とある二人の恋愛物語
1日目
PM8:02
美琴はさきほど店内にはいってきた二人の会話を聞いてた。否、聞こえてしまっていた。彼女も聞きたくて聞いているわけじゃない。ただ彼らの声が少々大きかったから嫌でも聞こえてきていた。彼らのテーブルは美琴たちのテーブルの二つ向こうで、しかも店内もそれなりにがやがやしているにもかかわらず、これだけ聞こえるということはよほど大きい声で喋っているのだろう。無視もできたが、上条も帰ってこないし、先に食べているのなんか嫌だったので暇つぶしに聞いていた。先ほどから繰り広げられている会話に美琴はドン引きしていた。一応、美琴は忘れているが一度彼らに会っている。そして彼らは上条の知り合いだったりする。
「あれ?もしもし、カミやん?切られてもうた。」
それはガラの悪そうな二人だった。一人は髪の毛を青く染めていて、耳にピアスを付けてる。服装は上条の制服に良く似ていた。青髪ピアスはツー、ツーとなる携帯を折り畳み、もう一度開いて掛けなおしたが繋がった様子はない。どうやら相手に電源を切られたようだ。
「にゃー、カミやん抜きとなるとやっぱり自力で何とかするしかないぜよ。」
もう一人は短めの金髪をツンツンに尖らせ、薄い青のサングラスを掛けている。服装は地肌にアロハシャツ。下にはハーフパンツをはいている。おまけに首からは金の鎖をぶら下げている。いかにもな不良っぽい格好をしていた。
「せやかてここ1週間、一つも収穫がなかったんよ?どうすりゃええねん。」
金髪サングラスはうーん と顎を右手で押さえて考え始める。青髪も一緒に考え始めた。
「やっぱりアプローチの仕方に問題があったんじゃないかにゃー。今どき『僕達とそこでお茶しない?』なんて切り出し方はないにゃー」
「じゃ、どうすりゃえーねん?」
「じゃあちょっと変えて『僕達とそこでいいことしない?』のほうがいいんじゃないかにゃー?」
「おぅ、斬新やなぁ!なんだか刺激的な感じがするで!」
だろ?と金髪サングラスはキリッとサングラスを掛けなおす。他人から聞いたら如何わしい事をされるのではないかと誤解されかねないアプローチ方法だ。下手したら風紀委員か警備員を呼ばれかねない。だが突っ込み不在のこの会話に歯止めは聞かない。美琴は知る由もないが彼らの問題点はもっと根本的なところにある。
金髪サングラスこと土御門元春は顔自体そんな悪い方ではないが、見ての通りの性格なので自分からチャンスを逃している節がある。先日も少しうまく行きかけていたことがあったが『僕の妹になってください』発言で自ら破滅を招いていた。(去り際に思いっきりビンタされていた。)
青髪ピアスにいたっては、頭がお花畑(抽象的表現でなく)になっている黒髪ショートヘアーの中学生くらいの少女に話しかけたところ、ちょっと会話しただけで泣きながら逃げられていた。しかも一緒にいた常盤台中学の制服を着たツインテールの女の子に痛い目にあわせられ、風紀委員(ジャッジメント)の詰め所に連行されかけた。(彼らは後知ったが、二人とも風紀委員だった。)そんなこんなで二人は変体発言を連発していると店員がオーダーを聞きにきた。
「い、いらっしゃいませ。ご注文は―――。」
顔が若干引きつっているのは先ほどからの変態トークを聞いてしまったからだろう。二人は気づいていないようだが。
「僕(俺)の彼女をください!いや、なってください(にゃー)!!」
「は、はい?」
「にゃー!抜け駆けは許さないぜよ!!」
「それはお互い様やろ!いくら相棒でもゆずれないちゅーの!!」
今日は変な人たちばっかり!イヤー!!と店員は心の中で絶叫していたが、そんなこと露知れず金髪サングラスと青髪ピアスは にゃー!! シャァー!!と、まるで獣のように威嚇しあっていた。
止めに入ろうと思ったが、すぐに店長が来て二人は静かになった。
この光景に美琴はさらにドン引きしたが、それとは別にほかの事を考えていた。
「(つかあの二人、やっぱどっかでみたような気がするよのね……)」
どこだっけ?と、考えたところでちっとも思い浮かばない。こんなインパクトが強い二人、普通なら忘れない。美琴はしらないが、彼らをみた日はさらにインパクトが強いことが立て続けに起こったので彼らの印象が無意識に薄まってしまったのだ。そんなおぼろげな記憶の中を探っていると、あの馬鹿がやっと帰ってきた。
PM8:06
「遅い!10分近くも待たせるなんてどういうことよー!!」
