とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-92

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匿名ユーザー

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『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話1

 ここは学園都市第七学区にある柵川中学校内、『風紀委員』第一七七支部。そこに、常盤台中学一年の白井黒子はくたくたの体で帰ってきた。

「ただいま戻りましたの……」
「お疲れ様です白井さん」

 扉が開き、奥の方から甘ったるい声で労いの言葉と共に同僚の初春飾利がやってきた。
 逃げ足の速く、予想外の挙動で道を行くのが相手だった為、黒子は自らの能力『空間移動』を使用して相手の数メートル先の座標地点に移動するにも、相手が突然の進路変更で向こうの体に登場、なんて間抜けなことは空間移動能力者として恥ずかしい為に、全力疾走するハメになったのだ。

「白井さん、スポーツドリンクです」
「ありがとうですの、初春。…んぐんぐ……はぁ」
「疲労感全開ですね」
「数時間は能力を使いたくないですわ…」


『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話2

 自分の席で、背もたれに上半身を預けて疲れを取る。初春が持ってきてくれたスポーツドリンクを開封し、喉が鳴るのも構わずに飲んでいく。

「あ、そういえば白井さん。最近巷で話題の『ガイアメモリ』ってご存知ですか?」

 中途半端にしていた書類整理を再開した初春が、思い出したように言った。

「ガイアメモリ? 何ですの、それ」
「えー、知らないんですかぁ?」
「えぇ、どんなもの何ですの?」

 背もたれから起き上がって目を丸くして聞く黒子は、興味津々といった様子だ。頭の花を揺らしながら、初春が口を開く。

「無能力者でも、超能力者でも、誰でも能力の遥か上を行く力が出せる、って噂です」
「…噂止まり、何でしょう? 結局は」
「詳しいことは明るみに出ていませんから……そうとしか思えませんね」

 でも形はUSBメモリみたいな形状に似てるらしいです、と初春は続けた。

「…USBメモリ型……わたくしのこのトキメキ感はなんでしょう……」
「何か言いました?」
「いえ」

 スーパー近未来アイテム大好きタイム。一度でいいから見てみよう、そう心に決めて、黒子は再び背もたれに体を預けた。


『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話3

 完全下校時間となり、風紀委員の仕事も終了である。荷物を纏めた鞄を手に持ち、黒子と初春は支部を後にし、校門を出た。
 眩しく輝く夕日に、目を細めながらも歩く。

「白井さん」
「はい?」
「あれは何でしょう?」

 左手で太陽光線を遮りつつ、右手でとある方向を指さして初春が尋ねた。何事かと思い、黒子は指差す方を向くと、

「空間の歪み……?」
「空間湾曲系能力者…ですかね?」
「とりあえず行ってみましょう」

 顔を見合わせ、不可思議に歪む空間地点へと急いだ。


 惨劇、とまで行かないものの、そこは悲鳴と怒号に包まれていた。
 呆然と立ち尽くし、逃げるぞと腕を引っ張られてよろよろと動き出す者がいれば、我先にと逃げる者、果敢にも立ち向かおうとする者がいた。
 中心にいたのは化け物、怪人である。
 時空の歪みが消え、本格的に怪人が動き出した。

「『多重能力』…ですかね?」
「何を呑気なことを…警備員に連絡を!」
「わかりました!」

 怪人は一見すると、まるで蜘蛛のような姿形をしていた。事実、口から糸を吐いて逃げる人間を捉えて引き寄せてはなぶる。

「くっ…『風紀委員』ですの! 今すぐにその人を離しなさい!」


『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話4

 背後から黒子が名乗ると、ゆっくりとした動きで蜘蛛怪人が引き寄せるのを止め、振り返った。
 捕まっていた人が無事に離れたのを確認すると、黒子は怪人の真後ろに飛んだ。

