔術師との戦闘に巻き込まれて多大な被害を被ったあの店舗である。
本来なら顔を出すのもおこがましいような場所で、なぜ上条がアルバイトなんぞをしているのか。
その理由は単純明快。器物破損の罪により損害賠償を請求されてしまったからである。
当然ながらただの高校生の上条に支払い能力などあるはずもなく、金がないなら体で払え方式で絶賛ただ働き中というわけなのだ。
ちなみにその請求額、二十万とんで三千円という大打撃。上条さんちの家計簿も真っ赤もとい真っ青である。
店の一部を大破させた関係者でありながら、知らぬ存ぜぬで通せるほど世の中甘くはない。
先日、上条は不幸にもファミレスの店長と遭遇し、捕縛・連行・尋問の三連コンボに身元特定という裏技(ウルテク)を喰らって戦闘不能に陥った挙句、ただ働きの契約をさせられて現在に至るというのが事の経緯である。
ふと上条の脳裏に、ムキムキ店長とにこにこウェイトレスさんその他殺気立った従業員に小一時間問い詰められた苦い記憶が蘇った。
「…………うだー」
あふれる涙をさめざめと流しながら上条が皿を洗っていると、件のにこにこウエイトレスさんが近づいてきた。
「上条くん。店長からの伝言で、後で話があるそうですよ」
そんな用件を伝えるだけで何度も転びそうになっているあたり、ドジっ娘巨乳ウエイトレスの名は伊達ではない。
よたよたと頼りない歩みでにこにこウエイトレスさんがフロアに戻っていくのを見送り、上条は溜め息を吐いた。
店長からの呼び出し。
付け加えるなら、職業選択を間違えたとしか思えないほどマッチョムキムキな店長の呼び出しである。何を言われるのかと考えると、これ以上憂鬱なことはない。
泡まみれのスポンジで武装した典型的な皿洗いスタイルの上条当麻は、ぼんやりとそんなフレーズを思い浮かべた。せっせと食器の油汚れを拭き取る上条の周りでは、忙しなく他の従業員(スタッフ)が動き回っている。
場所は某ファミレス。八月最後の日、魔術師との戦闘に巻き込まれて多大な被害を被ったあの店舗である。
本来なら顔を出すのもおこがましいような場所で、なぜ上条がアルバイトなんぞをしているのか。
その理由は単純明快。器物破損の罪により損害賠償を請求されてしまったからである。
当然ながらただの高校生の上条に支払い能力などあるはずもなく、金がないなら体で払え方式で絶賛ただ働き中というわけなのだ。
ちなみにその請求額、二十万とんで三千円という大打撃。上条さんちの家計簿も真っ赤もとい真っ青である。
店の一部を大破させた関係者でありながら、知らぬ存ぜぬで通せるほど世の中甘くはない。
先日、上条は不幸にもファミレスの店長と遭遇し、捕縛・連行・尋問の三連コンボに身元特定という裏技(ウルテク)を喰らって戦闘不能に陥った挙句、ただ働きの契約をさせられて現在に至るというのが事の経緯である。
ふと上条の脳裏に、ムキムキ店長とにこにこウェイトレスさんその他殺気立った従業員に小一時間問い詰められた苦い記憶が蘇った。
「…………うだー」
あふれる涙をさめざめと流しながら上条が皿を洗っていると、件のにこにこウエイトレスさんが近づいてきた。
「上条くん。店長からの伝言で、後で話があるそうですよ」
そんな用件を伝えるだけで何度も転びそうになっているあたり、ドジっ娘巨乳ウエイトレスの名は伊達ではない。
よたよたと頼りない歩みでにこにこウエイトレスさんがフロアに戻っていくのを見送り、上条は溜め息を吐いた。
店長からの呼び出し。
付け加えるなら、職業選択を間違えたとしか思えないほどマッチョムキムキな店長の呼び出しである。何を言われるのかと考えると、これ以上憂鬱なことはない。
「上条君。君には他のところで働いてもらいます」
「……はい?」
にこにこウエイトレスさんばりに笑顔なムキムキ店長は、開口一番上条に向けてそう告げた。
「ちょっと知り合いの店の方が人手不足らしくてね、明日からこの地図の場所で働いてくれるかな?」
そういうとどこからともなく一枚の紙片を取り出すムキムキ店長。
上条が紙片を覗き見ると、そこには丁寧な筆跡で地図が描かれていた。手書きの地図には目的地らしき場所に印が書かれており、色の違うペンで店名が記されている。
「えっと……」
「お願いできるよね?」
上条の目を至近距離で覗き込みながら、有無を言わせぬ迫力で言う店長。
それは言外に命令というか強迫してますよねー! と上条は泣き叫びたくなった。というか、もう涙腺が緩み始めている。
「そうか、ありがとう上条君! いや、先輩の頼みだから断り辛くてね。バイトを一人寄越してくれと言われた時はどうしようかと思ってたんだよ」
返事も聞かずに一人納得して、上条の肩をバンバン叩きながらHAHAHAと米笑するムキムキ店長。
先輩ってだれですか、という疑問を口にすることも出来ないまま、上条はドナドナされていく子牛の気分で帰路へとつかされたのであった。
「……はい?」
にこにこウエイトレスさんばりに笑顔なムキムキ店長は、開口一番上条に向けてそう告げた。
「ちょっと知り合いの店の方が人手不足らしくてね、明日からこの地図の場所で働いてくれるかな?」
そういうとどこからともなく一枚の紙片を取り出すムキムキ店長。
上条が紙片を覗き見ると、そこには丁寧な筆跡で地図が描かれていた。手書きの地図には目的地らしき場所に印が書かれており、色の違うペンで店名が記されている。
「えっと……」
「お願いできるよね?」
上条の目を至近距離で覗き込みながら、有無を言わせぬ迫力で言う店長。
それは言外に命令というか強迫してますよねー! と上条は泣き叫びたくなった。というか、もう涙腺が緩み始めている。
「そうか、ありがとう上条君! いや、先輩の頼みだから断り辛くてね。バイトを一人寄越してくれと言われた時はどうしようかと思ってたんだよ」
返事も聞かずに一人納得して、上条の肩をバンバン叩きながらHAHAHAと米笑するムキムキ店長。
先輩ってだれですか、という疑問を口にすることも出来ないまま、上条はドナドナされていく子牛の気分で帰路へとつかされたのであった。
打ち切りです(・ω・`)