お手洗いから帰ってきたら美琴にいきなり怒られてしまった。あの後ついでに用も足したとはいえ、どうやらさきほどのあほあほトークに以外にも時間を取られたようだ。普段からあほあほトークをしている上条にとってこれは以外だった。自分がしている時はそんな時間は経っていないように感じていたのだが、他人から見るとそうでもないらしい。ということは自分はこんなしょーもない会話で青春という時間を浪費しているのかと思うと少し鬱になった。
「? 何落ち込んでんのよ?」
「いや、わりーわり!思ったより話が長かったんですよー!」
「ったく、すぐ帰ってくると思ってご飯に手を付けないで待ってたのにアンタってやつは!」
「だから悪かった……って、あれ?先に食べてていいって言わなかったけ?それで手を付けずに10分近く待っててくれたのか?そりゃ、まあ、悪かったな。」
「………!?」
美琴はビクッと肩を震わせた。
「ち、違っ……あ、あれよ!ちょ、ちょっと気になる輩がいて気になってただけよ。べ、別にアンタのために待ってたわけじゃ……!」
「じゃあ俺待ってないじゃん。何で俺が怒られなくちゃなら…ってなんで美琴センセーはバチバチ体の周りに帯電させてんのー!?」
「もう!いいから座んなさいっ、早く食べるわよ!」
だからなんで怒ってんのー!?と上条は心の中で叫んだが、これ以上何か言うと電撃の槍が飛んできそうなので、素直に従う。上条が座るといただきますと言って、なぜか不機嫌な顔で勢いよくバクバクと食べ始めた。
「も、もしもーし。み、美琴サン?そんなに急いで食べたら咽ますよー?」
「うるさいわね!もぐもく、あんたもさっさと食べなさい!もぐもぐ」
ものを食べながら喋るんじゃありません。と突っ込もうと思ったがやめた。良く分からないが、こういうときは下手に突っ込まない方がいいと経験上分かっているので、上条は習って先ほど取ってきたウーロン茶を少し飲んでから食べ始めた。ファミレスにしてはなかなかうまかった。だが本来、これはカップル向けで分け合いながら食べるものらしい。一人分にしては量が多いし、フォークとナイフとスプーンが二つずつあった。美琴も同じのを頼んだので実質3、4人分くらいあるはずだ。良くメニューを見ずにとっさに決めたのが完全に裏目に出た。
「(まいったな……俺は食えないこともないけど美琴には多すぎるんじゃ。)」
……予想通り、前半は飛ばして食べていた美琴も、後半に差し掛かるとなんだか無理しているのがわかる。
「み、美琴?別に無理して食べる事ないんだぞ?」
「う、うるさい…!こ、これくらいどうってこと……。」
美琴はまた食べるのを再会したが、勢いよく掻きこんだせいで咽返った。
「………!!」
苦しそうに胸をどんどんたたいている。
「ほら、言わんこっちゃない。」
上条は美琴が飲んでいた水をとって飲ませようとしたが、うっかり手を滑らして通路にこぼしてしまった。
「あ、ヤベッ…!」
全部こぼしてしまったので新しいのを取りに行こうと思ったが、美琴は水を催促している。
「しょうがねえ、ほら。」
上条は自分が飲んでいたウーロン茶を差し出すと、美琴はそれを奪い取るように、全部飲み干した。
「だから言っただろ、無理して食べる事ない……ってどうした?」
美琴は顔を赤く染めて上条を睨んでいる。
「これ…さっきあんたが飲んでたやつ?」
「ああ、悪い。お前のうっかりこぼしちまったんだった。代わりになんか取ってくるわ。」
上条はこぼして空になった美琴のコップを取り、ドリンクバーのほうへ歩いていく。
「………だから、ちょっとは気にしなさいよ。……ばか。」
あまりに小さな言葉に上条は気づかなかった。
PM8:32
結局、美琴は全部は食べ切れなかった。もったいないからと、上条は残りを平らげようとしたが何故か美琴にかたくなに拒否された。無理やり食べようとしたら美琴にアッパーカット(適度なビリビリ入り)を喰らった。
「1487円になります。、あとこれ、キーホルダーです。よかったらどうぞ。」
店員が渡してきたのはカエルのキーホルダーだった。確か『ゲコ太』とかいうキャラクターだった気がする。
「ほれ。」
キーホルダーの袋を美琴に差し出す。
「え?いいの?」
「いいもなにも、お前これが欲しかったんだろ?」
「……あ、ありがとう。」
美琴はキーホルダーの袋を受け取ると、嬉しそうにギュっと抱きしめた。
「(嬉しそうだな……最近の女の子ってこういうのが好きなのか?)」
それは単に美琴がファンシーな趣味の持ち主というだけなのだが上条は知らない。
「(ま、こいつが喜んだならそれでいっか。)」
上条は財布を取り出し、二千円札を取り出しトレイにおき、店員からお釣りを受け取ろうとしたところでなにか背後から殺気を感じた。美琴ではない。彼女は上条の右側にいる。
では誰か?
