とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 6-724

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
私が目を覚ますとそこは牢獄だった。
無機質な壁と太い棒が等間隔に配置されたそこをなんと呼べばいいのかすぐに分かった。
すると私は囚人だろうか。それならこの首と両足に付いた鉄の輪も納得できる。
「おはよう、御坂美琴君。いや・・・こんばんわと言った方が時間的にはいいかな?」
いきなり目の前から声がした。
「だれよアンタ。」
「いきなりだな。流石というべきか第三位。なにか質問はあるかな?」
なんなのかしらこいつは。見る限り女性であるらしい事はわかる。化粧っ気はないし着ているものもスーツに白衣、口調も男っぽいけど・・・。
「全部。」
「?」
「全部説明しなさいって言ってんでしょ。」
やれやれといった感じでその女は肩をすくめた。
「まず最初に・・・そうだな、ここはどこだか言っておこう。
 ここは奴隷市場の地下施設だ。そして君はそこで売られる商品というわけだ。」
・・・なにいってんのこいつ。頭沸いたのかしら。
しかしその女は私に構わず続ける。
「あぁ安心してくれて構わないよ。君を競りにかける事はない。もう君は買われている。
 もう一つ朗報だ。買ったお客はいわゆるアレ系の悪趣味な人間じゃない。きっと可愛がってくれるさ。」
もう我慢できない。なにか理由があってこんなことをしてるのなら駆け引きの一つや二つしてやろうと思ったけどもう我慢できない。
「ふっざけんじゃないわよっ!!!」
そういって私は電撃をあたり一面に撒き散らした。


そう、私は電撃を出したたハズだった。
「なんで・・・?」
そこには何も変わらない牢獄があるだけ。それ以前に電撃どころか静電気さえ起こしてはいない。
「不思議かな、無理も無い。この部屋は超能力は使えない。たしかAIMとかいうのの応用だったかな?
 そして君自身にもナノマシンを入れて能力を減衰させている。
 それは半永久的なものだからここを出ても能力は落ちてるだろうね。
 レベル2・・・よくてレベル3くらいには落ちてるはずだ。」
「ふざけないでよっ!意味分かんないわ!」
「そう思う気持ちも分からないではないよ。
 自分が売られるのだ、同じ女として同情する。」
そういって女は心底悲しそうな顔をした。
ふざけるな。意味がわかんない。どうして私が。どうやって。
ふと一つのことに気がつく。
「私を拉致してただで済むと思ってんじゃないわよねぇ。」
「どういう事かな?」
「私は学園都市に2桁も居ないレベル5にして全能力者の第3位よ。
 稀少価値や学術的にも学園都市が黙っちゃいないわ。」
そう、私を無くしたら学園都市は大損だ。いくら系統が平凡でもレベル5を理事会や学会の連中が捨てるとはおもえない。
「あぁ、そのことなら気にしなくても良い。きみの代わりはすでに存在している。」
なにいってんのこいつ。私の代わりなんて居る訳ないじゃない。
「クローンのこといってんの?残念でした、クローニングでも能力はコピー出来ないのよ。」
経験のある私だから言えることだ。いくら遺伝子、細胞的に同じでもクローン体は能力が劣化する。
「それができたら?」
「えっ?」
「クローン体における能力完全再現が可能となったらどうする?」
「あり得る訳ないじゃない!2万人も生み出されてそんな妹いなかったんだから。」
ふぅ、ため息をついてその女は答える。
「魔術というものを知っているかな?身に覚えはなくても聞いたことはあるだろう。
 魔術と科学の融合。それによって完全なる同一体が創造できるようになったのだよ。
 そして君のクローンが今現在君がついさっきまで居た場所にいる。」
魔術・・・?そんなものがあるわけ無いじゃない。現実を見なさいよ。そんな事で私を拉致したっていうの?
「なぜクローン体でなく本体を持ってきたかというとね、やはりお金持ちという人種は本物にこだわるのでね。
 いくら同じでもクローンだと値が落ちるそうだ。そういう趣向は私には分からないがね。」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
そうだきっとあいつが助けてくれる。妹を救ったように。いつも怪我だらけで行動しているように。
「愛しの王子様なら来ないよ。言ったろう、もう君の居た場所にはクローンが居る。
 安心したまえ、クローンという以外に君と変わりはない。学業や交友関係にも支障は出さないはずだ。」
そんな幻想をこの女は軽くぶち壊した。
「はは、ははははははははははははははは・・・」
こわれたか、と女がつぶやいたような気がするが今の私には何の意味もなさない。
「しかしだ。私も同じ女、いきなり犯されるというのもかわいそうだ。」
そう言って女はピンク色の液体が入った小瓶を私の目の前に置いた。
「媚薬というか催淫薬といったところか。これを飲めば今から起きる苦痛が快楽へと変わる。
 そうすればあとは落ちるだけだ。快楽に身を委ねれば楽になる。」
慈悲のつもりだろうか。舌を噛み切る方が私にとってはよっぽど幸福だ。
「自殺ならやめて置いた方が良い。ここの医療技術は学園都市と同等だ。
 売られてからの脱走もナノマシンのおかげで不可能だろう。
 君ができることは苦痛に耐えた結果の絶望か快楽に身を委ねた結果の堕落だよ。」
そういって女は振り返り牢獄から出て行った。
「ははははは、はは・・・」
置いていかれた今の私にできることはひとつしかなかった。


「主任、お疲れ様です。」
そういって部屋に帰ってきた私に部下がねぎらいの言葉をかけた。
「何時まで経ってもなれないよ、こういう仕事は。」
「ですがクローン体にオリジナルと思い込ませるにはこれが一番の方法なんですよ。」
わかってるよ、と言いつつペットボトルに入った水を一気に飲む。
部下がいった通りあの御坂美琴はクローンだ。
どんなに魔術側と情報、技術交換をしても完全クローンは不可能だった。
しかしそんな事に構わず天然記念物以上の価値がある御坂美琴を欲しがる好事家もいる。そういう奴らを満足させるための彼女たちだ。
遺伝子データはあるのだからクローンはいくらでも作られる。
あとは精神面での心配だが私がさっきしたような方法をとればクローン体にも自分がオリジナルと認識させられる。
そういって作られたオリジナルと思わせられたクローン体はゲス達に買われていく。
彼らが望むのはレベル5の超能力者ではなくただのか弱い少女なのだから能力が低くても何ら問題ない。
ナノマシンは入れてはあるが逃走防止の機能だけで能力低下の要素はない。
もちろんオリジナルは常盤台付属の中学校で今もかわりない生活を過ごしているだろう。
「女じゃないと認識させられ無いというのが難点だが。」
「仕方ないですよ、男だったら途中で気づいたケースが有りますしクレームはひどいらしいですよ。下手すりゃ返品されて大損だ。」
そうだな、とつぶやき私は次に売られていく御坂美琴の情報に目を通した。
こういう仕事は無くならない。人の欲望がなくなるまでずっと。それは幸運なのか不運なのかは私には分からないが。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー