とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 6-663

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匿名ユーザー

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とある二人の恋愛物語

一日目
PM7:50

注文を終えてから料理は案外速く運ばれてきた。運んできたのがさっきと同じ店員さんだったので、大変気まずい思いをした上条だったが、美琴はさっきから黙ったままだ。さっきとっさに彼女扱いした事に腹を立てているのだろうか。それとも知らぬ間にまた何かしてしまったのだろうか。
「おい、どうしたんだ?」
「………。」
「さめちまうぞ?」
「………。」
返答がないので一旦席を立ち、美琴側のテーブルに回り込んで顔をのぞいた。どうやらなにか考え事をしているようだ。
「おーい、御坂さん?」
「…に………な…私。」
「ん?なんか言ったか?」
「!!?な、なななななななにやってんのよそんなところで!」
美琴は驚いて思わず上条に思いっきりビンタをかましてしまった。
「へぶし!?」
上条は急の衝撃に耐えられず後ろに沿って床に頭をぶつけてさらに悶えた。
「はっ!ご、ごめん!大丈夫!?」
美琴は自分のビンタで床に転がった上条を抱き起こした。
「み、御坂さん…なぜ…?」
「ご、ごめん!で、でもアンタも悪いのよ?あんなデリカシーのないこと…!!」
「うぅ、スマン…。」
なんだか理不尽のような気がしなくもないが、確かに自分にも非があると思うので素直に謝る。上条はビンタされたところを擦りながら席に戻り、美琴もそれに続いた。
「ねえ…。」
「ん?なんだ?」
「さっきさ…私を彼女扱いにした時――。」
「あ、わりぃ、気に障ったんなら謝るよ。俺はただ御坂があのマスコットが欲しかったみたいだし、それに――。」
「そ、そうじゃなくて!」
「?」
「そうじゃなくて……さっき、私の名前を美琴って呼んでくれたじゃない…?」
「ああ。呼んだけど?」
『呼んだ』ではなく、『呼んでくれた』と言っているのだが、そのニュアンスが意味することどころか、ニュアンスの違いにすら鈍感な上条は気づかない。
「せ、せっかくの機会だしさ、これからはずっとそれで呼んでくれない?」
「え?」
「い、いや、たいした意味はないのよ?ほら私ってさ、普段同級生相手でも御坂さんとか、堅苦しい呼び方されるからさ、下級生にいたってはお姉さまよ?だからタメで呼べる相手ってあんまりいないのよ。あんただったら別に気を使う必要もないし軽く話せるからいいかなって、それだけ。」
「……一応俺も年上なんだが?」
「それがどうかした?」
「オイ。」
思わず突っ込んでしまったが、もう正直どうでもよかった。
「まあお前ががそうして欲しいってんならそうするけどな。美琴。」
「!!」
「? どうした?」
「な、なんでもない。じ、じゃあ冷めないうちに食べましょう?」
すこし不審に思った上条だったが特に追求せず、料理に手をつけようとしたところで携帯がなり始めた。
「ん?悪いみさ…美琴。先食べててくれ、ちょっと電話してくるから。」
「え?う、うん。」
上条は席を立ち、お手洗いの方へ足を運んだ。急に呼び方を変えろといわれてもしばらくは慣れそうにない。いままでも時々美琴と呼んでしまった時もあったが、それは無意識に呼んでいたから特に気にしてなかった。まあ本人が望んでるのでその通りにすることにする。
上条は、お手洗いにはいってから携帯を取り出し、通話ボタンを押した。


PM7:55
1.
上条がお手洗いに入っていったのを見てから、美琴は大きく溜息をついた。
「はぁ…どうしちゃったんだろ私」
あの馬鹿と一緒にいるとどうも調子が狂う。いつもなら一発電撃をおみまいして終わらせるのだが、なぜかそれができない。さっき彼女扱いされたとき、そんなに嫌な気分ではなかった。むしろ少し嬉しく感じでいる自分がいた。この気持ちはどこから来るものなのだろう。妹達の事件以降、私のあいつに対する思いが変わった…そんな気がする。あいつが一方通行との戦いの時に殺されるかもしれない境地に立たされたとき、私は超電磁砲の標準を一方通行に向けていた。打ったら自分がどんなことになるか理解していたはずなのに、あの時確かに思った。
私はどうなってもかまわない。だから、私たちのために戦ってくれているこの少年を助けてください。と……。
つい先日も海原に変装していた能力者(学園都市の書庫には幾ら探しても載っていなかったが)と戦っていた。なにか会話していたようだったが美琴には理解できないところが殆どだった。だが、わかったことが一つだけある。彼らは私、御坂美琴という少女のために戦っていたということを…。

