とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

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匿名ユーザー

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とある二人の恋愛物語

1日目

9月某日 PM7:30

「……で、なんでこうなってんだ?」
「なによ、男だったらつべこべ言わないの。」
あれから上条と美琴は少し歩いた繁華街にあるファミレスに来ていた。最終下校時刻が過ぎているので開いている店はあまりないがそれなりに人が溢れていた。
「あんたが言ったんじゃない。さっきの侘びに晩御飯奢るって。」
「半ば強制的でしたけどねぇ!!壁に追い込んで電撃十二回もぶっ放されたらそんな和解策でも出さない限り収集つかねえだろうが!」
「男に二言はないって言うでしょ?自分が言った言葉には責任取りなさいよね?」
当初の上条の予定ではその辺の安いファーストフード店にでも入ってハンバーガーでも奢ろうと思っていたのだが、そんな上条の浅はかな考えを踏みにじるように、店の前に吊るされた看板には無慈悲な文字が綴られていた。

『改装工事中』

―――というわけで仕送り日前にもかかわらずファミレスで外食という上条的には贅沢な食事をとる羽目になってしまった。

(不幸だ……。)

とはいえ、美琴の言うとおり自分が言った言葉に責任は感じているようで、それ以上のことは言わなかった。

「仕送りあと幾ら残ってたっけな…。あんまり高いのは勘弁してくれよ?」
「わかってるわよ、さすがにそこまで酷な事はしないって。」
上条はため息をつくと携帯電話を取り出し、会計アプリを起動させた。
「なにしてんのよ?」
「ん?家計簿。少ない仕送りで遣り繰りすんのもなかなか大変なんだよ。」
「あんたって意外とマメなのね…。」
意外とはよけいだっての、と上条は軽く流す。こういった面に関しては彼は小心者なのだ。
「どうでもいいけどさ、お前門限とか大丈夫なのか?常盤台ってそういうとこ厳しいだろ?」
「あー、まあ少しやばいけど多分その辺は黒子がなんとかしてくれるでしょ。」
軽く言っているあたり、美琴の門限破りはもはや日常茶飯事のようだ。妹達とかの件もあったが、それを除いても私用でしょっちゅう抜けている事が多いのだろう。
「まあ俺が言えた口じゃねえけどさ、夜遊びもほどほどにしとけよ。いくら超能力者(レベル5)だからって常盤台中学のお嬢様が一人で町を出歩いてるってだけでも悪い虫に絡まれるかもしんねぇしさ。」
「そんなの日常茶飯事よ。つかあんたが一番分かってるでしょうが。」
「?」
それはいつの話だろうかと上条は考えていた。少なくとも今まで美琴が不良に絡まれている光景を見た覚えはない。記憶を失う前の話なのだろうか。だがここで何も返事をしないのは怪しまれるので差しさわりのない返事を考えていると、店員がオーダーを聞きにきた。


「この店で一番安くて腹にたまるメニューでお願いします!」
「は、はい?」
上条のウェイターの営業用マニュアルには載っていないであろうあまりにイレギュラーな注文に店員は少し戸惑った。まあとうぜんだが。
「ア、アンタなに恥ずかしい注文してんのよ!どんだけお金にこだわってんのよこのバカ!!」
「バカとは何だ!貧乏学生にとって、仕送り日までの残り一週間弱をどう効率よく切り抜けるかは死活問題なんだ!常盤台のお嬢様にはわかるまい!」
「少しは一緒にいる私の気持ちも考慮に入れなさいよ!恥ずかしくて今度からこの店使えなくなるじゃ…な…い?」
「? どうしたんだ?」
「な、なんでもないわよ!」
(そういえば前にもこんな会話したような…。確かあの時は――。)
『貧乏学生にとって、特売品を手に入れられるかどうかは死活問題なんだ!常盤台のお嬢様にはわかるまい!』
『こっちだって大変だったんだから!汚れたスカート脱ぎだすわ、しょうがないから洗ってあげるわ、挙句の果てにツン―――!!?』
『…ツン?』
(………な、なんて事思い出してんのよ!そしてなんで赤くなってんのよ私はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?)
「おい大丈夫か?なんか顔赤いけど熱でもあるんじゃ…」
上条はテーブルから身を乗り出して自分の額を美琴の額に重ねた。
「!!?」
美琴はあまりの状況変化に言葉が出ず、口をパクパクさせた。
「んー、ちょっと熱いような…ってなんで、お前、なんで全身ビリビリっつーかバチバチいってんの!?俺またなんか悪いことしましたか!!?」
はっとようやく正気に戻ったのか、美琴はただでさえ赤かった顔をさらに赤く染めて俯いてしまった。
「? なんなんだ?」
「あ、あのー、ご注文の方は……?」
すっかり忘れてた。ずっと蚊帳の外に置かれながらも、それどころか電撃だって巻き込まれてたかもしれないのにしっかりとさっきと同じ姿勢で立っている事に上条は感心した。単に固まって動けなっただけかもしれないが。仕方ないので俯いてしまった美琴の代わりに何か手ごろな女の子向けの料理を探し始めると――。
「あ、あの、ただいまキャンペーンを実施しておりまして、こちらの期間限定カップルメニューからお選びいただきますとドリンクバー無料で二割引になっておりまして、さらにご会計後にゲコ太キーホルダーをプレゼントさせていただいてます。」
「え!?ゲコ太もらえるんですか!じゃあそれに……!!」
「おぉ、復帰した、って二割引?しかもドリンクバー付で!?しかもお手ごろ価格じゃねぇか!」
「………」
「………」
「「はあ!!?」」
「カッカカカカカカカカカップルてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
上条は店内という事も忘れて叫んだがショックがでか過ぎたのか呂律が回らない。そんな上条たちに店員はこの人たち何!?みたいな顔で少し引いている。だがそんなのは関係ない。
「え、ええ。あ、まさか違ってました…?」
「違うも何も俺とこいつはそんな――!」
(ん?待てよ……?このまま弁解してしまうと二割引はパァになり、余分に支払わされるだけだ。しかし、御坂を彼女ということにしておけば料金も安くなって、御坂の欲しがっているなんだかカエルみたいなマスコットももらえるらしい。それは御坂の機嫌も良くなることにも繋がる。ということは―――。)

(一石二鳥じゃねぇか…!)

「そ、そうなんですよぉ!俺たち付き合い始めたばっかりでまだ実感が沸いてないんですよ!」
「なっ!!?」
美琴がなんか喚いてるが上条は気にせず続ける。
「いきなり言われたんでちょっとてんぱっちゃって、な!みさ…美琴!」
「え!?あの、その…は、はい。」
「そ、そうですか。で、では改めましてご注文の方をどうぞ。」
「じゃあオススメAセットで、みさ…美琴は?」
「お、同じので……。」
「かしこまりました。出来上がり次第お持ちします。」
そう言ってウェイターは水とお絞りを置き、メニューをさげて厨房に戻っていった。
「よし!これで残りの仕送り日まで何とかつないで行ける…ってどうしたんだ御坂?」
「な、なんでもないわよ!……バカ!」

(…?変なやつ。)

PM7:30終了

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