上条はおそるおそる後ろを振り返ると血に飢えた獣達がいた。
「つ、土御門、青髪…?」
え、こいつらアンタの知り合い?と、美琴は聞いてきたがそれどころではない。
「カミやーん……親友の頼みを断っておいて自分は常盤台のお嬢様と楽しくお食事ですか。けっこうな身分やなー………?」
口調こそいつも通りだが目が笑ってない。おまけに声もいつもよりずっと低い。
「にゃー…カミやん。俺達、義兄弟の誓いを忘れたのかにゃー……?」
サングラス越しでもわかる。今のこいつの目は獲物を狩る目だ。
「お、お二人さん?ここは一つ穏便にですね……?」
「裏切り者には死、あるのみじゃー(にゃー)!!!!!!!!!!!」
弁解の余地もなく、二人は上条めがけて飛び込んできた。
「ふ、不幸だぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
PM8:02-32 終了
1日目
PM8:02
美琴はさきほど店内にはいってきた二人の会話を聞いてた。否、聞こえてしまっていた。彼女も聞きたくて聞いているわけじゃない。ただ彼らの声が少々大きかったから嫌でも聞こえてきていた。彼らのテーブルは美琴たちのテーブルの二つ向こうで、しかも店内もそれなりにがやがやしているにもかかわらず、これだけ聞こえるということはよほど大きい声で喋っているのだろう。無視もできたが、上条も帰ってこないし、先に食べているのなんか嫌だったので暇つぶしに聞いていた。先ほどから繰り広げられている会話に美琴はドン引きしていた。一応、美琴は忘れているが一度彼らに会っている。そして彼らは上条の知り合いだったりする。
「あれ?もしもし、カミやん?切られてもうた。」
それはガラの悪そうな二人だった。一人は髪の毛を青く染めていて、耳にピアスを付けてる。服装は上条の制服に良く似ていた。青髪ピアスはツー、ツーとなる携帯を折り畳み、もう一度開いて掛けなおしたが繋がった様子はない。どうやら相手に電源を切られたようだ。
「にゃー、カミやん抜きとなるとやっぱり自力で何とかするしかないぜよ。」
もう一人は短めの金髪をツンツンに尖らせ、薄い青のサングラスを掛けている。服装は地肌にアロハシャツ。下にはハーフパンツをはいている。おまけに首からは金の鎖をぶら下げている。いかにもな不良っぽい格好をしていた。
「せやかてここ1週間、一つも収穫がなかったんよ?どうすりゃええねん。」
金髪サングラスはうーん と顎を右手で押さえて考え始める。青髪も一緒に考え始めた。
「やっぱりアプローチの仕方に問題があったんじゃないかにゃー。今どき『僕達とそこでお茶しない?』なんて切り出し方はないにゃー」
「じゃ、どうすりゃえーねん?」
「じゃあちょっと変えて『僕達とそこでいいことしない?』のほうがいいんじゃないかにゃー?」
「おぅ、斬新やなぁ!なんだか刺激的な感じがするで!」
だろ?と金髪サングラスはキリッとサングラスを掛けなおす。他人から聞いたら如何わしい事をされるのではないかと誤解されかねないアプローチ方法だ。下手したら風紀委員か警備員を呼ばれかねない。だが突っ込み不在のこの会話に歯止めは聞かない。美琴は知る由もないが彼らの問題点はもっと根本的なところにある。
金髪サングラスこと土御門元春は顔自体そんな悪い方ではないが、見ての通りの性格なので自分からチャンスを逃している節がある。先日も少しうまく行きかけていたことがあったが『僕の妹になってください』発言で自ら破滅を招いていた。(去り際に思いっきりビンタされていた。)
