とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

第四話

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だれでも歓迎! 編集
□前回までのあらすじ
 不適切な回答をしたため御坂美琴のフィニッシュブローを派手に喰らって
意識を刈り取られた上条当麻
そんなコントをよそに学園都市に現れたステイル=マグヌスとインデックス、彼らは学園都市に
潜入していた必要悪の教会(ネセサリウス)の土御門元春へとコンタクトを取り、事態の収拾を図るのだった。
 あとアニェーゼのポッキーはサクサクのスティック状に焼かれたクッキーでチョコレートクリームを少量掬って食べるという
優雅なお菓子、13日に2時間かけて製作しその失敗作は全てシスター・アンジェレネの胃袋に消えた。
せっかく出来た成功作もあの人へ贈る前に必要悪の教会(ネセサリウス)のロビーから消え去ってしまった。
はたして彼女の想いは届くのか? 

 □第四話[とある通行止めの『告白儀式』(ハートトゥハート)]

 ある一件以来[一方通行]はとある少女と一緒に暮らしている。
といっても一応の保護者となっている黄泉川愛穂の教員用4LDKに一緒に居候しているだけなのだが
[打ち止め](ラストオーダー)曰く、乙女の夢、ラブラブ同棲生活らしい。
「ちょこれーと♪ちょこれーと♪」
 さっきからキッチンでガチャガチャと音がする、多分あのガキンチョがなにかやってるんだろうが、その音のせいで
せっかくの眠りから覚めてしまった。
「おい、クソガキ」
寝起きの頭を無理やり働かせ騒音の元凶であるキッチンに向けて呼びかけてみる。
「眠ってたはずなのに!? これはまずい
シーン、返事がない、いただのしかばねのようだ。きっとこれであなたの注意は他に逸れたはず、というわけで早速再開、ミサカはミサカは
本当は聞こえているけど敢えて聞こえない振りと死んだ振りをしてごまかして見たりしてみる」
 キッチンから再び聞こえる[打ち止め]の機嫌のよさそうな声とカチャカチャと言う金属音。
以前なら周囲の音を反射して完全な無音空間を作ることと眠っていても発揮される彼の能力によって誰も彼の睡眠を邪魔することは
できなかったのだが
今の彼には一方通行としての能力を発揮できる時間はおよそ15分間しか無い。 
通常なら48時間使用できるはずの電極型チョーカーのバッテリーは能力使用モードではその膨大な情報の処理と
代理演算によって稼働時間が極端に短くなるからだった。 
 しかもバッテリーは特注品の為一個しか無い、次々と交換していくという使用法は出来ない。
「ヲイ、クソガキ。 キッチンは危ないから入るなと言ッてンだろうが」
「ひゃああ!こわーい、家庭内暴力だわ。こんな生活には耐えられません、実家に帰らせていただきます、ちらり、さぁ早く引き止めて?
とミサカはミサカはお昼のドラマのワンシーンを再現してあくまでもキッチンをどかない覚悟でアナタをぐいぐいと部屋の方に
押してみたりするけど、か弱いミサカの力では・・・痛!? 暴力はんたーい―」
「やかましい! 黄泉川と芳川はどこへ行きやがッた!?」
 パステルカラーのエプロンと三角巾をつけた[打ち止め](ラストオーダー)はさっきまで一方通行が寝ていた部屋を指差して
「置手紙が置いてあったはずだけど、もしかして見て無かったり?アナタにとって睡眠はやっぱり鬼門かも。
意外と低血圧で寝起きの機嫌は悪そうでこわー、とミサカはミサカはアナタに意外な一面を発見したことをミサカネットワークに配信してみたい
とか思ってみたり」
 くるりと反転してさきほどまで自分が寝ていた部屋へと戻りテーブルの上に置かれた一枚の紙切れに手を伸ばす。そして読む。
紙にはただ[桔梗とでかけてくるじゃん 黄泉川]とだけ書かれていた。
「・・・・・・」 
「いい無言だ、感情に満ち溢れている、とミサカはミサカは意味ありげで無さそうな台詞を使ってみたりするけど
なんでアナタがこめかみピクピクさせてるのかちょっと理解に苦しんでみたり?・・・・カルシウム不足?」
 一方通行は無言で自分の足元でぴょんぴょん飛び跳ねる打ち止めの襟首をがしりと掴んで
「芳川と黄泉川が出かけてンのはよ~くわかッた、だがお前は一体何をしてンだ? な~ンなンでーすかーこれは~?」
「えへへ、内緒。 ミサカはミサカは可愛く舌を出しつつ自分の頭を軽くコツンと叩いてドジッ子を演出してみたり、更に
宙ぶらりんなので意外と高い視点に驚きの声を上げてみたりしつつ肝心の内容についてはミサカは黙秘権を行使しますと
ミサカはミサカは専門用語を使って話をはぐらかしてみたりする」
 4LDKの教員用マンションのキッチンを見るに耐えないぐらいぐちゃぐちゃに散らかしておき、可愛く仕草で必死にごまかそうとする幼女と
普通ならありえないキッチンの惨状を指差してコメカミに青筋浮かべてる学園最強の能力者の姿がここにあった。 