「はぁっ!」
「ボシャブバ」
「なっ…!?」

 後頭キックを受けて吹き飛んだ怪人だったが、何事も無かったかのように起き上がり、常人には理解不能な言語を話した。

「ゴセビガバスバ」
「日本語でおk、ですの」

 口から吐き出される糸の塊を右に左にと回避しながら攻撃の機会を伺う。

「ゴセゾガラヅリズバ!」
「きゃあっ!」
「白井さん!」

 多方向へと放たれた塊の二発が黒子の脚と腹部に直撃し、崩れ落ちる。

「初春はそこで待機!」
「で、でも…」
「いいから大人しく警備員を待つのが先ですわ」
「そんなことしてたら白井さんが…!」
「ギベ」

 二人の会話を遮るように、再び塊が放たれ黒子への直撃コースを進みーーー、

「!」
「バンザド!?」

 塊は真ん中で粉々に砕け散った。

「出たな、グロンギ」

 唖然とする二人と一体に近寄る人影がひとつ。手にしていた銃の形を変えて、正方形に近い形に戻し、黒子と怪人……グロンギの間に割って入った。


『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話5

 黒髪ツンツン頭の男子高校生。その名を旗男、もとい、上条当麻その人だった。

「白井、大丈夫か?」
「…少し痛み、ます…けど!」

 どうして貴方が? と黒子は上条に問う。

「誰かの涙は見たくないさ、俺だって」
「ジュスガバギ……!」

 トドメを台無しにされたグロンギが怒りの突進を上条に向けるが、それを横に回避し、上条はバックルを取り出した。

「…何をするつもりですの?」
「見てればわかる」

 バックルからベルトが形成されて腰に巻かれる。先程の正方形の薄い厚さの箱……ライドブッカーから一枚のカードが上条の手に排出される。

「ギベ!ギベ!ギベェ!」
「変身!」

『カメンライド ディディディ…ディケェイ!』

 塊が直撃する寸前に上条はバックルにカードを挿入し、回転させて読み込ませることで、姿を変えた。
 マゼンタのアーマーに緑の瞳。頭に刺さる黒い縦。斜めに入る白いライン。
 仮面ライダーディケイド。

「行くぜ」
「……変身、した…!?」

 上条、いや、ディケイドの拳がグロンギの腹部や頭部に突き刺さる。グロンギも負けじと至近距離から塊を放つ。

「ギベ!」
「殿方さん!」


『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話6 

 直撃したのにも関わらず、ディケイドは健在し、更にグロンギを殴る。
 よろけて後退りしたのを見逃さずに、開いた腕の間の腹に蹴りを決め、グロンギが吹っ飛んだ


「これで終わりだ!」

 腰に下げたライドブッカーから面に自分の模様が描かれた黄色のカードが排出され、それを先程と同じようにバックルに読み込ませると、機械音がラップ調に告げる。

『ファイナルアタックライドォ ディディディ…ディケェイ!』

 ディケイドとグロンギの離れた距離を等間隔に金色の畳状のエネルギープレートが現れ、ディケイドが飛び上がるとそれは動きを合わせて、そこに脚から突入する。

「うおぉぉあぁ!」
「グガァァァ!」

 身に迫る必殺の蹴りを防ごうと構えたグロンギだったが、それを構わずに蹴り飛ばす。今一度起き上がろうとして、爆発、四散。
 DNAの一片も残すことなく散り失せたのだ。

「ふう……」
「貴方は一体なんなんですの…?」

 黒子の前で変身解除した上条に掛けられた最初の言葉。帰り際に振り返ることもせず、上条は言う。

 通りすがりの仮面ライダーだ!

「仮面……ライダー…」
「殿方さん…」


『とある仮面の多重幻想(DCD幻想殺し)』第一話7 

 目の前で起きた事が未だに理解出来ない初春と、突然過ぎる事に呆然とする黒子だけがその場に残り、間もなく警備員がやってきたが、話せたことは少なかった。


「ふン……」

 証券会社のビルの上、そこから一部始終を見詰めていた赤い瞳の白い戦士も、次第に立ち去っていったーーー。

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