青髪ピアスにいたっては、頭がお花畑(抽象的表現でなく)になっている黒髪ショートヘアーの中学生くらいの少女に話しかけたところ、ちょっと会話しただけで泣きながら逃げられていた。しかも一緒にいた常盤台中学の制服を着たツインテールの女の子に痛い目にあわせられ、風紀委員(ジャッジメント)の詰め所に連行されかけた。(彼らは後知ったが、二人とも風紀委員だった。)そんなこんなで二人は変体発言を連発していると店員がオーダーを聞きにきた。
「い、いらっしゃいませ。ご注文は―――。」
顔が若干引きつっているのは先ほどからの変態トークを聞いてしまったからだろう。二人は気づいていないようだが。
「僕(俺)の彼女をください!いや、なってください(にゃー)!!」
「は、はい?」
「にゃー!抜け駆けは許さないぜよ!!」
「それはお互い様やろ!いくら相棒でもゆずれないちゅーの!!」
今日は変な人たちばっかり!イヤー!!と店員は心の中で絶叫していたが、そんなこと露知れず金髪サングラスと青髪ピアスは にゃー!! シャァー!!と、まるで獣のように威嚇しあっていた。
止めに入ろうと思ったが、すぐに店長が来て二人は静かになった。
この光景に美琴はさらにドン引きしたが、それとは別にほかの事を考えていた。
「(つかあの二人、やっぱどっかでみたような気がするよのね……)」
どこだっけ?と、考えたところでちっとも思い浮かばない。こんなインパクトが強い二人、普通なら忘れない。美琴はしらないが、彼らをみた日はさらにインパクトが強いことが立て続けに起こったので彼らの印象が無意識に薄まってしまったのだ。そんなおぼろげな記憶の中を探っていると、あの馬鹿がやっと帰ってきた。
PM8:06
「遅い!10分近くも待たせるなんてどういうことよー!!」
お手洗いから帰ってきたら美琴にいきなり怒られてしまった。あの後ついでに用も足したとはいえ、どうやらさきほどのあほあほトークに以外にも時間を取られたようだ。普段からあほあほトークをしている上条にとってこれは以外だった。自分がしている時はそんな時間は経っていないように感じていたのだが、他人から見るとそうでもないらしい。ということは自分はこんなしょーもない会話で青春という時間を浪費しているのかと思うと少し鬱になった。
「? 何落ち込んでんのよ?」
「いや、わりーわり!思ったより話が長かったんですよー!」
「ったく、すぐ帰ってくると思ってご飯に手を付けないで待ってたのにアンタってやつは!」
「だから悪かった……って、あれ?先に食べてていいって言わなかったけ?それで手を付けずに10分近く待っててくれたのか?そりゃ、まあ、悪かったな。」
「………!?」
美琴はビクッと肩を震わせた。
「ち、違っ……あ、あれよ!ちょ、ちょっと気になる輩がいて気になってただけよ。べ、別にアンタのために待ってたわけじゃ……!」
「じゃあ俺待ってないじゃん。何で俺が怒られなくちゃなら…ってなんで美琴センセーはバチバチ体の周りに帯電させてんのー!?」
「もう!いいから座んなさいっ、早く食べるわよ!」
だからなんで怒ってんのー!?と上条は心の中で叫んだが、これ以上何か言うと電撃の槍が飛んできそうなので、素直に従う。上条が座るといただきますと言って、なぜか不機嫌な顔で勢いよくバクバクと食べ始めた。
「も、もしもーし。み、美琴サン?そんなに急いで食べたら咽ますよー?」
「うるさいわね!もぐもく、あんたもさっさと食べなさい!もぐもぐ」
ものを食べながら喋るんじゃありません。と突っ込もうと思ったがやめた。良く分からないが、こういうときは下手に突っ込まない方がいいと経験上分かっているので、上条は習って先ほど取ってきたウーロン茶を少し飲んでから食べ始めた。ファミレスにしてはなかなかうまかった。だが本来、これはカップル向けで分け合いながら食べるものらしい。一人分にしては量が多いし、フォークとナイフとスプーンが二つずつあった。美琴も同じのを頼んだので実質3、4人分くらいあるはずだ。良くメニューを見ずにとっさに決めたのが完全に裏目に出た。