 「うう、くすんくすん。 夜までに仕上げないといけないから頑張ってみたのに・・・・なんでこんなときに芳川も黄泉川も居ないんだろうと
ミサカはミサカは他のミサカ達に意見を求めてみたり」
 空気をまったく振動させない声が仮想空間に響く
「ミサカ10039号から全ミサカへ、ミサカはチョコレートの作成に成功しましたと感嘆の声を上げ勝ち誇りつつ報告します」
仮想空間のどこかから少し明るい声が聞こえた。
「ミサカ13577号からミサカ10039号へ、そのチョコレートは誰に贈るつもりなのですか?とミサカは答えは解りきっているのですが一応確認します」
「ミサカ10032号からミサカ10039号へ、ミサカからも同様の質問を送ります。 
まさかとは思いますがあの人に贈るつもりなのでしょうか?だとしたら抜け駆けは断固容認できません。とミサカは自分の胸元にキラリと輝く
あの人からプレゼントしてもらったペンダントを握り締めつつ、自分もチョコレート作成の合間に質問します」
「あの人からのペンダント!?そんな報告は受けていませんミサカ10032号、むしろそちらの方が抜け駆けなのでは?とミサカ19090号は
激しく事情の説明を求めます」
声は仮想空間のあちこちから流れてきて、そのどれもが同じ声だった。
「やかましい、これは彼が私だけにくれた愛の証なのです!! 湯煎で溶かしたチョコレートをハート型の型へと流し込みながら
ミサカ10032号ははっきりと宣言します」
 再びネットワーク全体が大ブーイングを発する。 結局のところ、ほとんどのミサカが10032号のペンダントを羨ましがっているようだ。
「ここではミサカはミサカ20001号って名乗った方がいいのかな? というか他のミサカ達が夢中になってる人の事はどうでもいいから
ミサカに助言してほしいかもーとミサカはミサカは切実に頼んでみたりする」
 だけど今は他のミサカが夢中になっている男性よりも自分にとっては一方通行へのチョコレートを作ることの方が大事だ。
「ミサカ10038号からミサカ20001号へ、どうでもよくなどありません、彼の側に居ることのできるのは只一人という過酷な戦いなのです。
全ミサカはきっと虎視眈々と他のミサカを出し抜く機会を窺がってるに違いありませんとミサカは自分こそが彼の側にいるに
ふさわしいミサカだという想いを込めたチョコレートを作成しつつスラスラと訂正を求めます」
世界中の全ミサカが次々へと発言する度にそれに反応したミサカ達が返答する。
そこには距離なんて物は存在していなかった、ミサカによるミサカのためのミサカネットワーク、それはミサカとミサカ同士で
記憶や経験を共有できる能力。
「ミサカ20001号から全ミサカへ、なんだ結局みんなチョコレートつくってんじゃんか、と安易な突っ込みを入れることに少し
生命の危機を覚えつつミサカはミサカはそれでもお願いしてみる。 お願いだからあの人をうならせるチョコレートの作り方を教えて欲しい」
「ミサカ10032号からミサカ20001号へ、その気持ちわかります・・・・ミサカのチョコレートは後は冷やして固めれば完成なので
ミサカが協力しましょうとミサカはオリジナルより少し優位に立ってる自分の胸をドンと叩いて面倒見のよいところをさりげに示してみます」
「わーい、ぜひお願いしたいかもー、これでマトモなチョコレートが作れてあの人をぎゃふんと言わせれるかもドキドキ、と
ミサカはミサカはチョコレートをかじるなんて姿がまるで想像できないあの人の姿を無理やり捏造して脳内処理して
ハッピーエンドにもって行きながらあまりの嬉しさにそのままネットワークから落ちてみたり」
「ミサカ20001号!? 具体的に打ち合わせが済んでないのに一方的に通信を切断するとは!?とミサカは上位個体のあまりの自分勝手さに
呆れつつ冷凍庫へと会心の出来のチョコレートを突っ込みながら驚きの声をあげます 」
「とりあえずミサカのチョコレートは難を逃れたようです、よかったよかった、これであの人のハートはいただきですと
ミサカ19090号は勝利を確信します」
「ミサカ13577号から全ミサカへ、ミサカ10032号とミサカ19090号の抜け駆けを許してはなりません。 断固とした処置を」
「ふーんだ、悔しければ自分達もチョコレートを作成してあの人に贈ればいいではありませんか?とミサカは
あくまでも自分の優位は揺ぎ無いものと信じつつ他のミサカ達を挑発します」
 その日世界中に散らばった[妹達]はその全てがある一人の少年の為にだが、チョコレート作りの真っ最中だった。