「…なにやってんだろうな私、すごく助けられてるのに。なのに…。」
美琴はぼそっと口に出した。

こんな感じで軽く思いにふけっていると、店の入り口から二人組みのお客が入ってきた。そのご飯時なのでそれ自体は珍しくないが、美琴が気になったのはその二人の顔だった。

「(ん?あの二人…どっかで見たような……?)」


2.
「はい、もしもし上条ですけど。」
『あ、カミやん?やっとつながったわー。』
「なんだ青髪か。何の用だ?」
『今、メシ食いにきとるんやけどカミやんもどや?』
「悪いけど俺も外食中だ。」
『ん?自炊派のカミやんが外食とは珍しいわな。いったいどういう風の吹き回し…ってちょっとまってな。』
後ろの方から「代われ」という声が聞き取れた。少し雑音が混じり、その声の主が出た。
『はぁーい、カミやーん。元気かにゃー?』
「土御門か。お前も一緒だったのか。」
『だにゃー。親友二人の誘いを断るって事はまさか女の子と仲良くお食事なんて素敵イベント中だったりするのかにゃー?』
ぶはぁ!と土御門の言葉に上条は思わず吹き出した。
「なななななにを言っていらっしゃるのですか土御門さん??この不幸の塊の上条さんにそんな素敵イベントが起こる幸運なんて持ち合わせてるわけないじゃないですかー?」
『にゃー。なんで敬語かつ最後が疑問形なんだ?まさか本当に…。』
「そんなわけないだろ!第一仕送り日前の上条さんの家計には余裕の文字なんて存在しないのですよ?」
『そうだにゃー。幾ら節操なしのカミやんでもそんなことないわなー。』
そのあと小さな声で(おそらく青髪ピアスに聞こえないようにするための配慮だろうが)ぼそっと『(大方、禁書目録にでもねだられたんだろ?)』と言ったその言葉に適当に相槌を打って誤魔化す。ちなみにインデックスは小萌先生のところにお泊りに行っている。なんでも姫神も呼んで焼肉パーティをやるらしい。できれば自分もご相伴に預かりたかったが、さすがに小萌先生に悪いし、なにより女三人の中に男一人というのも居心地が悪い。だからインデックスが居ない分、食費が浮いてラッキーと思っていたのだが。
「(結局、美琴に奢る羽目になちゃって、俺自身の値段も含めるといつもとあんまり変わらないんだよな……。)」
『しっかし、旗男のカミやんが抜けるとなると今夜も無理かにゃー?』
「あぁ?なんのことだ?」
『ナンパに決まってるぜよー。』
「………は?」
今この変態シスコン野郎は一体なにを言いやがりましたか?
『ナンパぜよ、ナ・ン・パ』
できれば聞き違いであって欲しかった。自分の数少ない友人達が悲しい境遇に苛まれている事を知ってしまうから。いや、いまさらか?
『にゃー、ここ連日この相棒と街中でいい女を見つけてはアタックしかけてたんだが、これがなかなかうまくいかないんぜよ。店にはいった今も探してるんだけどにゃー?』
「念のためにお聞きしますが、それと俺が一体どういう関係があるってんだ?」
土御門から携帯を受け取った青髪ピアスが言う。
『そんなのきまっとるやん。クラスの女の子やおろか、常盤台のお嬢様までもカミやんの手に堕ちた今!カミやんのその女の子属性を逆手にとって、一緒に行動することでおこぼれを頂戴するというナイスな作戦やで!?』
ちなみに考えたのは俺だぜよ?と、後ろのほうから土御門が答える。もうここまで言われると物も言えない。どうでもいいが、それって自力では彼女なんて作れませんって敗北宣言掲げてるのとニュアンス的に同じなのでは……?
『というわけでカミやん!親友の頼みを聞いてくれ!俺達に春を!青春を!!希望を!!!愛を!!!!正義を!!!!!優勝を!!!!!!ぎゃっ。ブッ ツー、ツー、ツー、ツー、』
これ以上聞いていられなかった。
「はぁ…、なんかさらに疲れた。早いとこ美琴のとこ戻って飯を食おう。」

PM7:55 終了

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