「(まいったな……俺は食えないこともないけど美琴には多すぎるんじゃ。)」
……予想通り、前半は飛ばして食べていた美琴も、後半に差し掛かるとなんだか無理しているのがわかる。
「み、美琴?別に無理して食べる事ないんだぞ?」
「う、うるさい…!こ、これくらいどうってこと……。」
美琴はまた食べるのを再会したが、勢いよく掻きこんだせいで咽返った。
「………!!」
苦しそうに胸をどんどんたたいている。
「ほら、言わんこっちゃない。」
上条は美琴が飲んでいた水をとって飲ませようとしたが、うっかり手を滑らして通路にこぼしてしまった。
「あ、ヤベッ…!」
全部こぼしてしまったので新しいのを取りに行こうと思ったが、美琴は水を催促している。
「しょうがねえ、ほら。」
上条は自分が飲んでいたウーロン茶を差し出すと、美琴はそれを奪い取るように、全部飲み干した。
「だから言っただろ、無理して食べる事ない……ってどうした?」
美琴は顔を赤く染めて上条を睨んでいる。
「これ…さっきあんたが飲んでたやつ?」
「ああ、悪い。お前のうっかりこぼしちまったんだった。代わりになんか取ってくるわ。」
上条はこぼして空になった美琴のコップを取り、ドリンクバーのほうへ歩いていく。
「………だから、ちょっとは気にしなさいよ。……ばか。」
あまりに小さな言葉に上条は気づかなかった。
PM8:32
結局、美琴は全部は食べ切れなかった。もったいないからと、上条は残りを平らげようとしたが何故か美琴にかたくなに拒否された。無理やり食べようとしたら美琴にアッパーカット(適度なビリビリ入り)を喰らった。
「1487円になります。、あとこれ、キーホルダーです。よかったらどうぞ。」
店員が渡してきたのはカエルのキーホルダーだった。確か『ゲコ太』とかいうキャラクターだった気がする。
「ほれ。」
キーホルダーの袋を美琴に差し出す。
「え?いいの?」
「いいもなにも、お前これが欲しかったんだろ?」
「……あ、ありがとう。」
美琴はキーホルダーの袋を受け取ると、嬉しそうにギュっと抱きしめた。
「(嬉しそうだな……最近の女の子ってこういうのが好きなのか?)」
それは単に美琴がファンシーな趣味の持ち主というだけなのだが上条は知らない。
「(ま、こいつが喜んだならそれでいっか。)」
上条は財布を取り出し、二千円札を取り出しトレイにおき、店員からお釣りを受け取ろうとしたところでなにか背後から殺気を感じた。美琴ではない。彼女は上条の右側にいる。
では誰か?
上条はおそるおそる後ろを振り返ると血に飢えた獣達がいた。
「つ、土御門、青髪…?」
え、こいつらアンタの知り合い?と、美琴は聞いてきたがそれどころではない。
「カミやーん……親友の頼みを断っておいて自分は常盤台のお嬢様と楽しくお食事ですか。けっこうな身分やなー………?」
口調こそいつも通りだが目が笑ってない。おまけに声もいつもよりずっと低い。
「にゃー…カミやん。俺達、義兄弟の誓いを忘れたのかにゃー……?」
サングラス越しでもわかる。今のこいつの目は獲物を狩る目だ。
「お、お二人さん?ここは一つ穏便にですね……?」
「裏切り者には死、あるのみじゃー(にゃー)!!!!!!!!!!!」
弁解の余地もなく、二人は上条めがけて飛び込んできた。
「ふ、不幸だぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
PM8:02-32 終了