 自分の精神をミサカネットワークから一旦切り離した[打ち止め]はゆっくりと目を開けて自分の体との同調を確認する。
 周囲を見渡せば調理器具が散乱していたキッチンはすっかり綺麗になっていた。 
ネットワークに繋ぐ前に[打ち止め]と[一方通行]が片付けたからである。
彼は彼なりに[打ち止め]の事を大事にしてくれているのだろうが、でもこの事だけは引き下がるわけにはいかないし協力者の当てもできた。
そもそも贈るべき当人が居る場所で作っても駄目だということに今更ながら気づいた。恋はインパクトが大事なのだ。
 その彼も今はソファーで再び寝息を立てて夢の中だ、このまま寝顔を観察するのもそれはそれで有意義な時間だが
今は今日中にチョコレートを作成しなければならない。 そう今は行動の時だ、と決意を新たにすると[打ち止め](ラストオーダー)は
パステルカラーのエプロンと三角巾と昨日のうちに用意しておいた容器等をポシェットへ詰め込み、 
「しめしめ、これはチャンス。 ミサカはミサカはアナタが寝ている間にとびっきりのチョコレートを作ってびっくりさせてみたり! 
でも心配するかもしれないから一応一筆書いておいてみたり、これで完璧、ミサカはいい子いい子」
そう言うなり[打ち止め]は寝ている[一方通行]を起こさない様に慎重に足音を殺し、玄関のドアを開けるとトテトテと通路を走り、
階段を使って地道に1階を目指す。 こんなとき上の方の階は不便だが[打ち止め](ラストオーダー)の背ではエレベーターのボタンが押せないので
この際仕方ないと諦めることにした。
 その小さな足の行き先はもちろん協力者たる彼女のところだ、幸い彼女の居場所ぐらいは彼女の上位固体である自分にはある程度はわかる。
「にひひひ、今日のお出かけ指数は120%!! [打ち止め]の幸せ指数は30上昇した。てろりろりーん♪ 
ミサカはミサカは気分上場でレッツゴーとか張り切ってみたり」
期待に満ちた顔をして[打ち止め](ラストオーダー)はマンションを後にするのだった。

 上条達が居た広場が近くにあるバス停の近くにはなんだかご都合主義的にいくつかの喫茶店が並んでいる。
その喫茶店の一つである洋風の小さな喫茶店『Holy land』はおいしい自家製のケーキといかついマスターが自分で挽く本格的なコーヒーが売りだ。
そんな喫茶店の窓際は普段の客とは少し違った連中が占拠していた。
 赤い髪に黒いローブの外国人と純白に金色の縁取りが入った豪華な修道服に身を包んだ銀髪の少女が隣同士に座り
さらにその向かい側の席では金髪に薄い青色のサングラスを掛けた学生服の少年がテーブルを同じくし会話を楽しんでいた。
少なくともカウンターでグラスを磨いていたマスターにはそう見えた。
「ある特定の条件をクリアした場合のみに自動で発動するタイプの大魔術だと?」
土御門はブラックのコーヒーを啜りながら向かいの純白シスター、インデックスへと疑問を投げる。
「そうだよ、聖バレンチヌスゆかりの日にのみその効力を発揮して世界中からある物を特定の条件をクリアした対象へと転送する。
それが例え世界のどこにあろうが関係ない、たとえ南極の氷の中だろうがエジプトのピラミッドだろうが対象の生死すら
問題にはならないんだよ。 但しどこの地域で誰を対象に発動するかは完全に予測不可能。
これは世界自体を魔方陣として見立ててるからだと思う」
小さなモンブランにフォークを突き立てインデックスが答える。
「つまり、世界中のどこかで初期の魔方陣の見立てと違った場所があればそれで効果も対象も変わるってわけだね」
赤い髪の魔術師は騒ぎの中心へと目を向けて呟いた。 彼は優雅にダージリンティーだ。
「で、今回の対象はカミやんなわけか・・・・・でも[幻想殺し](イマジンブレイカー)はどうなってるんだにゃー?」
土御門の問いにインデックスは修道服の襟を正しながら語る。
「トウマの右手の事だね、あれは確かに法王級の霊装ですら一撃で破壊するぐらい理不尽な能力だけど大型結界の類は多分
核か何かを直接触れないと壊せないんじゃないかな? でなければステイルの報告にあった三沢塾や神裂の報告にあった御使堕し(エンゼルフォール)
なんかも当麻がその一端に触れた瞬間に壊れないといけないんだよ。
送られてくる物品自体は異能の物じゃないから対象外なんじゃないかな?」
「ふむ、彼の右手は自動再生型の異能は確かに核に触らないと無効化できていなかった。発動条件が直接触れる事だからね。 
法の書の一件でアニェーゼが使ってた座標攻撃の魔術は彼も対象になっていたことがあったな」
タバコをぷかぷかとすいながらステイルも参加する。
「『告白儀式』(ハートトゥハート)の基本設定は『想いの篭もった品の転送』―」
「それって黙っていても、自分の手に届く品を品物だけ先に貰ってるってことかにゃ?」
「そうだよ、だからこそこの大魔術は封印されていたのかも。 隠した秘めた想いや直接渡したかった想いを踏みにじってしまう迷惑極まり無い
邪法なんだよ」
ゴクリとインデックスが唾を飲み込み神妙な顔をして説明する。
「まったく、とんだ大魔術だにゃー『告白儀式』(ハートトゥハート)ってのは」
「そうだね、これがもし自分の身に起こったらと思うとゾッとするね」
ステイルと土御門は顔を見合わせて二つの声で
『でもまぁ、上条当麻だからいっか』と同じ一つの言葉を口にした。
 真面目に聞いて欲しいかもー、と怒ったインデックスが両手を振り上げて緊張感が抜けてしまった
男2人に対して抗議して
プンプンと頭から湯気を上げていた。


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